文学を学べるおすすめ本40選【日本から海外文学まで】

海外文学

魔の山

読んでみて

1924年、ドイツの作家であるパウル・トーマス・マンによって出版された長編小説。主人公であるハンス・カストルプ青年が、アルプス山脈のダボスにあるというサナトリウム(療養所)を訪れ、7年間滞在し、そこで出会った人々との交流を描いた物語。

実際にトーマス・マンがサナトリウムを訪れたことから着想を得た作品となっており、進歩啓蒙主義者、虚無主義者、ロシア夫人など様々な思想の人物が多数登場します。日本の文学に比べ、少し読みにくいかもしれませんが、違う考えを持った人が大勢いるという当たり前に気づかされる作品となっています。

みんなのレビュー

平凡無垢な青年ハンスカストルプが、日常世界から隔離され病気と死が支配する療養施設サナトリウムで、それぞれの時代精神や思想を体現する数々の特異な人と出逢い精神的成長を遂げていく物語。 展開なくダラダラ続くという下馬評があったので、その分スラスラと読む事が出来て良かった。主人公カストルプは知的ぶってる感じがして、個人的には苦手な人物であった。主人公に啓蒙してくれるセントブリー二も微妙。登場人物ほとんど好きになれてない(笑) しかし上巻最後のカストルプに対してのショーシャ夫人の鉛筆返してね発言は痺れた。

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わたしを離さないで

読んでみて

2005年にイギリスで発表された日系人作家カズオ・イシグロの長編小説。全寮制の学校に通う癇癪持ちのキャシーはいじめられっ子であるトミーと仲良くなります。ある時、保護官の1人であるルーシー先生の考え方が他の保護官とは違うことに気付いた二人は、ヘールシャムに秘密があるのではないかと思い…という物語。

イギリスが舞台となっていますが、カズオ氏は本作を最も日本的な小説と評していおります。実際に登場人物は、どこか日本的な考えを持った人物が多く登場し、他の海外作品に比べ読みやすいかと思います。2017年にはノーベル文学賞を受賞されたカズオ氏の作品に触れてみてはいかがでしょうか。

みんなのレビュー

とても重い話でした。この制度を良いという人はいないと思うので、、登場人物たちの日々にフォーカスすると、彼らの時間的な制約が、全てのヒトに共通な色々な「こと」をより鮮明に見せてくれました。特に時間についてはやはり印象的で、、彼らの話す「3年」がどれほど大きく大切な時間かを想像して、本当に切なくなりました。彼らは圧倒的に不幸なのだけれど、終わりを知っているからこそ、幸せな今を「私は今幸せだ」と認識でき、それは本当の幸せだと思いました。

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戦争と平和

読んでみて

1865年から1869年にかけて雑誌『ロシア報知』にて連載されたロシアの作家レフ・ニコラエヴィチ・トルストイの長編小説。19世紀前半のナポレオン戦争時代を背景にした作品で、主人公のピエールとナターシャの恋愛などを軸に、新しい生き方を模索する物語。

登場人物は総勢559人と多く、また人間関係も複雑に絡み合うので、初心者の方には少し読破するには難易度の高い作品かと思います。ですが、時間をかけて読むことで、戦争の経緯や各貴族の没落の過程などが読み解けていくことがすらすら読み進められるようになるかもしれません。

みんなのレビュー

29歳の1年間の目標のひとつは『戦争と平和」を全巻読む』ということ。1巻は壮大な物語の序盤、華やかな貴族階級の人々のサロンの様子から始まり、実際に戦場に出た青年たちの描写で終わる。「(敵である)フランス兵たちの制服や顔がはっきりと見えた」というような描写のところで、戦場での殺し合いの生々しい様子がぞわぞわと感じられた…!戦争に行きたいと息巻いていた青年たちが、実際に戦場の地獄を経験した時のショック、待つことしか選択肢のない女性たちの苦しみ、人間の業は深いと思った。今のところアンドレイとマリアが好き。

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カラマーゾフの兄弟

読んでみて

1879年に雑誌『ロシア報知』にて連載されたロシアの文学者フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキーの長編小説。強欲な地主のフョードル・カラマーゾフは、長男のドミートリイと遺産相続や女性を巡り言い合いをしておりました。そこへ、三男の修道僧・アレクセイが仲介に入り…という物語。

