水木しげるをよく知れるおすすめ本10選【漫画や図鑑、自叙伝まで】

「ゲゲゲの鬼太郎で有名な水木しげるの他の本を知りたい…!」
「水木しげるの事が分かる本を教えて欲しい!」

鬼太郎に代表される水木しげる作品を求める方には、様々な方がいらっしゃると思います。ただ、漫然と書店で本を探されたとしても、なにを読んだらよいのかなかなかわからない、という方は多いのではないでしょうか。子供たちの間でいまもブームが続いている「妖怪」も種類が多く、水木しげるの著作も多岐にわたります。

今回は水木しげると妖怪に関して知りたい人におすすめの書籍10選を紹介します。大きく「妖怪を知る」「水木しげるを知る」のふたつの切り口でもって、子どもと一緒に読める絵本のようなものから水木しげるの人生哲学に踏み込んだ内容の本までを選定してみました。

ぜひ参考にしてみてください。

水木しげるの妖怪えほん

読んでみて

NHK(Eテレ)「テレビ絵本」で放送された「水木しげるの妖怪えほん」を書籍化したものです。砂かけ婆に児啼爺、一反木綿に塗壁…‥妖怪たちの生息する情景が、独特の語り口(文字)により目の前に浮かび上がるかのように感じることができます。

絵に文字がかかっていない点は賛否あるようですが、個人的には子供が絵に食いつきやすくて良いのではないかと思います。子供に読んであげる大人にとっても文字が読みやすいのは嬉しいです。というのも、子供に読ませるとき、大人は絵本を逆向きでみる恰好になることがあるからです。

みんなのレビュー

鬼太郎の仲間たちでお馴染みの砂かけ婆や こなきじじい。いったんもめんや ぬりかべも登場。アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」にも登場している小豆洗いや、沖縄妖怪のキジムナー。可愛い袖引き小僧や すねこすりなど、不思議な妖怪達がたくさん描かれています。
子供から見ると少し怖い絵もありますが、お馴染みのアニメ画と楽しいストーリー仕立てですので、幼児から大人まで楽しめる一冊です。かなりおすすめな一冊ですので、ご興味のある方は是非ともお買い求めください。サラリーマン山田がナビゲートしています。

引用元:はてなブログ

水木しげるの妖怪なぞなぞめくり―山里の巻

読んでみて

いわゆる「しかけ絵本」である本書は、「なぞなぞ」の要素を取り入れ、妖怪をみつけてゆくことができるようになっています。タイトルの「なぞなぞめくり」というのも、実際に本を開くと納得できます。見開きで左ページになぞなぞが、右ページに妖怪が潜むしかけになっているので、小さな子でも見やすいと思います。

何度か読むうち、子供は妖怪たちを覚えてしまいますが、「知っていることが、知っているとおり出てくる」ことに喜んでいるようです。それに、子供は妖怪のような「ふしぎな存在」が大好きなんですね。
なお、本書の姉妹版「水木しげるの妖怪なぞなぞめくり―家の中の巻」もあります。

みんなのレビュー

ご存知、日本古来の風土に根ざした妖怪たちを、ユーモアたっぷりに描き続けてきた妖怪界の巨匠・水木しげる先生。特に今の親世代の方たちは、「ゲゲゲの鬼太郎」をはじめ、数々の作品の中で水木先生の世界にたっぷり浸かってきたのではないでしょうか?そんな本物の妖怪ワールドが、小さな子どもたちにも楽しめるようにと、なぞなぞしかけ絵本になって発売されました。子どもたちのための絵本・・・とは言え、これが装丁から内容まで、大人の水木ファンにもたまらない出来上がりになっているのです!

引用元:Ehon Navi

妖怪ビジュアル大図鑑

読んでみて

妖怪のイラストが並んだ図鑑ですが、ただの図鑑とちがうのは「ビジュアル大図鑑」と銘打っているところです。細部まで描きこまれた絵は色彩も豊かに、妖怪たちが生き生きと棲んでいる様子を見せてくれています。

メインの絵が圧倒的に見るものの心を捕まえてくれる本です。したがって、(それぞれの絵には、紹介文が書かれてはいますが、)文字の読めない小さな子供でも(この絵はなんだろう?)と引き込まれること請け合いです。

みんなのレビュー

一番のおすすめポイントは、オールカラーの絵が美しいこと! 細やかに描かれた妖怪たちは個性豊かで、見た目からして怖いものもいれば、どこかユーモラスなものもいて、見ていて飽きません。

引用元:好書好日

ゲゲゲの鬼太郎(1) (コミッククリエイトコミック)

読んでみて

水木しげるの原点にして頂点ともいうべき『ゲゲゲの鬼太郎』。そのはじめは、鬼太郎誕生物語として語られています。いま読み返すとかなり恐ろしげな雰囲気をまとっています。昔は漫画にしろテレビアニメにしろ、鬼太郎シリーズには本当に「怖い!」という雰囲気がありましたよね。

