植村直己をよく知れるおすすめ本6選【自叙伝や伝記、小説まで】

「植村直己は冒険家として国民栄誉賞を受賞したというけど、どんな冒険をしたの?」
「伝説的な冒険家の生き方から元気や勇気をもらいたい!」

冒険家・植村直己さんがマッキンリーで消息を絶ってから36年が過ぎましたが、その遺体はいまだ見つかっていません。そのことがこの偉大な冒険家を一層伝説的な存在にしているのかもしれません。

1950年代、8000メートル峰の初登頂ラッシュが続き、空前の登山ブームが生じ、大学山岳部や社会人山岳会の活動が活発に行われました。そんな中、1960年、大学入学を期に山岳部に入った植村直己さんは、1966年のモンブランの単独登頂成功を皮切りに、世界初の五大陸最高峰登頂者となりました。

そして植村さんの活動は、南極横断、北極圏の犬ぞり探検、そして人類史上初の北極点単独行など、登山という垂直方向の冒険から水平方向の冒険へと移っていきました。しかし43歳の誕生日に再びマッキンリーに挑み、世界初のマッキンリー冬期単独登頂を果たした後、その消息を絶ちました。

この偉大な冒険家の伝記は多く書かれていますが、その魅力や壮大で壮絶な冒険に接したいなら、彼が残した言葉に直接触れるのが一番だと思います。そこで、植村氏の生の声に触れられる6冊をご紹介します。

青春を山に賭けて

読んでみて

まさに冒険紀行のバイブルです。この本は、山の魅力に取り憑かれた青年の型破りな青春物語であり、不世出の冒険家になっていくドキュメンタリーです。冒険になぜ乗り出すのか?それは簡単に言語化できるものではないでしょう。たとえ文章の洗練がなかったとしても、冒険家本人が語る言説以上に、冒険の真髄に迫ることはできません。

無一文で日本を脱出した若き植村さんが、ヨーロッパでアルバイト生活を送りながら五大陸最高峰登頂を果たし、自然を相手に過酷な挑戦を続けていったその冒険の原動力はどこにあったのか、この本を読まずして植村さんの冒険のエネルギーの所在を知ることはできません。

みんなのレビュー

植村直巳という名前を知ったのは、私の好きな番組であるクレイジージャーニーで植村直巳賞というもの聞いたからだ。その受賞者が番組に出ており、「すごいすごい」と言って観ていたのだが、果たしてこの賞の名前にもなっている人物とは何者かとしばらくしてから考えはじめ、なんとなく手に取った。そして、なんで早く読まなかったのかと後悔した。冒険譚がすごい。登山だけではなく、その登山に至るまでの過程や生き様・勇気も凄まじかった。どうせ無理だしと諦めていた夢があるのだが、この本で背中を押された。たくさんの夢と勇気を貰える作品。

引用元:読書メーター

エベレストを越えて

読んでみて

1970年5月11日、植村直己さんはエベレスト南東稜からの登頂に成功しました。これは、日本山岳会が創立65周年事業として派遣したエベレスト登頂隊でしたが、植村さんは自己負担金を用意できず、荷揚げ・ルート工作要員としての参加でした。しかし、その能力が認められ第1次アタック隊に選ばれました。

71年の国際登山隊でのエベレストアタックでは隊員の身勝手な行動に苦しめられ、また植村さんが隊長を務めた81年のエベレスト冬期登山隊は、隊員の死により登頂を断念しました。エベレストは、植村さんを「世界のウエムラ」として有名にした栄光の頂であると同時に、葛藤や苦悩も多くもたらしました。

ここには植村さんのエベレストに対する思いだけでなく、エベレストと共に生きる現地の人々への眼差しや、仲間であるとともにライバルでもある登頂隊メンバーに対する人間的な感情も描かれています。大自然の中で浮かび上がってくる素の人間的感情、そうした側面からも面白く読める本です。

みんなのレビュー

日本人初のエベレスト登頂、五大陸最高峰登頂、北極点単独行、グリーンランド縦断と数々の偉業を成し遂げた植村直己氏。本書は世界最高峰のエベレストに氏が挑んだ記録であり遺作となった著書である。読み終えて強く感じることは氏の魅力は成し遂げた偉業よりも彼自身の人間性だということ。すべてを受容する山のようなその人柄に魅了されると同時に亡くなられてしまったことが残念でならない。

引用元:読書感想BLOG

冒険

読んでみて

冒険家以前の生い立ちから、明大山岳部時代のエピソード、五大陸最高峰の登頂、アラスカの人々との交流、そして南極横断の夢を語る、植村さんの素朴で率直な文章が魅力的です。

