小説ヲタクがおすすめするオールタイムベスト83冊

内田康夫のおすすめ本12選【有名作品からシリーズ作、SF小説まで】

「内田康夫の作品はたくさん出版されているけれど、どれが一番おすすめ・・・?」
「TVの2時間サスペンスでやっている浅見光彦シリーズを本で読んでみたいな・・・!」

図書館の小説棚には必ずと言っていいほど出ている「内田康夫」の表示札ですが、そこに並んでいる本の数も膨大で、読んでみようと思っても、どれから手をつけていいのか途方に暮れてしまいます。何冊も読んでいる筆者ですら、未読の本が多くて迷うほどです。

今回は、昔から内田康夫を作品を愛読し、名探偵浅見光彦の名前を冠した記念館にも行ったことのある筆者が、「映像化作品」「浅見光彦シリーズ」「番外編」の3つのカテゴリーに分け、内田康夫のデビュー作からシリーズもの、SF小説まで様々なタイプの作品をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

映像化作品

天河伝説殺人事件

読んでみて

内田康夫著作の中で唯一の映画化作品であり、後にドラマ化もされている、名探偵浅見光彦シリーズの有名作品です。

この小説は、華々しいトリックに衝撃を受けるというより、舞台設定や醸し出される雰囲気に魅力があります。古くは修験道の道場として栄えた、知る人ぞ知る奈良県天川村という秘境を舞台に、能楽をテーマとしているので、それだけでミステリアスな雰囲気があります。

1991年に市川崑監督によって映画化されました。原作者の内田康夫が、浅見光彦を演じた榎木孝明を適役だと絶賛したことで、榎木はこれ以降のテレビドラマシリーズでも浅見光彦を演じることになります。映画の主題歌となった中森明菜が歌う「二人静」は大ヒットを記録し、映画を知らなくても曲は聞いたことがあるという人も多いはずです。

みんなのレビュー

約30年前に映画のCMを観て興味を惹かれ小説を買った。その時は読破出来ず…。当日の私には能や歴史の描写は刺さらなかったんでしょうね。40歳を超えて改めて読むととても面白くスラスラ読めました。天河神社、死ぬまでに行ってみたい。

読書メーター

後鳥羽伝説殺人事件

読んでみて

後鳥羽伝説という、鎌倉時代に承久の乱を起こしたことで知られる、後鳥羽上皇にまつわる伝説を背景にした、内田康夫得意の歴史絡みのミステリーです。後鳥羽伝説自体、歴史好きでないと知らない人も多いので、目新しいストーリーだと思います。

浅見光彦シリーズに関しては、犯人は割と早くに見えてくるものが多いです。本作もその一つですが、このシリーズが愛される所以はそこにありません。エリートの家柄で容姿にも恵まれているにも関わらず、それを前面に出さず、嫌味なく謙遜して立ち居振る舞い、人間らしい逡巡も垣間見せてくれる、そんな浅見自身のキャラクターの魅力でしょう。

↓以下は浅見光彦を沢村一樹が演じているバージョンで、後鳥羽伝説殺人事件が収録されています。

みんなのレビュー

浅見光彦シリーズ第1作。

とはいえ今回の主役は野上刑事だと思う。中盤までは彼の地道な捜査により真相に近づいていく。中盤以降、浅見光彦が登場する事で一気に展開が進んで行き、事件を解決へと導くが、しかしそれでも野上刑事が果たした役割は大きい。

ただそれでも最後には浅見光彦が全てを持っていってしまう。これにより浅見光彦は名探偵として名を馳せる事になり、以後シリーズが続いていく事になる。

honto

高千穂伝説殺人事件

読んでみて

数ある浅見光彦シリーズの中でも、ストーリーが面白いと人気の高い一作です。推理小説としての謎解きも楽しいですが、神話の舞台となっている高千穂の背景描写を読んで、「日本書紀」などの世界に興味を持つことのできるという意味でもおすすめです。内田康夫が綿密な取材の上でこの作品を書き上げていることが伝わってきます。

