「世界遺産について、もっと知りたい!」
「海外旅行に行くので、この機会に現地の世界遺産を見ておきたい!」
そんな風に考えて、関連書籍を探してみるとします。しかし、たくさん並ぶ書籍に、まずどういった本を選べばよいのか悩んでしまったり、読んでみたものの今一つほしい情報を得られず困ってしまったりといった経験はありませんか。
世界遺産は、いまや世界中の耳目をあつめる国際的なキーワードのひとつです。それだけに、海外旅行においても人気のツアーが多数組まれていますし、本屋さんへ行けば多種多様な書籍が並んでいます。人間の英知が作りあげ、今日まで守り抜かれた世界遺産。今回は、そんな「世界遺産」関連書籍を取り上げました。
書店をハシゴして世界遺産関連本を探したこともある筆者が、世界遺産に関する魅力的な書籍を10冊ランキングにしてご紹介します!
この記事を書いた人
一橋大卒 歴史学専攻
Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。
10位:すべてがわかる世界遺産大事典<上> 世界遺産検定1級公式テキスト
読んでみて
マイナビ出版社から刊行の「世界遺産」関連書籍で、大辞典と銘打たれています。<上>というタイトルからもわかるとおり、<下>もあります。2冊とも「世界遺産検定1級」公式テキストとしても採用されており、こちらの位置づけの方が権威がありそうに感じられる本です。
内容は、「世界遺産」にテーマを絞った歴史の教科書というような構成になっています。写真もカラーで大きく、文章レイアウトも読みやすい感じがします。しかし、さすがに1級だけあって内容は平易というよりはやはりマニアックであるように思われます。読む人を選ぶかもしれません。
9位:消滅遺産 もう見られない世界の偉大な建造物
読んでみて
日経ナショナル ジオグラフィック社刊行の「世界遺産」関連書籍で、現在ではみられなくなってしまった世界遺産、いわゆる「消滅遺産」をテーマとした本です。いまではもう見られないものを集めるという趣向は、はやり玄人向けだろうということで、ここでのご紹介としました。
形あるものはいつか滅びる、ということは頭ではわかっていても、かつて栄華を極めたその名残である世界遺産が無残に打ち砕かれるのは、やはり悲しいというほかありません。ここはもう一歩踏み込んで、次代へ伝え遺していくという「世界遺産」の理念を思い起こしておきたいと思います。過去と未来の人々のためにも、それは現代を生きる我々にしかできない務めのはずだと……読んでいてそんなことを考えてしまいました。
みんなのレビュー
今現在その姿をもう見られない建造物が紹介されている本です。遺産として何百年、何千年も残されていた建造物が、自然災害、紛争、開発、などによって破壊され失われています。きっとこの本に記載されているのは全体のほんの一部なのでしょう。初めは歴史を感じる写真にただただ感動していましたが、ページをめくるにつれ、破壊された姿を見るのが辛くなっていきました。戦争や宗教的な理不尽な理由で破壊されるのは残念でなりません。何年も残ってきたのはなぜか。風土や天候だけでなくその土地の人々の敬意の対象や拠り所となっていたのかなと。
引用元:読書メーター
8位:[フォトミュージアム]ユネスコ 世界の無形文化遺産
読んでみて
原書房から「世界遺産」関連書籍として刊行された本書は、「無形文化遺産」にスポットをあてたものです。ちなみに、無形文化遺産は「慣習、描写、表現、知識及び技術並びにそれらに関連する器具、物品、加工品及び文化的空間であって、社会、集団及び場合によっては個人が自己の文化遺産の一部として認めるもの」(無形文化遺産の保護に関する条約第2条)とされています。
無形というだけに、いままであまり見たことがないような文化財が多く掲載されており、個人的にはとても興味深く読み進めることができました。また、無形というだけに保存の難しさもあり、将来にわたって遺していくことの難しさについても気になりました。
みんなのレビュー
