宮沢賢治作品が詰まったおすすめ本10選【文庫、童話や詩集・絵本も紹介】

宮沢賢治のおすすめ絵本・童話・漫画

画本 風の又三郎

読んでみて

日本を代表する影絵作家・藤城清治が宮沢賢治の「風の又三郎」に美しい絵をつけました。この作品で藤城清治は宮沢賢治賞を受賞、「宮沢賢治の思いを魂で描きたい、と思って表現した」と講演で述べています。その影絵は葉の一枚一枚や学校机のフォルムに至るまで綿密に表現されていて、宮沢賢治の作品世界から遠く離れた私たちにもリアルに感じられます。

どちらかというと影絵がメインの作品なので、美術や絵本、イラストが好きな人にも読みやすいでしょう。こちらのシリーズはほかに『銀河鉄道の夜』「セロ弾きのゴーシュ」があり、そちらもおすすめです。

みんなのレビュー

最初の校舎の影絵の頁を開いた途端、心を鷲づかみにされた! 90歳を目前にしてこれほどまで美しく細やかで生き生きとした作品が制作できるとは素晴らしく、驚きと感謝の気持ちで一杯になる

引用元:bookmeter

童話絵本 宮沢賢治 やまなし

読んでみて

宮沢賢治の作品のなかでも、とりわけ不思議な味わいの「やまなし」を、同じ岩手県出身のイラストレーター・田原田鶴子が美しいイラストで絵本に仕立て上げた1冊です。田原田鶴子は1997年から宮沢賢治作品に的を絞った作品制作を続けていて、ほかにも「風の又三郎」「銀河鉄道の夜」「チュウリップの幻術」を絵本にしています。

「やまなし」は、カニの兄弟を主人公にした作品です。「クラムボンはわらったよ」「クラムボンはかぷかぷわらったよ」という不思議な一節を目にしたことはある人も多いのではないでしょうか?賢治の独特な言語感覚が存分に生かされた、思わず声に出して読みたくなる作品です。

みんなのレビュー

表紙の絵が幻想的で綺麗です。どのページもとても美しく魅入ってしまいました。後ろに用語解説があって、どのページに掲げられているのかもわかるので、とても親切だなあって思いました。

引用元:ehonnavi

宮沢賢治絵童話集

読んでみて

荒井良二やスズキコージなど、日本を代表するアーティストが宮沢賢治の童話に絵をつけた絵童話集です。例えば、「注文の多い料理店」には飯野和好が、「グスコーブドリの伝記」にはスズキコージが絵を制作しています。こちらは15冊セットですが、お気に入りの絵本作家やアーティストが制作したものを選ぶのもよいでしょう。

元々は絵のついていなかった宮沢賢治の童話ですが、絵がついたことによって子どもたちも親しみやすいものとなっています。既に有名な絵本を描いているアーティストばかりなので、「この絵、見たことある!」という作品もあるでしょう。初めて賢治の作品に触れるときにもおすすめの絵童話集です。

みんなのレビュー

グスコーブドリの伝記―猫の事務所・どんぐりと山猫

読んでみて

こちらは「グスコーブドリの伝記」の登場人物をネコにキャラクター化した漫画です。作者のますむらひろしは山形県出身の漫画家で、賢治の原作に忠実でありながら、オリジナリティ溢れる表現をしています。この作品を含んだ「ますむら・ひろし賢治シリーズ」では『銀河鉄道の夜』『風の又三郎』など賢治の代表作がたくさん漫画化されています。

「登場人物がネコに…?」と思う人もいるかもしれません。けれども、賢治の描く「イーハートーブ」の世界を表現するにはぴったりの方法だと感じます。この『グスコーブドリの伝記』は、2012年にアニメ映画にもなりました。

みんなのレビュー

どれもこの漫画を読んだ後で原作を読みました。擬猫化されているのに、妙にしっくりしていて、賢治の世界観そのままであったことに驚き。

引用元:bookmeter

宮沢賢治が題材のおすすめ関連本

宮沢賢治の真実:修羅を生きた詩人

読んでみて

宮沢賢治と同じ東北に生まれた著者・今野勉が謎解きをするように賢治の真実へと迫っていくこの本は、圧巻のドキュメンタリーとして楽しめます。著者の調査研究は「執念」とも呼べるほどで、その情熱をなぞるように読めるのが幸せです。

この本を読むと、宮沢賢治の美しい作品群がどれほどの悲しみ、苦しみに裏打ちされて制作されたものなのかが分かります。賢治の妹・トシの死を描いた「永訣の朝」、賢治が自分自身を「修羅」と呼んだ詩集『春と修羅』。賢治のさまざまな作品が、著者の調査によって人間の業をはらんだより奥深いものへと姿を変えていきます。

みんなのレビュー

宮沢賢治は達観した、聖人のような人だと思っていましたが、この本を読むと、賢治の人間らしい生々しい部分が見えてきて、賢治も普通の人と同じように、悩んだり苦しんだりしたのかな、と親近感が湧いてきます。

引用元:bookmeter

宮沢賢治のオノマトペ集

読んでみて

「風の又三郎」の「どっどどどどうどどどうどどどう」や、先ほどご紹介した「やまなし」の「かぷかぷ笑ったよ」など、宮沢賢治の使うオノマトペはとても独特です。そのオノマトペに注目し、編集者・杉田淳子が文章を、イラストレーター・尾崎仁美がそれぞれの単語を表現した愉快な手書き文字を書いて本にしました。

この本は右ページに手書きのオノマトペ、左ページにはその単語が使われている場面の引用と解説という構成になっていてすらすら読み進められます。賢治はこんなに多彩なオノマトペを作っていたのかと驚かされます。この本を読んだ後に、オノマトペから興味をもった作品を読んでみるのも面白いでしょう。

みんなのレビュー

本書の中で手書きで表現されたオノマトペが、文としての面白さに加えて、視覚でも十分楽しめることを示している。そして、賢治の書いた物語は、声に出して読むことで、より一層生き生きと目の前に立ち上がってくることを再確認する。黙読して、見て、音読して、3度楽しめる本。

引用元:bookmeter

まとめ

今回は、宮沢賢治のおすすめ本ならびに関連本を10冊紹介しました。

宮沢賢治の作った言葉の1つに「イーハトーブ」があります。賢治の心の中にある理想郷を意味する言葉で、出身地の「岩手」が語源になっているといわれています。

賢治の心の中の理想郷、それはすなわち賢治が書き続けた童話の世界にほかなりません。その一端に、私たちは童話や絵本を読むことで触れることができます。ぜひ、興味をもった作品を手にとってみてください。

1 2