日蓮・日蓮宗をよく知れるおすすめ本6選【漫画や伝記、小説まで】

「日蓮宗はどんな宗教なのか、わかりやすく教えてくれる本はないかな?」
「日蓮ってどんな人だったのかな?」

Amazonで関連本を検索すると、難解そうな漢字の並んだ本がずらりと並び、どれから手をつけようかと困惑してしまう人も多いのではないでしょうか?

筆者も悩みました。難しい教義の説明本を読んではすぐ眠くなるばかり。そこで今回は、いつの間にやら日蓮宗に強い関心を持って様々な本を読破していた筆者が、「日蓮を知れる本」「日蓮宗への誘いの本」「日蓮宗の歴史と教えが分かる本」という3つのタイプに分けてご紹介します。

日蓮を知れる本

日蓮伝説殺人事件

読んでみて

内田康夫の推理小説は、背景に歴史が織り込まれていることが多いためにストーリーが重厚で、多くのファンを魅了しています。この本も旅情ミステリーですが、主人公の浅見光彦は日蓮の生誕の謎を追い求めています。殺人事件の謎解きを楽しみながら、日蓮についても知ることができます。

この本は筆者が日蓮宗に関心を持つきっかけになった本です。推理小説なので敷居が低く、初心者にはオススメです。テレビドラマ化もされている作品なので、そちらからトライしてみてもいいですね。

みんなのレビュー

今回は日蓮の生誕地を事件現場として巡ることで伝説のイメージを作ったような事件設定です。日蓮宗・身延山の甲府を舞台に地域産業の宝飾を巡る偽造事件です。簡単に言えば新進の宝飾業者を陥れるため旧勢力が新進の会社の中へ仲間を入れて偽造宝石をばらまいた。そこから起こった新旧の殺し合いが事件として発生したと言うことです。


「日蓮」をテーマに『旅と歴史』のルポを書くことになった浅見ちゃん。取材の傍ら、山梨の県立博物館を訪れた浅見は、車の接触事故に遭う。相手の女性は宝石鑑定士伊藤木綿子で、その後、彼女の知り合いの宝石デザイナー白木美奈子が殺され事件に引きずり込まれ、偽造宝石の発覚から起こった殺人事件を解明するストーリー展開です。


最後は日蓮誕生の地、安房小湊の蓮華ケ淵に犯人を追い詰め、主犯笠原政三は転落死して宝石は無事取り戻して終結しました。あいだで日蓮の生い立ちや鎌倉時代の元寇の話しを交えて伝説の味付けもしています。甲府の「ほうとう」がまずかったという表記で現地からクレームがドッサリ来たという曰わく付きのミステリーでした。爺っちゃんが食べたときは美味かったよ。

引用元:RakutenBlog

日蓮(山岡荘八歴史文庫)

読んでみて

日蓮というと私たちは「日蓮宗の開祖」というレッテルでのみ考えがちですが、実際にはそこに至るまでの彼の人生があったわけです。山岡荘八は、数々の歴史上の人物を血の通った人間として小説に登場させていますが、この本も日蓮の人間的魅力を描いています。

この小説は日蓮の前半生を描いています。日蓮が “上人” となるまでの話なので、特に身近に感じられるのではないでしょうか?一巻完結というのも、初心者には手が出しやすい分量です。

みんなのレビュー

山岡荘八先生著作、小説「日蓮」を読んだ。
山岡先生は、日蓮大聖人の半生を描き、僧侶としての修業、比叡山、他の道元や他宗を経て、鎌倉に出て来て辻説法、北条氏に「立正安国論」全一巻を献上して、一二六〇年・文応元年八月二十七日の「松葉が谷法難」で筆を置いている。最後は大聖人様が、猿と遊んでいた為、難を逃れて、猿と戯れているシーンで終わっている。

山岡荘八描く「日蓮」は、より仏様というよりも、人間に近く描かれ、山岡文学の限界も感じ取れるが、大衆小説である以上、致し方ないと言える。読後感は、「あ、これで終わり?」と言う、あっけなさ、と言うか、それでも、読み切った感はあった。

やはり、日蓮大聖人様の小説ともなると、聖教新聞社でもそんなタイトルで昔に何巻も出ていたようだが、ひいき目で見ると、膨大な量の作品となってしまいそうだ。やはり、後世へ残した、一期弘決の、一閻浮提総与の大御本尊を引き合いに出さないと、日蓮正宗信徒は納得できない。お弟子で六老僧の、第二祖、開山日興上人は出てきたけれども。まあ、文学作品としては、当を得た、良作と言える。

引用元:goo blog

日蓮宗への誘いの本

超訳 法華経の世界

読んでみて

童話作家として知られる宮沢賢治が法華経を大切にしていたと知り、法華経はどんなものなのか元々興味はありましたが、経典は難しそうで躊躇していました。しかし日蓮宗に関心が高まるにつれ、その拠り所でもあった法華経のことをどうしても知りたいと思い、手に取ったのがこの本です。

