「額田王についてわかる面白い漫画はないかな?」
「額田王の生きた時代を知ることができる漫画はあるのかな?」
額田王を描いた漫画を読んでみたいと思っても、 “額田王” という名前が題名に入っているものが少ないので、困ってしまう人が多いのではないでしょうか?そもそも、額田王が生きた古代を描いた作品自体がそう多くないので、筆者も探すのにとても苦労した経験があります。
中学生の頃、額田王という女性の魅力に取り憑かれて研究発表をし、クラス中に額田王ファンを増やした経験のある筆者が、もっともおすすめする額田王を描いた漫画を、「額田王の人生を知る本」「額田王の生きた時代を知る本」「番外編」の3つの切り口に分けて6冊をご紹介します。
額田王の人生を知れる漫画
天の果て地の限り (講談社漫画文庫)
読んでみて
額田女王を主人公にした漫画です。額田女王が自立した女性として描かれている点がとても共感でき、最後までこの作品の世界に引き込まれるように読み切りました。天智天皇も天武天皇も、額田女王を異性としてというより、才能ある人間として強く意識しているところも良かったです。
大和和紀といえば少女漫画の大御所とも言うべき作家ですが、手掛けた数多くの作品の中でも人気の高いものです。それは、この作品がドロドロした愛憎劇でないことが理由の一つにあるように思います。額田女王の歌も作品内に上手に取り入れられているので、額田女王の歌に関心がある人にもおすすめしたいマンガです。
みんなのレビュー
自分的古代ブーム読書。すごく良かった。額田王と中大兄皇子と大海人王子の三角関係って描かれ方が作家さんによって微妙に違っていておもしろいです。
引用元:読書メーター
このお話では額田王は不可触的な神の巫女で、兄弟同時に一目で額田王の魅力に取りつかれるんだけど、額田王は「誰のものにもならない」スタンス。火のような激しさをもつ中大兄皇子と水のようなおだやかさをもつ大海人皇子の間を、揺れ動くわけじゃなく確固とした「自分」として立つ火と水の巫女額田王が素敵です。
新マンガ日本史 4号
読んでみて
人気漫画家が一人の歴史上の人物にスポットを当てるシリーズものです。二ノ宮知子の手にかかると、額田王も単なる才媛であるだけでなく、つい笑ってしまうようなユーモラスな女性という側面も描かれています。古代史を描いたマンガでこういったタイプの作品は珍しいです。
本当の額田王がどんな性格の女性であったのかは分かりませんが、もしこういった、ある意味たくましい、さっぱりした性格であったのだとすると、随分生きやすかっただろうなと思ってしまいました。
みんなのレビュー
めっちゃ、おもしろかったです!! 家で声を出して笑ってしまいました。漫画担当は、二ノ宮知子さん。「のだめカンタービレ」の作者といえば、ご存知の方も多いはず。
引用元:https://blog.goo.ne.jp
額田王はもちろん、斉明天皇(宝皇女)も天智天皇(中大兄皇子)&のちの天武天皇(大海人皇子)の兄弟も、こんなキャラで描かれるとは想像していませんでした。いい意味でサイコーっす!!漫画のラストで、「ん?」と思いましたが、これはこれでイイのかも。ヽ(´ω`)ノ
人物クローズアップ・歴史コボレ話・歴史ピックアック!
といった解説ページもおもしろかったです。
額田王の生きた時代を知る漫画
天上の虹
読んでみて
讃良皇女(のちの持統天皇)を主人公にしたマンガです。讃良皇女は天智天皇の娘であり、天武天皇の皇后になったので、額田王とも深い関わりがありました。
大海人皇子と額田王が、お互い想いがありつつも別れなければならないシーンでは、額田王が若さもあって激しい感情が渦巻く心中を見せるものの、歳を重ねるに従って、自らの嫉妬心でさえ客観視できる余裕を見せるようになり、こうやって生きていける女性は素敵だと感じました。
みんなのレビュー
食わず嫌いで今まで避けていて申し訳なかった!!「天井の虹〜持統天皇物語〜」。
引用元:読書メーター
私なりの持統天皇のイメージがあるので、漫画ごときにイメージ壊されるのが嫌だったのだが・・・里中満智子さん1500冊以上という参考文献に基づいて書いているようで本当によく勉強されていてイメージ崩れるどころか勉強になることばかり!!