本作では、ドミートリイ、イヴァン、アレクセイの三兄弟が中心となって、様々な展開がおこります。作中では、キリスト教の信仰や国家と教会の関係など様々なテーマを取り扱っており、「家族小説」や「宗教小説」など、様々な作品として読める物語となっているのが特徴的です。

みんなのレビュー

Eテレの100分de名著を観てから読んでみた。ロシア文学自体初めてなのでこれがロシア文学の特徴なのか作家の特徴なのか知らないけど、皆よく喋る!長台詞多い!まんま映像化するなら役者大変だよ?!後、面倒臭い人多い。その中でもトップなのはスメルジャコフだと思う。いきなり喋りだしたと思ったら内容が。作中でも言われてたけど屁理屈だよ…。キリスト教の議論が多くてついていくのが難しい。そうかなぁ?と思う事があるのは私が異教徒だからかな?

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レ・ミゼラブル

読んでみて

1862年にフランスの文学者ヴィクトル=マリー・ユーゴーが発表した大河小説。1本のパンを盗んだことがきっかけで19年間、牢獄へと収監されていた男ジャン・ヴァルジャン。ジャンは、行く当てもないまま、ある教会の司教に迎え入れられるも、その司教の銀食器を盗み…という物語。

本作を原案にしたミュージカルや映画などが有名な作品。文で理解するより、映像で楽しんでみたいという方は、映像作品で大筋を理解した後に、原作を読むことでより細かい部分が楽しめる、そういった楽しみ方などもあります。

みんなのレビュー

物語の魅力が際立って素晴らしい。しかし・・社会、政治、哲学、信仰、歴史などに関する挿話が過大で、物語を寸断し読み辛い。同部分は非常に難解(特に比喩)で自分にはほとんど理解不能だった。一方、同じ自分が、似た構成の司馬遼太郎氏の小説を面白いと感じらることから、単に、仏文化に関する基礎知識や、読書力が不十分であることが原因なのだろうと思う。この素晴らしい小説の物語部分を寸断されることなく味わいたいと感じており、抄訳(永山 篤一氏訳・角川)を探したところ、古本屋で安価に入手できた。読み比べたい。

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アッシャー家の崩壊

読んでみて

1839年に雑誌『バートンズ・ジェントルマンズ・マガジン』にて発表されたアメリカの作家エドガー・アラン・ポーの短編作品。主人公である語り手は、ある時旧友のロデリック・アッシャーから手紙を受け取ります。それは、精神疾患を患ったロデリックから家に来て欲しいというもので…

ゴシックホラーの傑作として名高い作品で、幻想小説としての評価も高い短編作品となっております。原因不明の精神病により次第に狂気を帯び、最期は狂気と共に落ちていく。ダークファンタジー作品の元祖ともいえる内容になっているので、ホラー好きな方はおススメです。

みんなのレビュー

『「僕は死ぬのだ」と彼は言うのだった。「こんな惨めなくだらないことで僕は死なねばならんのだ。(略)ただその絶対的の結果、恐怖、というものが厭なんだ。」』――「アッシャー家の崩壊」はゴシックな舞台設定、矛盾を孕んだ筋書が恐ろしい作品です。埋めたはずの妹の死体(※実は仮死状態)が蘇り、アッシャー家の当主である兄へ襲い掛かるのですが、愛する妹が生き返ったのならば、たとえ彼女が幽霊であったとしても喜ぶはず。なのに兄は恐怖し、その恐怖が彼の直截的な死因となるのです。……となると、双子の妹を殺した犯人は、兄?

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不思議の国のアリス

読んでみて

1865年にイギリスの数学者チャールズ・ラトウィッジ・ドドソンがルイス・キャロル名義で発表した小説作品。ある昼下がり、川辺で佇んでいたアリスは、白うさぎが時計を持って走り去っていくところを見かけ、後をついていくと、切り株のウサギ穴へと落ちてしまい…という物語。

元々は、1862年にルイスが親しくしていたリデル家のアリスに向けて書かれた物語だったのですが、知り合いの児童作家のジョージ・マクドナルドから正式な出版を勧められたという経緯があります。ディズニー作品などで知ってる方も多いですが、原作を読むことでまた違ったアリスの世界を楽しむことが出来ます。