ヨーロッパアルプスに憧れた若き日の植村さんは、周囲の反対を押して資金調達のためにアメリカで働くことを決めて単身横浜を出航、世界中を貧乏旅しつつモンブランやキリマンジャロの単独登頂を成し遂げて行きます。

困難な目標に向かう中で、自分の中に巣食うエゴイズムに直面したり、イヌイットやシェルパなど現地の人々との人間的なふれあいなど、気取りなく自らの内面をさらけ出す植村さんの文章に引き込まれる一冊です。

みんなのレビュー

僕の荒れ地願望、荒れ地禁断症状を治めてくれる名著。もっともここまで過激なことはしようとは思いませんが・・・(^_^;)生きて帰ってくることが冒険・・・これは名言です。

引用元:読書メーター

極北に駆ける

読んでみて

五大陸最高峰を制覇した植村直己は、犬ぞりによる南極大陸横断を目指しました。犬ぞりをマスターするために、植村さんは単身アポなしで、イヌイット(エスキモー)の村・シオラパルクへに向かいました。

イヌイットの文化・習慣の中に自ら溶け込みむ植村さんの姿勢は、極寒の厳しい環境の中で生き抜くイヌイット独自の価値観を浮かび上がらせます。文化人類学的にも、とても興味深い本です。

自然の中で自然の一員として人間が「生きる」とはどういうことなのか、「エコ」とか「自然との共生」とか流行りの言葉では片付けられないもの、近代化した生活の中では見えにくくなったものを改めて見つめ直すきっかけになる本でもあります。

みんなのレビュー

なんというか、面白い。単純に、植村さんの体験した事実が面白い。筆者の筆力で面白いエッセイはたくさんありますが、これは純粋に事実が面白い話ですね。いっきに読める

引用元:読書メーター

植村直己と山で一泊

読んでみて

雑誌『BE-PAL』編集部員が、植村直己さんに行なったインタビューをおこした本です。信州の山中のキャンプで、旧知の編集者を相手に、リラックスしたムードの植村さんはこれまでの冒険を饒舌に語っています。植村さんの語り口や人柄が良く滲み出たインタビューの巻末には、愛用のブーツやテントなどの写真も収録されています。植村さんはこのキャンプから9ヶ月後に消息を絶ってしまいました。生前最後のインタビューという意味でも感慨深い本です。

すでに植村氏の著作を読んだことのある人には知っている話題も多いかと思いますが、植村氏の著作を読んだことがない方には入門編としても最適です。

みんなのレビュー

探検家、冒険家の言葉には、決して日本で暮らす私には語ることの出来ない迫力があった。準備すること、ひたすらに自制すること、ひたむきに全力で取り掛かること、そして、何よりも心に残ったのは、危機の時に、体力を半分以上残してじっと我慢すること。勇気をもって撤退することの大切さは、今の自分の状況と重なる気がした。

引用元:読書メーター

植村直己 妻への手紙

読んでみて

タイトル通り植村直己さんが妻の公子さんに送った手紙をまとめたものです。公子さんが植村さんと結婚したのは1974年の5月18日。植村さんは結婚直前までヒマラヤのダウラギリに遠征偵察隊に参加していました。新婚生活が始まってた約半年後には、植村さんはグリーンランドに向い、北極圏一万二千キロの旅が始まりました。その新婚当初から1984年の最後の手紙まで、植村さんが遠征先から公子さんに送った143通の手紙と絵日記が収録されています。

植村さんと公子さんの10年間の結婚生活は、北極・南極の走破や、エヴェレスト登山隊隊長を果たすなど冒険家として旺盛な活動を行なった10年でもあり、公子さんはそんな植村さんを受け止めサポートし続けました。公子さんによる巻末のあとがきには、

これは私ひとりだけの『北極圏1万2千キロ』、そして植村直己物語です

と記されています。

みんなのレビュー

冒険家の植村直己さんが、旅先で亡くなる直前まで妻の公子さんへ送りつづけた無数の手紙。内容はというと、やれ顔面が凍傷になっただの、氷の海に半分落ちただの、白熊の接近に肝を冷やしただの、そんな近況を知らされる新妻の心境の方がよっぽど恐ろしかったんじゃないでしょうか?加えて、世話になった人へ手紙を書いてほしい、自動車免許の書きかえをしてほしい、家の購入も任せたってそりゃあんまりな。本の最後に公子さんからのメッセージ。二十数行の健気な言葉、その重みといったらありません。

引用元:読書メーター

まとめ

植村直己さんは、日本が誇る大冒険家でした。お金もないままに単身渡航し、貧乏旅を続けながらも大冒険を成し遂げていく、そのパッションは植村さん自身の言葉を読まなければ理解することはできないでしょう。

植村さんと同じ冒険はできませんが、日常の困難を乗り越えられず悩んでいる時、植村さんの言葉は行き先を照らしてくれるのではないでしょうか。