記紀の執筆、天皇の神化、律令の整備、伊勢神宮の昇格、火葬・・・持統天皇の時代から現代につながるものがたくさんある。漫画では死後もこの国を見守ると言って亡くなった持統天皇、今も見てますかーっ(笑)!!
天智と天武ー新説・日本書紀ー
読んでみて
天智天皇と天武天皇の兄弟が主人公のマンガですが、設定として二人ともだいぶ拗らせていて、こういう発想をする著者がすごいなあと感心して読んでいました。額田王ははっきり自分の意見を言う女性として描かれます。BL色が強い、昼ドラか?と思ってしまうような話の展開ではありますが、つい先を読み進めてしまう作品です。
この作品が特筆すべきなのは、日本の古代史を朝鮮や中国の側から見たらどう映るかに目を向けていることです。こういった視点で描くマンガはあまりないので、とても新鮮でした。法隆寺夢殿の救世観音の話から始まるのも興味をそそられました。
みんなのレビュー
梅原猛『隠された十字架』を面白いと思った人にお勧め。大化の改新で殺された蘇我入鹿は○○○子と同一人物で、法隆寺は罪なく殺された入鹿が怨霊化するのを封じ込めるアイコンだった……という前提で、中大兄皇子と大海人皇子の史上最大の兄弟喧嘩を描くのだそうだ。
引用元:楽天
第一巻は壮大な兄弟喧嘩の序章の序章だが、万葉集や日本書紀好きな人にはウハウハな登場人物絵巻。
番外編
マンガで楽しむ古典 万葉集
読んでみて
万葉集の歌一首に対してマンガや解説が載せられています。万葉集の代表的な歌しか扱われていませんが、もちろん額田王の歌も収録されています。マンガの分量はあまり多くないものの、マンガがあることでとっつき易い内容になっています。
写真が載っていたり人物関係が説明されていたりと、万葉集に関心を持つきっかけがたくさん散りばめられています。2016年発行の本ですが、元号「令和」の出典元である万葉集の序文の話も載っているので、「令和」の由来に興味がある人にもぜひおすすめしたいです。
みんなのレビュー
マンガでとても読みやすい&分かりやすいだけでなく、原文表記(いわゆる万葉仮名、小松英雄氏の用語でいうと借字)まで載っている! 内容も、ある程度しっかり勉強したい人にも耐え得る。 万葉集の入門は、これ1冊あればパーフェクトだろう。
引用元:読書メーター
恋するせつない歴史人物事典
読んでみて
題名も表紙のデザインも女子小学生や中学生向けのような本ですが、日本史への面白いアプローチだと思います。額田王については、中大兄皇子と大海人皇子との三角関係が描かれています。現代的な画に加え、SNS風のデザインも相まって、とても1400年前の話とは思えません。
“歴史”という科目は「実際に生きていた人物の歴史」であることを意識すると、急に身近な話として感じられるものです。イケメンコンテストなど、思わず突っ込みたくなるような話題が満載ですが、NHK大河ドラマの時代考証をしている大石学が監修していることもあり、侮れない内容です。
みんなのレビュー
乙女ゲームみたいで楽しかった。歴史人物の恋愛エピソードが分かり易く、しかも全ページカラーな上、全部イラストつき!イラストレーターさんとデザイナーさん大変だったと思います。武将がイケメンに描かれていて目の保養です。
引用元:BookWalker
でも成就しなかった恋が悲惨だなと思いました。特に大姫と源義高がね(泣)静御前も悲惨ですが。与謝野晶子のみだれ髪が読みたくなりました。
まとめ
いかがでしたか?読んでみたい漫画は見つかりましたか?
日本の古代史に多少なりとも知識がある人には「天の果て 地の限り」や「天上の虹」をおすすめします。どちらも大作ですが、その世界観にぐいぐいと引き込まれること請負いです。
額田王の初心者には「新マンガ日本史 4号」がいいでしょう。分量的にとても読みやすいです。日本史自体に苦手なイメージがある人には、「恋するせつない歴史人物事典」もおすすめです。
額田王についてはわかっていないことも多く、限られた資料を元に作家が想像力を駆使して描いているので、ロマン溢れる作品が多いです。また、古代は髪型や衣装も独特なので、漫画で見るとより一層魅力的に感じます。
これらの漫画をきっかけに、額田王とその時代について興味を持ってもらえたら、とても嬉しいです。