【24年1月最新】司馬遼太郎のおすすめ本・小説ランキングTOP21

司馬遼太郎って名前は聞いたことあるけど、どんな本を書いた人なんだろう…」
司馬遼太郎の本は多過ぎて、どれから読めば良いのか分からない!」

歴史小説の第一人者として知られる司馬遼太郎。「竜馬がゆく」「燃えよ剣」など、数多くの小説を手掛け、NHKの大河ドラマでは原作となった本数が最も多い作家でもあります。

しかし、どの作品がどの時代を取り扱ったものなのか、どの作品から読むべきなのか、つい悩んでしまいますよね。筆者も最初にどれから読むべきなのか、図書館で悩んだことがあります。

そこで、今回は小学生時代から司馬遼太郎の本を読み続けてきた筆者が、誰もが知る代表作品からあまり知られていない名作まで、おすすめの本を21冊ご紹介いたします。ランキングにしてみましたので、ぜひ参考にして下さい。

この記事を書いた人

一橋大卒 歴史学専攻

京藤 一葉

Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。

21位:菜の花の沖

読んでみて

江戸時代後期に幕府とロシアとの架け橋となった高田屋嘉兵衛を描いた作品です。嘉兵衛は廻船業者でしたが、優れた外交・経済感覚を持っていました。小説では、嘉兵衛を捕らえた船長リコルドと嘉兵衛との友情のような絆を描いていますが、この二人の信頼関係が戦争という最悪の事態を回避したことがよくわかります。

また、江戸後期の商品経済の発達を理解するにもおすすめの作品です。海運が発達していた江戸時代、廻船業がどのような仕事をしていたのかが具体的によくわかります。小説としても面白いですが、江戸経済史を理解するための参考書になりそうなレベルの知識量が詰まっています。

2000年にNHKでドラマ化されています。

みんなのレビュー

故郷の淡路で、村の「秩序」からはみ出した嘉兵衛が、兵庫の廻船問屋を頼り、そこで所帯を持ち、海の男を目指す話。村社会の論理がもたらす理不尽さへの、嘉兵衛の苦悩が胸に迫る。また、司馬遼太郎の小説らしく、江戸時代の海運や、西日本優位の産業構造に関する記述も興味深く、歴史ビジネス小説といった趣もある。テーマとして、現代に通ずる要素もあるように思う。

引用元: honto

20位:夏草の賦

読んでみて

四国を平定した長宗我部元親の物語です。元親はやたら人間臭い人なので、それだけで応援したくなるような主人公です。上巻は夢に向かって邁進する明るい調子で進みますが、下巻は長宗我部家の転落が描かれます。歴史の結末を知っているからこそ、読むのが辛くなりました。

この作品を読むと、良くも悪くも生まれた場所が人間に深い影響を与えることを痛感します。しかし、元親が戦国時代における名将の一人であることは事実です。悲劇的な最期ではあるけれども、よくやったと拍手を送りたくなるような生涯だと思いました。

みんなのレビュー

戦国時代を舞台とした小説で、土佐の一大名である長宗我部元親(ちょうそかべもとちか)が主人公で物語は進んでいきます。天下統一という大きな目標をもっていた元親は、一介の大名でありながら土佐統一、他国への侵略を行っていきます。

元親の、目標に対して邁進する姿、揺るがない信念がかっこいいです。チームを引っ張っていくリーダーはこうあるべきだ、という気づきもありとても良い作品だと思います。

引用元: 楽天ブックス

19位:花神

読んでみて

幕末に活躍した、日本の近代軍制の創始者と言われる大村益次郎(村田蔵六)の物語です。私欲を微塵も感じさせないその生き方には、ただただ圧倒されます。幕末というと、活躍した志士たちが比較的若いため、多少青臭い部分もありますが、大村に関してはそれが一切ありません。

日本史上でもかなり珍しい部類の人だと思います。しかし、彼がいたからこそ明治維新が成った訳で、この時代に生まれてくれたことの奇跡を思わずにはいられません。近代という時代の幕開けをしてくれた大村益次郎の業績を、ぜひ多くの人に知って欲しいです。