みんなのレビュー

『不思議の国のアリス』もまた、夏の終わりにぴったりの読書。へんてこな不思議いっぱいの穴の底の世界。何が起きても冷静で物怖じしないアリス、「ちょっとへんてこで面白いじゃない、こんな人生も!」と思えるポジティブシンキング、大人になった今こそ、見習いたいものです。アリスのお姉さんの温かな眼差しはキャロルの想いに違いなく、目頭が緩む。H22年の新訳版、言葉遊びのリズムに躍動感があり、まるで退屈な間延びがない。アリスの邦訳決定版、の呼び名に違わぬ素晴らしい訳業。コロナ禍の中にあって、心に明るい灯をいただきました。

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クトゥルフの呼び声

読んでみて

1928年にアメリカの作家ハワード・フィリップス・ラヴクラフトが発表した小説。主人公は既に亡くなっているサーストンという人物の手記から始まる物語で、先に謎の死を遂げた大伯父のエインジェル老教授が遺した遺品の謎について、解明の旅に出るという物語。

のちに「クトゥルフ神話」として、ラヴクラフトの代表作ともいえる独自の神話を作り上げるきっかけとなった作品。TRPG(テーブルロールプレイングゲーム)好きの方なら一度聞いたことのある作品かと思います。内容は少しホラーテイストになっていますが、ファンタジー好きにはおススメです。

みんなのレビュー

テレビでラブクラフトをとりあげた時、この漫画のイラストを使っていて、気になりました。たまたま本屋で見つけて購入。なんだかとてもリアルで怖いお話しです。20世紀初頭は欧米の植民地政策が全世界に広がり、未知の大陸や文化が一般庶民にも広まって、歴史のないアメリカ人には魅力的だったのかもしれない、歴史伝承への渇望が、架空のクトゥルフ神話の創造に繋がったように思います。硬質な画風が前世紀の物語っぽくて合っています。ラブクラフト全集は分量が多くてすぐ手を出すとはいきませんが、挑戦したくなりました。

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トムソーヤの冒険

読んでみて

1876年、アメリカの作家マーク・トゥエインが発表した冒険小説。主人公の10歳の少年トム・ソーヤーは腕白な少年で、友人の宿無しフィンことハックルベリー・フィン、判事の娘であるベッキー・サッチャーとミシシッピ川などで遊んでおりました。ある時、トム達は殺人事件を目撃し…という物語。

本作は少年少女向けとして製作され、途中、教訓的なエピソードも包含されているので、読書感想文向きの作品かと思います。また、本作の続編にあたる「ハックルベリー・フィンの冒険」と合わせて読むことで、よりトムソーヤの世界観に浸りながら楽しめます。

みんなのレビュー

さすが世界的名著である。一章ずつが短くて読みやすかった。何よりヒリヒリする物語。今より便利でなかった分、死生観の、特に死に関しての匂いが強烈に結びついていくのが読んでいて心がザワザワしました。 飽きさせないストーリーテイリングでトムが起こしていく事件と居合わせてしまう事件にトムの悪運というか引きが強く感じました。 ハックルベリーフィンの冒険も読んでみたく思いました。

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車輪の下

読んでみて

1905年にドイツ人作家ヘルマン・カール・ヘッセが発表した長編小説。主人公のハンスという少年はエリート学校である神学校を成績2位で合格するという秀才。近所の人々からも将来を期待されるも、神学校で出会った同級生たちと触れ合う度に、自身の生き方について疑問が生じ…という物語。

本作はヘッセの少年時代をモデルに描かれた作品であると考察され、ヘッセも実際に神学校へ通うも詩人になれないことを悩み、そのまま退学してしまったという経歴があります。1946年にはノーベル文学賞を受賞したヘッセの自伝的作品に触れてみてはいかがでしょうか。

みんなのレビュー

思ってた以上に手強い作品でした。ボリュームとは裏腹に決して読みやすいとは言いがたい文章が続き、一回読んでもなかなかアタマに入ってこず、何度も何度も読み返した作品となりました。結局、最後の最後まで読むコトに大苦戦し、本書の素晴らしさが伝わったかと言われたら、正直今回はわかりませんでした。最初から最後まで、ずっと何とも言えない悲しみに包まれ続けた読書時間もなかなか珍しかったかなと。何度も繰り返し読むコトで、いつかきっと本作の素晴らしさに気づく自分と出会いたいものです。かなりハードルの高い難解な作品でした。

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緋色の研究

読んでみて

1887年に発表されたイギリスの作家アーサー・コナン・ドイルの推理小説であり、「シャーロック・ホームズシリーズ」の第1作目。医学博士であるワトスンは、助手をしていた男からベーカー街に住むシャーロック・ホームズという男性を紹介され…という物語。