ヒロインの千恵子も肩入れしたくなるキャラクター設定で魅力があり、シリーズ最終巻の「遺譜」にも再登場して活躍しています。

↓以下は沢村一樹主演で「高千穂伝説殺人事件」が収録されています。

みんなのレビュー

宮崎で行われた“真の伝説の地”を巡るシンポジウムの開催中、高千穂町町議会議員の帆村が轢死した。同じ頃、東京では美貌のヴァイオリニスト千恵子の父親が失踪。留守番電話には“ブツはニュータバルからタカチホへ”という謎のメッセージが残されていた。

危険を顧みずに千恵子は単身宮崎へ飛ぶ。まさに光彦シリーズの王道といった内容。かなり初期の作品だが、今だに十分楽しめる。

読書メーター

死者の木霊

読んでみて

本作は一般的に内田康夫のデビュー作として紹介されます。内田康夫は本作ともう一作を自費出版したところ、読者の間で話題になって商業作家になるという変わった経緯でデビューしました。つまりこの作品は、内田康夫の無名時代にも関わらず読者に認められていたものなので、面白さはお墨付きです。

後にシリーズ化される「岡部警部」と「信濃のコロンボ・竹村警部」が登場します。内田康夫ワールドの原点と言えるでしょう。2013年、寺脇康文主演でテレビドラマ化されました。

みんなのレビュー

内田康夫さんの処女作にして、「信濃のコロンボ」竹村警部シリーズの第一作。内田作品のトリックは人間心理の盲点をついたものが多いけど、この作品もそうだと思う。内田さんは「浅見光彦」シリーズが人気あって、自分も大好きだけど、作品としては「信濃のコロンボ」シリーズのほうがよく出来てる気がする。

読書メーター

倉敷殺人事件

読んでみて

「岡部警部」シリーズの一冊です。ドラマ化もされ、浅見光彦シリーズほどの作品数はないものの、根強い人気があります。ミステリーとしてのプロットの面白さが際立っているのも一因でしょう。2006年、近藤真彦主演でテレビドラマ化されました。

浅見光彦シリーズは愛されるあまり、ファンはどうしても浅見の一挙手一投足が気になり、親戚のおばちゃんのように色々言いたくなりますが、「岡部警部」シリーズはそれがない分、純粋にストーリーを追いやすく、読後も爽やかな気分になります。推理作家としての内田康夫の真骨頂を楽しめる作品です。

みんなのレビュー

背中を刺された中年男が「タカハシノヤツ」と言ったことから事件が始まる。警部補と英との二人三脚で事件の解決に向けて推理する。この舞台は岡山県の倉敷市であるが、新見など様々地名が出てくるので鉄道の旅が好きな人にも薦めたい小説である。

楽天ブックス

浅見光彦シリーズ

平家伝説殺人事件

読んでみて

平家の落人伝説に絡めたミステリーです。内田康夫の作品は旅情ミステリーとも呼ばれ、旅先の風景が文字から立ち上がってくるところに魅力がありますが、本作は平家の隠れ里が舞台であるため、その鄙びた雰囲気が日本の原風景のようで、文字だけでも実際に旅しているような気分に浸れます。

また本作は、浅見光彦ファンの中では有名なヒロインが登場する作品として知られる一冊です。シリーズ作品には数え切れないほど多くの魅力的な女性が出てきますが、ここに出てくるヒロイン佐和に対する浅見の態度からは特別なものを感じます。その証拠に佐和は最後のシリーズ本「遺譜」にも主要な登場人物として出てきます。

↓以下は水谷豊主演で1987年に放送したテレビドラマとなります。

みんなのレビュー

シリーズ2作目。 ドラマで何度も映像化されてる、シリーズの中でも有名な作品。 ドラマ版をいくつか観ていたので内容自体はわかっていたが小説の方が良かった。 飛びぬけた何かがあるという作品ではないが、安定してて安心感のある内容。

