「河井継之助という名前は聞いたことがあるけれど、何をした人なのかな?」
「河井継之助を詳しく知るための史料が載っている本はあるのかな?」
河井継之助の本を探そうと思って本屋へ行っても、題名を見ただけではどれが初心者向きなのかさえよくわからず、筆者も時間だけを無為に過ごした経験があります。
今回は、河井継之助が好きで郷里の長岡に何度も足を運んでいる筆者が、「マンガ編」「人気小説編」「資料編」の3つのカテゴリーに分け、河井継之助に関するお薦めの本をご紹介します。ぜひ自分にぴったりの一冊を探してみてください。
マンガ編
その時歴史が動いた コミック版 志士たちの幕末編
読んでみて
「その時歴史が動いた」は、2009年までNHKで放送されていた歴史教養番組です。「志士たちの幕末編」では、吉田松陰や久坂玄瑞、高杉晋作とともに、河井継之助も取り上げられています。1話完結マンガで読みやすいので、河井継之助の入門書としては最適です。
譜代大名であった牧野家が藩主であった長岡藩の河井継之助の立場は、外様大名毛利家を藩主に戴いていた長州藩の高杉晋作たちとは違うものの、自分なりに一生懸命学び、考え、行動していた姿は同じです。この本では志士同士を比較して読めるので、その点がとても面白いです。
みんなのレビュー
多くの情報を入手して、それに基づいて行動しなくてはいけないということだ。講義だけでなく自分たちで考え話し合い、答えを見つけなくてはならないのだ。
引用元:ブクログ
友人や同士を説得できないあなたがたった一人で何ができると仰るのですか。自分たちの国は自分たちで守らねばならない。
シーボルトのところはオランダにいた私としては非常に懐かしくよかった。シーボルトは日本にとって、とても重要な人。人に使われる能力がないものはつまらないものよ。
風雲児たち 幕末編
読んでみて
日本史は暗記ものでつまらないと思い込んでいる人にこそ読んでほしい作品です。幕末は政局が入り組んでいてややこしい時代ですが、これを読むとどんどん興味が湧いて、もっと知りたくなるはずです。
登場人物の一人として河井継之助も出てきます。まだ連載中で、これからも出番がありそうですね。
みんなのレビュー
言わずと知れたみなもと太郎大先生の傑作「風雲児たち」。もともと幕末を描こうとしていながら、希望コミックスにして29冊を費やして幕末まできたところで連載が終わっていた(笑)名作の幕末編がついに登場。
引用元:ブクログ
相変わらずのギャグテイストで同時に幕末の歴史もわかるスグレモノです。幕末編は吉田松陰先生と江川太郎左衛門が好きだなあ…。いろんな話に脱線するので、時代はなかなか進みませんが、脱線話も実に面白い名作です。
前作ワイド版にあったギャグ注がないのが個人的には残念かも(笑)。
人気小説編
若き獅子
読んでみて
「鬼平犯科帳」や「剣客商売」など、人気タイトルをたくさん持つ時代小説家、池波正太郎による人物史の短編集です。「悲運の英雄」というタイトルで、河井継之助を取り上げた一編が収録されています。
池波正太郎は読者の心をくすぐるように人物の機微を描くのが本当に上手く、この作品でも河井継之助の何気ない妻とのやりとりが彼の人間性を表していて、無性に愛おしくなります。短い話なので、気軽に読み始められる点もお薦めです。
みんなのレビュー
幕末の長岡藩の河井継之助や幕府の小栗忠順など、この本で初めて知った。
引用元:Book Live
二人とも幕府駆逐の流れに逆らえず命を落としているが、優秀な人材が、こうして変革の流れにむなしく飲まれていたのだ、ということが、革命だったり戦争だったり、宗教的あるいは盲目的洗脳状態の人々のエネルギーの恐ろしさだと感じた。
