南方熊楠をよく知れる本・書籍6選【漫画や著書、研究書まで】

「南方熊楠って名前は聞いたことがあるけど、何をした人だろう?」
「ユニークなエピソードがたくさんあるらしいから、もっと知りたいな」

図書館の本棚を前に、またはパソコンやスマホの画面を目にして、このように考えている人も多いのではないでしょうか。南方熊楠は和歌山県生まれの生物学者・民俗学者ですが、名前は聞き覚えがあっても実際何をしたかまで答えられる人は多くありません。

この記事では、民俗学者としての熊楠を好きになって調べつくした結果どんどん惹かれていった筆者が、南方熊楠のことがよく分かる本を6冊ご紹介します。熊楠の生涯がよく分かる漫画や、熊楠自身が書いた著書、さらに熊楠研究の入門書という3つの切り口でご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

南方熊楠をよく知れる漫画・マンガ

南方熊楠(小学館版学習まんが人物館)

読んでみて

小学館から発行されている学習漫画・人物編の南方熊楠の巻です。小中学校にはよく配備されているので、見覚えがあるという人も多いのではないでしょうか?幼いころに読んで奇想天外なエピソードの多さに驚いた人もいるはずです。

南方熊楠は明治・大正時代に活躍した学者で、粘菌の研究でよく知られています。この漫画では、熊楠の学者としての功績だけでなく人間としていかにユニークな人物だったかも描かれています。熊楠についてもっと知りたい大人や、子供たちにもおすすめの1冊です。

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猫楠 南方熊楠の生涯

読んでみて

「ゲゲゲの鬼太郎」などで知られる漫画家・水木しげるが描いた南方熊楠の伝記的作品です。主人公は後に「猫楠」と名付けられ熊楠に飼われることになる野良猫で、人の言葉が分かるこの猫を語り部に物語が進んでいきます。実際に熊楠は猫が大好きで、大抵は「チョボ六」と名付けて飼っていたそうです。

水木しげるは熊楠の人となりに惹かれてこの作品を描くことにしたといいます。1991年に紫綬褒章を受章したときには、熊楠が昭和天皇に御進講したときの服装にあやかって授賞式に燕尾服とシルクハットで出席しました。

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南方熊楠自身の文章に触れられるおすすめの本

森の思想

読んでみて

河出文庫の「南方熊楠コレクション」の1冊です。編集を務めた中沢新一は宗教史学者で、熊楠研究でもよく知られています。この本では熊楠が書いた植物学の論文や「南方二書」、そして神社合祀反対運動に際して発表した意見書などが収録されています。

「南方二書」とは、1906年ごろから政府が推し進めた神社合祀政策に反対して熊楠が民俗学者・柳田国男に書き送った2通の手紙のことです。熊楠は神社合祀政策によって地方の神社が合併し、地域の民俗文化が消えてしまったり神社林で保たれていた生態系が崩れてしまったりすることを危惧していました。柳田国男は手紙を東京帝国大学の教授などにも送り、その反対運動の結果熊楠が住んでいた田辺市の湾に浮かぶ神島は保安林に指定されました。

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十二支考

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民俗学者としての南方熊楠について知りたいなら『十二支考』がおすすめです。十二支の動物たちにまつわる古今東西の伝説や説話を紹介している本で、現在の私たちが読んでも面白いものとなっています。

熊楠は英語が達者だったほか、フランス語やラテン語などの文献も読めたといわれています。そのためヨーロッパの書物なども参照でき、各国に伝わるさまざまな伝説を読み比べることができたのです。熊楠の博覧強記さは語学力の高さからきているのでしょう。

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熊楠研究の入門書

南方熊楠 – 日本人の可能性の極限

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南方熊楠の生涯を詳しく解説しながら、その思想を解き明かしてくれる1冊です。著者の唐澤太輔は哲学者で、熊楠研究でもよく知られています。この本でも熊楠の破天荒なエピソードはたくさん紹介されていて、新書に親しみのない人でも読みやすい1冊です。

副題の「日本人の可能性の極限」とは、柳田国男が熊楠を言い表したときに使った表現です。柳田は熊楠より8歳年下なのですが、お互いにその学才を認め合っていて手紙をやりとりする仲でした。初めて顔を合わすことになったとき、熊楠は緊張して泥酔状態で柳田と対面することになったといいます。

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南方熊楠 地球志向の比較学

読んでみて

南方熊楠の世界観や生涯、成し遂げた仕事について網羅的に紹介している本です。著者の鶴見和子は1918年生まれの社会学者で、熊楠や柳田国男についての研究で知られています。1981年に出版された本で、毎日出版文化賞を受賞しています。

鶴見和子は随筆家としても知られていて、和歌や日舞、着物などの著作や写真集があります。自身が生涯にわたって発表してきた著作を『鶴見和子曼荼羅』としてまとめていて、熊楠の「南方マンダラ」という言葉の影響が感じられます。哲学者の鶴見俊輔は弟です。

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まとめ

南方熊楠のことがよく分かる書籍を6冊ご紹介してきました。いかがでしたでしょうか。紹介したものを簡単にまとめると、このようになります。

南方熊楠の人柄を知りたいときは

  • 南方熊楠(小学館版学習まんが人物館)
  • 猫楠 南方熊楠の生涯

熊楠が書いた文章や著作に触れたいときは

  • 森の思想
  • 十二支考

熊楠について深く理解したいときは

  • 南方熊楠 – 日本人の可能性の極限
  • 南方熊楠 地球志向の比較学

生物学者としても、民俗学者としても、南方熊楠は興味深い研究を成し遂げています。その世界観は奥深く、熊楠自身がいうようにまさにマンダラのようです。この記事を読み終わって心惹かれる1冊があったら、ぜひ読んで熊楠のマンダラに触れてみてください。

1 COMMENT

K Y

恥ずかしながら南方熊楠というお名前すら聞いたことがなかったのですが、紹介を見て機会があれば読んでみたいと思うようになりました。
図書館で探してみます!

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