「忌野清志郎ってどんな人?」
「忌野清志郎の死因って?」
「忌野清志郎っていつ亡くなったの?」
忌野清志郎さんはザ・キング・オブ・ロックと呼ばれた日本を代表するロックミュージシャンです。RCサクセションやザ・タイマーズのメンバーとしての活動やソロシンガーとしても活躍し、日本のロックシーンに大きな影響を与えた人物です。
そんな清志郎さんは2009年5月2日に58歳でこの世を去ります。彼の葬儀には多くのロックミュージシャンや関係者が参列し、弔問に長い列ができるほどのファンが訪れ彼の死を悼みました。
この記事では忌野清志郎さんの死因や闘病の様子を紹介するとともに、伝説となった彼の葬儀「ロック葬」についても紹介します。
忌野清志郎の死因はなに?
直接の死因は癌性リンパ管症
忌野清志郎さんが亡くなる直接の原因となったのは「癌性リンパ管症」という病気でした。「癌性リンパ管症」とは進行した肺がん、胃がん、乳がんなどを患う人に発症しやすい病気で、がん細胞によってリンパ管が詰まることによって起こります。
リンパ管が詰まることでリンパ液が流れなくなり、さまざまな症状を敷き起こします。代表的な症状として「発熱」「倦怠感」「むくみ」などがあり、肺に発症した場合「呼吸困難」を引き起こすこともあります。
「癌性リンパ管症」は原因となっている「がん」を治療することが根本的な解決法ですが、気付いた時にはすでに体の深部まで進行しているケースが多く、治療が難しい段階になっていることもあります。その場合は症状を和らげる対症療法や緩和治療が行われます。
さらに「癌性リンパ管症」は進行が早く発症すると急激に状態が悪化するため、発症後数日で亡くなってしまうことも少なくありません。清志郎さんの場合、症状が悪化してからわずか1日で亡くなってしまいました。
喉頭がんにも蝕まれていた
咽頭がんとは?
清志郎さんは2006年7月13日に自身のウェブサイト「地味変」への投稿で、咽頭がんを患い入院することを公表しました。
清志郎さんが亡くなった直接の原因は「癌性リンパ管症」でしたが、リンパ管にがん細胞が増殖したのは咽頭がんによるものだったのです。咽頭がんとは鼻の奥から食道に至るまでの、食物や空気の通り道である「咽頭」に発症するがんのことです。
咽頭がんの初期症状はのどの違和感や軽い痛み程度しか現れないため、風邪やその他の呼吸器疾患との見分けは難しいとされています。声帯に発症すれば声がかれるなどの症状も現れるため、早期に発見されることもあります。
一般的な治療法として手術、放射線、抗がん剤などを単独、もしくは組み合わせて行います。手術では喉頭とリンパ節の摘出を行うことで手術後に発声が困難になるため、放射線治療が選択されることも多いです。
代替医療での治療を行っていた
清志郎さんは咽頭がんの治療に手術、放射線、抗がん剤を使わず、代替医療の「玄米菜食法(マクロビオティック)」での治療を行っていました。
「玄米菜食」とは肉や魚、卵、乳製品などに含まれるタンパク質の摂取をできるだけ控え、玄米などの穀物を中心とした食事法のことです。玄米菜食は体に良く健康な体づくりができると言われていて、実際に健康のため実践している人も少なくありません。
しかしがん治療においての効果は確認されておらず、がんが治ったという人もいれば、そのまま亡くなってしまう人もいます。代替医療や漢方などの民間治療は科学的根拠がないため、残念ながら結果を保証できる治療法とは言えないのが現実です。
忌野清志郎の闘病生活
声を守るため手術を拒んだ
咽頭がんが発覚した清志郎さんはがん摘出の手術をすると声が出せなくなることを知って手術を拒み、放射線や抗がん剤での治療に切り替えます。
しかし抗がん剤の治療であっても、のどへの負担は避けられません。胃に穴を空けて流動食を食べなければならないので、結果的に唾液腺が無くなって歌えなくなることは変わらないのです。それを知った清志郎さんは食事療法などの代替医療での治療を選択しました。
摘出手術や抗がん剤治療を受けていれば、清志郎さんはがんによって亡くならなかったかもしれません。しかしミュージシャンの命ともいえる声を奪われることに、清志郎さんは耐えられなかったのでしょう。
一度は復活しライブ活動を再開した
清志郎さんは闘病中にもかかわらずライブ活動を再開しています。実際はまだ闘病中でしたがスポーツ新聞紙上で全快宣言を出し、清志郎さんに飛び入り出演を希望するライブを募集します。
早速の依頼で2007年1月21日にギタリストの故・石田長生さんのライブにシークレットで出演し、変わらぬ歌声とパフォーマンスでファンを沸かせました。
翌年の2008年2月10日には日本武道館で「忌野清志郎完全復活祭」を開催し、本格的に活動を再開します。1年7カ月ぶりのワンマンライブを待ち望んだファンが立ち見が出るほど集まり、武道館開館以来史上最高の動員数を記録するライブとなりました。
忌野清志郎の死因に関するうわさ
タバコが原因?
