「子供のころ日本史で習ったけど、本居宣長って実際何やったの?」
「本居宣長について書いてある本が多すぎて、どれを読めばいいのかわからない」
日本史の授業で習う歴史上の人物は、実際にその人が存在したという情報を知っているだけで、実際に何をやったの?と聞かれると答えられない事が多いですよね。
今回は日本に数多存在する本居宣長に関する本の中から選りすぐりの書籍を6冊紹介します。
本居宣長について全く知らない人から、少しは知っている、ある程度は知っている、という人まで様々なレベルの本を選出。これから本居宣長について学ぶ人もそうでない人も、ぜひ参考にしてみてください。
本居宣長(上)
読んでみて
この本は本居宣長の72年の生涯を上下巻に分けて記した小林秀雄の大作で、これを読めば本居宣長のすべてを知ることができる、そんな大変内容の濃い本です。
序盤から終盤まで終始本居宣長の原文が多く引用され、小林秀雄自身の硬い文章と相まって若干読むのに苦労することがありますが、逆にその原文を取り入れていることによって臨場感が湧き、また、小林秀雄の主張を裏付ける根拠として読者にとってもわかりやすくなっています。
みんなのレビュー
昭和初期、国学の再興と日本主義(文学)を勃興した「浪漫派」、その中心人物の一人である小林秀雄の「本居宣長」論をわかりやすく解説している。戦中は戦争賛美に利用され、戦後は右翼扱いされた国学の思想だが、小林の言葉を借りた本居宣長像を読んでいると、愛国心や思想とは無関係の一人の人物像が浮かび上がってくる。
引用元:読書メーター
本居宣長
読んでみて
この本はどちらかというと本居宣長を殆ど知らない人向けに書かれた入門書で、本居宣長の生涯を交えながら、彼の学問における主張を淡々と記しています。
引用箇所も現代人が読みやすいように現代語訳に変換されており、とても読みやすい書体で書かれています。
また、本居宣長の思想・文学は大変難しいですが、それも執筆時期や彼の性格を踏まえて簡潔にわかりやすく記されており、大変頭に入りやすいのです。
みんなのレビュー
郷土の偉人ですが、今まで何をしてきた人物なのか紹介されてもいまいちピンとこなかったので、この本を手にとったのですが、今まで口伝などのいい加減な解釈しかされてこなかった古い和歌や古事記などの神話を学問的に分析した人物だと知りました。
引用元:読書メーター
本居宣長とは誰か
読んでみて
こちらの本はその題名の通り、「本居宣長とは誰か」という問いに重点を置き、彼の思想を取り入れながら彼の生涯を記したものです。
「物のあはれ」を説き、『古事記伝』を記し、上田秋成と論争した本居宣長。これらを丁寧に、かつ我々読者にとって読みやすいように書かれており、論旨明快という言葉が当てはまるほど論旨がはっきりしている大変わかりやすい本となっています。
みんなのレビュー
最初はよく分からなかったが、段々と分かり易くなった。「もののあはれ」は、「嬉しくあるべき時に嬉しく、悲しくあるべき時に悲しい」という人情の機微を意味し、源氏物語はこれを表したものだとした。
引用元:読書メーター
恋と日本文学と本居宣長・女の救はれ
読んでみて
こちらの本は、「恋」という観点、つまり本居宣長の恋愛や結婚などの視点から、彼の思想・主張を記したものです。
とは言っても、彼の人生をただ淡々と記しているわけではなく、この本は「日本文学論」としてのジャンル個性が強く、読者に向けて著者丸谷才一自身の主張を細かく丁寧に述べています。
さらに、丸谷氏の文章は美しく簡潔に記されているので、読者にとっても非常にわかりやすい本となっています。
みんなのレビュー
古典批評の三部作の1つ。日本文学における恋愛物語/女性重視の特性を、前半は主に本居宣長の考察、後半は平家物語の女人往生から読み解き、最後には失われた女系制への憧れを考察する。博学な知識はもとより、作家らしい直感も併せ持っていて、読んでいて視野が広がるようで楽しい、オススメです。
引用元:読書メーター
日本人のこころの言葉 本居宣長
読んでみて
こちらの本は、「日本の原点を研究していた本居宣長」ということに重点を置き、「物のあはれ」とは何か、日本とはどういう国か、という議論を記したものです。
さらに、題名通り「日本人のこころ」という観点にも着目し、日本人の心を大切にした思考者たる本居宣長の特徴を、筆者の主張として述べられています。
彼の思想は現代日本に生きる私たちにも通ずるものがあり、日本の歴史、文化に対して誇りを持つことの大切さ、日本のすばらしさにも気づくことが可能です。
みんなのレビュー
最終章の「本居宣長の生涯」に学ぶとこがありました。 時間を要したとしても、心が「すっきり」するまで自分で考え尽くす・・・。 また、P29「異文化を絶対視する風潮に警告」は現代においても通じることかと・・・。
引用元:読書メーター
本居宣長『古事記伝』を読む
読んでみて
こちらの本は、その名の通り『古事記伝』を読み解いていくものです。全四十四巻の長い『古事記伝』を、著者神野志隆光氏独自の解釈を取り入れながら、徹底的に解説しています。
『古事記伝』を解説している本はこの世に山ほど存在しますが、この本の特徴は、まず『古事記伝』に従った『古事記』の読み下し文を記し、次に『古事記伝』を引用しつつ著者が解説していく、という点です。
この形式は大変頭に入りやすく、なおかつ神野志氏の個性ともいえる「ですます」調と相まって、読者にとって非常にわかりやすい文体で記されています。
みんなのレビュー
これは古事記解説書の解説書である。かように古事記を読むのは難しい。どうよむ(訓)のかが、どうよむ(読)のかに繋がる。とても勉強になりました。著者に感謝します。これだけ苦労して書かれた古事記だが、なぜ独自の仮名文字を新規開発しようとは思わなかったのだろうか。その方が後世に伝わりやすいのではないのか。ことばの持つ霊力のようなものという概念や伝統と関係あるのだろうか。謎だ。
引用元:読書メーター
まとめ
それでは、最後に本居宣長の本選びのポイントをまとめます。
- 本居宣長の主張は、解説付きの書籍で読むと理解しやすいです
- 本居宣長の思想は現代日本にも通ずるものがあります
- 本居宣長の書籍を選ぶときは、簡潔文体で記され、なおかつ人生などの背景知識を解説しながらわかりやすい表現の多いものを選ぶのがおすすめ
本居宣長は歴史上の人物として有名な存在ですが、その人生・思想について知る人は数少ないです。
以上にまとめた本を読めば、きっと本居宣長について深く知ることができ、なおかつ彼の主義・主張を現代日本に活かすことができるでしょう。