マルコムXをよく知れるおすすめ本7選【自叙伝や伝記を紹介】

「マルコムXって名前は聞いたことがあるけど、どんな人?」
「マルコムXについて知りたいけど、何を読んだらいいの?」

アメリカにおける公民権運動のリーダーとして活躍したマルコムXですが、いざマルコムXについての本を読んでみようと思っても、いくつも種類があって迷ってしまいますよね。

ここでは、人種差別が強く残る1960年代アメリカで、NYの街角に立ち、黒人に黒人としての誇りを取り戻させ、そして志半ばで暗殺されてしまった黒人のリーダーマルコムXについて、おすすめの本をご紹介します。

マルコムXの生涯を知るための自叙伝、伝記、そして、マルコムXの魅力的な言葉を集めた演説集をご紹介しますので、マルコムXを知らない初心者ら、マルコムXについてさらに知りたい中級者まで楽しめること間違いなしです。

自叙伝

完訳マルコムX自伝 (上) (中公文庫―BIBLIO20世紀)

読んでみて

奴隷解放宣言後も、根強く残る黒人差別。上巻では、生い立ちや父親が白人に殺された幼少期、NYハーレムのチンピラだった時代、刑務所内ネイション・オブ・イスラムに出会い、伝道師になる過程が書かれています。

第二次大戦中のハーレムなどの黒人社会、クラブのミュージシャンたち、ビリー・ホリディ、など当時の様子を知ることができるのも魅力的です。白人に憧れた若きマルコムが、白人を悪魔だ、と形容するようになるまでの変化が読み取れます。マルコムを知りたい方にぜひ読んで欲しい本です。

みんなのレビュー

マルコムの父は罪なく白人から殺された。それで「彼は頑張って勉強して偉い人になりました」という教科書のような話の本ではない。終盤まで頁をめくってもめくっても物騒な話が続く。過剰な薬物摂取と銃、女からむしり取る金。しかし彼には不思議な予知能力もあった。伝記映画を思い出すと、彼は自分が殺される事を知っていたのだと思うと泣けそうになる。宗教の裏まで隠さず語るマルコムは、遠いアジア人の事まで思いやれる優しさがある。B.ホリデイが登場するのも興味深い。日本にはないブラザーという意識が生まれていく過程が伝わってくる。

引用元:bookmeter

完訳マルコムX自伝 (下) (中公文庫―BIBLIO20世紀)

読んでみて

下巻では、ネイション・オブ・イスラムに入信したマルコムXが、尊師イライジャ・ムハマドの信頼を得て、伝道師として活躍していくも、最終的にはムハマドと決別してしまう過程が書かれています。白人は悪魔だと語っていたマルコムが、メッカ巡礼とアフリカ歴訪を経て、新たな境地にたどり着いたマルコムX。

自らの教団を設立し、これからと言うときに暗殺されてしまいます。マルコムXは、同時代の黒人リーダーであるキング牧師とよく比べられますが、この本を読むと、マルコムXはリーダーというよりも「革命家」であったことがよくわかるでしょう。

みんなのレビュー

前半以上にドラマティックな展開を見せる後半。◆イライジャ・ムハマドへの全人的な信頼が揺らぎ、ほぼ時を同じくして、彼のこれまでの華々しい活躍への周囲の妬みが教団からの疎外を招く。そしてNOI脱退と自身の組織の立ち上げ。間もなく伝手を得てメッカ巡礼へと旅立ち、そこで人種・国籍を超えて人類がひとつとなりうる事を確信し、自身の思想を一気に転回・深化させるーーこの間の経緯を語るマルコムの口調は時に苦渋に満ち、時に歓喜を倦まず語る。彼が晩年に到達した地平は高く、広く、そして深い。

引用元:bookmeter

伝記

マルコムX (岩波新書)

読んでみて

マルコムXの生涯について、生い立ちから、チンピラ時代を経てネイションオブイスラムの伝道師としてか活躍し、暗殺されるまで平易な文章で分かりやすく書かれています。暴力的な指導者としてのイメージが強いマルコムですが、本当に暴力的な人物だったのでしょうか。

この本を読むことで、アメリカに置ける人種差別とは何なのか、現代アメリカを理解するために役だちます。黒人指導者マルコムXを通して、アメリカとはどのような国なのか、また現代アメリカが抱える問題などへの理解が深まる一冊です。

みんなのレビュー

個人的にキング牧師よりもマルコムXの方が好き。謂れのない差別。失われた黒人の尊厳。アイデンティティの回復。生涯をかけてそれを取り戻すための闘争に明け暮れた彼だけれど、必要以上に攻撃的且つ暴力的なイメージというのはやはり作られた物なんだな。グレて収監された刑務所で独学の末に知性を手に入れイスラムの教えに救いを見出し出所後は黒人の尊厳のために戦い続けたマルコム。父親はKKKに殺され、母親は黒人女性(マルコムの祖母)が白人に強姦され生まれたという出自。彼の憎悪の根源を思うと居た堪れない。今の世界はどうだマルコム?