1977年度、NHK大河ドラマで映像化されました。歴代大河ドラマ史上、評価の高い一作として知られています。

みんなのレビュー

時代が彼を見つけ出したんだと思った。こんなにも社会のニーズに応え、将来を予知し、歯車となって動いた人間っているのだろうか。合理主義者でありながら人間臭い。不思議な人だ。

引用元: 楽天ブックス

18位:この国のかたち

読んでみて

司馬遼太郎の急逝で6巻にて未完となってしまったシリーズです。司馬遼太郎という作家は、単に歴史が好きだから小説を書いていただけではなく、なぜ太平洋戦争を起こすことになったのか?という問いを常に抱き続けながら執筆を続けていたことがよく伝わってきます。

今、歴史教育は、日本史と世界史の垣根をなくす方向に向かいつつあります。もちろんそれは必要なことですが、どうしても前提となる基礎知識が必要です。日本とはどんな成り立ちをしてきたのかをわかりやすく説明してくれる本は、意外に少ないものです。今後の歴史教育に必要な視点が、この作品には詰まっています。

みんなのレビュー

国、日本人というものを構成するに至った歴史的背景を探るとともに、他国との比較なども含まれている。そして、著者の私感や意見なども随所に折り込まれ、著者の取材と研究の素晴らしさ、ひいては「司馬 遼太郎」観の集大成とも受け取れる。

日本という国、日本人というものに対して、実は誠に浅薄な知識しか持っていない私達世代には、歴史書などよりも読みやすく、とても良い書籍だと感じる。

引用元: 楽天ブックス

17位:歳月

読んでみて

佐賀藩出身の政治家・江藤新平の物語です。学校の授業では、佐賀の乱を起こしたという程度しか触れない人ですが、世に出るまでに時間がかかってしまった出自の問題や、大久保利通という考え方の違う政敵との対決など、知れば知るほど面白い人生を送っています。

とても賢い人だったようですが、群衆心理を理解できない欠点が非業の死を招いてしまいます。江藤の人間的な未熟さも含めて包み込んでしまう西郷隆盛と、未来の日本のために切り捨てようとする大久保利通の、対処の違いも興味深かったです。薩長とは違う視点から見る明治新政府の姿が、ここにはありました。

みんなのレビュー

江藤新平が主人公の作品だが、大久保利通をここまで悪辣な政治家として描ける司馬遼太郎さんの描き方が新鮮だった。人間って立場が異なるとこれ程まで見える風景が異なるという事だろうか。

大久保利通は清廉潔白な大政治家だと思っていたが、極道と言える位の権力の行使が凄まじい。それだけ国家を背負うプレッシャーや哀しみも胸に秘めていたように思えた。大久保利通は江藤より一枚上のステージで仕事していたのかも。

引用元: 読書メーター

16位:城塞

読んでみて

大坂冬の陣・夏の陣について、大坂方から描いた作品で、「関ヶ原」の続編にあたります。真田幸村をはじめ、大坂方にも良い武将がたくさんいたはずなのに、組織として破綻しているためにまとまった攻撃ができず、正直哀れでしかありません。

豊臣秀吉が「大坂城」というとてつもない城塞を作ってしまったばかりに、豊臣方は「太閤に守られている」と思って大坂城に立てこもり、徳川方は「あんな城塞があったら徳川幕府が危うい」と警戒してしまったという司馬遼太郎の見立ては興味深かったです。

みんなのレビュー

文句なしに面白い。司馬遼太郎の家康嫌いは相変わらずだが、豊臣方が負けるべくして負けたということがよくわかった。結局のところ、淀殿にきちんと物を申す人間がいなかったということだろう。真田幸村にしろ、後藤又兵衛にしろ、秀頼にしろ、なぜあそこまで淀殿に気を使うのかが理解できない。