最近になってシリーズの1、2作目と読んでみたけど、このクオリティならそりゃシリーズとして続くわな。 終盤の展開は断然原作の方が良い。

読書メーター

汚れちまった道

読んでみて

この作品は、「浅見光彦の登場30周年記念企画」として刊行され、同じタームの話を浅見の友人の視点で描いた「萩殺人事件」と対になっています。しかし浅見光彦がシリーズの中であまりにもキャラクターとして立ちすぎているせいか、浅見目線から語られる本作の方が面白みを感じます。

読む順番として、著者は「萩殺人事件」を先に読むことで、「汚れちまった道」を浅見の相棒になったつもりで楽しめると勧めていますが、ファンクラブでは二つの作品を交互に読むのがおすすめだそうです。

↓萩殺人事件

みんなのレビュー

浅見光彦シリーズ、終わりに近い辺り。筆者内田さんが、自分の年齢を考え浅見を物語の終焉に向けて歩ませている。今までのシリーズに比べ人生の後半を生きる登場人物、しかも浅見と同業、を出会わせる事で浅見が自らの風来坊的な生き方と向き合う様にしむけている。終活的な作品とでも言うのだろうか。

もちろん、旅情ミステリーとしても面白い。新幹線辺りで読みたい所。

読書メーター

ぼくが探偵だった夏

読んでみて

小学生の浅見光彦が登場する異色の小説で、シリーズでお馴染みの面々が当然ながら皆若く、ファンとしてはそれだけでも面白いです。定番のシリーズでは他界している設定の浅見の父も出てきて、胸が熱くなりました。「信濃のコロンボ」シリーズの竹村岩男も登場します。

小学生らしい謎解きが微笑ましく、ひと夏の思い出が爽やかな読後感をもたらしてくれます。浅見光彦が幼い設定だからなのか、児童向けに青い鳥文庫でも出版されています。難しい漢字にはルビがふってあるので、小学生でも内田康夫の世界を十分に楽しめるでしょう。

みんなのレビュー

浅見少年の軽井沢でのほろ苦い夏の思い出。好奇心、着想、創造力、行動力、正義感、そして無謀さ・・・名探偵浅見光彦のルーツがそこに見えてきます。

honto

浅見光彦殺人事件

読んでみて

浅見光彦シリーズを3冊以上読んでいない人は手に取らないように、筆者がお願いしているというユニークな作品です。逆に言えば、浅見光彦シリーズのファンなら、シリーズ史上最大の、驚きのエンディングが待っていると言っても過言ではありません。

主人公の性格や外見はおろか、所持品や好みのものまで精通しているからこそ面白い、シリーズものの醍醐味を満喫できる作品と言えるでしょう。2018年に中村俊介主演でドラマ化もされていますが、この作品の衝撃の結末を体感してもらうためにも、まずはぜひ書籍で読んでみることをおすすめします。

みんなのレビュー

内田康夫の浅見光彦シリーズで最高傑作!!浅見シリーズ3作以上読破していないと読んではならない作品。めちゃめちゃおもしろかった!だまされた!!

honto

遺譜

読んでみて

浅見光彦シリーズ歴代のヒロインたちが次々に登場するので、ファンには懐かしくてたまらない作品です。作中でも、ヒロイン紹介の中で関わった事件にさらっと触れられているので、ついその事件が書かれた本を探して再読してしまいます。

ストーリー自体は飛行機嫌いの浅見光彦らしからぬワールドワイドな展開ではありますが、太平洋戦争中の特務機関やナチスの話など、物語の根底に歴史的な背景が広がっているのはいつもの通りで、浅見光彦と共に歴史を学ぶことができます。ミステリーと歴史の解説のバランス感覚は、この作品でも流石の一言です。

