「スターリンといえば、怖い独裁者というイメージだけれど、本当はどんな人だったんだろう」
「そもそもソ連という国自体にもあまり馴染みがないし、スターリンも歴史の授業では習ったけれど、詳しいことはよく知らない」
スターリンといえば、世界史の教科書には必ず出てくる人物ですが、詳しくは知らないという人が多いのではないでしょうか。知っている人でも、自分が敵とみなした多くの人々を粛清したり収容所送りにしたことで、悪の独裁者のようなイメージが強いのではないかと思います。
スターリンに限らず、歴史上の人物に関しては、様々な評価がなされていることが多く、スターリンに関しては本国のロシアですら賛否が別れています。
ここでは、今の我々には馴染みが薄くなってしまったソ連に関する本から自伝など、スターリンという人物をいろいろな角度から理解するための本を入門編・上級編の2つにわけて紹介していきます。
入門編
スターリン – 「非道の独裁者」の実像
読んでみて
歴史系のタイトルが数多く出版されている中公新書の1冊で、スターリンの生い立ちから青年活動家時代、そして革命とソ連の独裁者へ登りつめるまでの生涯を解説した本です。
スターリンの子供時代のエピソードや家族との関係など、スターリンをただの非道な独裁者ではなく、いろいろな面から描いているため、スターリンの生涯について深く知りたいという人にはオススメです。
今のロシアでもスターリンについての評価が割れていることや、意外に人気が高いことなども書かれていて驚かされます。
みんなのレビュー
スターリンというと大粛清のイメージが強いが、読了後、そのイメージはスターリンの反面しか捉えていないことを実感した。スターリンの時々の判断のなかには、そのときの歴史的文脈や国際状況と、社会主義というソ連の信条との、ギリギリの結節点であったと考えざるをえないものが多数ある。政治政策と倫理、国家権力、最高権力者、国家の思想――そういったものの絡み合いがスターリンという政治家の人生を通して表れているように感じた。
引用元:bookmeter
いまさらですがソ連邦
読んでみて
スターリンが最高指導者をつとめていた、かつての超大国ソ連についての本。現代の私たちには馴染みのない存在になってしまったソ連という国の成り立ちや、社会の様子、そこで暮らす人々がどのような生活を送っていたか、歴代の指導者はどのような政治を行っていたのかが解説されています。
ロシア革命からスターリン時代については、まるまる1つの章を割いています。イラストもたくさんあるので、難しい本は苦手という方でも手を出しやすい本です。ソ連という国のことがまだ良くわかっていないという人にオススメの1冊です。
みんなのレビュー
世界史のソ連のとこだけめっちゃマシマシにしたやつ。ブレジネフ?アンドロポフ?кто?な日本の同志諸君も歴代徳川将軍のような親しみやすさでソ連邦の最高指導者たちのことがわかるようになります(わかりやすくなったんだかは不明)。最高指導者ごとに政策に色があり、それぞれの時代があったことが見えて面白かった。ソ連邦の宇宙開発はロマンに溢れてて非常に良き。誤字がパラパラあるのは三才ブックスだししゃーない。
引用元:bookmeter
図説 ソ連の歴史
読んでみて
世界の歴史や文化をワンテーマで解説している「ふくろうの本」シリーズの1冊で、こちらもソ連の歴史について書かれた本です。
革命によるソ連の誕生からペレストロイカによる崩壊までが100ページほどにまとまっていて、読むのにそれほど時間もかかりません。ほぼすべてのページに写真があって、カラーページも豊富でビジュアル的に楽しむこともできます。
この本のなかでスターリン時代については、2つの章で40ページほどが当てられていて、スターリンがソ連の歴史を語る上でいかに大きな存在であるかがわかります。
みんなのレビュー
ソ連入門に良い。非常に淡々とした概説であり、図や写真の豊富さが大変見やすく、ソ連が興ってから無くなるまでの70年余を一気に見渡すのに適している。細かな思想や共産主義、各戦争については一冊の本では到底まとめられまい。わたしらソ連崩壊後に生まれた世代だが、指導者(主にスターリン)が行なった政治は不可思議だ(特に農民絶滅など)それらのなぜ?を解決するには、もっと多くの知識と本を必要とするだろう
引用元:bookmeter
スターリン: 超大国ソ連の独裁者
読んでみて
歴史の教科書でお馴染みの山川出版社から出ている、世界史の人物やテーマを扱った小冊子「世界史リブレット」シリーズの1冊。それぞれのテーマを専門家が簡潔な内容でまとめているため入門にはとても良いものになっています。
この本でも、スターリンの生涯についてわかりやすく解説されていて、写真や図も豊富にあります。ページ数も少ないので読むのに時間がかからないのもこのシリーズのいいところ。スターリンについて、手軽に学びたいという人や基礎知識をつけたいという人にオススメです。
みんなのレビュー
図書館で。DoSの予習として。ブックレットなので電車内2時間足らずで読了。横手(2014)で既に既知になった話ばかりだが、写真図版が多くて、粛清された人々の風貌がわかり意外にショック。ちなみに督戦隊の活動の根拠となった国防人民委員令第227号はちゃんと言及している、まぁ無視できんわな。
引用元:bookmeter
[新版]独ソ戦史 ヒトラーvs.スターリン、死闘1416日の全貌
読んでみて
スターリン時代を語る上で避けては通れないのが、ヒトラーとスターリンという20世紀を代表する独裁者に率いられた国同士の直接対決です。第二次大戦時のドイツによるソ連への侵攻は「独ソ戦」と呼ばれて、スターリンとソ連に大きな影響を与えました。