あの時代のあの場所にいないとわからないことかも知れないが、今の会社組織でも上司が間違っていると分かっていても言えないのと同じことなのだろう。

引用元: honto.jp

15位:項羽と劉邦

読んでみて

この小説は、紀元前200年ごろの中国の武将たちの興亡を、西楚の覇王であった項羽と、漢王の劉邦を軸に描いています。とにかく出てくるキャラクターたちが個性的なので、一度読み出すとページをめくる手が止まりません。司馬遼太郎の作品で一番これが好き!という人が多いのも頷けます。

項羽と劉邦は、元は同じ陣営にいた同志でした。そこから天下を二分する戦いで敵として相見えるようになっていくのにはどんな過程があったのか、ワクワクしながら読み進めました。また、司馬遷の「史記」を知りたいなら、まずはこの本が入門編です!

みんなのレビュー

どんな出来事でも、歴史の教科書のなかでは数行で語られるが、その背景にはこれだけの物語があること(どこまでが史実に基づいているかは別として)を改めて感じた。生まれもよくエリートであるが故に、時には残虐であっても結果を求める項羽と、ゴロツキからの成り上がりでわがままだが、何故か憎めず周りからの人望が生涯尽きない劉邦

2人の対比が上手くミックスされていて、終始わくわくしながら読み進められた。また、鴻門の会や四面楚歌、虞美人等かつて学生時代に学んだ出来事も多く登場してその背景を知れたことも良かったと思う。司馬遼太郎氏の作品は小説を読んでいるのに、さも漫画を読んでいるかのように登場人物の描写が頭の中に浮かび上がるのが凄い。

引用元: 楽天ブックス

14位:関ヶ原

読んでみて

天下分け目の合戦であった関ヶ原の戦いを描いたこの小説は、開戦に至るまでの駆け引きをじっくり語っていること、そして敗けたために悪者扱いされがちな石田三成にスポットを当てていることが特徴的です。歴史の影に隠れがちな、三成に付き従っていた島左近の魅力もしっかり伝わってきます。

また、徳川家康の老獪さもよくわかります。若い頃から苦労を重ね、ようやく見えてきた天下のため、あらゆる手段を弄して有利に持ち込もうと画策します。彼の経験値が三成に勝ったということでしょうか。司馬遼太郎があまり家康をよく思っていないことが伝わってくるあたりも面白かったです。

2017年、岡田准一主演で映画化されました。

みんなのレビュー

石田三成、徳川家康を初めとして、登場する諸大名たちそれぞれの行動規範を丁寧に描写し、「関ケ原の戦い」を通した優れた人物評を展開している下巻は傑作と思う。

徳川家康を人心を巧みに掌握する憎らしいくらいの現実主義者として描くのに対し、石田三成を哀しいくらいに観念の楼閣を築き上げることを止められない観念論者として描く対比が見事。ヒロイズムではなくあくまでジャーナリスト的な突き放した描き方がまた良い。

引用元: honto

13位:箱根の坂

読んでみて

1982年6月から1983年12月まで「読売新聞」にて連載されていた作品。室町時代末期から戦国時代にかけて、関東一円にその勢力を誇った「後北条氏」。その初代当主である伊勢新九郎こと「北条早雲」を主人公にした物語。

「下剋上」の代表格として足軽から大名へとなりあがった早雲について、司馬遼太郎はあとがきにて「日本の社会史において重要な画期であり、革命とよんでもいい」と評価しております。作中ではあまり歴史の授業では語られない「応仁の乱」について描かれています。その戦乱の悲惨さと虚しさは、現代の戦争の悲惨さに通ずる物があるかもしれません。

みんなのレビュー

学生時代に読んで、再読。司馬遼太郎の晩年の小説。上巻は北条早雲の京都時代の話。資料がないからか、創作が多いと見られ、伸び伸び書いている。北条早雲て、応仁の乱の時代の人かと改めて実感。

