「ソクラテスといえば教科書でしか触れたことないけど、退屈な印象しかない!」
「いまを生きる自分に、ソクラテスの哲学から学べるものはあるのかな・・・?」
古代ギリシアの哲学者ソクラテスとの出会いは歴史の教科書、という人も多いと思います。
でも学校の歴史の授業は、この部分をサラッと流すように終わらせてしまい、テストのために情報だけを丸暗記、その瞬間から哲学はつまらないものという印象を持ってしまった人はいませんか?
ソクラテスに限らず、古い時代の哲学がつまらないのは、現在を生きる私たちの悩みとの接点が見えにくいためではないでしょうか。
そこで、ソクラテスが生きた時代やその生涯を知ることができる初心者におすすめの本、そして彼の哲学が今を生きる私たちとどのようにリンクするのか読み解き、解説してくれる本を7冊ピックアップしました。ランキングにしてご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事を書いた人
一橋大卒 歴史学専攻
Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。
7位:ソクラテスの弁明 関西弁訳
読んでみて
ソクラテスの弟子・プラトンが著した『ソクラテスの弁明』。ソクラテスに死刑判決を下した裁判と、そこでの彼の言動を描くことで、ソクラテスの哲学や思想、性格や当時の時代背景を描き出した対話篇の1つです。
その『ソクラテスの弁明』を、なんと関西弁に訳したのがご紹介している書籍です。生きることの意味や善悪、国家や法、死とは何かなどが関西弁のソクラテスによって語られます。読みやすいと感じるかには個人差がありますが、試しに手にとってみると面白さにはまるかもしれません。
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6位:ソクラテス
読んでみて
ソクラテス・プラトン研究の第一人者で、京都大学名誉教授も勤めた田中美知太郎氏が1957年刊行した書籍です。少し敷居が高いような気もしますが、内容は初心者にもわかりやすく書かれています。
ソクラテスの哲学が生まれた土壌として、ギリシアの政情を含め、ソクラテスが生きた時代がどのようなものだったのか、またソクラテスに影響を与えたであろう親族や友人関係などについても丁寧に説明されています。
ソクラテス、あるいはギリシア哲学を知るための王道の入門書として、ぜひとも押さえておきたい一冊です。
みんなのレビュー
本書は、ギリシャ哲学研究の第一人者、故・田中美知太郎が書いた入門書。ソクラテスの出自や父親の職業、経歴ほか、生活の糧は何であったかなどの下世話な話から社会背景、そして裁判にかけられ服毒刑に書されるまでの様子、人物像、彼の哲学の特徴など高範囲に、かつ簡潔にまとめた本。
本書を読むと、ソクラテスは一神教的な考え方は持っていなかったように思えてきた。アテナイ市民が頼りとするデルフォイの神託でさえも盲信せず、時には否定する態度、その一方で、内なるダイモン(=当時は、悪魔ではないデーモンもいたらしい)の声には従っていたという(それらは既に『パイドン』『ソクラテスの弁明』に出ているんだけどさw)。ある種、多神教的かなw。
モトジってさー、30才超えないと魅力が分からないよね。
5位:ソクラテスに聞いてみた
読んでみて
現代に現れたソクラテスが、27歳の男性サラリーマンと「人生を考える5つのテーマ」で対話するという設定のこの本は、これまで興味がなかった人でも、哲学を「自分ごと」として考えるきっかけになるでしょう。
本書でのソクラテスとの対話のテーマは、深淵な哲学的問題ではなく、「仕事」「お金」「友達」「恋愛」「結婚」。そうした身近な自分の問題を解決するのに、親友や先輩からのアドバイスをもらうのも良いですが、古代ギリシアの哲学者の思考の方法に倣って、とことん自分で考えてみる、そんなきっかけになる一冊かもしれません。
みんなのレビュー
ソクラテスの入門書かと思ったら全然違いました(笑)でも、「友人」「恋愛」「お金」などをテーマに語るソクラテスとサトルくんの対話は読んでいて「なるほど」と思わされる部分も多かったです。あらゆる問いの根源には「善く生きるとはいかなることか」という問いにつながると再認識できました。
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4位:史上最強の哲学入門
読んでみて
ソクラテスを始め哲学の歴史はまさに闘いの歴史、古い思想や常識を打ち破って新しい思想を打ち立てていく、そんな哲学者の闘いの軌跡をわかりやすく説明してくれるのがこの本です。
時代を支配する考え方に対して、アンチテーゼを投げかけることができる存在が、哲学者と呼ばれるのかもしれません。死刑になっても自分の信条を譲らなかったソクラテスもそんな存在でした。
