「文化人類学に興味があるんだけど、どの本を読めば勉強できるの?」
「文化人類学の本はどれも難しそうで、分かりやすい本ってないの?」
さまざまな地域の文化の違いを研究する文化人類学は、その地域に生きる人々の暮らしを観察・研究することで、別の地域の人々の生活上の課題を解決することがあります。文化の研究を通して今まで見逃していた人類の暮らしにおける選択肢や可能性を発見できるという魅力があります。
この記事では、文化人類学に興味を持ち文化人類学の本を数多く読んだ筆者が、これから文化人類学を学ぶ方に向けたおすすめの本を紹介します。
この記事を書いた人
一橋大卒 歴史学専攻
Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。
7位:人類学のコモンセンス―文化人類学入門
読んでみて
本書は主に大学の一般教育における文化人類学の教材として執筆された入門書となります。
文化、自然、性差、血縁、子供観、死、けがれ、暴力、交換、個人、歴史の11項目で解説が為されています。難易度が低いうえに解説のボリュームが多く、文化人類学の基本的な考え方を理解できます。
この本を通して研究者の調査や研究・人類学の作業を追体験することで、文化人類学のコモンセンス(常識・良識)を学ぶことができます。
これから文化人類学を大学で学びたいという方にオススメの入門書となります。
みんなのレビュー
無し
6位:文化人類学入門 (中公新書 560)
読んでみて
文化人類学は、社会・文化・経済・宗教など様々な分野、もしくは異なる世界の民族の文化を比較検証する学問です。
この本では様々な分野・地域における多くの文化の事例や専門用語が詳細に解説され、分かりやすい言葉で記述されているので、幅広い知識が得られます。
1979年に刊行されてから多くの読者に読まれ、版を重ね増補改訂され続けているため、文化人類学界の新しい情報が得られるので入門書としては読みやすい1冊です。
みんなのレビュー
文化人類学入門。軽く感想だけ。
文化人類学の歩みと、どういうことを研究してきたのかについてざっくりとまとめられた本。
人類学の「崇高な目的」について読んだばっかですが、この本の「分析と分類」を目的とする文化人類学でも、ぼくはそんなに違和感がない。
従兄弟婚の役割とかおもろいし^_^ pic.twitter.com/cCq3uDN4hh
— CUPY(from HELL) (@cupyfromhell) June 1, 2020
5位:よくわかる文化人類学[第2版] (やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ)
読んでみて
文化人類学の学界で活躍されている研究者が執筆・作成した、ミネルヴァ書房のよくわかるシリーズの書籍となります。
見開き2ページもしくは4ページで重要なトピックを解説し、図表を用いた説明や専門語句の解説、参考文献の掲載が為されています。
解説は分かりやすい文章で書かれ、日常と学問の結び付きも説明されています。この本の始めの部分にも書かれていますが、これから文化人類学を学ぶ学生向けに製作されており、掲載されている参考文献をこの本をきっかけに読めばより文化人類学の世界に入り込めます。
みんなのレビュー
無し
4位:メイキング文化人類学
読んでみて
フィールド調査とエスノグラフィー(民族史)調査を中心に、文化人類学における様々な手法の誕生に関わった10人ほどの研究者とその作品について1章から10章に分けて説明され、彼らの理論・アプローチを比較しています。
こちらは入門書というよりも文化人類学がこのようにして生まれたと解説し、これからの文化人類学の進む課題について考えさせる書籍ですので、『文化人類学とは何か』と説明している入門書を読んでからこの本を読むことをオススメします。
みんなのレビュー
無し
3位:人類学とは何か
読んでみて
著者のティム・インゴルドは文化人類学の観点から、現代思想やアートなどの文化に関する様々なジャンルを批評する人類学者です。
世界が直面する未曾有の危機と人類学を絡めて論じているこの本は、人類を学ぶ際に普遍的な『体』(自然)と変化する『心』(文化)に二分化しながらも互いに影響しあうことを説明しています。
文化人類学を現代までのアートと結びつける著者の考え方を知ることで、文化人類学の観点を様々な場面で活用する考え方を理解できる1冊です。
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無し
2位:文化人類学キーワード 改訂版 (有斐閣双書)
読んでみて
タイトルのとおりこの本は文化人類学の専門用語がまとめられています。
基礎論と研究史、文化の多様性、文化のダイナミズム、社会のコンプレクシティ、現代のエスノグラフィー、の5章に分けて文化人類学のキーワードが見開き2ページで説明されています。
文化人類学の入門書となる書籍を読んだ際に「この用語ってどんな意味だっけ?」と思った時に使える辞書として傍らに持っておくと良い1冊です。
みんなのレビュー
山下 晋司 (編集), 船曳 建夫 (編集) 『文化人類学キーワード』読了。僕らが日常のうち、知らぬ間に使っている「魔法」についてを感想文として書いた。 http://t.co/E7HOfzY
— 脱コットン (@image_streamer) August 19, 2011
1位:21世紀の文化人類学 (ワードマップ)
読んでみて
現代において呪術、儀礼、未開社会といった古典的な人類学の対象は失われましたが、『開発』『災害』『コモンズ』『差別』『アソシエーション』などの現代的なキーワードから21世紀の人類学を紐解きます。
未開社会が喪失し『グローバル化』が進む現代でも、地域ごと・民族ごとに文化の違いがまだまだ残っています。この本では現代に生きる民族誌の具体例が示され、21世紀の今の世の中でも文化人類学の研究対象となる文化が魅力的なものばかりだと知ることができます。
みんなのレビュー
無し
まとめ
文化人類学は結局のところフィールドワークがメインとなりますが、研究事例を読むことを通して手法や専門用語などの知識を身に付けておけば、実際に現地調査に赴いた際に様々な観点からそこでの文化を研究するのに役立ちます。
これから文化人類学を学ぶ際には、ぜひここでご紹介した書籍を読んでいただき、文化人類学の世界をいっそう好きになってください。