図書館から。世界の珍しい祭礼や普段見ることが出来ない工匠のアトリエ等、無形文化遺産57件掲載。写真がどれも素晴らしく、祈りに似たものを感じます。印象深いのはトルコ、メヴレヴィー教団の儀式。青い光の中、白い衣装が鮮やかに浮かび上がる。踊り手の位置は太陽系内の惑星の位置。イタリア、クレモナのヴァイオリンの製作技術、木の削り目が柔らかく美しい。表紙はボリビア、オスロのカーニバル。大天使ミカエルに扮する踊り手。他にも歌舞伎、和紙やフラメンコ、ナポリピッツアの職人技まで!意外な歴史や側面にも触れることができました。
引用元:読書メーター
7位:世界遺産になった食文化〈1〉くらしを豊かにするフランス料理
読んでみて
WAVE出版から刊行されている「世界遺産」関連書籍で、食文化にスポットをあてたシリーズのです。その第1弾を飾った「フランス料理」編を今回は取り上げました。同シリーズは、2020年2月現在で8冊が刊行され、世界遺産としての食文化を写真と解説で紹介してくれています。
フランス料理といえば、世界一有名な料理といっても過言ではないでしょう。しかし、フランス料理が世界遺産に登録されたのは、単にそれだけが理由ではなく、家族を中心とする記念や祝賀といった人と人との絆を伴っている点にあるとされています。そういう視点で料理を眺めてゆくと、やはりこれも「世界遺産」なのだなと実感ができます。
みんなのレビュー
一言でフランス料理と言っても地方によってバラエティが豊か。大量生産品の普及に伴い「パン屋さん」を名乗るにも基準が出来るなど、食の定義が厳格。華やかで色とりどりの料理がたくさんで、このシリーズは写真がきれい。
6位:名景世界遺産 文化遺産編
読んでみて
パイインターナショナル社の「名景 世界遺産」シリーズから「文化遺産」編のご紹紹介です。同じシリーズに「自然遺産編」、「街並み編」、「水辺編」などがあります。単に写真を撮って集めました、というものではなく、被写体ごとに「より美しく映える」写真を撮ろうという意思をつよく感じます。世界ってなんて美しいんだろう!と思わずにはいられません。
おそらく漫然と海外旅行でみてくるよりも格段にすばらしい「世界遺産」の姿を示してくれているのではないかと感じます。「世界遺産」を語るとき、海外にいくことはもちろん一つの体験として貴重なものですが、海外旅行にいけない人にも、それに代わる感動を与えてくれる書籍です。
みんなのレビュー
この本、いいですね! ちょっとした旅行気分に浸れます。 今の時代ネットがあるので画像や位置などすぐにわかるのですが、心に感じさせる力は写真のほうが大きいと感じます。 テレビやネットで見たことあるのもありますが、大部分は初めてみる景色ばかりです。 中国の莫高窟に行ってみたいですね。
引用元:読書メーター
5位:ナショナル ジオグラフィック 絶景世界遺産
読んでみて
日本を飛び出し、世界の「世界遺産」を見ていきましょう。地球上の「冒険」と「発見」を伝えることを理念とするナショナルジオグラフィック社の「世界遺産」をテーマとした書籍です。写真のすばらしさは言うまでもありません。写真を邪魔しないように配された説明も、ちょうどいいガイド的役割を果たしてくれています。
1枚1枚の写真のもつ「伝える力」が圧倒的に強く、眺めていても飽きる気がしません。写っているものの一つ一つが、わたしたちに向けられた何らかのメッセージをもっているような気さえしてきます。命のあるものもないものも、有機的なものも無機的なものも、なにか意味があってこのように存在しているのではないか……。そんな気持ちにさせてくれる一冊です。
みんなのレビュー
お休み中は世界遺産めぐりを楽しみました♪自分がゆっくり鳥や雲になって眺めてるようなダイナミックなアングル写真。解説も端的で分かりやすい。珍しい見え方の自然遺産を集めたということ。ンゴロンゴロ保全地域の巨大クレーター内で完結してしまう動物達の営み。ベネズエラでのテーブル型奇岩遥か彼方まで続く砂漠、氷河…こんな景色をみせてくれるとは。何十億年が簡単な単位で、地球が砂遊びや火遊び、お絵かきをしてるのかしら。そこにいる人間って吹いたら飛ぶようなもんやなあ。
引用元:読書メーター