小説ヲタクがおすすめするオールタイムベスト83冊

【隠れた名曲も】バッハの代表曲13選!ジャンルごとに分けて紹介

バッハって作品が膨大すぎて、どの曲から手をつけていいかわからない・・・」
「G線上のアリアなどの超有名曲は知ってるけどそれ以外の曲でおすすめってなんだろう?」

このようにお考えではないでしょうか?

J.Sバッハ、その膨大過ぎる作品数ゆえに全貌を掴むのは大変な人物ですよね。ふとテレビなどで「G線上のアリア」や「シャコンヌ」などを聴いて好きになり、「バッハの他の曲が知りたいな」と思っても、曲が沢山ありすぎて何を聴いて良いかわからない、ということもあるでしょう。

多作で有名なバッハ
作品数は「1000曲」を超えると言われている

彼が「音楽の父」と呼ばれるのは、数多くの音楽家にアイディアを与えたから、とも言われています。確かにバッハの楽曲は楽譜を見て改めてその素晴らしさに気づくことも多く、いつの時代も音楽家のファンが多いというのも納得です。テレビ等で見るあのミュージシャンたちも、もしかしたら密かにバッハの影響を受けているかも知れませんね。

今回は幼い頃からバッハの音楽が大好きな筆者が、なるべく音楽の専門用語を使わずに楽しく楽曲をご紹介できればと思います。大バッハと呼ばれるJ.S.バッハの作品を中心に紹介させていただきます。

「オルガン編」バッハの代表曲3選

オルガン曲は名曲ぞろいです

バッハはオルガンの名手として有名でした。演奏家同士でオルガンの「即興(アド・リブ)演奏の勝負をしよう!」と腕を競い合った際に、対戦相手が戦わずして逃げ出してしまったという噂が立つほどの腕前だったと言われています。

また教会附属の学校で長年働いていたこともあり、オルガン曲作品の数も膨大です。ここではひとまず押さえておきたい代表曲をご紹介します。

Jesus bleibet meine Freude

「主よ人の望みの喜びよ」という邦題で親しまれている曲ですが、原題は「イエスは変わらざる我が喜び」といいます。『心と口と行いと生活で』という教会カンタータの一番最後の曲として、合唱曲として歌われました。現在ではオルガンやピアノのアレンジが有名ですね。

静かに過ごしたい日や、気分が落ち込んだ日、体調が悪い日などに聴くと心に寄り添ってくれるような気がする優しい曲です。音楽によって祈りの心が育まれたのだろうということがよくわかります。演奏は著名なオルガニストであるマリ=クレール・アランのものを選びました。

Fantasia & Fugue In G Minor – BWV 542

邦題は「幻想曲とフーガ」といいます。パイプオルガンは楽器というよりもはや「音の出る建築物」と言って良いでしょう。音響機器のない当時、このような大きな音が教会いっぱいに響いていたら神や天使の存在も信じてしまうのではないかと思います。

「フーガ」というのはメロディの追いかけっこのことをいいます。演奏はバッハ作品の演奏をライフワークとし、その深い作品研究のみならず勤勉な性格や宗教観、教育観も含めて「バッハの化身」ともあだ名されたカール・リヒターのものを選びました。

Trio Sonata in C Major BWV 529

邦題は「6つのトリオ・ソナタ」あるいは「6つのオルガン・ソナタ」といい、元々は息子W.F.バッハの教育用にと作られた曲集です。この曲集の面白いところが、本来なら3つの楽器が一つずつ担うパートを、オルガンで一人で演奏する、という試みが行われたところです。

現代の音楽で例えると、シンセ・キーボードや電子オルガンで複数の楽器パートを一人で演奏するようなものでしょうか。特に面白いのが足鍵盤の動きですので、注目してみてください。

「鍵盤曲編」バッハの代表曲2選

練習曲的なものだけではありません

バッハと言えばもう一つ代表的なのが鍵盤楽器の楽曲です。ピアノを習ったことのある人なら「インベンション、シンフォニア」などという言葉にピンとくるのではないでしょうか。バッハの「平均律クラヴィーア曲集」などは鍵盤曲の「旧約聖書」とまで言われているほどです。

バッハの時代には現在のようなピアノはありませんでしたので、「チェンバロ」というピアノの祖先のような楽器で演奏されることもあります。もちろん現在はピアノで演奏されることも多いので、比べてみても良いでしょう
。また、演奏者によって曲の印象が大きく違うのも面白いところです。

どこまで紹介するのが良いのかとても悩ましく、演奏されることの多い2曲にとどまらせていただきました。是非みなさんのお気に入りの一曲、お気に入りの演奏を見つけてみてください。

English Suite No 2 in A minor BWV 807

「イギリス組曲」と呼ばれる組曲(数曲から構成される音楽)で、その中でも「この曲を理解出来たらバッハ作品を理解できる」とも言われることのあるイギリス組曲の2番を選びました。

