「絶世の美女」「悲劇の女王」として有名な、プトレマイオス朝エジプト最後の女王、クレオパトラ。
男性を惑わす美貌を持っていたというイメージが強いですが、容姿だけでなく人を惹きつける話術や知性こそが、権力を持つ男性を魅了したとも言われています。
一国を支えるため波乱万丈な人生を送った彼女の姿は、時に悪女と評されることもありますが、当時の女性にとって希望の光だったかもしれません。現代の働く女性にとっても、憧れの的となっているのではないでしょうか。
聡明な彼女はプトレマイオス朝エジプトと共にその生涯を終えますが、彼女の「死」には数々の謎が残されています。
この記事では、クレオパトラの死因について見ていきたいと思います。
この記事を書いた人
一橋大卒 歴史学専攻
Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。
クレオパトラの死因は何だったのか?
有力な説は自殺
クレオパトラはアクティウムの海戦でエジプトがローマに敗れたとき、ローマの権力者オクタウィアヌスの手によって監禁されてしまいます。
それまでと同じようにオクタウィアヌスの力を借りようと誘惑しましたが、オクタウィアヌスは応じません。すでに高齢だったクレオパトラは、オクタウィアヌスを味方につけることを諦め、また生きて恥をさらすことを恐れ、自ら死を選んだと言われています。
当時監禁されていたという状況や背景から見ても、自殺という説は有力であるようです。
自殺方法は毒ベビに噛ませた?
クレオパトラの死因は、一般的には毒蛇に噛ませたとされていることが多いようです。彼女の死因について書かれたものでは最古とされているプルタルコスの伝記に毒蛇に噛ませたという記述があり、それが世間に広く浸透しました。
しかし記述にはばらつきがあり、胸を噛ませたというものもあれば、腕に傷があったというものもあります。毒蛇の種類についても、神経毒によって静かに死に至るエジプトコブラとする説や、出血のひどいクサリヘビ科の毒蛇だったとする説もあるようです。
服毒自殺だったいう説も
長年、毒蛇によるものとされてきたクレオパトラの死因ですが、ここ数年で覆りつつあります。本当は毒蛇ではなく、服毒自殺だったのではという説です。
根拠としては、蛇毒では死に至るまで長くかかり、外見も損なうという点が強く挙げられています。自分の実力を知っていて気位の高いクレオパトラが自ら死を選ぶのであれば、もっと美しい方法を選ぶのではないか。
実際、クレオパトラは生前からどの毒なら苦しまずに死ねるのか、死刑囚をつかって調べていたという逸話が残っています。その逸話からエジプトコブラを選んだという説も生まれていますが、毒について詳しかったのであれば、安らかに死ねる毒を隠し持っていても不思議ではないかもしれません。