「シャーロキアン」と呼ばれるファンが世界中に存在するほどの人気シリーズである「シャーロック・ホームズ」。実は長編作品は本作を含めて4作のみで、他は短~中編となっているのです。推理小説が好きという方には、ぜひ一度読んでおきたい名作です。

みんなのレビュー

変人なことこの上ない男、シャーロック・ホームズと、彼の能力人柄を真正面から受け入れて彼をまっすぐに賞賛し事件を一緒に楽しむことが出来る無二の親友ワトスン博士の出会い。ホームズの鮮やかな手腕と推理力に為す術なく翻弄される。一転、第2部の宗教混じる異国感溢れる語りは同じ小説とは思えなかった。こんな現在にも通ずるミステリ作品が1886年に書かれたとは思えない

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オリエント急行殺人事件

読んでみて

1934年、イギリスの作家アガサ・メアリ・クラリッサ・クリスティが発表した長編推理小説で同氏の「エルキュール・ポアロ」シリーズの第8作目。イスタンブール発カレー行のオリエント急行に乗り込んだポアロは富豪のサミュエル・ラチェットから護衛の依頼を頼まれるのだが…という物語。

コナン・ドイルのシャーロック・ホームズに並ぶ世界で有名な名探偵エルキュール・ポアロ。作品を読んでいなくても本作のオチは知っているという方も多いのではないでしょうか。ですが、なぜそのような結末に行き着くまでの過程を知ると、より推理小説が好きになるかもしれません。

みんなのレビュー

‪有名な作品で、感想なんか星の数ほどあるし、私などが今更言うことはない。‬ ‪でもあることが判明した時、それまで出てきた言葉の意味が劇的に変わって、その裏にあるものを想像して鳥肌が立った。 そういうのは稀な経験で、去年の夏有名な国内ミステリを何冊か読んで幻滅したこともあり、今読んで良かったと思った。‬ ‪世界中で読まれる本には、やはりその理由がある。でも多分、人がここぞと思うところにはないんだろう。 多く語られない部分に無限の想像の余地がある、でもそこに思い至らなくても老若男女楽しめる、奥行きのある作品。

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白鯨

読んでみて

1851年にアメリカの作家ハーマン・メルヴィルが発表した小説。19世紀後半、アメリカの捕鯨船団が様々な海へと進出し、捕鯨を繰り返していた時期の事。語り手である青年イシュメイルは、捕鯨基地であるナンタケットを訪れ、そこで同じ宿に宿泊するクイークェグと知り合い、捕鯨船へと乗り込むのですが…という物語。

一見すると冒険小説のようにも見えますが、内容はクジラの知識などが登場するなど少し難しく、また全体的にどこか暗い雰囲気が漂っている作品となっています。読破するには少し難易度の高い作品となっていますが、読み進めていくうちに自分も捕鯨船の一員かのようにその魅力に吸い込まれていくかもしれません。

みんなのレビュー

世に言う冒険小説とは隔絶。正しく観念小説である。とまれ食人族の同僚やエイハブ船長の造形はもとより、彼らの登場場面は小説の愉楽そのもの。蛤と鱈の鍋料理、潮吹亭の名物ほど食欲を誘った小説中の食事もない。迸る言説の狂熱に眩暈は止まず、上巻に於いてはついに白鯨は現れず!というか一頭も鯨を捕獲しないまま船は喜望峰の海原へ。白鯨とは何か。神か悪魔かそれとも。グノーシス主義の影響を訳者は指摘するが、メルヴィルの意図なのか浅学にして確かめようもない。さてさて、あと五十章は何もないまま文字の大海を彷徨うことになるらしい…。

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罪と罰

読んでみて

1866年に雑誌『ロシア報知』にて連載されたフョードル・ドストエフスキーの長編小説。貧しい元学生のラスコーリニコフが独自の犯罪理論を提唱し、その理論に基づき、金貸しの強欲な老婆を殺害し、その奪った金で善行を行おうとするのだが…という物語。

『カラマーゾフの兄弟』、『白痴』などともに後期五大小説の一つに数えられるドストエフスキーの代表作。道徳的かつ哲学的な内容となっており、社会主義を批判した作風となっています。当時の時代背景と合わせながら読むことで、作者の意図などがより理解できる作品となっています。