ソクラテスの哲学をピンポイントで知るより、時代と闘ったソクラテスの哲学が、どのように継承され、あるいは批判されることで、次の時代を作って行ったのか、そうした動き中でソクラテスを俯瞰したい人の入門書として最適な一冊です。
みんなのレビュー
3位:哲学の誕生: ソクラテスとは何者か
読んでみて
ソクラテスは西洋哲学の祖として崇められることが多いのですが、彼は一冊も著作を残していません。そのため、ソクラテスの哲学は、プラトンをはじめとする弟子の著作を通じて理解されています。
ソクラテスは、「不敬神」の罪で死刑になりました。そのため当時、ソクラテスの哲学は、大きな論争を起こしました。そうした中、ソクラテスの弟子たちは数多くの「ソクラテス対話篇」を書きました。
中でもプラトンの「対話篇」が有名ですが、プラトン以外の言説やその背景から、多様なソクラテス像を浮かび上がらせたのが「哲学の誕生: ソクラテスとは何者か」です。最終章では日本で明治以降どのように受容されてきたかも述べられています。
すでにソクラテスやプラトンの哲学について概要を知っている人は、それまでの見方を相対化してくれ、知的好奇心をくすぐられる一冊になることでしょう。
みんなのレビュー
「読む」「読まれる」ということに対する真摯さ、ソクラテスを「歴史的存在」ではなく「語られる存在」として見ることにより、かつての歪んだソクラテス像を鋭く問い直す。
「分かること/分からないこと」「類推できること/できないこと」を明確かつ丁寧に線引きし、”妥当”な推論を積み上げていく姿勢は、研究者として誰もが見習うべき理想の形と言えるだろう。古代ギリシャ研究など全く縁無いものだったが、驚くほど滑らかに内容を理解することができた。一流とは、こういうものを言うのか。
ブックメーター
2位:マンガと図解で知る② ソクラテス―その人と思想
読んでみて
短時間でサクッと理解したいなら、やはり漫画というスタイルが一番です。でも情報の正確性が心配という方、ぜひこの「マンガと図解で知る② ソクラテス―その人と思想」を読んでみてください。ソクラテスの生涯と思想が、漫画と図解を通してビジュアル的に理解できるようにまとめられています。
第一編ではソクラテスの生涯を描き、その思想が生まれるに至った古代ギリシアの風土や歴史も描かれます。第二編ではソクラテスの思想が丁寧に説明されています。ソクラテス以前の哲学や思想を紹介し、その長れの中にソクラテスを位置付けることで、ソクラテスが時代に残した意味が浮き彫りになります。
普通の漫画では飽き足らない、けれど難しい本から始めるのは気がひけるという方におすすめです。
みんなのレビュー
時代背景の説明が長く、漫画部分もそんなに多くは無いのだが、全体的に分かりやすくソクラテスの人なりを簡単に確認したいのであれば良い本だと思う。 ソクラテスカッコいい。 実際はどうなのかは知らんが、こう描かれているのなら、何かしらの魅力があった人なんだろうな。
引用元:読書メーター
1位:無敵のソクラテス
読んでみて
2007年に47歳の若さで亡くなった哲学者・文筆家で有る池田晶子さんの著作です。池田さんは、ソクラテスの対話篇を現代に復活させた「帰ってきたソクラテス」シリーズを手がけており、その集大成が本書です。
ソクラテスが、弟子のプラトンらと繰り広げた対話形式のことを、ソクラテス的対話と言いますが、この本も同じように対話形式を取っており、池田さんの筆を借りて、生き生きとソクラテスがいまに蘇るかのようです。
現代の様々なキャラクターとソクラテスが対話するとすると何が見えてくるのか、教科書的なソクラテスの情報は一通り知っているけれど、今ひとつ腑に落ちないとか、哲学は退屈だと思っている人にぜひ読んでほしい一冊です。
みんなのレビュー
一項目ずつ読んでいくのがもったいなくなるような、寂しくなるような気分だった。どこかで真理の一点を押さえてしまえば他の一切の事象を包摂できるとおもう、その真理のようなものを探しているって言ってたけどまさにそんな感じだった。それにしても真っ向勝負だなあ笑
ブックメーター
まとめ
ソクラテスの哲学とか古代ギリシア哲学というと退屈な印象しかないのですが、ソクラテスがどういう時代に生きて、時代を支配するものとなぜ真っ向勝負したか、そうした背景を知ると、断然哲学が面白くなります。
教科書では、「無知の知」とか「アレテー(徳)」とかいうキーワードとともにソクラテスの名前を覚えさせられたわけですが、ソクラテスの哲学が、どういう時代や葛藤の中で生まれてきたのか、その部分を知らなければ、哲学を「自分ごと」として考えることはできないと思います。
ここで紹介した本のスタイルは様々ですが、ソクラテスの哲学をいまに蘇らせるという意味で共通した魅力を放つものばかりです!