前奏曲・アルマンド・クーラント・サラバンド・メヌエット・ジーグ、などという様々な要素から構成される長めの曲で、求められる演奏技術も高い楽曲です。バッハ作品に取り組む演奏家にとってはマストなレパートリーですので、沢山の演奏を聞き比べる事ができます。ピアノやチェンバロだけではなく、アコーディオンなどで演奏されることもあります。

Italian Concerto in F major BWV 971

こちらはイタリア協奏曲と呼ばれる鍵盤曲ですが、J.Sバッハ自身はドイツどころから地元から出ることがなかった人物ですので、「イタリア風協奏曲」と呼んだ方がしっくりくるでしょう。チェンバロという古い鍵盤楽器の演奏を選びました。

この楽器はピアノとは違って音が長く響くことがないので、「トリル」と呼ばれる細かくて早い指の動きで音を伸ばして表現します。また上段と下段で音が大きく違っているので、よく聴いてみると面白いですよ。ジャズなどの現代風のアレンジにもはまるため、イギリス組曲と並んでよく演奏される曲です。

「無伴奏曲編」バッハの代表曲2選

シンプル・イズ・ベストにしてビューティフル

もう一つ欠かせないのが、「無伴奏曲集」というチェロ、ヴァイオリン、フルートなどのソロのための曲です。その名の通り伴奏がなく、奏者がたった一人で演奏します。その楽器を演奏する人々にとってバッハの無伴奏曲集は「聖典」のような扱いをされています。

また素材の味が楽しめるシンプルで上質な料理のように、チェロやヴァイオリンそのものの音を堪能できるため、演奏する人に限らずその楽器の音色を愛する全ての人に親しまれています。

Suiten für Violoncello solo 1 G -Dur BWV1007

無伴奏チェロ組曲の第一番です。バッハ作品の中でも特に評価が高く、クラシック音楽のファンでなくてもどこかで耳にしたことがあるでしょう。

演奏の難易度は決して高くなく、チェロを弾き始めて数年で取り組めるというシンプルな楽曲なのですが、その反面この曲の音楽的探究には一生の時間があっても足りない、という程の奥深さも持っています。クラシック音楽を聴き始めた人も、聴きつくした人も楽しめる曲です。

演奏はまさにこの曲の音楽的探究に一生をかけて取り組んでいるとも言える有名なチェロ奏者・ヨーヨー・マのものです。彼はバッハの無伴奏チェロ組曲を3度レコーディングしていますので、聴き比べてみるのも良いでしょう。

Johann Sebastian Bach – Chaconne, Partita No. 2 BWV 1004

終曲に「シャコンヌ」という長い変奏曲を持つ無伴奏ヴァイオリンパルティータ2番です。全楽章は非常に長いため、シャコンヌ部分のみを抜粋しました。「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」バッハの作品の中でも際立って緊張感を感じる曲集です。

この曲が作曲されたのは1720年、バッハの妻マリア・バルバラが急死した年です。マリアが亡くなったのはバッハが領主の旅行に随行していた間で、バッハが帰る頃には葬式や埋葬が済んでいたともいわれています。彼の当時の心のうちを想像しながら鑑賞してみてください。

「マタイ受難曲編」バッハの代表曲2選

実は豊かな感情表現の宝庫。珠玉の作品に触れてみてください

一説にバッハの傑作3選、といえば「マタイ受難曲」「ヨハネ受難曲」「ミサ曲ロ短調」と言われています。このマタイ受難曲は晩年のJ.S.バッハ会心の作品で、あのメンデルスゾーンが指揮で再演したことによって蘇ったという奇跡的な作品です。

プロテスタント教徒が「受難週」でイエス・キリストの受難の内容を覚える、という習慣があったため、音楽と劇で受難の内容をわかりやすく表したものを「受難曲」と言います。テーマのストイックさから何だか「難しそうだな…」と思ってしまいますが、ドラマティックで面白い要素も沢山あります。

現在のオーケストラ編成やコンサートホールでこの「マタイ受難曲」を演奏すると、指揮者の演出次第ではマーラーの「復活」やベートーヴェンの「第九」並みに壮大な演奏をすることができます。まるでハリウッド映画のような大スペクタクルで新約聖書のハイライトを追体験できるすごい作品ですので、皆さんも是非味わってみてください。

Erbarme dich, mein Gott (Matthäuspassion)

2幕の「憐みたまえ、我が神よ」というアルトのアリアです。このシーンは聖書の中の「ペテロの否認」のを歌ったものとなっています。

イエスに「あなたは鶏が鳴く前に(夜が明けるのを待たずに)私を裏切り、私のことを知らないと3回言うでしょう」と言われ、最初は否定するペテロですが、イエスが逮捕されて自身の身も危うくなると、師であるイエスを3度「知らない」と言ってしまいます。

