クレオパトラの死因を深く知れる作品
『プルタルコス英雄伝 下』(プルタルコス著・村川 堅太郎他訳/ちくま学芸文庫)
「最後のギリシア人」とされている最高神官・プルタルコスが、故国ローマに生きた英雄たちの生き様を描いた伝記です。アントニオをオクタウィアヌスの章にクレオパトラのことが詳しく記載されており、彼女の死について書かれたものとしては最古とされています。
本書の原典ともいえる『対比列伝』は、後にフランス語や英語に翻訳されました。シェイクスピアの描いた戯曲『アントニーとクレオパトラ』はその英語版を元に執筆したとされています。
プルタルコスの原典においてはクレオパトラは毒蛇による自殺となっているため、シェイクスピアの戯曲においても毒蛇が死因となっています。
『王妃たちの最期の日々 上』(ジャン=クリストフ・ビュイッソン著・神田 順子他訳/原書房)
歴史上の王妃・女王の死についてまとめており、クレオパトラは1番最初に紹介されています。彼女の死の状況についてより詳細に述べられています。
本書では、毒が入ったと思われる傷は片方の腕にあるとされ、蛇の噛み跡にも見える2つの浅い刺し傷だったと記載されています。一方で、部屋の中に蛇の姿がなかったことや、服毒による皮膚の変化もなかったことにも言及しており、死因が本当に毒蛇だったのかどうか、考察の余地を残した書籍です。
映画『クレオパトラ』(監督:ジョセフ・L マンキーウィッツ/1963年公開)
映画史上最高額ともいわれる製作費約290億円、製作に4年もの月日をかけたことで、映画史上に名を残すことになった作品。ゴールデングローブ賞で4部門、アカデミー賞でも4部門受賞しており、臨場感あふれる映像は非常に良く作り込まれているとして、高い評価を得ています。
しかしながら莫大な製作費用に対して当時は大した利益が得られず、配給会社である20世紀フォックス社を危うく破滅に導くところだったという、大失敗作として悪名を馳せている本作。まるでエジプト王国を滅亡に導いたクレオパトラ自身を象徴するかのようです。
クレオパトラの死因に関するまとめ
クレオパトラの死因についてまとめてみました。
男性を魅了し王国を維持しながら、その策略が結果的に自分自身とエジプト王国を滅ぼすことになった絶世の美女。彼女の墓は未だ見つかっておらず、その死因は謎のままです。
男性のみならず国をも動かしたプライドの高い彼女が、毒蛇による醜い死に方を選ばず服毒自殺を図った、という説は確かに信憑性が高いかもしれません。
ですが、毒蛇に自らを噛ませた彼女の姿を描いた絵画はどれも妖艶で、人の心を惹きつけるものがあります。プライドの高い彼女だからこそ、そうやって人々の記憶に残ることを考え、毒蛇による自殺を選んだという説も捨てがたいと思いました。
この記事を読んで、クレオパトラの死因、ひいては人間性に興味を持っていただけたら幸いです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。