本書は、全13巻からなるシリーズですが、大人にとっては懐かしい、子供たちには新しい、ゲゲゲの鬼太郎ファン必見の珠玉の名作です。ちなみに髪の毛針、指鉄砲、リモコン下駄、ちゃんちゃんこといった鬼太郎の武器(攻撃)は時代ごとに少しずつ変化もしています。現在放送中のテレビアニメと比較するのも楽しいかと思います。

みんなのレビュー

1巻には鬼太郎の誕生はもちろん、ねこ屋の話に地獄流し、猫仙人の話を収録!
2巻にはおばけナイターに夜叉、ゆうれい電車に妖怪大戦争を収録とどちらも有名どころが盛りだくさんでした♪

引用元:楽天ブログ

悪魔くん千年王国 (ちくま文庫)

読んでみて

水木しげるの代表的な漫画作品として『ゲゲゲの鬼太郎』につぐ知名度を誇るのがこの『悪魔くん』シリーズです。シリーズとはいえ、各作品ごとにそれぞれ独立した物語を構成しており、いわゆる続きものでもスピンオフでもありません。

その悪魔くんの中でも特に人気の高いのが、本書「千年王国」の悪魔くんとされています。私はテレビ版から悪魔くんを好きになったのですが、この漫画の悪魔くんもまた独特の世界観とキャラクターで魅力に溢れています。

社会風刺的な要素が絡むのは、鬼太郎と同じですね。水木しげるが妖怪や悪魔をして社会の矛盾を語らせるのは、ファンにはお馴染みのパターンですが、今日にも通じる批判であり、その鋭さには感心してしまいます。

みんなのレビュー

個人的に、ストーリーの面白さもさることながら、気に入っているポイントは優れたオカルト漫画だという点。アイデアの根底に、しっかりとしたオカルト的な世界観が構築されているように感じる。オカルトが単なる、表層的なギミックに留まっていない点が良い。

引用元:exciteブログ

コミック昭和史 (第1巻) 関東大震災~満州事変

読んでみて

昭和という時代について、水木しげるの目を通して、時に解説を交えながら語ってゆくという構成です。水木しげる自身の体験がかなりの割合を占めるため、純粋な「昭和史」をイメージして読み始めると戸惑うかもしれません。

しかし、それだけに当時を生きた人々の息遣いまで強く感じられます。学校の歴史の授業ですと、昭和史以降はなかなか踏み込めないある種の聖域のようなところがありますが、水木しげる独特の語り口にはどこか慈愛(人間に対する)が感じられます。

とくに戦争を知らない世代の人たちには是非とも読んでほしい作品です。ナレーターとして登場するねずみ男もいい仕事をしてくれています。

みんなのレビュー

まず背景がきれい。登場人物もあの個性的な絵で描かれている。相変わらず気合い入れて描いているようだ。

本で読むより絵があるので昔の風景などが分かりやすい。漫画は想像力が付かないから駄目だと言う意見もあるがこういった歴史を知ることにおいては漫画の方が優れいていると思う。なので昭和を生きた人間も昭和を知らない人間も是非読んでほしい。

この漫画は中学校3年生くらいの教室全てに置いておいてもいいきがする。

引用元:コミック昭和史

のんのんばあとオレ (講談社漫画文庫)

読んでみて

水木しげるが「水木しげる」となる最初のきっかけは、のんのんばあとの出会いであった…ということがじつによく分かる本です。実際、少年期の水木しげるにとって、のんのんばあは示唆に富んだことばを何度も与えます。

実の祖母ではないけれど、実の祖母以上に濃厚な関わりをもつ「のんのんばあ」は実在の人物がモデルになっています。当時は、現代に比べて地縁というものが濃く、互いの人生に影響を及ぼす例が多かったのでしょうね。

みんなのレビュー

隣町の本屋に行ったら、水木しげる追悼コーナーが(申し訳程度ですが)ありまして、そこから父がこのマンガを購入しました。
で、感想聞いたら、「これは水木しげるの最高傑作だ」と絶賛してたので借りて読みました。そしたら、父の評価は正しいと感じました。

まず驚いたのが、主人公・村木茂(少年時代の水木先生自身をモデルとしてる。水木氏の本名は武良茂)が三人の少女と繰り広げるラブストーリーであるところ。まさか、水木さんがド直球の恋物語を描いていたとは思わなかった。しかも結構かわいく、特に二人目の少女・千草は美少女として描かれている(水木ファンには言わずもがなですが、水木先生は美女描くの意外と上手い)。

引用元:https://ivan-petorosky.cocolog-nifty.com/blog/2016/04/post-5fa0.html

総員玉砕せよ! (講談社文庫)

