白洲正子の代表的な著書一覧
能
- 『お能』1943年 (『お能・老木の花』として1993年再刊)
- 『お能の見方』1957年
- 『能面』1963年
- 『花と幽玄の世界ーー世阿弥』1964年(1996年再刊)
- 『魂の呼び声ーー能物語』1978年
巡礼
- 『巡礼の旅ーー西国三十三カ所』1965年(『西国巡礼』として1974年に復刻、1985年再刊)
- 『かくれ里』1971年(1992年に復刻版発刊)
- 『近江山河抄』1974年(1995年再刊)
- 『十一面観音巡礼』1975年(1992年に復刻版発刊)
人物伝
- 『明恵上人』1974年(1992年再刊)
- 『西行』1988年(1996年再刊)
着物・工芸
- 『きもの美ー選ぶ眼・着る心』1962年
- 『日本のたくみ』1981年(1984年、1997年再刊)
古典
- 『謡曲平家物語紀行 上・下』1973年
- 『私の百人一首』1976年
- 『謡曲・平家物語 旅宿の花』1982年
エッセイ
- 『韋駄天夫人』1957年
- 『道』1979年
- 『遊鬼 わが師 わが友』1989年
- 『いまなぜ青山二郎なのか』1991年
- 『随筆集 夕顔』1993年(1997年再刊)
- 『両性具有の美』1997年
白洲正子の功績
功績1「『こうげい』の経営を通して、和服の魅力を伝えた」
戦後、特別なときの晴れ着になった和服を普段着として、正子は人々に紹介しました。
銀座に開かれた染織工芸店「こうげい」では、和服の作り手たちと交流することで、多くの作品を紹介しました。そして、作り手と着る人の距離を近づけたのです。
正子が愛した絣や紬はどれも正子の美意識にかなったもので、同時に普段着として着られる実用性もありました。正子が普段から愛用できる和服を紹介したことで、和服は廃れずに済みました。和服を通して、正子は日本文化の魅力を私たちに伝えてくれたのです。
功績2「日本古典を再評価、私たちの価値観を変えた」
留学経験のある正子は、日本の古典文学にも魅力を見出し、それを私たちに伝えてくれました。
特に西行に惹かれていた正子は、その歌を解釈しながら足跡を辿り、西行の思いを理解しようとしました。歌の解釈を机の上で行わず、その場所まで出かけて行ったことで、その文章はわかりやすく、古典の魅力を私たちに存分に伝えたのです。
学者の論文に比べてわかりやすい正子の文章は、私たちの古典に対する考えを変え、その価値を再認識させました。
白洲正子にまつわる逸話
逸話1「物欲の塊」
正子は、自分の審美眼に叶ったものは何でも手に入れていました。江戸時代に庶民が旅で着ていた道中合羽もその一つで、執筆中に身に纏っていたと言われています。他にもYMOのレコードや縄文時代の石器、どこかの宿屋の半纏など、遺品には興味深いものが盛りだくさんです。
逸話2「得意料理はトースターでパンを焼くこと」
母の常子も料理はしなかったようですが、正子も料理が苦手でした。しかし唯一トースターだけは使えたようで、得意げにパンや餅を焼いていました。白洲家では料理をするのはお手伝いさんか、娘の桂子だったようです。