【隠れた名曲も】バッハの代表曲13選!ジャンルごとに分けて紹介

「バッハって作品が膨大すぎて、どの曲から手をつけていいかわからない・・・」
「G線上のアリアなどの超有名曲は知ってるけどそれ以外の曲でおすすめってなんだろう?」

このようにお考えではないでしょうか?

J.Sバッハ、その膨大過ぎる作品数ゆえに全貌を掴むのは大変な人物ですよね。ふとテレビなどで「G線上のアリア」や「シャコンヌ」などを聴いて好きになり、「バッハの他の曲が知りたいな」と思っても、曲が沢山ありすぎて何を聴いて良いかわからない、ということもあるでしょう。

多作で有名なバッハ
作品数は「1000曲」を超えると言われている

彼が「音楽の父」と呼ばれるのは、数多くの音楽家にアイディアを与えたから、とも言われています。確かにバッハの楽曲は楽譜を見て改めてその素晴らしさに気づくことも多く、いつの時代も音楽家のファンが多いというのも納得です。テレビ等で見るあのミュージシャンたちも、もしかしたら密かにバッハの影響を受けているかも知れませんね。

今回は幼い頃からバッハの音楽が大好きな筆者が、なるべく音楽の専門用語を使わずに楽しく楽曲をご紹介できればと思います。大バッハと呼ばれるJ.S.バッハの作品を中心に紹介させていただきます。

この記事を書いた人

一橋大卒 歴史学専攻

京藤 一葉

Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。

「オルガン編」バッハの代表曲3選

オルガン曲は名曲ぞろいです

バッハはオルガンの名手として有名でした。演奏家同士でオルガンの「即興(アド・リブ)演奏の勝負をしよう!」と腕を競い合った際に、対戦相手が戦わずして逃げ出してしまったという噂が立つほどの腕前だったと言われています。

また教会附属の学校で長年働いていたこともあり、オルガン曲作品の数も膨大です。ここではひとまず押さえておきたい代表曲をご紹介します。

Jesus bleibet meine Freude

「主よ人の望みの喜びよ」という邦題で親しまれている曲ですが、原題は「イエスは変わらざる我が喜び」といいます。『心と口と行いと生活で』という教会カンタータの一番最後の曲として、合唱曲として歌われました。現在ではオルガンやピアノのアレンジが有名ですね。

静かに過ごしたい日や、気分が落ち込んだ日、体調が悪い日などに聴くと心に寄り添ってくれるような気がする優しい曲です。音楽によって祈りの心が育まれたのだろうということがよくわかります。演奏は著名なオルガニストであるマリ=クレール・アランのものを選びました。

Fantasia & Fugue In G Minor – BWV 542

邦題は「幻想曲とフーガ」といいます。パイプオルガンは楽器というよりもはや「音の出る建築物」と言って良いでしょう。音響機器のない当時、このような大きな音が教会いっぱいに響いていたら神や天使の存在も信じてしまうのではないかと思います。

「フーガ」というのはメロディの追いかけっこのことをいいます。演奏はバッハ作品の演奏をライフワークとし、その深い作品研究のみならず勤勉な性格や宗教観、教育観も含めて「バッハの化身」ともあだ名されたカール・リヒターのものを選びました。

Trio Sonata in C Major BWV 529

邦題は「6つのトリオ・ソナタ」あるいは「6つのオルガン・ソナタ」といい、元々は息子W.F.バッハの教育用にと作られた曲集です。この曲集の面白いところが、本来なら3つの楽器が一つずつ担うパートを、オルガンで一人で演奏する、という試みが行われたところです。

現代の音楽で例えると、シンセ・キーボードや電子オルガンで複数の楽器パートを一人で演奏するようなものでしょうか。特に面白いのが足鍵盤の動きですので、注目してみてください。

「鍵盤曲編」バッハの代表曲2選

練習曲的なものだけではありません

バッハと言えばもう一つ代表的なのが鍵盤楽器の楽曲です。ピアノを習ったことのある人なら「インベンション、シンフォニア」などという言葉にピンとくるのではないでしょうか。バッハの「平均律クラヴィーア曲集」などは鍵盤曲の「旧約聖書」とまで言われているほどです。

