毛沢東をよく知るための本6選【伝記や語録、漫画まで紹介】

「毛沢東について書かれたオススメの本はないのかな」
「今の中国を作った人だということは知っているけれど、いったいどんな人だったんだろう」

歴史上の人物に興味をもったけれど、最初にどの本に手をつけたらいいのかわからない。そんな経験はありませんか?

毛沢東は、中国共産党の初代メンバーの1人で、ライバルの蒋介石や日本軍との戦いを経て、党内の権力を握り、中華人民共和国の建国後は最高指導者になった人物です。つまり、現在の中国政府の初代トップということになり、毛沢東がいなければ、今の中国もなかったかもしれません。

大きな功績を残し、間違いなく歴史上の重要人物といえる毛沢東ですが、政策の失敗により、国内で大量の餓死者を出すなど、大きな負の側面ももっている人物です。それだけに、毛沢東については賛否が分かれ、正当な評価をするのがなかなか難しい人物といえます。

ここでは毛沢東に興味のある人にとって、彼がどのような人物だったのか、考えてみる手掛かりになるオススメの伝記や語録といった本を紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。

伝記

毛沢東 ある人生(上)

読んでみて

現在の中華人民共和国、そして中国共産党を作った男である毛沢東の生涯について書かれた伝記です。BBCジャーナリストである筆者が膨大な資料と綿密な取材に基づいて執筆したもので、賛否両論のある毛沢東という人物は、伝記に関しても必要以上に肯定的なものや批判的なものなどがありますが、本書は毛沢東の伝記のなかでもかなり中立的で、初めて毛沢東について知るという人にはオススメです。

伝記というより、教科書を読んでいるようで少し退屈なところが欠点ですが、この本を読み、毛沢東の人生を理解したところで様々な毛沢東論を読んでいくことで、あなたなりに毛沢東を理解することができると思います。

みんなのレビュー

中華人民共和国建国の父の評伝。毛沢東の評伝はユン・チアンの「マオ」を読んだことがあるけど、著者の思いが出過ぎていて、客観的でなかったのが残念。このショート氏による評伝はかなり客観的で安心して読めた。

とはいうものの、瑞金時代の政敵の大量粛清は反吐が出そうなくらい酷い。確かにこの様な人物でなければ広大で腐敗しきった中国を再び独立させることは出来なかったかもしれないのだが、それにしても、と思う。

毛沢東 ある人生(上)

真説 毛沢東 上 誰も知らなかった実像

読んでみて

2005年に刊行された毛沢東の伝記の文庫版で、欧米ではベストセラーになり、日本でも17万部を超える売り上げを記録しました。

筆者は、中国出身で、清朝末期の中国からイギリス留学までの半生を描いたノンフィクション『ワイルド・スワン』で全世界1000万分のベストセラーを記録した人物で、ロシア等の新資料や数百万におよぶ中国内外の人々のインタビューを通して書かれたまったく新しい毛沢東伝になっています。

筆者が中国出身であることも関係してか、毛沢東に対してはかなり批判的に描かれています。「張作霖爆殺事件はソ連の謀略だった」など、この本独自の主張も展開していて、この点は専門の研究者などから批判されています。

毛沢東について批判的な部分は注意して読まなければいけませんが、こうした視点も必要ですし、一度読んでみてはいかがでしょうか。

みんなのレビュー

長さ含めしんどい本であった。薄々知ってたろくでもない人物像をひたすら強固にしていく。様々な政変を切り抜けた人物の中で唯一の良心のようにみられることの多い周恩来もこの本の中ではかたなしである。 このような人望の無さそうな人物がそもそも何故権力を握れたのかという疑問が解けた。これ程までにソ連の後押し介入があったとは。 著者は強烈にこの人物が嫌いなのか。膨大綿密な取材も執念かと思わせられる。惜しむらくは、嫌悪の情が文の端々に出過ぎていて、盛ってるのではないかと無駄な疑いを抱かされてしまうことだ。

真説 毛沢東 上 誰も知らなかった実像

毛沢東 日本軍と共謀した男 (新潮新書)

読んでみて

「私は皇軍に感謝している」そう語る毛沢東が、日中戦争時代には、実は日本軍と緊密な取引を行っていたという衝撃の事実が語られているのが本書です。

毛沢東が蒋介石や中国国民党の情報を日本軍に売ることで巨額の利益を得ていたことや、日本軍を利用して国民党軍を弱らせるとともに、共産党の力を温存させ、漁夫の利を得ようとしてことなどが書かれています。

この本でしか読むことできない新事実もあり、これまでとは違った視点から、毛沢東の今まで隠された一面を知ることのできるオススメの1冊です。

みんなのレビュー

毛沢東がいかに自分の権力を確立するために国民軍と日本軍を利用したか、そしてその権力を確立した後に国民を大量に殺したかが良くわかる。そのような話は今や、皆が知っている話とも言えるけれど。この本はその中でも、毛沢東在命時には南京大虐殺はおろか、日本軍の「侵略」という言葉すら用いなかったというのは驚きに値する。そして、蒋介石が以徳報怨といって先後の日本軍や日本人に情篤く接した話には感動すら覚える。こういった話はもっと日本人は知らないといけないのだろうな。共産党の歴史捏造よりもこちらの話の方が重要な話だと思うよ。

