【24年1月最新】ナイチンゲールをよく知れるおすすめ本ランキングTOP8

フローレンス・ナイチンゲール

彼女は「クリミアの天使」とまで呼ばれた、現代の看護師の原型となった人物であり、今もなおその功績を讃えられる、まさに偉人と呼ぶにふさわしい女性です。おそらく大抵の方々は、ナイチンゲールと言われれば、「天使」というあだ名にふさわしい、清楚可憐で心優しい女性をイメージするのではないでしょうか。

しかしその一方で、「医療研究の邪魔になるからと、婚約を破棄した」「足りない物資に業を煮やし、上層部の決定を待たずに、物資を”素手で木箱を叩き割って”開封した」などの、苛烈なまでの強さを示すエピソードも数多く残っています。そのようなエピソードを知ると、ナイチンゲールの素の人間性については、現代の我々が抱くイメージとは大きくかけ離れているとも言えそうです。

と、そのような多くのエピソードを残した彼女には、当然伝記や略年譜、研究資料なども多く、彼女のことについて知ろうと思っても、如何せん資料が多すぎる故の「どこから手を付ければいいのか分からない!」という状態にぶつかることが多々あります。

そこでこの記事では、ナイチンゲールについて知るために「これだけは読んでおいてほしい」という本を8冊、おすすめ順のランキング形式で紹介していきます。

実は幅広い分野に功績を残しているナイチンゲールに準じるよう、なるべく広範囲に扱っていきますので、まずはどんどん読み進めていってもらえると嬉しいです。

この記事を書いた人

Webライター

ミズウミ

フリーライター、mizuumi(ミズウミ)。大学にて日本史や世界史を中心に、哲学史や法史など幅広い分野の歴史を4年間学ぶ。卒業後は図書館での勤務経験を経てフリーライターへ。独学期間も含めると歴史を学んだ期間は20年にも及ぶ。現在はシナリオライターとしても活動し、歴史を扱うゲームの監修などにも従事。

フローレンス・ナイチンゲールとは何した人?生涯・功績まとめ【年表付き簡単解説】

8位:ナイチンゲール著作集

読んでみて

ナイチンゲール自身が著した多くの文書をまとめた著作集です。凄まじく長く分厚いため、図書館などで読むことをお勧めします。

看護の前線から退いてから、なんと50年もの間ベッドの上で文筆活動を続けたナイチンゲール。そんな彼女の書いた著作が纏められているため、理解することを考えずに読み終えるだけでも、相当の時間がかかります。当時の歴史や思想などを知らないと誤解してしまいそうな表現も多く見られ、この本からナイチンゲールに触れようとするのは、正直お勧めできません。

しかしそこに綴られているのは、他でもないナイチンゲール自身の言葉。歴史や思想、あるいは彼女自身の置かれた状況などとつなぎ合わせて読んでいくことで、「彼女が何を成し遂げたかったのか」「何に喜びを覚えたのか」。そう言った、彼女の本来の人間性を知ることができる書籍となっています。

重ねて言いますが、「とてつもなく難しく、そして長い本」です。しかし、ナイチンゲールという人物について、余すところなく知りたいという方であれば、挑戦する価値はある本であると感じました。

みんなのレビュー

やはりナイチンゲールは何かにつけて書いていないと落ち着いていられない性であることが感じられてくる。「看護覚え書」では、訳者が絶賛している上で、例えば感染症対策においては現代では明らかに「誤り」であることもないわけではない。しかし、ナイチンゲールが「看護覚え書」を出版した1859年~1860年にはまだ結核菌も発見されておらず、細菌やウイルス感染が感染症を引き起こすということが知られていなかった。そういう時代背景を頭に入れておかないと「誤読」に陥る危険性も孕んでいる。

引用元:読書メーター

7位:親愛なるナイチンゲール様: あなたが弱き者と共にあったように

読んでみて

筆者である川嶋みどり氏の視点から、ナイチンゲールが現代に働く看護師に与えた影響について書かれた一冊です。川嶋氏の視点で描かれた書籍のため、研究資料や歴史書というよりは、エッセイのような読み物として読める作品だと言えるでしょう。

戦後という大変な時代の中、日本の看護の発展のために力を尽くした川嶋氏の視点から見るナイチンゲール。個人の視点で語られている分、それはリアルかつ直截で、読者の心に響くことは間違いありません。