引用元:読書メーター

12位:北斗の人

読んでみて

北辰一刀流の開祖、千葉周作の物語です。幕末にはたくさんの剣術の流派がしのぎを削っていましたが、その中でもなぜ北辰一刀流が隆盛を極めていたのか、その理由がよくわかります。坂本龍馬をはじめ、北辰一刀流を学ぶために多くの志士が上京しました。結果的にですが、千葉が幕末史を動かすお膳立てをしたとも言えます。

また、千葉周作という人物の魅力が溢れている本でもあります。彼は口下手だけれども剣を握ると滅法強く、自分を信じてやり抜こうとする力を持っていました。女性にモテたようですが、それも然りという気がします。司馬遼太郎作品の中でも比較的読みやすい小説です。

みんなのレビュー

司馬遼太郎のなかで最も好きな作品。読後爽快。千葉周作がいかにクリエイティブで面白い人だったかわかる。自ら高みを極めただけでなく、とても優れた教育者であり、剣術に理論と実践を紐づけたその手法は革命的だったのだろう。

とにかく小説としても面白い。男子必読。

引用元: 楽天ブックス

11位:胡蝶の夢

読んでみて

徳川将軍家の侍医であった松本良順をメインに、西洋医学を学んでいた医者たちの話です。松本良順が分からずとも、新選組や徳川家茂など、幕末のキーパーソンが続々と出てくるので、その繋がりから関心を持つと読みやすいと思います。

現代では想像できないほど、江戸時代は身分による線引きがはっきりしていました。幕末はそれが揺らいでいく時代なのですが、この小説を読むと、その渦中にいた人たちの苦悩はいかばかりであったかと胸が痛みます。才能があっても身分の壁にぶつかった人がどれほどいたことか。それを想像するだけでも読む価値がある作品です。

みんなのレビュー

幕末の身分制の崩壊を蘭方医学の側面から描いているのが面白かった。どうしてもっと早く読まなかったんだろう、と後悔するくらい私の中でベストに入る司馬遼太郎の名作になった。

この作品を読んで改めて思ったのは、幕末小説の面白さは「封建制度、身分制度の崩壊」ってところだな、ということ。幕末テーマはやめられんわ、しばらく。

引用元: 楽天ブックス

10位:翔ぶが如く

読んでみて

『毎日新聞』朝刊にて1972年1月から1976年9月まで連載されていた作品。「維新の三傑」と呼ばれた大久保利通と西郷隆盛の生涯を描いた物語。征韓論・明治6年の政変など、歴史をある程度知ってる人じゃないと少し難しい用語や思想が入っているので、「竜馬がゆく」などを読んでから、こちらを読むことをお勧めします。

他の作品と違い、政治色の強い作品として描かれているのも特徴的です。近代国家として「強い日本」を作ろうとした大久保と、武士が生きるために戦い抜いた西郷。どちらもその強い信念が描かれていて、「国家」というものについて考えさせられる作品です。

みんなのレビュー

『竜馬がゆく』に続き、本書に突入。中心となるのは、西郷隆盛と大久保利通。征韓論について、この巻では、多く割かれている。征韓論を推す西郷には、2つの理由がある。明治維新が大した武力を使わずに構築され、肩透かしを食らった上に、士農工商の廃止で身分も奪われた薩摩をはじめ志士へのガス抜き。そして、日本を国民国家とすることができた革命の思想輸出。 だが、朝鮮を攻めれば、欧米諸国が攻め入ってきて、ポーランドや清国の二の舞になるかもしれない。大久保は、征韓論を潰そうと模索する。

引用元:ブックメーター

9位:播磨灘物語

読んでみて

大河ドラマで取り上げられて以来、多少認知度が上がった黒田官兵衛(如水)ですが、学校の教科書レベルでは触れられることさえほとんどない偉人と言っていいでしょう。しかし司馬遼太郎が全4冊にもわたって描くほど、彼の人生はとても面白く味わい深いです。

豊臣秀吉を天下人に押し上げていくくだりは、読んでいて胸がスカッとします。九州を統一しようと画策するあたりも、黒田の胸躍る感覚がこっちにまで伝わってくるようです。和を大切にしている人なので、優しさに満ち溢れ、上司との関わり方にも長けているので引き際も潔く、秀吉が彼を側に置いていた理由がよくわかります。

