【保存版】アジアの歴史をよく知れるおすすめ本・書籍5選

「アジア歴史に関心があるけど、どんな本から読めばいいの?」

書店や書籍サイトにあるたくさんのアジア史関連の本を前に、そんなことを考えている人も多いのではないでしょうか?

そのようなあなたのために、この記事では、アジア史研究者として大学で教えている筆者が、日本で出版されているアジア史に関するおすすめの本を5冊厳選してご紹介します。

ぜひ参考にしてみてください。

アジア史の全体像を知るための本

アジア史概説

読んでみて

アジア史研究の大家である宮崎市定氏による概説書です。

日本でアジア史について知るための古典とも言える本で、大きな流れとしてアジア史の全体像を把握したいという人は必読です。

この本のいう「アジア史」は、各国史の寄せ集めとしてのアジア史ではありません。

中国文明、イスラム・ペルシア文明、インド文明といったアジア各地の異質な文明が、交通によって結びつき、それぞれが競争しつつも補完しあい、発展してきた総体としての「アジア史」です。

そのような文脈で、日本についても触れられています。

アジア史研究を極めた宮崎氏ならではの切り口を通して、アジア史のダイナミズムに触れることができる本です。

こんな人におすすめ

  • アジア史について大きな流れ・全体像を知りたい人
  • アジア史における各文明の相互交流と発展について知りたい人

レビュー

今まで数々の歴史書を読んできたが、これほどスケールが大きく、説得力のある文献は初めて。この本を書くのにどれほど、世界中の文献を渉猟したのか、気の遠くなるような思いがした。ある友人によれば、この著者は何人かいる怪物の一人とか。学校教育にもぜひ使ってもらいたいと、心からおもいました。

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アジア近現代史-「世界史の誕生」以後の800年

読んでみて

近現代のアジア史を、新書としてコンパクトにまとめた本です。

アジア史を国別・地域別ではなく、「アジア共同体」を視野に入れ、一体的にとらえることに重点を置いた叙述となっています。

また、この本は「アジア近現代史」というタイトルになっていますが、始点は13世紀、モンゴル帝国の誕生です。

これは、モンゴル帝国によって東西の文明が連結されたことで、今日に続く「世界史」が誕生した、という視点によるものです。

その視点をふまえ、この本では、アジアの中での相互交流はもちろん、欧米をはじめとした「外部」との相互作用という観点から、モンゴル帝国誕生から現代にいたるまでのアジア史が語られています。

今日、めざましい発展をとげるアジアについて、その近現代史の全体像を知ることのできる本です。

こんな人におすすめ

  • 発展を続けるアジアについて歴史的な視点から学びたい人
  • アジアの近現代史について全体像を把握したい人

レビュー

現代はアジアの時代だという人は多いが、その際の視点は経済の成長と関連付けられることがほとんどの印象。 本書は、そうした視点ではなくもっと視野を広げてアジア共同体を見通しながら、アジアとは何かをさぐるという方法論だ。

歴史の太い流れと細い流れがうまく整理されて提示されるので、読み手のレベルに応じた立体的ともいえる理解ができる思われる。日本の在り方とアジアの現状理解は非常に重要になってくると思われるので、好著として推薦したい一冊である。

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歴史から中国を知るための本

この一冊で「中国の歴史」がわかる!―殷の文明、清の統一から激動の現代まで

読んでみて

アジア史の中でも、とくに注目されている中国の歴史。

近年、中国の影響力拡大や経済・観光の分野での日本との関係の深まりによって、隣国としての中国の歴史について知っておくことの重要性は大きくなっています。

また、中国の歴史ドラマが日本のテレビで放映される機会が増え、趣味として中国の歴史について知りたいという人も多くなっています。

しかし、いろいろな王朝が興亡したり、周辺民族がしばしば侵入したりして、その動きを理解するのは容易ではありません。

この本は、複雑な中国の歴史をわかりやすく初心者向けに解きほぐしたもので、一冊で古代から現代までの大まかな中国史の全体像をつかむことができる良書です。

中国史を知りたければ、まずはこの本からスタートしてみてはいかがでしょうか?