引用元:bookmeter

マルコムX(上):伝説を超えた生涯

読んでみて

アフリカン・アメリカン研究の第一人者であるコロンビア大学の元教授が書き、ピューリッツァ賞を受賞した一冊です。不良少年マルコムリトルが、どのようにして公民権運動のリーダーマルコムXへと変容を遂げたかがよくわかります。

マルコムXは「黒人のヒーロー」という映画の中のイメージが大きいです。こちらの本で描かれるマルコムは、英雄としてではなく一人の人間として、家族の歴史から不良時代、ブラック・ムスリムとしての活動までの生涯を描いています。マルコムXとはどのような人間だったのか、学術的な見地からの一冊です。

みんなのレビュー

コロンビア大学元教授のピューリツァー賞受賞作。公民権運動でキング牧師と並び称されるマルコムxの伝記。幼少期から時系列に、上巻はネイションオブイスラム(NOI)追放前の1963年11月まで。 アメリカ黒人からマルコムが尊敬を集めるとの指摘が当初意外だったが、父をリンチで失い学校中退、スラムで犯罪とともに育った経歴はまさに黒人貧困層と合致し、その不満を的確に力強く言い表す力量から人気の高さにも納得。 闘争的な発言と裏腹にNOIのしがらみで具体的な運動を指揮することはなかったなどマルコムの理解を新たにする良書。

引用元:bookmeter

マルコムX(下):伝説を超えた生涯

読んでみて

ピューリッツァ賞受賞作であり、元コロンビア大学教授による伝記の下巻になります。同じ時代の黒人リーダーであるキング牧師は平和主義、一方のマルコムXは暴力主義、という一般的な見方を覆す一冊です。

マルコムXとは、どのような人間なのか、英雄やヒーローとしてではなく、悩み、葛藤する一人の人間としてのマルコムXを知ることができます。マルコムXは一度たりとも暴力をふるったことがない、ということがわかるでしょう。マルコムXの魅力にはまること間違いなしです。

みんなのレビュー

コロンビア大学元教授のピューリツァー賞受賞作の下巻。 1963年12月から1965年2月の暗殺までの1年3ヶ月間が大部分を占め少し冗長だか、議論のあるNOI引退後の変遷を丁寧に描く。矛盾した発言が多かったとはいえ、黒人を何よりアメリカ市民と捉えたキング牧師に対し、パンアフリカ主義など後年まで黒人のアイデンティティと尊厳を重視していたとする。 スラムの黒人を取り巻く困難な家庭事情や貧困の再生産、犯罪の身近さなどは中西部の白人貧困層と共通するように見受けられ、マルコムの向き合った課題の深遠さに思いを巡らせた。

引用元:bookmeter

演説集

マルコムX・スピークス

読んでみて

マルコムXの魅力といえば、人々の心に刺さるスピーチです。とてもリズミカルで、力強いスピーチは、マルコムの武器でした。この本はマルコムXが暗殺される前の最後の一年でおこなわれたマルコムのスピーチを集めたものになります。

ネイションオブイスラムから距離を起き、メッカ巡礼とアフリカ諸国の歴訪を経て、マルコムの思想が最後にどのように変わったかがよく分かる一冊です。この本を読むことで、マルコムのカリスマ性、人間としての魅力、スピーチの素晴らしさに引き込まれること間違いなしです。

みんなのレビュー

「自由のために死ぬ覚悟がないのなら、自由という文字をお前の辞書から消すがいい」マルコムXのスピーチ集。怒りだけが彼を駆り立てる原動力であり黒人の同胞たちを謂れなき鎖から解き放ち自由を与えるために邁進することのみが彼の存在意義だった。知性と暴力性が溢れんばかりの彼のスピーチ。賛否はあれども、己の全てを文字通り全身全霊をかけて生命を燃やし尽くし自由のために戦い抜いた魂のスピーチは黒人ならずとも読んでおいた方が良いと思う。黒人初の大統領が生まれその次には白人至上主義の大統領が生まれ、マルコムは何を思うのか。

(引用元:bookmeter

いかなる手段をとろうとも

読んでみて

マルコムXの演説集です。特に、晩年のマルコムXがどのように考え、どのように社会を変えようとしていたか、黒人たち一人一人にどのようになって欲しいと思っていたのか、マルコムXの晩年の思想がよくわかる一冊です。

キング牧師が「陽」であるならマルコムXは「陰」に例えられるように、キング牧師とは違ったタイプの思想を持つ黒人リーダーであることが読み取れるます。そこがこの本の面白さと言えます。

みんなのレビュー

この本はマルコムXの演説集。アメリカ国内の差別問題だけでなくアフリカにおけるアメリカの軍事介入の話もある。マルコムXの考えでは黒人一人ひとりが立ち上がっても仕方ない、全ての黒人が組織されなければならないと。理想主義ではなく現実主義なのだとよくわかる。

引用元:bookmeter

まとめ

マルコムXについて知りたい、という方におすすめの自叙伝、伝記、演説集をご紹介しましたが、いかがでしたか?

公民権運動のリーダーと言うと、キング牧師を思いうかべる方が多いと思いますが、マルコムXもまた、偉大なリーダーでありました。
「過激な指導者」というイメージが定着してしまったマルコムXですが、スピーチの素晴らしさ、カリスマ性、どれをとってもキング牧師に劣るものはありません。

ここでご紹介した本が、マルコムXを知るきっかけとなり、さらに興味をもってもらえるなら、嬉しいです。ぜひ、マルコムXの素晴らしさを体感してみてくださいね。

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