形に残る「看護体系」や「制度体系」以外にナイチンゲールが遺したもの。そういう「ナイチンゲールの精神」の部分を深く掘り下げたい方にお勧めしたい一冊となっています。

みんなのレビュー

著者の看護師になって駆け出しの頃のエピソードが書かれている。全身が真っ黒な垢で覆われた小児がんの少女。この少女の垢を少しずつ拭っていき少女が笑顔になったことで著者は初めて「看護を発見した」。その後初めてナイチンゲールの看護覚え書を読み、自分のあの少女にしたことと同じことが書かれていた。来年生誕200年の5月12日を迎えるに当たり現代の科学や医療技術や環境問題が横たわる中でナイチンゲールの思想は現代にこそ通じそこは古さも新しさもない。それに応えて来年YESと言えるかどうかの総括がこの本の最大のテーマである。

引用元:読書メーター

6位:統計学者としてのナイチンゲール

読んでみて

「看護師として」ではなく、タイトル通りの「統計学者としてのナイチンゲール」について知るには、この本を読むのが最も分かりやすいように感じます。

統計学者としてのナイチンゲールは、かなり専門的な分野を扱っていたため、看護素人である筆者を含め、専門家ではない人間には少々ハードルの高い一冊ではあります。しかし時間をかけて読み進めていくことで、ナイチンゲールがどのような看護体制を理想としたのかが見えてくる、月並みな言い方ですが、とても「深い」書籍となっていると言えるでしょう。

また、ナイチンゲールの強く苛烈な一面も多く見られる一冊なので、ナイチンゲールの素の人間性を知りたい方にもお勧めできる一冊だと思います。

みんなのレビュー

近代看護学の創始者・ナイチンゲールの、統計学における業績を解説したもの。彼女が残した統計表やグラフも載っているけれど、医学や看護学に疎い自分にはハードルが高い。死亡率や平均入院日数の計算方式を考案したとあるけれど、統計学者というより、統計を巧みに看護学に応用した科学者という感じ。

引用元:読書メーター

5位:クリミア戦争(上・下)

読んでみて

正確には「ナイチンゲールに関する書籍」ではありませんが、彼女の活躍を語るには、この戦争のことは外せません。ナイチンゲールが「クリミアの天使」とまで呼ばれるようになった、クリミア戦争について描いた一大巨編です。

ナイチンゲール日関わる描写は少ない書籍ですが、戦地での傷病兵の悲惨な扱いが生々しく描かれており、ナイチンゲールの存在や功績がどれだけ多くの人を救ったか、この本を読むことで想像できるようになるかと思います。また、戦場の部分だけでなく、各国の政治的な部分も詳細に描かれているため、「なぜ戦争が引き起こされてしまうのか」について考えるにも適した一冊だと感じました。

歴史は単純なものではなく、多くの人間の人生や思想の積み重なりです。ただ盲目的に「ナイチンゲールすごい!」で終わらせるのではなく、彼女が生きた当時の現状を知ることで、「ナイチンゲールの”何”が凄いのか」を、この本と共に考えてみてはいかがでしょうか?

みんなのレビュー

何十年か前に世界史を勉強した際には古今東西の世界の全歴史の概要を網羅的に把握したと自負していたのだが、長い年月を経た今となっては、クリミア戦争について、その時代背景どころか、どことどこの間の、いつ頃の戦争かすらきれいさっぱり忘却しているのが情けない。しかし、却ってそのおかげでこの本を新鮮に読むことができた。英仏露土の各国の政治・宗教事情も含めて、クリミア戦争に至る時代状況が大きなスケールで描かれている力作。その一方で、傷病兵士の悲惨な状況描写も生々しい。この後、戦争がどう進んでいくのか下巻も楽しみ。

引用元:読書メーター

4位:看護覚え書―何が看護であり、何が看護でないか

読んでみて

看護の最前線を退かざるを得なくなり、それでも医療分野の発展のためにと文筆活動に励んだナイチンゲール。そんな彼女が遺した書籍の中で、もっとも有名なのはおそらくこの一冊だろうと思います。

現在も看護学校などで教科書として使われており、とても古い本でありながら「看護とはどうあるべきか」という当時からの普遍の原則についてが平易な文章で書かれた読みやすくためになる本となっています。

職業として看護に携わる方はもとより、身近に介護や看護が必要な方にも読んでほしい。さらに言うなら、介護や看護をされる側、病院を受診したことがある方――つまりは全ての人に読んでほしい一冊となっています。

みんなのレビュー

(昔書いたものを一部改変)看護師の必読書らしく、著者自身も看護論に限定されると述べてはいるが、管理一般のあり方など、看護を離れてもなお含蓄に富む内容。合理主義者ナイチンゲールの眼にいかに当時の医療状況というものが耐え難かったか、英国人得意の皮肉がふんだんにちりばめられた文章から その危機感がひしひしと伝わってくる。 そして病人に接する者に対して容赦はない。それは合理主義者としての、病人に対する誠意でもある。