みんなのレビュー

何度も挫折して何年越しにやっと読み終わった。 自分を特別な非凡人だと思い込んだ貧乏元学生ラスコーリニコフが金貸し老婆を殺して、世の中を変えようとするが、老婆の妹まで殺してしまい、苦悩する話。のようだが、私には常に自問自答苦悩のおかしい人に思えて、頭の良い人達のようにこの話の大切な部分を感じ取ることが出来なかった…何度か読んだら理解できるのだろうか。一人に対して名前がたくさんあり、相関図がないと誰が誰やら…下巻の為にこの時代についても、もう少し知っておかないと。そして私は凡人だ。

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シッダールタ

読んでみて

1922年にドイツの作家ヘルマン・ヘッセが発表した小説作品。周辺人物から寵愛を受けて育ったシッダールタですが、寵愛をいくら受けても自分の心は満たされないと感じていました。そこでシッダールタは沙門の道を選ぶも、沙門でも自分は救われないと感じました。そこへ、仏陀という人物がいることを聞き…という物語。

主人公であるガウタマ・シッダールタとは釈迦の出家前の名前であり、本作では求道の末に悟りを開くまでを描いた作品となっています。このような考え方や思想的な小説を「観念小説」「思想小説」と呼ばれます。どのようにしてお釈迦様が悟りを開いたのか、読んで感じてみるのはいかがでしょうか。

みんなのレビュー

学生時代以来の再読。満たされぬ心を抱えたバラモンの息子が、自分とは人間とは世界とはといった問いの真の答を探して彷徨を続ける。文章はシンプルで韻文めいた調子の良さがあるが、「ツァラトゥストラ」と同じくそれによって示される「こと」を理解するのはなかなか難しい。そのため本書について多くの研究があるらしい。しかし今はその研究に眼を通すよりも、ここに描かれたシッダールタの人生をしっかりと噛みしめたいと思う。「どうやって心が満たされ、平安を得たのか」について言葉で説明するのは難しい、それは分かった。最後の対話は圧巻。

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漫画

有名すぎる文学作品をだいたい10ページの漫画で読む。

読んでみて

2015年9月からリイド社より刊行されたコミック本。水木しげる先生風の漫画で、世界中の有名文学を10ページほどで解説するというコンセプトの下、「羅生門」「山月記」「モルグ街の殺人」などを解説した一冊となっております。

「いきなり書籍だと読み切れるか不安」「どんな作品か、確認してから読んでみたい」という方にはこちらの本を読んでから、大筋を理解し、原作を読むことで奥行きを感じられる、といった楽しみ方などが考えられます。

みんなのレビュー

だいたい10ページくらいの漫画で読む文学シリーズ。元も子もない超訳加減に戸惑うお話もあるけれど、ドリヤスさんの絵柄と超訳のシュールさを楽しみながら、引っかかるキーワードのある本を見つけたり、再読しようとわくわくさせてくれるきっかけ本にぴったり。文学作品の多くにあるように、あらすじや物語の筋よりも、通して読むことで絵画を鑑賞するような感慨を引き起こすのが醍醐味というものが多いので、あらすじだけでは参考にはならないこともあるけれど、作者紹介などもあり気軽に文学に触れることができる。

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響 ~小説家になる方法~

読んでみて

2014年から2019年まで漫画雑誌『ビッグコミックスペリオール』にて連載されていた柳本光晴さん原作の漫画作品。文芸雑誌『木蓮』の元へ新人賞応募の作品が届きます。その作品は『御伽の庭』という作品で、それ以外の連絡先が記載されておらず、ただ鮎喰響という名前だけが…という物語。

本作は「文学」をテーマにした作品で、主人公である鮎喰響は、文学を巡って周囲と激しく衝突し合いながらも、様々な作品を生み出していく内容になっております。粗暴な性格ですが、作品に対する愛情は人一倍強い響、クリエイターとしてこの姿勢に憧れる人は多いのではないでしょうか。

みんなのレビュー

異世界でも転生でもないけれど、チート主人公が純文学で無双する話。痛快で面白い。 突き抜けた性格の少女が純文学の才能だけで周りを巻き込んでいく。主人公の響の行動は、一貫性が強すぎて異常者だ。これだけ周りが見えていない人物に、多数の人に共感される小説が書けるのかは疑問に感じた。 才能があっても許されない行動の数々は、この本を読む人を選ぶだろう。私は作品の良さに書き手の人格を求めないし、響の真っ直ぐさには共感すら持つ。何事も突き詰めたほうが良いと信じている。私には才能はないが、響と自分の似た気質に励まされた。

