「ヒトラーはどんな言葉を残したの?」
「演説での名言がすごいって聞いたことあるけど…」
アドルフ・ヒトラーはドイツの政治家で、国家総統に昇りつめた男です。「自分たちがもっとも優れた民族だ」と主張し、冒険的な外交政策と人種主義的な政策を行い、「ホロコースト」といわれるユダヤ人などの民族の組織的な大量虐殺を行いました。
「20世紀最大の悪魔」と揶揄されるこの人物は、得意の「演説」でドイツ人たちを扇動し、第二次世界大戦への道へ突き進ませてしまいます。悪人の代名詞のような人物ですが、この人物を見ることにより、私たちは反省することもでき、反面教師にもできるでしょう。人々を狂喜させた演説や、側近への発言から、有名な言葉をご紹介いたします。
この記事を書いた人
フリーランスライター
フリーランスライター、高田里美(たかださとみ)。大学は日本語・日本文学科を専攻。同時にドイツ史に興味を持ち、語学学校に通いながら研究に励む。ドイツ史研究歴は約20年で、過去に読んだヨーロッパ史の専門書は100冊以上。日本語教師、会社員を経て結婚し、現在は歴史研究を続けながらWebライターとして活躍中。
アドルフ・ヒトラーの攻撃的な名言と意図、背景
強さは防御ではなく攻撃にある
強さは防御ではなく攻撃にある
ヒトラーの発言の中でも有名な言葉です。あまり知られていませんが、ヒトラーは第一次世界大戦で多くの武勲をあげています。「攻撃こそ最大の防御」という言葉がありますが、それと同じような価値観をヒトラーも持っていたことがわかります。
自己を武器で守ろうとしない制度は駄目だ
自己をあらゆる武器で守ろうとしない制度は、事実上自己を放棄している
平和な世の中だと忘れがちではありますが、現在でも日本国憲法の「第9条」問題なども起きています。価値観は時代と共に変わっていきますが、「自分自身を守る」という基本的な問題を、この言葉で思い出す言葉です。
平和は剣によってのみ守られる
平和は剣によってのみ守られる
ドイツ人の誇りを刺激する上手に鼓舞する言葉です。日本の武士と同じように、ドイツの騎士も剣は誇りであり強さの象徴でした。平和を得るためには、ドイツ人の誇りと強さが必要だと訴えかけたのです。こういった言葉でドイツ人のプライドを刺激しながら戦争へと駆り立てていったのです。
我々は敵を絶滅する、容赦なく
我々は敵を絶滅する。根こそぎに、容赦なく、断固として
ドキュメンタリーでも良く紹介される有名な一節です。「絶滅」という過激な思想が分かる表現でもあります。日本人と違い「この世にいてはいけない人達」と考えてしまうところが、日本人はいまいち分かりづらいところです。この発言が象徴するように、一つの民族を絶滅させようとした歴史が残りました。
人々が思考しないことは幸い
人が思考しないことは、政府にとって幸いだ
私たちにとっても耳が痛い発言です。国民が何も考えずに、何も疑問を持たずに付き従っていくのは政府としては非常にやりやすいのでしょう。政治を他人事ではなく、自分自身で考えて選挙にも行く必要性を再認識させられます。
偉大な嘘つきは偉大な魔術師
偉大な嘘つきは偉大な魔術師だ
ヒトラーの夢想的な発言は、当初はドイツ国民に嘲笑されていましたが、徐々に受け入れられ熱狂されるようになっていきました。一種のマインドコントロールのように、ドイツ国民たちを戦争に仕向けたやり口が見えます。嘘を付き通して本当のように思わせ、ドイツ国民の心を掴んだのです。
小さな嘘よりも大きな嘘に騙される
大衆は、小さな嘘よりも大きな嘘の犠牲になりやすいだろう
ヒトラーの発言でも有名なものの一つです。小さな嘘だとばれてしまうけれども、大きな嘘だと騙されてしまうというのはなんとなく分かる気がする人も多いのではないでしょうか。現在でも騙されないようにと、引用されることもある発言です。
私は間違っているが世間はもっと間違っている
私は間違っているが、世間はもっと間違っている
ヒトラーを知るうえで興味深い発言です。この発言により、まったくの妄想家ではなく、自覚があったことが分かります。戦争に誘導した責任は重いですが、それに賛同しドイツ国民がついていったことも事実なのです。
彼らを根絶やしにする必要がある
彼ら(ユダヤ人)を根絶やしにする必要がある、それで人類は豊かになる
ヒトラーは「反ユダヤ主義」を掲げていました。第一次世界大戦の敗北や、世界恐慌の時のドイツ国のインフレも全てユダヤ人のせいだといったのです。事あるごとに「反ユダヤ主義」の演説を行っており、絶滅させることを主張していました。
命は弱さを許さない
命は弱さを許さない