引用元:読書メーター

3位:新版 ナイチンゲール看護論・入門 ―『看護覚え書』を現代の視点で読む

読んでみて

上述の『看護覚え書』を、現代の習慣や行動に当てはめて解説してくれている書籍です。『看護覚え書』は、現代にも通じることが数多く書かれているとても良い本ではあるのですが、やはり文化的な部分でわかりにくさや古臭さは残ってしまっているため、そう言った面を現代的に解説し直してくれる、とてもありがたい一冊となっています。

「『看護覚え書』の難しさに挫折しそう……」という方には、こちらの本をお勧めします。この本で「ナイチンゲールが言いたかったこと」を知り、それから原点の『看護覚え書』に戻ると、ナイチンゲールの発想の深淵さに驚かされることは間違いありません。

皆様も是非この本を読んで、ナイチンゲールの思想の深さに触れてみてほしいと思います。

みんなのレビュー

起きたら窓全開にする習慣( ̄▽ ̄)これだけは守れてる、雪の朝でも…保温?忘れてた。

引用元:読書メーター

2位:ナイチンゲール (やさしく読める ビジュアル伝記)

読んでみて

おそらく歴史好きの誰もが読んできたであろう『漫画で分かるシリーズ』の最新版です。絵柄は現代チックに可愛らしくリニューアルされており、古臭さを感じることなく、ナイチンゲールという人物について知っていくことができます。

よくクローズアップされる「看護師」としての側面だけでなく、ナイチンゲールの「女性」としてのエピソードなどもきちんと盛り込まれていますが、やはりそこは児童向けであるためにマイルドに抑えられているため、「”強い女性”としてのナイチンゲールが好き!」という方には、少々物足りないかもしれません。

総括するに、ナイチンゲールに興味を持つにはぴったりの書籍ですが、個人的にはこの書籍だけで終わらずに、別の本などで彼女のより深い内面に触れてほしいと感じる一冊でした。

みんなのレビュー

ナイチンゲールファンなので、見つけてつい手に取ってしまった。こんなかわいくリニューアルされてて今の小学生が見やすくなっててナイスと思いました。ナイチンゲールは人間関係でとても辛い思いをした人だけど、その内容はマイルドになっていた。確かに詳しく知ってもビビるだけかも。でも、そこが私の中でのナイチンゲールの魅力のほとんどな訳だけども。

引用元:読書メーター

1位:ナイチンゲール(講談社 火の鳥伝記文庫)

読んでみて

おそらく最も簡単に読めるナイチンゲールの伝記は、この一冊だろうと思います。上記『漫画で分かるシリーズ』と比べると、さすがに字が多い本故の難しさはありますが、それでも小学校高学年ほどなら問題なく読める簡単な本になっています。

文章そのものはかなり平易な形で書かれているため、とても読みやすいのですが、書かれている内容はかなり詳細「ナイチンゲールという女性が、如何にして看護の道を志したのか?」「”看護師”という職業を社会に認めさせるため、彼女はどう行動したのか」など、多くの人が疑問に思うだろう事柄について、丁寧に記されている一冊です。

ナイチンゲールが歩んだ足跡を知りたいのであれば、この一冊を読むだけで8割方理解できてしまえるかと思います。

みんなのレビュー

読みやすくて分かりやすかったです(^^) ナイチンゲールは昔他のものを読んだ記憶があったのですが、初めて知ることばかりで…ナイチンゲールじゃなかったのかな?(笑) 観劇を観てうっとりするだけでなく楽譜や台詞などを研究したナイチンゲール。 私も好きなものやお仕事を彼女みたいに徹底的に研究してみたいと思いました。

引用元:読書メーター

まとめ

「クリミアの天使」でありながら、苛烈な「小陸軍省」でもあったナイチンゲール。

現代の我々が抱くイメージ像とは異なる側面を数多くもつ人物なだけに、彼女を知るためには非常に多くの記録を漁らなくてはなりません。それは一朝一夕で知れるものでは断じてなく、1年や2年、それ以上の月日だって普通にかかってしまうほどには大変な作業です。

そこで、この記事では皆様の学びを少しでも助けられるよう、「ひとまずこれさえ押さえておけば安心」といった書籍から、「これさえ読めれば後はいくつかの解説書を読むだけで大丈夫」といった本まで、幅広く紹介させていただきました。

この後は、同サイト内に同じ筆者による『【年表付】フローレンス・ナイチンゲールとはどんな人?名言や功績まとめ』という記事がありますので、そちらを覗いてみるのもよろしいかとは思います。

しかし歴史とは結局主観です。ですので、記事を記したものとしては少々無責任ですが、記事だけで満足するのではなく、やはり自らの目と手で本を読み「自分なりの解釈像」を作り上げていくことをお勧めいたします。そしてその学びに、この記事が少しでも役立ってくれれば幸いに思います。

それではこの記事にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。