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月に吠えらんねえ

読んでみて

2013年から2019年まで月刊青年誌『月刊アフタヌーン』にて連載された清家雪子さん原作の漫画作品。空想の町である「詩歌句街」を舞台に、文豪たちの作品からイメージされたキャラたちが「詩歌句街」にて様々な創作をする物語。

主人公はタイトルにも使用されている詩人の萩原朔太郎の著作から生まれた「朔くん」。死体を持ち帰って詩を創作したり、薬物乱用したりとかなりぶっ飛んだ人物として描かれていますが、あくまでも「月に吠える」などの作品からイメージされたものです。他にも様々な文豪の作品からイメージされたキャラが登場します。

みんなのレビュー

どこかで話題になっていたのを覚えていた。1巻無料だったので読む。萩原朔太郎が主人公。実在の詩人、歌人達が登場するがファンタジーでもある。場所は詩人歌人が集まる□町(詩歌句町)。そこで起きるとりとめの無い幻想的な出来事。史実のエピソードを踏まえているが、起きる出来事は全て空想的という不思議な漫画。案外面白く、小説家以上に人口に膾炙していない近代詩人の逸話や人間関係を覚えてしまう。私のハートを撃ち抜いたシーンは、北原白秋の為に町の女達がパイオツを出して横たわりパイオツ布団になる場面。うらやましい。パイオツよ。

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文豪とアルケミスト

読んでみて

2016年よりDMM GAMESより配信開始されたブラウザゲーム。本の世界を破壊し、その作品をなかったかのように焼失させてしまう「侵蝕者」が現れました。人々から「文学」を守るために、「アルケミスト」と呼ばれる人物が国定図書館へと派遣され、「文豪」を転生させて文学を守り抜く…という物語。

2019年から開演された「舞台 文豪とアルケミスト」では、この「文学」を守りながら文豪たちがそれぞれに作品を通じて、自分の何を表現したかったのか、などを織り込んだ舞台となっております。ゲームでは様々な文豪も登場しますので、名前を知るきっかけとしてプレイしてみてはいかがでしょうか。

みんなのレビュー

いやー、まさか公式アンソロジーに手を出すことになろうとは…。実在した文豪についても最早授業で触れたくらいの記憶の彼方なんですが、ゲーム内での回想やら手紙やらで、仲がいいとか悪いとか、どんな性格がクローズアップされてるやらを知りたかったのですよ。(薄い本的な解釈は遠慮したかったので)それでも自分の知っているエピソードがあると、にやりとしてしまう。読んで楽しかったと思えました。

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文豪ストレイドッグス

読んでみて

2013年より漫画雑誌『ヤングエース』にて連載中の原作・朝霧カフカさん、作画・春河35さんの漫画作品。孤児院を追放された少年・中島敦がヨコハマの町をさまよっていると、鶴見川で入水自殺を図ろうとした太宰治を救います。太宰の案内で中島は「武装探偵社」という異能集団に入るのですが…という物語。

本作は、文豪と同じ名前でその文豪の作品にちなんだ異能力を用いて戦うという内容になっております。中島敦であれば「山月記」にちなんで虎になり、太宰治であれば「人間失格」…のように、文豪とその作品を知るきっかけとして読んでみてはいかがでしょうか。もちろん、物語も面白いです!

みんなのレビュー

名前だけ聞いたことがあった作品。気になっていて1巻だけ読む機会があったので。読んでる途中から「これは好き嫌い分かれそう‥ダメな人は受け付けない設定なのでは」と思いここ以外の感想を見にいったら案の定でした。個人的には歴史上の人物の脚色モノは、「それじゃあ本当はどんな人だったの?」と興味が湧くタイプなのでこちらも良いきっかけになりそうです。続き読みたいなぁ。

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まとめ

日本、そして海外の文学を紹介してまいりましたが、上記で紹介した作品以外にも詩集、歌集、童話など様々なジャンルがあり、名作と呼ばれる作品は多岐にわたります。「文字だらけの本を読むのは難しい」と敬遠しがちな方は、漫画などから入って観るのがおすすめです。

また、YouTubeでは文学作品の朗読や解説の動画などが上がっておりますので、そちらから気になった作品を見つけるという方法もあります。文学を知ることによって、今まで知らなかった世界が開けるかもしれませんよ。この記事を参考に、文学を好きになっていただければ幸いです。

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