序盤では工業化と軍事大国化を進めていたはずのソ連が大負けしてしまい、この戦争が敗北に終わっていればスターリンの生涯もまったく違っていたものになっていたことでしょう。
この本では、ソ連とドイツの戦いがどのように進み、いかにしてソ連が勝利したのかがわかりやすく解説されています。日本ではあまり知られていない独ソ戦について学びたいという人に、最初に薦めたい1冊です。
みんなのレビュー
本当に独ソ戦だけに絞って書かれていて良かった。軍人・民間人合わせて約3110万の命が失われた戦争。日数で割ると1日で2万人が亡くなった計算になるそうだ。スターリングラードからの撤退をヒトラーが認めなかった理由や、悪名高い『死守命令』等も、それなりの軍事的根拠が有るのが理解できた。機動力を持ち味にしたドイツ軍が次第に硬直化して敗北していく流れが、なんとも言えない。わかりやすく読みやすかった。
引用元:bookmeter
上級編
スターリン―赤い皇帝と廷臣たち 上・下
読んでみて
スターリンが権力を掌握してから、この世を去るまでの独裁者時代の姿を描いた伝記で、上下巻1300ページ以上におよぶノンフィクションの超大作です。
著者はイギリスの歴史家で、ソ連時代は秘密のベールに包まれていて近年やっと公開された公文書などの新資料や未発表の書簡、関係者へのインタビューでえられた証言などを駆使して多角的に、スターリンと彼をとりまく人々の真実の姿に迫ります。
本の厚みにちょっと尻ごみしてしまうかもしれませんが、中にはスターリンに関する細かなエピソードがたくさん散りばめられています。今までにないスターリン像に出会いたいという人に薦めたい1冊です。
みんなのレビュー
上下巻1100ページ超という凄まじいボリュームで描かれるのはスターリンと彼を取り巻く側近、そして彼らの家族。彼らのイメージは通例、大量虐殺者を行った冷酷な人間として語られるが、同時に不器用ながらも家族を愛する勤勉家という一面も持っていた。私生活でも家族ぐるみで親交を持っていたオールド・ボリシェヴィキ達は大粛清期になると妻や親族をも巻き込んだ殺し合いを繰り広げることになる。彼らは本当に未来のユートピアのためと信じて数千万の自国民を闇へと葬り去ったのだろうか。この狂気の時代を理解することは不可能に思える。
引用元:bookmeter
スターリン―青春と革命の時代
読んでみて
『スターリン 赤い皇帝と廷臣たち』の著者による本で、こちらは活動家時代の若きスターリンに焦点を当てたものです。
グルジアの貧しい靴職人の家に生まれたスターリンが、聖職者を目指して神学校に進むという、彼の生まれからは奇跡的な学歴を手に入れながら、労働運動やデモに目覚めて学校をやめ、さらには活動資金を作るために犯罪行為にも手を出すようになり、投獄、流刑、結婚など波乱万丈な出来事を経てレーニンと出会い、やがてロシアの国そのものの命運を握る革命家になっていく様子が描かれます。
前作同様、グルジアの公文書など新資料を多数使用し、様々なエピソードから若き活動家スターリンの新しい姿を描き出す1冊です。
みんなのレビュー
およそ類を見ないであろうスターリン「若年時代」の伝記。少年時代を勤勉で詩を愛する神学生スターリンとして過ごした彼は、マルクス主義への傾倒とともに、コーカサス地方ギャングのゴッドファーザーへと姿を変えていく。スターリンには、レーニンやトロツキーのような天才性はなかったが、単なる粗野なマキャヴェリストでもなかった。上流階級の教育、路地裏の暴力、裏切りと密告で覆われた革命組織、繰り返される流刑と脱走に彩られた青春時代を通して独裁時代を見れば、あの血みどろの時代の論理を少しは理解できるのではないだろうか。
引用元:bookmeter
対比列伝ヒトラーとスターリン〈全三冊〉
読んでみて
ある物事についてなにかと比較することで、新しい評価が生まれたり、今までなかった視点が得られるということがあると思います。この本は、ヒトラーとスターリンという20世紀の独裁者の代表である2人の人生を年齢ごとに対比しながら描いた新しい伝記です。
彼らに率いられたドイツとソ連は、最後は第二次大戦によって直接対決を行い、ヒトラーは敗れ、スターリンは勝利しました。2人の人生を交互に見ていくことで、なぜスターリンはヒトラーに勝つことができたのか、国家の最高指導者としてのスターリンはどこが優れていてどこが悪かったのか、見えてくるのではないでしょうか。
みんなのレビュー
非常に面白かったと同時に勉強になった。ヒトラーとスターリンの二人に的を絞っているために本筋は明快だし、彼らの時代の状況、周囲の人々にも言及されているためにその時代特有の革命熱とでもいう雰囲気が伝わってくる。特に歴史をなぞっているだけでは伝わってこない争乱の様相を整理してくれているのはありがたい。著者自身もできるかぎり左翼右翼的見方を排しようと努力しているのでなおよい。この一巻においてはこの二人の偉人にして独裁者がいかに独裁者なりえたのかを描き出している。スターリンよりもヒトラーの方が人間味があるかなあ
引用元:bookmeter
まとめ
いかがだったでしょうか?スターリンに関して書かれた本はそれほど多くはありませんが、ここでは評価の別れるスターリンの人物像について、なるべく多くの視点から理解できる本を集めました。
スターリンとは切っても切れないソ連という国の成り立ちから、スターリン自信の生涯に就いて学び、さらにヒトラーとの比較や第二次大戦などスターリンの行った内政や外交をみていくことで、あなたなりのスターリンへの理解が進むと思います。
ぜひ、気になった本を手にとってみて、スターリンが本当に「悪の独裁者」だったのか、あなたの目で確かめてみてください。以上、スターリンに関する本のまとめでした。