こんな人におすすめ

  • 初心者でまずは中国の歴史について大雑把に知りたい人
  • 中国歴史ドラマのファンでドラマの歴史的背景を知りたい人

レビュー

最近中国の歴史ドラマの影響で中国の歴史に興味をもちました。
小説感覚ですらすら読めて良かったです。 項羽の最後の心情をよんだ詩の辺りの部分が特に印象的でした!

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中国ナショナリズム – 民族と愛国の近現代史

読んでみて

中国の近現代史をナショナリズムという観点から論じた本です。

アヘン戦争以降の中国は「半植民地状態」と呼ばれるように、欧米列強による帝国主義に翻弄されます。

さらには軍事力を背景にして日本が中国に勢力を拡大させました。

この本では、そのような状況で中国の大衆に高まってきたのがナショナリズムであると指摘しています。

近現代のアジア史を知る上で避けては通れない中国の動向や、中国人の対日感情のルーツを学ぶのに最適の本と言えるでしょう。

こんな人におすすめ

  • 中国の近現代史を日本との関係で学びたい人
  • 中国のナショナリズムや対日感情について歴史学的な視点から学びたい人

レビュー

昨今非常に話題になる「中国のナショナリズム」について、清朝滅亡直前の19世紀末から現代までの通史形式でたどった一冊である。

アヘン戦争敗北以後の実質的な植民地化、それに対抗するために大衆から高揚したナショナリズム指向と近代化(それは著者に言わせると西欧化でもあるのだが)指向。当初は植民地化の先頭に立っていたイギリスへ向かっていた中国大衆の敵視が何故日本へ向かうようになったか、その複雑な経緯の説明も時系列で書かれている。

中国の近現代史と言えば、日本の近現代との関わりがどうしても切り離せないので、この本は中国のナショナリズムの変遷を見ながら、近現代の日中関係を概観する一冊ともなっている。

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インド史を宗教という観点から知るための本

ヒンドゥー教とイスラム教―南アジア史における宗教と社会

読んでみて

中国とならんでアジア史において欠かせない文明圏として、インドがあります。

インドはヒンドゥー教を基盤とした宗教社会として知られていますが、この本はインドをはじめとした南アジアの歴史をヒンドゥー教とイスラム教という二大宗教から読み解いていきます。

この本では、現在も続くインドとパキスタンの対立の原因についても取り上げています。

そこで著者は、俗に言われるような「宗教間の対立によるもの」という単純な結論は出しません。

現実の歴史や社会のもつ複雑さと、だからこそていねいな歴史研究に意義があるということを教えてくれる本です。

出版から40年以上たった本ですが、アジア史だけでなく歴史を学ぼうとするすべての人にこの本をおすすめします。

こんな人におすすめ

  • インドをはじめとした南アジア史やインドの宗教に関心がある人
  • インドとパキスタンの対立の歴史的背景について知りたい人

レビュー

南アジアでのイスラム王朝は人口的に多数を占めるヒンドゥー教徒達に改宗を強制しなかったこと、ヒンドゥー側の支配層も唯我独尊でムスリムの支配者に反抗的な態度を取らないことが多く、結果的に両方の世界宗教の共存が歴史的になされていたことが本書では指摘されている。また、史的な文献資料が残っていないものの、文字を操れない一般庶民にとっては、恐らく両方の宗教において神秘主義的な教派が最も人気があり、教義・哲学上の違いは余り関心を持たれなかったのではないかという仮説も興味深い。

70年代に書かれた本だが、未だ緊張関係にある印パ関係が単なる宗教上の争いとして理解されがちであることは、今も変わりない。この一点において、本書は今も有効な一冊だと思う。

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まとめ

これまで、日本で出版されているアジア史に関するおすすめ本を5冊、厳選してご紹介してきました。

それぞれの本ごとに、扱っているテーマや視点が異なっていますので、まずは関心のある本や目的に応じた本から順に読んでみてください。

1冊読むごとに、アジア史に対する理解が深まってゆくのを実感できるのではないかと思います。

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