音楽史とは?西洋クラシックから日本まで年表順でざっくり解説!

「音楽史」とは、その名の通り「音楽の歴史」のことです。「音楽」も「歴史」もとてもスケールの大きい言葉ですが、今回は西洋音楽(西洋芸術音楽)・つまりクラシック音楽の歴史を中心に、簡単にご紹介したいと思います。

  • 1.中世:キリスト教社会の音楽 グレゴリオ聖歌からギヨーム・ド・マショーまで(200年〜1400年ごろ)
  • 2.ルネサンス:ジョスカン・デ・プレなど( 1400年ごろ〜)
  • 3.バロック:モンテヴェルディからJ.Sバッハまで(1500年ごろ~)
  • 4.古典派:ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン(1700年ごろ~)
  • 5.ロマン派:クラシック音楽の全盛期と爛熟。シューベルト、ショパン、リスト、ワーグナーなど(1800年ごろ~)
  • 6.国民楽派:民族主義の音楽。など(1800年ごろ~)
  • 7.近代:調性の解体。フランス印象派(ドビュッシー、ラヴェル)シェーンベルク、ストラヴィ8.ンスキーなど(1900ごろ~)
  • 9.現代:ジョン・ケージなど。

なるべく専門用語を使わずに執筆したい思いですが、この言葉なしには説明できない、という内容もありますので、専門用語等の説明もなるべくやさしく丁寧にしながら進めていきたいと思います。是非最後までお読みください。

この記事を書いた人

一橋大卒 歴史学専攻

京藤 一葉

Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。

そもそも「西洋音楽史」とは?

わかっていないことはとても多い

昔の西洋は紙がとても貴重でした。紙を手にすることが出来た人はごく一部の人だけだった上に、紙に書かれた文字などを読むことが出来るのも一握りの知識特権階級のみでした。ですので、そのような紙に書かれていない音楽も多数存在していたと考えられます。

現代の私たちが辛うじて知ることができる昔の音楽は、紙というメディアに残されているごく一部であり、音楽史についてはまだまだ秘められた部分が沢山あるのです。

古代ローマ時代から中世の音楽の考え方

ボエティウス

ボエティウスというイタリアの哲学者・政治家が著した「音楽綱要」という本によると、太古の時代音楽とは幾何学や哲学の一種であり、現代の私たちのように「音を楽しむ」ものではなかったことがわかります。

ボエティウスは

  • 世界の調和としての音楽=ムジカ・ムンダーナ
  • 人間の調和としての音楽=ムジカ・フマーナ
  • 楽器や声を通して実際に鳴り響く音楽=ムジカ・インストゥルメンターリス

の3種類に分類しました。この中でムジカ・インストゥルメンターリスという実際に耳に聞こえる音楽は3つのうち最下位のものであり、この思想は中世の音楽の考え方へも強い影響を与えました。

中世の音楽:600,700年頃~

キリスト教社会の中で生まれた祈りの音楽

中世ヨーロッパはゲルマン民族が大移動した4世紀頃から、ルネサンス運動が始まる前の15世紀あたりまでをいいます。この時代は、キリスト教(カトリック教)の影響がとても大きい時代でした。途方もなく長いこの時代の音楽については、わからないことがとても多いと言われています。なぜなら、残されている資料がとても少ないからです。

「謎めいた部分が多い」ということも相まって、この時代の音楽はとてもミステリアスな魅力があり、心に響く不思議な「癒し」パワーを持つ音楽として、近年密かな注目を浴びています。是非この機会に触れてみてください。

グレゴリオ聖歌:600,700年頃~

「ネウマ譜」という楽譜に書かれたグレゴリオ聖歌。

修道士たちが日課(プラクティカ)や祝典で歌う歌をグレゴリオ聖歌といいます。作者は不明で、7,8世紀ごろから歌われるようになったと言われており、地方ごとにメロディなどが違っていたようです。バラバラになっていた歌をグレゴリウス2世が取りまとめて編纂し、9世紀頃から楽譜に記されるようになりました。

このグレゴリオ聖歌が「クラシック音楽」の元祖だと言われています。14.15世紀には「ネウマ譜」という楽譜の書き方も生み出されました。

グレゴリオ聖歌。近年はヒーリングミュージックとして注目されています。

この時代の有名音楽家

ギヨーム・ド・マショー:1300年ごろ~1377年

14世紀・フランスの作曲家

グレゴリオ聖歌は極めてシンプルな音楽でしたが、14世紀のこの頃になるとメロディやリズムもどんどん豊かに、複雑になっていきました。そのような音楽の様式を「アルス・ノーヴァ」といい、その様式を代表する作曲家がこのマショーです。

アルス・ノーヴァやマショーの特徴は、世俗的なテーマが多いということも挙げられます。この時代は宗教曲が多く作曲されていたので、なかなか珍しいといえるでしょう。キリスト教社会の限界とその逸脱、人間らしさの渇望が伺えるマショーの作品からは新しい時代の気配も感じられます。

chaut – Messe de Notre Dame (Ensemble Organum):マショー「ノートルダムミサ曲」

この頃の日本の音楽

平和への祈りは世界共通

日本では縄文時代の土鈴、弥生時代の銅鐸などによって、古来より冠婚葬祭や儀式のために音楽が使用されていたことがわかっています。大和、飛鳥、奈良時代の頃になると中国や朝鮮半島などとの交流が始まり、音楽も日本的なものと、外来的なものと並行して発展しました。

中世のヨーロッパでグレゴリオ聖歌が歌われ始めた8,9世紀頃、日本では空前の「仏教ブーム」であり、天皇家から庶民まで皆が揃ってお経をあげていました。日本も疫病や天災に見舞われていた時代だったのです。

仏教とキリスト教との違いはありますが、「死後は苦しみの無い世界に行きたい、精一杯祈りたい」という人々の切なる願いは共通していました。歌と言葉の間のような漂うような不思議な響きも、不思議とお経とグレゴリオ聖歌とでは共通しています。

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3 COMMENTS

Michie

西洋音楽の歴史を、グレゴリア聖歌から、ルネッサンまで一気に聞かせていただきました。
学生の頃講義で習いましたが、メロディの流れがこのように変化していったのか!と納得。大変勉強になりました。グレゴリア聖歌とお経が似ているというのは全くその通りだと思います。人間の願いは共通なのですね。

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