「京極夏彦の小説を読んでみたいけど、どれから読み始めたら良いかわからない。」
「本が分厚くてなかなか読む気になれない。」
ミステリー小説の巨匠であり、妖怪研究家としても知られる京極夏彦の小説を一度は読んで見たい方は多いのではないでしょうか?しかし、このような悩みがあると中々手がでないこともありますよね。
この記事ではそんな京極夏彦の作風や物語の雰囲気がわかるおすすめの作品を、短編集からシリーズものまで6つご紹介していきます。ぜひ書籍選びの参考にしてみてください。
幽談
読んでみて
幽談は「こわいもの」や「下の人」を含めた8つの独立した物語から構成される短編集です。京極夏彦の小説は時代ものが多いですがこの作品は現代を舞台にした物語が多く、一つ一つの話も短いので初心者でも読みやすい本と言えます。
この作品は幽霊が直接的な危害を加えてくる描写はほとんどなく、物語は終始不穏な雰囲気のまま進んでいきます。作中では何でもない日常の一コマに紛れ込む正体不明の存在がひたすら描かれていて、読んだ後から少しずつ恐怖が増してくるのが魅力です。
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厭な小説
読んでみて
厭な小説は「厭な子供」などを含めた全部で7つの物語を収録した短編集です。この作品は読者に不快感を与え厭な気持ちにさせるということに焦点を当てて書かれています。そのため、京極夏彦の作品の中でも少し変わったテイストの物語を楽しみたいという方向けの作品です。
また、この本は「気持ち悪い」、「汚い」など人間が誰しも不快に思うような表現が文章の所々にちりばめられています。このような理由からちょっと気分が悪くなる描写から、鳥肌が立つようなおぞましい描写まで様々な厭な気分を味わえます。
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死ねばいいのに
読んでみて
死ねばいいのには話によって語り手が変わるオムニバス形式の小説で、京極夏彦の作品の中でも読みやすい本です。物語は語り手と謎の男との対話がメインで、男は殺害された鹿島阿佐美について語り手に尋ねます。しかし、語り手の人々は自分のことで精一杯。愚痴を零すだけで阿佐美のことなどおかまいなしです。そんな彼らに男はある言葉を口にします。
―死ねばいいのに。
この本は登場人物の苦悩が細かく描写されていて、共感できる部分も多いのが特徴です。そのため、自分が男と会話をしているように物語に引き込まれているのが魅力となっています。
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嗤う伊右衛門
読んでみて
嗤う伊右衛門は四谷怪談をベースにして書かれた本です。そのため、雨月物語や番町皿屋敷などの古典的な怪談に興味のある方にもおすすめしたい作品です。四谷怪談に登場するお岩は貞淑な妻、伊右衛門は遊び好きの悪人という人物像です。
しかし、京極夏彦の作品ではお岩は気性の荒い性格、伊右衛門は無口な浪人で二人の関係性は良好という原作とは違った設定で描かれています。この作品はグロテスクな描写が目立つミステリーです。しかし、それと同時に切なく悲しいラブストーリーという側面もあり、読了後はやりきれなさも残ります。
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魍魎の匣
読んでみて
魍魎の匣は京極夏彦の作品の中でも特に評価の高い百鬼夜行シリーズの1つで、映画化もされています。本の内容は主人公の京極堂が次々と起こるオカルト染みた怪事件を解決していく本格ミステリーです。この作品は文章の中に様々な伏線が盛り込まれています。巻き起こる様々な事件の謎は物語の終盤で一気に暴かれるので、推理ものが好きな方に向いている作品です。
また、百鬼夜行シリーズには超能力者の私立探偵、元軍人の刑事など魅力的な人物が多数登場します。そのため、京極夏彦のシリーズものをじっくりと読みたい方にもおすすめです。
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ヒトごろし
読んでみて
ヒトごろしは新選組の副長土方歳三が主人公の幕末を舞台とした小説です。土方歳三と言うと格好良い粋なイメージがありますが、この本では殺人鬼として描かれています。
物語は幼少期に殺人現場を目撃した土方が殺人衝動に見られて合法的に殺人をするため、新選組を作るという内容です。この作品の魅力は殺人鬼である土方の目線から新選組の動向を追体験できるということにあります。そのため、この本は幕末が好きで、新選組を少し違った視点から眺めてみたいという上級者におすすめです。
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まとめ
今回は京極夏彦の作品の中でも特に読みやすい短編集からシリーズものまで評価の高い本をご紹介しました。
京極夏彦の作品はミステリーからホラーまで様々なジャンルの本が出版されているので、本を選ぶときの選択肢も豊富です。本自体はぶ厚く一見読みにくそうな印象を受けがちですが、短編からなら初心者でも気軽に始められますね。
また、この記事では上級者向けの本も紹介しています。そのため、元々京極夏彦の小説が好きで他の人のおすすめの本を知りたいという方も、本選びの参考に利用していただければ幸いです。