みんなのレビュー

黒田官兵衛の物語。この御仁は奥が深い。彼の眼から通してみた秀吉、という男の像も、なかなかに興味深いです。

引用元: honto

8位:21世紀に生きる君たちへ

読んでみて

司馬遼太郎が小学5・6年生向けに書いたものです。短いものですが、素敵な言葉が詰まっています。中でも、他人への労りや共感する能力は訓練しないと身につかないという言葉に惹かれました。これは、この年齢の子供たちに一番欠けていて、そして一番身につけて欲しい能力です。

軽い気持ちで発する言葉がどんなパワーを持つのか、子供たちにはプラスマイナス含めて想像した上で使えるようになって欲しいと思います。SNSが普段の生活に溶け込んでいる今は特にそれを強く感じます。司馬遼太郎という人の魅力に改めて気づかされる一冊です。

この本に書かれた司馬遼太郎の言葉を元に作られた合唱曲「決意」は、今も多くの中学生に歌われています。

みんなのレビュー

読み終えて「ほんとうのことが書いてあるなぁ」と思った。司馬さんの言葉が、想いが、まっすぐに心に入ってくるのだ。

そして本書の特筆すべき点は、直筆原稿を見られることである。これはありがたいことだ。司馬さんがこの原稿をどれほど大事に思って、慎重に言葉を紡いだのか・・・こういうことが幾多の推敲のあとからはっきりと見えてくるのだから。

引用元: 読書メーター

7位:功名が辻

読んでみて

司馬遼太郎が、1963年10月から1965年1月まで各地方新聞にて連載した作品。女性が主人公の作品で、長浜城主から土佐藩主にまで出世した武将・山内一豊と、その一豊を支えた妻である千代の物語。信長・秀吉・家康の天下人が絡みながら、千代が不器用な夫・一豊をうまく出世へと導く描写がとても面白いです。

妻が旦那の生活を支えることを表した慣用句「内助の功」のモデルになったとされる千代と一豊。作中では、「こんな男がなぜ後に土佐二十四石の太守までになったのか、著者も書きながらふしぎでならなくなる」と司馬遼太郎に書かれるほど、目立つ武将ではなありません。しかし、読み進めていくうちに、その誠実さから愛着が湧いてくるような人物だったのでは、という印象を持ちました。

みんなのレビュー

司馬遼太郎さんの作品を久しぶりに読みました(本作は再読)。大河ドラマにもなった「功名が辻」、言わゆる、山内一豊の一生を描く痛快伝記物です。「跳ぶが如く」や「坂の上の雲」とはまた違い、いい意味で非常に軽く読めてしまいます。実際の山内一豊は、もっと頼りがいがあり、思慮深く、しっかりした人物だったと思いますが、妻の千代の賢妻ぶりを強調するがためか、だいぶ素直で、あまり自分の頭で考えない人に描かれてます。それがまたいいですねえ。司馬遼太郎さんもこの人物が大好きなんじゃないかな。

引用元:ブックメーター

6位:峠

読んでみて

主人公河井継之助は長岡藩の家老です。戊辰戦争の時に、新政府側でも旧幕府側でもない、第三の立場を目指したという彼の発想力の豊さを知った時には、眼から鱗が落ちた思いでした。こんな考え方をする人はどうやって生み出されたのかを知りたくて、本書を読み始めました。

初めて読んだ中学生の頃は、知行合一を旨とした陽明学の潔癖さに魅了され、河井の生き方にも尊敬を抱いていましたが、歳を重ねて読むと、これはこれで危なっかしく、河井の周囲の人たちは心休まらない日々だっただろうと思います。しかし魅力的な人物であることに変わりなく、幕末という時代の生んだ人材の多彩さを感じます。