↓内田康夫「遺譜 浅見光彦最後の事件 上・下」著者インタビュー

みんなのレビュー

この作品を知ったのが内田先生がお亡くなりになってからで、タイトルからして『読まねばならない』と強く感じていた。佐和と行動することになるのかと思いきや、これまでのところ、佐和は誕生会に登場したのみ。事件らしい事件も上巻半ば位まで起きず、戦中戦後・日本ドイツについての情報がストーリーに絡めて紹介されている感じ。

忌部宮司が述べた、先の大戦前後の日本の風潮や、国が妄信的に突き進もうとしている時の制動役こそ『金にならない』思想家である、などは戦争を活字や映像でしか知らない私にも、生活上で符合する点があり染み入った。

読書メーター

番外編

孤道

読んでみて

毎日新聞で連載されていたこの作品は、著者の病により断筆となり、完結編を一般公募するという前代未聞のプロジェクトとなりました。現在刊行されている上巻は内田康夫の手によるもので、下巻は受賞者による完結編となっています。そのため浅見光彦も登場していますが、特殊な作品です。

下巻は作者が違うとは思えないほどスムーズな展開で、見事なエンディングでした。病床で作品を完結できないと悟った内田康夫が、作品を公募することで新たな才能の発掘の一助になればと願ったそうですが、内田康夫作品が多くの読者に愛されているのは、こうした著者の人格が作品に表れていることも理由の一つにある気がします。

みんなのレビュー

内田先生最後の作品。これから先は光彦の探偵ぶりは見ることができない。新しい作品を読むことができないってとても寂しいことだと改めて実感している。内田先生の作品は、読みながらバーチャル体験ができる。物語の中で旅ができたり、探偵になれたり…。とても楽しい読書体験ができた。

細かな下調べの上に出来上がった物語。この作品もとことん調べて練って練っていたことだろう。下巻を待ちながら過去の内田作品を思い出す。

読書メーター

靖国への帰還

読んでみて

太平洋戦争中のパイロットが現代の日本へタイムスリップしてくる物語です。内田康夫にしては珍しく、推理小説ではありませんが、淡い恋模様が挟み込まれることで作品自体が読みやすくなっているあたりは、浅見光彦シリーズとの共通点も感じます。

筆者は中学生の頃、祖父母が遠い田舎から上京し大粒の涙を流しながら靖国神社を参拝する姿を目の当たりにし、衝撃を受けた記憶があります。この作品からはその時の経験に共通するものを感じました。靖国神社について考えるきっかけとしても、ぜひ多くの人に読んでもらいたいです。

みんなのレビュー

SFだけでは終われない小説だと思った。毎年騒がれる「靖国参拝問題」多くの国民はあまりその意味を分かってないと思います。実際私もその一人でした。この本を読んで、いろんな角度からの「靖国問題」について考えさせられた。予想以上に勉強になったし、なにしろ読みやすかった!

物資豊かな時代に生まれた私からすると、戦時中の苦しみや明日生きる保証がなく生活する事は想像を絶しますが、とりあえず「知る」事からはじめようと思いました。

honto

まとめ

2018年、内田康夫が亡くなったニュースは大きく報じられました。筆者は10年近く内田康夫の作品から遠ざかっていましたが、訃報をきっかけにまた読み始めました。浅見光彦シリーズには「軽井沢のセンセ」という内田康夫のキャラクターが登場しますが、作中で出てくると他界された寂しさがありつつも、作品の中で生きている嬉しさも感じます。

水戸黄門の印籠のように、作品の中で浅見光彦のエリートとしての身元が割れるシーンは定番ですが、やはり安定の面白さがあり、読むと安心します。それがつまらないという人もいるかもしれませんが、作品数114本、累計発行部数は1億部を超えているというこの数字からは、そんな批判を跳ね返す根強い人気が伺えます。

内田康夫の作品は、推理小説が好きで歴史にも関心がある人には特におすすめです。この記事をきっかけに内田康夫の世界の住人となり、至福の読書タイムを過ごしてもらえたら幸いです。

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