読んでみて

太平洋戦争に従軍した水木しげるが、当時の体験をもとに描いたのが、本書です。戦争というものが、いかに悲惨で無益なものかということが伝わってきます。

「玉砕」というと、独特の語感に惑わされますが要は「全滅」であり、仲間うちで言えば「みんなで死のう」であり、上官から言われれば「全員死ね」ということです。このことは、戦争の実相をよく表していると感じます。
武力均衡だ、抑止力だと崇高さを纏わせたところで、とどのつまり戦争とは殺し合いだということに他なりません。生々しさ、毒々しさゆえにさまざまな虚飾が行われるのでしょう。

本書から感じ取れることはたくさんありますし、読み手によって少しずつ異なりましょう。しかし、水木しげるの伝えたかったものは何か、と考えた時には、概ね上のような整理をベースとして良いと考えます。

みんなのレビュー

北がいいか南がいいかと問われ、寒いのが苦手だからと能天気にも「南がいいです」と答え、激戦地ラバウル送りとなった水木さん。いろんな奇跡が重なり水木さんが生き残ることで、こうして戦争のリアルが描かれた作品を読むことができていることに月並みながら有難いと感じた。ぬりかべや一反木綿が存在しない世界線は、余裕であり得たと考えると感慨深いものがある。

引用元:https://www.kijineco.com

水木サンの幸福論 (角川文庫)

読んでみて

幸福になるにはどうしたら良いのか──、これは多くの人にとってもっとも身近な「問い」の一つではないでしょうか。幸福になりたいという思いは、具体的なイメージが伴うかどうかは別にして、普遍的な人間の希望だからです。

しかし、そうした願いは、普遍的ゆえに空疎にもなりがちです。水木しげるはそのことをやさしく諫めてくれています。幸福論の第一条「成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。」とあります。

他人との比較は、煎じ詰めれば終わりのない戦いになりかねません。そうではなく、自分の心に素直に生き、その中にこそ幸福を見出すべきだ──。現代に生きる我々の心を穿つようなことばの数々に出会うことができる本です。

みんなのレビュー

そうか、「なまけ者」で良いのだな。
と、この七カ条を噛みしめつつ、本を読み始めたのです。
(ちなみに、この本の内容の大部分は、水木先生の「幸福論」ではなくて、これまでの人生を振り返った「半生記」です。タイトルにある「幸福論」は冒頭の10分の1くらい)
水木先生の生きざまを辿っていくと、とにかくマイペースで、世の中の慌ただしさに合わせるのが苦手だったのだな、というのが伝わってきます。

引用元:はてなブログ

ゲゲゲのゲーテ (双葉新書)

読んでみて

出征前「生きることの意味」を見出そうと模索していた水木しげるは、ゲーテと出会い、以後心の支えとしてきました。本書は、ゲーテの数々の言葉を紹介しつつ、そこに水木しげるのコメントを添えるかたちで構成されています。

ゲーテのことばは岩波文庫『ゲーテとの対話』(訳:山下肇、岩波書店刊/上中下巻)より引用されています。水木しげるが何を考え、どういう思考に立脚して人生を歩もうとしたのかということがよくわかる一冊です。

漫画家むけの人生訓などではなく、生と死を見つめつつ、ひたすら真摯に生きた人間・水木しげるの魂のあり方を知ることができる本です。

みんなのレビュー

水木も解説しているように、資本とは金じゃない。「専門的な実力」のことだ。漫画とか文章とかFXトレーディングとかクワガタの養殖とかだ。それ以外のことは捨てるということだ。捨てるということは賭けるということだ。死ぬか生きるかだ。これがサラリーマンなんぞにわかってたまるか!と水木は日々思って、日々耐えていた。
そこであらためて「ゲーテとの対話」という本を考えると、本書には「諦めさせない力」があると思う。

引用元:ゲゲゲのゲーテは最高です!

まとめ

今回は、水木しげる作品の代名詞ともいうべき妖怪たちを知る本や、出征と復員を経て著名漫画家となった水木しげるの人生哲学に触れる本をご紹介させていただきました。

  • 子供は妖怪のような「ふしぎな存在」が大好き
  • 文字の読めない小さな子供でも(なんだろう?)と引き込まれる

といった子供向けの本から、

  • 自分の心に素直に生き、その中にこそ幸福を見出すべき
  • 何を考え、どういう思考に立脚して人生を歩もうとしたのか

といった奥深い人生哲学の本にいたるまで、水木しげるの世界はじつに奥ゆきのひろいものです。

いま、この瞬間も悩み苦しみの人生の中を歩いている方があるかもしれません。一挙に物事を解決する魔法はなくとも、少しずつ、ひと足ずつ幸せに近づくことはできるかと思うのです。それには、ちょっとしたスキルが必要だ、と水木しげるは述べています。考え方の癖と言い換えることもできますね。

また、ご存知のとおり水木しげるの本職は漫画家です。『ゲゲゲの鬼太郎』『悪魔くん』をはじめたくさんの作品が残されています。学童以上の子はもとより、さらに幼い子ども向けの絵本もあります。