「峠」は役所広司主演で映画が製作されています。

みんなのレビュー

ラストサムライ河井継之助。特に前半のマインド面の描写が好きです。志は塩のように溶けやすい。男子の生涯の苦渋というものはその志の高さをいかに守り抜くかというところにあり、それを守り抜く工夫は格別なものではなく、日常茶飯の自己規律にある。

引用元: honto

5位:世に棲む日日

読んでみて

第6回吉川英治文学賞を受賞した、吉田松陰と高杉晋作の物語です。二人とも30歳手前で亡くなっているにも関わらず、この全国の志士たちへの影響力の大きさは何だろうと筆者は長年不思議に思っていましたが、本書を読むとその理由がよくわかります。両者とも生き方は全く違うのに、息を引き取るその一瞬までとにかくカッコいいのです。

明治維新の功労者として、西郷隆盛や大久保利通、木戸孝允の名前は出てきても、吉田松陰や高杉晋作の名前は挙がりにくい気がします。しかし、この二人が投げたバトンがあったからこそ、新しい時代がきたというのはぜひ認識してもらいたいです。明治維新前夜を知る本として、おすすめの作品です。

みんなのレビュー

第1巻と第2巻が吉田松陰の伝記で、第3巻、第4巻が高杉晋作の伝記です。吉田松陰は熱い言葉と思いやりで人を引き付けますが、高杉晋作は行動力で人を引きつけます。吉田松陰はガリ勉タイプ、高杉晋作は、いつ勉強しているのか分からに内に東大現役合格という感じの天才です。

長州藩の志士たちが、明治政府誕生まで生きていたら、すごい日本になったいただろうなと感じさせる小説です。ふたりの生き方を対比して読み込むと面白いですよ。

引用元: honto

4位:坂の上の雲

読んでみて

本作は愛媛県の松山に生をうけた秋山好古・真之という軍人兄弟と、俳人正岡子規の幼馴染の関係を軸に、明治時代を描いた大作です。同じ郷里から、それぞれが違う方向に生き方を定めて日本という国家のために邁進していく、明治時代ならではの雰囲気が味わえます。

歴史の教科書では「日露戦争に勝利した」と一言で終わってしまいますが、それはあらゆる立場の人間がそれぞれで判断し、最適な行動を取ったからこそ掴み得た薄氷の勝利でした。太平洋戦争へと至る重要な歴史局面としても、この作品は生涯に一度は読んでもらいたい名作です。

2009年から2011年にかけて、NHKスペシャルドラマとして「坂の上の雲」が放送されました。

みんなのレビュー

ついに長い長い物語を読み終えてしまった。前半と後半で全く色合いが違うので、読めるかどうか不安だったが気づいたら無我夢中で明治という時代を彼らと共に生きていた。司馬遼太郎の書く明治は明るく快活な時代のようであるが、それと同じくらい誰もが苦労した時代でもあるのだろう。

誰もが国民として、迫りくる欧米列強に対して個々が危機を感じて必死であったのだと、なんだか私には眩しく感じてしまった。そんなふうに生きたことは一度もないから。 生きることってなんだろう。必死にしがみつきもがいてる人たちを見て考えさせられた。

引用元: 読書メーター

3位:国盗り物語

読んでみて

司馬遼太郎が雑誌「サンデー毎日」にて1963年8月から1966年6月まで連載していた作品。「新史太閤記」・「関ケ原」と合わせ、「戦国三部作」と呼ばれ、その序章にあたる作品です。戦国時代の下克上で大名まで成り上がった「斎藤道三編」と、その道三の娘である帰蝶を嫁に迎え、道三亡き後天下布武を目指した「織田信長編」の二部構成となっています。

「道三編」では、謀略を張り巡らせ、時には民衆をも騙していく道三は、まさに「蝮」と恐れられたイメージ通りの人物として描写されているのが印象的です。また、「信長編」では信長を主人公にしつつも、その家臣である明智光秀の目線で描かれていて、「天下統一」という夢を前に散っていった人々の人間模様がうまく描写されていて、とても読みやすい作品です。

みんなのレビュー

織田信長が小さいときにうつけ者と言われているのは知らなかった。歴史に名を残す人の共通点は、その時代の常識にとらわれないということ。考えてみれば、当たり前だ。常識的なことしかしないような人は普通の人だもんね。常識的にふるまうことが、空気を読むことが、周りに合わせることが、そういうことに頑張ろうとすることはとても無駄なことなんだと国盗り物語を読んで感じる。 織田信長編では主人公の生き様というよりは、淡々と事実が書かれている感じがする。斎藤道三編の方が道三という人の魅力が伝わって好きだなあ!