清志郎さんが患った咽頭がんはタバコとアルコールに密接な関りがあります。中でもタバコは咽頭がんになるリスクを急激に高めてしまうそうです。
日本人が咽頭がんになる確率は10万人に3人ほどで、肺がんなどと比べると発生率は低いと言えます。日本赤十字社によると咽頭がん患者のうち96.5%が喫煙者で、非喫煙者はわずか3.5%しかいないそうです。つまり咽頭がんのほとんどは、タバコが原因であると言えます。
清志郎さんも生前はタバコを愛飲していました。テレビ番組の企画で好きなタバコの銘柄トップ10を紹介していたこともあります。そんな愛煙家であった清志郎さんが咽頭がんを患ったのは、タバコにも原因があったと言わざるを得ません。
暗殺説もあった⁈
清志郎さんの死因を調べていると、清志郎さんの暗殺について検索している人が多いことに気づきました。しかし清志郎さんが暗殺されたという事実はなく、なぜそのような説が流れたのか考察してみたいと思います。
清志郎さんはテレビ番組などに出演すると、演奏中に暴れまわったり悪ふざけなどを繰り返す破天荒なふるまいをよくしていました。そのことで視聴者からの抗議が殺到することも、度々あったと言います。
またザ・タイマーズとして政治家を中傷するなどの政治批判や、放送コードに引っかかるような問題発言も繰り返していました。
このような目立つ活動をしていた清志郎さんには敵も多かったのではないでしょうか。このような背景が暗殺説につながったのではないかと予測できます。
忌野清志郎の葬儀「ロック葬」
友人や関係者など約1000人とファン約4万人が集まった
清志郎さんの葬儀は2009年5月9日に東京都港区の青山葬儀所で行われました。告別式は無宗教の「ロック葬」と銘打って開催され、友人や関係者など約1000人と別れを惜しむファンが約4万人も集まる大規模なものとなったのです。
告別式はNICE MIDDLE with NEW BLUE DAY HORNS plus 武田真治によるバンド演奏で幕を開け、さながらライブのようでした。葬儀の最後には彼の代表曲である「雨あがりの夜空に」を、生前の清志郎さんの歌声にあわせて生演奏して盛大に清志郎さんを送り出したといいます。
甲本ヒロトによる弔辞
清志郎さんの葬儀で甲本ヒロトさんが読んだ弔辞は、音楽ファンの間で伝説となっています。
THE BLUE HEARTS、THE HIGH-LOWS、ザ・クロマニヨンズのボーカルである甲本さんは、清志郎さんのライブにゲストで出演するなどの交流を持っていました。また清志郎さんの楽曲「REMEMBER YOU」ではダブルボーカルで参加しています。
キヨシロー。えー、清志郎、あなたとの思い出に、ろくなものはございません。
と始めた甲本さんは清志郎さんとの思い出話を語り、
数々の冗談、ありがとう。いまいち笑えなかったけど。今日もそうだよ、ひどいよ、この冗談は。
と清志郎さんの死を信じたくない気持ちを言葉にしています。
あとひとつ残るのは、今日もたくさん外で待っている、あなたのファンです。彼らにありがとうは、僕は言いません。僕もそのひとりだからです。それはあなたが言ってください。どうもありがとう! ありがとう!
甲本さんは清志郎さんの1ファンだったと語り、他のファンたちと同じ目線で清志郎さんに憧れていたのがわかる素晴らしい弔辞でした。
忌野清志郎が亡くなった影響
「忌野清志郎ロックン・ロール・ショー」が開催される
清志郎さんの死後、ザ・キング・オブ・ロックと呼ばれた彼を讃えるイベント、「忌野清志郎ロックン・ロール・ショー」が開催されます。清志郎さんが亡くなってから2年後の2011年を皮切りに、没後10年の節目である2019年までの全8回に渡って開催されました。
RCサクセション時代からの盟友である仲井戸麗市さんや新井田耕造さん、生前から交流のあったトータス松本さんや矢野顕子さんなど、毎年ビッグアーティストが出演してきました。
日比谷野外大音楽堂で開催された2019年のファイナルでは、清志郎さんにゆかりのある30組以上のアーティストが顔をそろえ清志郎さんを讃えました。3000人を超えるファンが終結し、チケットを手に入れられなかった数百人のファンが野音の周りを取り囲んだと言います。
NHKで忌野清志郎特集が放送される
2015年には清志郎さんの命日に合わせて、NHKのBSプレミアムで清志郎さんの生前に撮影された番組をまとめた忌野清志郎特集が放送されました。
清志郎さんの知られざる姿を描いたドキュメンタリー番組「忌野清志郎、ゴッホを見に行く」や、RCサクセションのアルバム「シングル・マン」の制作秘話を扱ったドキュメンタリー番組などさまざまな番組が再放送されています。
またNHK総合では「SONGS 忌野清志郎」を放送し、生前清志郎さんがSONGSに出演した時のライブ映像や、他のNHKの番組で演奏したライブ映像を選りすぐって紹介しています。また奥田民生さんや曽我部恵一さん、トータス松本さんらがゲスト出演し、清志郎さんへの思いを語りました。
ファンが現在でも墓参りに訪れている
東京都八王子市にある高尾霊園高乗寺に清志郎さんは埋葬されていますが、命日である5月2日には現在でも多数のファンが墓参りに訪れているといいます。
清志郎さんのお墓はウサギやブタのブロンズ像があったり、手向けられているお花も色とりどりで華やかなものが多く、他のお墓と比べとても派手なものです。これには遺族が清志郎さんらしいお墓にしようという思いが込められているのだとか。
忌野清志郎死因に関するまとめ
いかがでしたか?
忌野清志郎さんの命を奪ったのは、2006年に患った咽頭がんから発症した癌性リンパ管症でした。そしてがんになるきっかけとなったのは、清志郎さんが愛飲していたタバコが主な原因であろうと言われています。
がんの摘出手術をしていればもう少し長く生きられていたかもしれないので、代替医療を選んだことが正しかったのかは分かりません。しかし清志郎さんの病気に侵されながらも最期まで歌声を守り続けた姿は、まさにロックミュージシャンの生き方そのものだったと思います。