バッハの時代には現在のようなピアノはありませんでしたので、「チェンバロ」というピアノの祖先のような楽器で演奏されることもあります。もちろん現在はピアノで演奏されることも多いので、比べてみても良いでしょう
。また、演奏者によって曲の印象が大きく違うのも面白いところです。

どこまで紹介するのが良いのかとても悩ましく、演奏されることの多い2曲にとどまらせていただきました。是非みなさんのお気に入りの一曲、お気に入りの演奏を見つけてみてください。

English Suite No 2 in A minor BWV 807

「イギリス組曲」と呼ばれる組曲(数曲から構成される音楽)で、その中でも「この曲を理解出来たらバッハ作品を理解できる」とも言われることのあるイギリス組曲の2番を選びました。

前奏曲・アルマンド・クーラント・サラバンド・メヌエット・ジーグ、などという様々な要素から構成される長めの曲で、求められる演奏技術も高い楽曲です。バッハ作品に取り組む演奏家にとってはマストなレパートリーですので、沢山の演奏を聞き比べる事ができます。ピアノやチェンバロだけではなく、アコーディオンなどで演奏されることもあります。

Italian Concerto in F major BWV 971

こちらはイタリア協奏曲と呼ばれる鍵盤曲ですが、J.Sバッハ自身はドイツどころから地元から出ることがなかった人物ですので、「イタリア風協奏曲」と呼んだ方がしっくりくるでしょう。チェンバロという古い鍵盤楽器の演奏を選びました。

この楽器はピアノとは違って音が長く響くことがないので、「トリル」と呼ばれる細かくて早い指の動きで音を伸ばして表現します。また上段と下段で音が大きく違っているので、よく聴いてみると面白いですよ。ジャズなどの現代風のアレンジにもはまるため、イギリス組曲と並んでよく演奏される曲です。

「無伴奏曲編」バッハの代表曲2選

シンプル・イズ・ベストにしてビューティフル

もう一つ欠かせないのが、「無伴奏曲集」というチェロ、ヴァイオリン、フルートなどのソロのための曲です。その名の通り伴奏がなく、奏者がたった一人で演奏します。その楽器を演奏する人々にとってバッハの無伴奏曲集は「聖典」のような扱いをされています。

また素材の味が楽しめるシンプルで上質な料理のように、チェロやヴァイオリンそのものの音を堪能できるため、演奏する人に限らずその楽器の音色を愛する全ての人に親しまれています。

Suiten für Violoncello solo 1 G -Dur BWV1007

無伴奏チェロ組曲の第一番です。バッハ作品の中でも特に評価が高く、クラシック音楽のファンでなくてもどこかで耳にしたことがあるでしょう。

演奏の難易度は決して高くなく、チェロを弾き始めて数年で取り組めるというシンプルな楽曲なのですが、その反面この曲の音楽的探究には一生の時間があっても足りない、という程の奥深さも持っています。クラシック音楽を聴き始めた人も、聴きつくした人も楽しめる曲です。

演奏はまさにこの曲の音楽的探究に一生をかけて取り組んでいるとも言える有名なチェロ奏者・ヨーヨー・マのものです。彼はバッハの無伴奏チェロ組曲を3度レコーディングしていますので、聴き比べてみるのも良いでしょう。

Johann Sebastian Bach – Chaconne, Partita No. 2 BWV 1004

終曲に「シャコンヌ」という長い変奏曲を持つ無伴奏ヴァイオリンパルティータ2番です。全楽章は非常に長いため、シャコンヌ部分のみを抜粋しました。「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」バッハの作品の中でも際立って緊張感を感じる曲集です。

この曲が作曲されたのは1720年、バッハの妻マリア・バルバラが急死した年です。マリアが亡くなったのはバッハが領主の旅行に随行していた間で、バッハが帰る頃には葬式や埋葬が済んでいたともいわれています。彼の当時の心のうちを想像しながら鑑賞してみてください。

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