引用元:ブックメーター

2位:竜馬がゆく

読んでみて

「産経新聞」夕刊にて1962年6月21日から1966年5月19日まで連載していた作品。薩長同盟成立の立役者である坂本龍馬を主人公にした物語で、それまで一般的にはあまり有名ではなかった坂本龍馬を世間に定着した作品でもあります。

土佐弁で、周囲と比べてどこか子供っぽい愛嬌を持つ龍馬は、非常に愛着が持てるキャラクターです。司馬遼太郎も、資料を追っていくうちにその人物像に興味が出たと、「司馬遼太郎 歴史のなかの邂逅」にて述べられています。龍馬を通して幕末の動乱、そして、変わりゆく日本を追体験できる作品です。筆者もこの本をきっかけに、龍馬と司馬遼太郎を好きになりました。

みんなのレビュー

初の歴史小説に挑戦。意外と会話文が多くて読みやすい。歴史の知識が皆無でも引き込まれる内容。 学問ができず、出来損ないと呼ばれていた竜馬が志をもって上京し、数々の出会いを経て青年へと成長していく様子がわかる1冊

引用元:ブックメーター

1位:燃えよ剣

読んでみて

『週刊文春』誌上で、1962年11月から1964年3月にかけて連載された作品。「バラガキ」と呼ばれた新撰組・鬼の副長こと「土方歳三」の生涯を描いた物語。2020年には岡田准一さん主演で映画化されました。

遼太郎は土方について、「芸術家が芸術そのものが目標であるように、喧嘩そのものが目標で喧嘩をしている」と評し、作中でも新撰組として、そして旧幕府軍として戦いなど、臨場感溢れる描写で登場します。また、新撰組の近藤勇・沖田総司など隊士同士のやり取りも軽妙で、歴史初心者の方でも読みやすい一冊となっています。

みんなのレビュー

新選組副長・土方歳三の生き様。目的に向かって脇目も振らず獣のようにまっすぐ走り続ける土方歳三という不器用でカッコいい男が丹念に描かれていてとてもよい。周囲の環境がどんどん変遷していっても変わる事がない近藤/沖田との関係がすげー好きです。下巻も楽しみ

引用元:ブックメーター

まとめ

司馬遼太郎のおすすめ作品21冊をご紹介してきました。読んでみたいという作品は見つかりましたか?

歴史小説というと、専門用語や人物が多く登場するから読みにくいという印象を受けやすいジャンルです。上記の中で「翔ぶが如く」は、明治という時代、日本の近代国家への成り立ちについて、など、歴史の授業が苦手な人であれば挫折してしまいます。

そのような時は、「竜馬がゆく」「国盗り物語」といった、教科書に載っている人物を取り扱った作品から読み進めるのがおすすめです。例えば、織田信長を中心に、光秀や秀吉、家康との関係性などをたどっていくと、次に秀吉、次に家康について…というような人物チャートを描きながら進めると、人間関係などが整理しやすくなります。また、そこに、その人物が関連する事件などを紐づけると、その人物が何をした人物かというのが明確に分かり、読みやすくなるかと思います。

「司馬歴史観」と評されるように、その大部分は創作なのではないかと言われています。しかし、「この人物は、実際にもこのような人物だったのでは」と思わせてくれるのが、司馬遼太郎作品の魅力です。司馬遼太郎をきっかけに、歴史を好きになってみてはいかがでしょうか。

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