端的ですが、生物の永遠のテーマなのかもしれません。人間も動物たちも生まれた時から強くなって身を守ることが生き残るための道です。幼少期、目立たない少年だったというヒトラーはそのように言い聞かせて、行動してきたのかもしれません。
フランスは嫌い
フランスもフランス人も好きだったことはない。そう口にすることをためらったこともない
ヒトラーの敵意はユダヤ人だけでは無いことが分かる発言です。ヒトラーが活躍した時期は、ドイツは第一次大戦の敗北で多額の賠償金を支払い、支払いが滞るとフランスはドイツの土地を差し押さえたりしていました。二つの国には長い確執があり、ドイツ国民の不満を代弁していたのです。
詐欺師のような自称芸術家は強制収容所行きだ
詐欺師のような自称芸術家は、強制収容所で再教育すべきだ
ヒトラーは趣向は偏っていたものの、芸術に造詣が深い人物でした。ヒトラーは古典的な芸術を愛好し、近代美術を「退廃芸術」と非難していました。近代美術を描く作家に対しての発言です。
私は夢想家で狂人といわれた
私は夢想家だといわれた。その夢想家がいなければドイツはどうなっていたか、私は未来を信じた。至上の国ドイツの復活を信じたのだ。それは狂気だといわれた。国力の回復を信じた私を経済の復帰を信じた私を人は狂気だといったのだ。
夢想家と言われ続けたヒトラーが、総統に昇りつめ国を動かすようになりました。狂気だと周りはいい、事実狂気ですが、劇的なドイツの立て直しを行ったのもまた歴史の事実ではあるのです。
統治とは一人で始まり、一人で終わる
必要不可欠なのは一人の指導者の意志、一人が命じ、他の人はそれを実行すればよい。統治とは一人で始まり、下で終わるものだ
自身の独裁を強めるための言葉ですが、元々ドイツ国は君主制国家であり、民主主義は退廃的な政治だと国民は考えていました。その為に「ワイマール憲法」もいまいち浸透しなかった背景があります。ドイツ国民の国民性をついた言葉といえます。
強者が生き残る、わが民族が滅びたらそれもまた運命
エリートの中のさらに強者だけが生き残るのだ、その試練の中でたとえ我が民族が滅びても、私は涙しないだろう。それがその民族の運命なのだから
極端な「弱肉強食」の考え方のヒトラーらしい発言です。戦争において、ドイツ民族が滅びたら弱かったから滅びたのだといいます。実際ヒトラーはベルリンが陥落し、自殺する直前にドイツ国を焦土とする命令を出しています。側近たちが実行しなかったのでドイツ国は残り、今も発展している歴史があります。
アドルフ・ヒトラーの名言集や関連書籍
わが闘争(上)―民族主義的世界観(角川文庫)
ヒトラーの著書「我が闘争」の日本語訳です。現在の価値観とはかけ離れていますが、どうしてこのような歴史が起きたかの参考になります。
わが友ヒットラー
三島由紀夫著作品です。わが友と書かれていることに驚く人も多いでしょうが、幼少期内気で国粋主義に傾いていったヒトラーと同じように、幼少時病弱で夢想家で、国粋主義となった三島が自身とヒトラーを重ね合わせていたのかもしれません。三島は後に、「大嫌いだけど、非常に興味をかられる」と語っています。
アドルフに告ぐ 漫画文庫 全5巻完結セット
巨匠・手塚治虫氏の作品です。手塚治虫もヒトラーに関心があったらしく多くの作品で主に悪役として登場します。この漫画は、逆にヒトラー側の目線を軸とした名作です。非常に面白く、歴史に興味がない人でも楽しめます。
アドルフ・ヒトラーの名言についてのまとめ
いかがでしたでしょうか?「20世紀最大の悪魔」といわれたヒトラーの言動は、怖いもの見たさで初めて見たのが筆者の最初の出会いでした。それからドイツの歴史に興味を持ち、ドイツの歴史背景などを知ったり、ヒトラーが内向的で芸術好きの人物だったという事実をしったり、言動の背景を知ったりすると、独裁者の中にあるどこか「脆さ」を感じるようになりました。
ヒトラー自身が内向的な自分に打ち勝つために鼓舞して、強い言葉を発しているように感じています。褒められた人物ではもちろんありませんが、「人は強い生き物ではない」ということをドイツとヒトラーを見ていると再認識します。これからも、第二、第三のヒトラーが現れないように、同じ過ちが繰り返されないように、二度と戦争が起こらないようにしなければならないと感じています。最後まで読んでいただきありがとうございました。
客観的な解説分かりやすかったです。
ほかの記事も見させて頂きました✨
客観的な見方、とても好きです!
戦争を無くすのはとても難しいですがやはり
過去の歴史から学べる事は多いですね