忠臣蔵のエピソードは、内匠頭がかんしゃく持ちで男色で、あまりいい大名ではなかったとか、大石内蔵助も単純に主君の恨みを果たすために仇討ちを行ったわけではなく、幕府への制度のおかしさを訴えるためでもあったとか、よくテレビでやってる定型では語られない話で面白かった。
峠(上中下)
読んでみて
歴史小説家、司馬遼太郎の最高傑作とも言われる作品です。司馬遼太郎が描く河井継之助の生涯は、今を生きる私たちにも多くの示唆を与えてくれます。多角的なものの見方の大事さ、覚悟を決めることで生まれる潔さ、良い意味で立場をわきまえることの必要性など、読み返すたびに胸に響きます。
こういった河井継之助の人間性を作り上げた思想的背景も、司馬遼太郎は丁寧に書いています。長編小説ですが、継之助の若い頃の研鑽がどれほど重要であったかを知ることができるので、ぜひじっくり読んでほしい作品です。
みんなのレビュー
河井継之助を中心とした長岡藩、北越戦争の末路。 一人の人間の美しさを見事に表現した一冊。
引用元:読書メーター
単純に考えると、新幕府につくのか、旧幕府側につくのかの二択での決断になるところをこの漢はどちらも選ばず戦争の回避を最後まで追い続けた。 そしてそれはもう少しの歯車が揃えば実現できた可能性は大いにあった。
こういったシチュエーションは時代が変わってもあるものだと思う。特に長の立場であれば。 そういった意味でも学びもあり、美学であり凄まじい生き様を感じられた一冊でした。最高です。
資料編
河井継之助伝
読んでみて
郷土史家今泉鐸次郎による、河井継之助研究に欠かせない一冊です。昭和6年刊行とかなり古いものですが、昭和初期にはまだ河井継之助と交流のあった人々が存命であったため、関係者からの聞き語りを残すことができたのです。
昔の話であり、話者の記憶違いの可能性も否定できず、全てが事実とは言えませんが、河井継之助の実像に迫ることができる貴重な史料と言えます。
みんなのレビュー
入手が難しい本であるが、司馬さんの峠の元本とも言うべき本であり、継之助とその周り人々の声が聞こえてくる。峠を読んだ後であると大変読みやすい。各章の終わりに継之助を偲んだ様々な人の詩や談話があり、読み応えは充分である。是非一読をお勧めする。
引用元:http://soryu.yukimizake.net/kawai_books.html
塵壺ー河井継之助日記
読んでみて
河井継之助の日記や書簡がまとめられた史料です。河井継之助の心の中の葛藤も赤裸々に書かれていて、まるで生の声を聞いているかのような錯覚に陥ることもありました。
諸国の物価など色々なことに興味を持ち、メモをとっています。自分は吸わなかったけれどと断っておきながら、アヘンの吸い方まで記録しているあたり、河井継之助の向学心、好奇心がよくわかります。
みんなのレビュー
何度読んでも、感動する本。大学時代は何か重要な決意をする前には必ず峠かこの本を読んでいたような気がします。人は頭の良さで大きな事を成し遂げられるのではなく、意志の強さ、物事に向かう時の姿勢、意気込み、矜持などが重要なんだなぁと気付かされます。
引用元:読書メーター
大学時代は今と違ってもっと物事に真剣に取り組んでいたのでしょうね。反省。
まとめ
読んでみたいと思った本は見つかりましたか?
司馬遼太郎の小説「峠」が映画化され、2020年9月25日に公開予定となっています。役所広司が主演をつとめる大作ということもあり、河井継之助の注目度が高まっていますから、映画公開前に原作を読んでおくのもいいですね。
司馬遼太郎に比べて、池波正太郎は同じ歴史小説でも読みやすい作品が多いです。「峠」が難しそうだと思ったら、まずは「若き獅子」から手に取るといいでしょう。
「風雲児たち」は歴史の勉強をこれから始める小学生にも人気が高い作品です。幕末の基礎知識から知りたい人には、ぜひお薦めしたいマンガです。
以上、河井継之助の魅力を感じられるお薦め本の紹介でした。