その後鶏が鳴き、我に返ったペテロが後悔に泣き崩れたシーンを表したのがこの曲です。もし歌詞がわからなくても、メロディやヴァイオリンの痛々しい響きでペテロの感情が伝わってきます。

Kommt, ihr Töchter, helft mir klagen (Matthäus-Passion JS Bach)

1幕の第1曲目の曲です。合唱、オーケストラ、少年合唱など珍しい編成が目を惹きますね。前奏のコントラバス(或いはチェロ)の音が「イエスが自ら十字架を引き摺って歩く音」を表しています。

感情の表現だけではなく、このような叙事的な表現も音楽でされていたりと、「マタイ受難曲」は聴くたびに発見があります。

曲名の後についている「BWV.⚪︎⚪︎(数字)」って何?
バッハの作品に必ず書かれているBWV.⚪︎⚪︎というのは作品番号で、シュミーダー番号と呼ばれています。これはバッハ自身が自分の作品を管理していた訳ではなく、後年にドイツの音楽学者・ヴォルフガング・シュミーダーが独自にナンバリングしたものです。

読み方は「バッハ作品番号」、「ビー・ダブリュー・ブイ」「ベー・ヴェー・ファウ」などと読みます。クラシック音楽の作品番号は一般的にOp.(オーパス)などで表記されることが多いですが、このように作曲家独自の作品番号が存在することもあります。

なぜ演奏する人によってこんなに曲のイメージがちがうの?
バッハの時代というのは今から330年以上も昔です。楽器なども今私たちが知っているピアノやヴァイオリンなどとは少し違っていたり、今は使われなくなってしまっている楽器などがあったりもしました。ですので、演奏者や指揮者によって使う楽器自体が違っていることも珍しくありません。

またバッハの曲は、楽譜にもテンポの設定や強弱についての細かい記述がありません。親切に書いているものもありますが、原典に近いものほど記述が少なく、強弱や曲のテンポなどは演奏する人に委ねられることが多いのです。そのため、バッハ曲の演奏のためにはあらゆる勉強が必要となる大変さもあるのですが、その反面どのようにもアレンジができるという面白い一面があります。

あのミュージシャンたちも?意外すぎるバッハのカバー曲2選

先に述べたように、バッハの楽曲はどのようにも演奏することが可能です。モダン・ジャズ風に演奏しても、ヘヴィ・メタルの曲のギターソロ・フレーズに組み込んでも、違和感がないという面白さがあるのです。日本では「クラシカロイド」というアニメの中で、あの「つんく」がバッハ曲のアレンジをして話題になりました。意外なアーティストたちによるカバーをいくつかご紹介します。

SWEETBOX “EVERYTHING’S GONNA BE ALRIGHT

ドイツの音楽グループ「SWEET BOX」による「G線上のアリア」を元にした「EVERYTHING’S GONNA BE ALRIGHT」と言うヒット曲です。R&B系のサウンドとバッハの曲のマッチングが大ヒットし、日本でもゴールドディスク賞を受賞しました。

Dismember – Life, Another Shape Of Sorrow

こちらはスウェーデンのデスメタルバンドによる曲で、Komm, süßer Tod(甘き死よ来たれ)というバッハの曲を元にした曲です。一見すると大胆なアレンジに思えますが、曲のテンポなどもあまり変わっていないのが不思議です。

筆者オススメの隠れたバッハの名曲編

BACH – Mass in B-minor – Kyrie eleison

バッハの「ミサ曲ロ短調」はバッハ最晩年にして最高峰と言われる作品です。ファンからすると「隠れた名曲」に分類するには忍びない大傑作なのですが、色々な知識を得た上で更にその深みに触れられる作品、という意味で、この記事には収まりきらないほどの意義ある作品です。今回は「キリエ」のみを簡単に紹介させて頂きます。

Bach (1685-1750) Kaffeekantate BWV 211 – Harnoncourt

こちらは世俗カンタータと呼ばれる声楽曲のジャンルで、「コーヒー・カンタータ」と呼ばれる少しユーモラスな作品です。コーヒーが大好きでカフェイン中毒な娘と、それをどうにかやめさせたいお父さんとがコミカルなやりとりをしています。

あの「マタイ受難曲」の作詞を担当したピカンダーとバッハがコンビを組んで、このようにコントのような作品を作ったというのが意外ですね。

バッハの曲に関するまとめ

いかがでしたでしょうか?今回ご紹介したのはバッハの音楽のほんの一部であり、また筆者の主観も多分に反映されていると思います。個人的には、記事を書きながら「イギリス組曲2番」をピアノで必死に練習した日々を思い出して感慨深くなってしまいました。

聴く人それぞれの心の中に「自分の中のバッハ」があると思います。皆さんの好みの演奏、曲に出会えるお手伝いが少しでも出来ていれば幸いです。