毛沢東 日本軍と共謀した男

文庫 毛沢東の大飢饉: 史上最も悲惨で破壊的な人災 1958-1962

読んでみて

1958年、毛沢東は遅れた国家である中国を軍事的・経済的先進国に変身させるべく、大躍進運動を開始します。アメリカ、イギリスを15年で追い越せると豪語した毛沢東。

しかし、現実を無視した無理な近代化は、中国を大混乱に陥れ、権力闘争による処刑や餓死者が相次ぎ、何千万もの死者が出たといわれます。

この本は、多数の新資料や証言をもとに、毛沢東によって引き起こされた未曽有の人災の真実を明らかにする1冊です。なかにはとても悲惨で残酷な記述もありますが、これも知っておくべき歴史上の事実といえるでしょう。

みんなのレビュー

スターリンの飢饉テロ『ウクライナ大飢饉』と同じく餓死者を含めての犠牲者が4,500万人以上との、只々中国人のあほさと残虐さに愕然とする報告書なので、残念ながら読書になりません。その彼等のらしさは、今も習近平を初めとした中国人のDNAに刻み込まれているのでしょうから、矢張り私は一党独裁共産党の彼等を愛せないんだろうなぁと思いました。最近の北朝鮮の動向を見ていても、「歴史と共に国も人間も進化する」とは言い切れず、何れ有事が勃発し、又似た様な愚かな歴史が繰り返される……嘆かわしいです。

毛沢東の大飢饉

語録

毛沢東語録 (平凡社ライブラリー)

読んでみて

毛沢東語録とは、その名の通り、毛沢東の著作などから引用・編集された文章を使った語録です。もともとは、人民解放軍向けの書籍でしたが、文化大革命時代を通して一般人にも浸透しました。

毛沢東語録は赤の表紙が特徴的で、持ち歩いたり、汗で濡れたりしてもいいように、本物は表紙がビニール製になっていました。中国の人々はこの本を「反復学習」し、集会などで多くの人がこれを掲げる様子は、社会主義国家中国を象徴する光景でした。

この本は、毛沢東語録の翻訳で、赤い表紙までは再現されていませんが、中には毛沢東自身の言葉の数々が載っています。批判はあるものの、毛沢東が巨大な中国をまとめ上げたのは事実であり、彼の語録に触れることで、その思想の一端を理解することができるのではないでしょうか。

みんなのレビュー

戦後、中華人民共和国という一大共産国家を建国し、「大躍進政策」や「文化大革命」をも引き起こした毛沢東氏の語録。語録ということなので、当然ある程度の言葉の編纂はあるにせよ、書いてあることはそんなに悪いものではなく、現代社会でも役に立つのではと思わされる言葉も結構多い。この語録を聖典の如く崇めていた当時の紅衛兵達は、この語録を読んでなぜ「文化大革命」のような蛮行を行ったのだろうかと思ったが、当時の日本も学生運動が盛んだったので、色々な意味で血気盛んな時代だったろうなと思った。「鉄砲から政治権力が生まれる」

毛沢東語録

漫画

学習漫画 世界の歴史 17 レーニンと毛沢東 ロシア革命と中国革命

読んでみて

学習漫画、世界の歴史シリーズのなかの1冊で、ロシア革命と中国の辛亥革命を扱っています。中国では孫文を中心とした辛亥革命によって清朝が倒され、中華民国が成立します。

しかし、中華民国政府による統治も安定せず、やがて毛沢東率いる共産党によって蒋介石の中華民国は、中国大陸を追われることになります。本書は、中国で起こった革命と、その後、歴史の表舞台に登場する蒋介石、毛沢東という2人の人物について説明されています。

漫画なのですぐに読めて、ロシアと中国という2つの社会主義国家の成立過程について手軽に理解することができます。

毛沢東が政権をとる様子については、第二次大戦や戦後世界と絡めて、18、19巻で描かれているので、そちらもぜひ読んでみてください。

みんなのレビュー

20世紀に入り、ロシアと、中国の社会主義国化を中心に描かれています。レーニンなどの名前くらいは知っている程度なので、ポリシェヴィキ、メンシェヴィキいった用語が出てくると、あれ、何だったっけな?となってしまいました。他の巻もそうですが、用語等はまた繰り返し学習する際に覚えることにして、ザーッとまずは読み進めるのが良いかと思います。

学習漫画 世界の歴史 17 レーニンと毛沢東 ロシア革命と中国革命

まとめ

評価の別れる毛沢東だけあって、伝記もたくさん出ています。まずは、なるべく公正な評価をしているものを読んでみて、その後に、様々な視点から毛沢東について書かれた本を読んでいくことで、より理解が深まるのではないでしょうか。ぜひ、ここで紹介した本を、あなた自身が毛沢東について考えてみるヒントにしてみてください。

以上、毛沢東に関する書籍のまとめでした。

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