とにかく読みやすいです。挿絵もあり、物語調なので飽きずに読み進められます。個人的にはキリスト教との比較が目から鱗の話でした。聖書に少しでも親しんだことのある人には、特に面白いと思います。

みんなのレビュー

本当に超訳なので面食らいました。三タイプの修行者の分け方が面白いです。

1 声聞  学校で勉強するタイプ
2 縁覚  一人で工夫するタイプ
3 菩薩  社会で実践するタイプ

大乗仏教とキリスト教の比較が面白いです。大乗仏教だけ、キリスト経だけを見ていても、あるいは法華経だけ、福音書だけを読んでいても気付かないものがあるのだ。両者を深く読み比べたときに、共通する思考法が見えてきます。
仏教は、物事の相互依存関係と苦をめぐる悪循環・好循環の連鎖を見極める事を基本テーマとしています。思考パターンとしては「相対主義」的です。キリスト教は、一神教で天地創造の神の視点から一切を眺める事を基本モチーフとしています。思考パターンとしては「絶対主義」的です。

引用元:goo blog

仏教の思想12 永遠のいのち<日蓮>

読んでみて

哲学者の梅原猛と、仏教学者の紀野一義の共著ということで、客観的な「日蓮」論が展開されています。

梅原猛の仏教に関する著作はどれもとっつき易く、わかりやすいためによく読みますが、この本も梅原猛の日蓮に対する熱量が肌で感じられるような、面白いものでした。この本で日蓮を知ることで、日蓮宗の根底にあるものが見えてくると思います。

みんなのレビュー

これにてこのシリーズはおしまい。最終巻は第一部で紀野一義が日蓮とその生涯を讃え、第二部でも意気投合した紀野、梅原が日蓮をほめ、第三部で梅原が自分と日蓮を重ねはじめるという大変な内容であったよ。

だからたくさん割り引いて読まなくちゃならないのだけれども、何かがぴたりとはまれば熱狂を生む日蓮という人物のおもしろさは伝わってくると思う。日本のエリート層は空海と日蓮を嫌ってきたという指摘は、この二人だってエリートじゃんという事実を含めておもしろい。

引用元:読書メーター

日蓮宗の歴史と教えが分かる本

日蓮宗と戦国京都

読んでみて

2020年の大河ドラマで話題の本能寺の変ですが、本能寺が法華宗の寺であったことはあまり知られていないかもしれません。比叡山延暦寺の焼き討ちなど厳しい処断をしていた信長が、日蓮宗とはうまくやっていたというのも面白いトピックスです。

鎌倉時代は東国武士に支持されていた日蓮宗ですが、室町時代中期以降は京都の商工業者に広まっていきます。日蓮宗の発展の様子を知るにはとても良い本です。

みんなのレビュー

東国に生まれた日蓮宗が、戦国時代を通して京都に浸透していく過程を追った一冊。つかみに信長の宿所となった「本能寺」を持ってくるうまい構成で、難しい教義には立ち入らず政治的な動きを中心に論じている。

延暦寺との暗闘や有力貴族・守護とのコネ作り、富裕な檀家の援助などで徐々に勢力を広げていく様は結構面白い。ただ結果として政治に飲み込まれ、天文法華の乱で大損害を被り、以後は権力から一歩引いた姿勢になるのはなんともはや。信長以前に痛い目みたことが、本願寺や延暦寺とは違った天下人への向き合い方になったのだろうか。

引用元:読書メーター

法華経・全28章講義 その教えのすべてと信仰の心得

読んでみて

法華経について、客観的な視点を保ちつつ解説している上、講義という形を取っているために整理されていて、とてもわかりやすかったです。法華経はどう解釈するかによって様々な意味合いを持ちますが、本書は日蓮がどう考えていたかを解説しているので、日蓮宗についての理解も深まります。

みんなのレビュー

お坊さんが読んでいる法華経とはどんな内容なのだろうと思って購入した。著者は日蓮宗の僧侶なので日蓮宗の方でお経の意味が知りたいと思ったなら最適な本だと思う。

引用元:読書メーター

まとめ

いかがでしたか?

日蓮宗に関しては、開祖である日蓮上人がとても興味深いので、まずはそこを掘り下げていくと良いでしょう。日蓮宗に限らず、宗教全般に興味がある人は3冊目の「超訳 法華経の世界」を、日本史好きの方には5冊目の「日蓮宗と戦国京都」をお勧めします。どちらも広い視点から書かれているので、自分なりのとっかかりが見つかるはずです。

紹介したこれらの本が一冊でも心に留まり、日蓮宗や日蓮への関心が深まってくれたら嬉しいです。