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三島由紀夫の名言9選!発言の背景や意図も解説

あなたは三島由紀夫というとどのようなイメージをもつでしょうか。人によってそのイメージは大きく異なるのではないかと思います。実際、彼の経歴を見ても東京帝国大学(現在の東大)法学部を卒業した秀才であると同時に、日本を代表する小説家としての一面や、その政治的主張の鋭さでも知られています。

演説する三島由紀夫

そんな彼が遺した名言は、彼自身が名言として意図してないものも含めて、現代に生きる我々にも響き、通ずるところが多くあります。

今回は、彼がその生涯を通して得た名言を3つのカテゴリーに分けて紹介し、関連した書籍も紹介していきます。

三島由紀夫の名言と意図、背景

①男と女に関する名言

男が女より強いのは、腕力と知性だけで、腕力も知性もない男は、女にまさるところは一つもない。

『第一の性』

三島由紀夫は男女のあり方、価値観などに関して彼の美学にしたがって述べているところが多いです。しかし、それは感情的であるということではなく、むしろ論理的に整然と述べています。この言葉は、そのような中で生まれた世の男性に対する三島からの忠告ともとれるでしょう。

男の虚栄心は、虚栄心がないやうに見せかけることである。

『虚栄について』

シンプルな言葉ですが、核心をズバリと突いてきている言葉だと思います。現代に生きる男性も思い当る節がある方がほとんどなのではないでしょうか。この簡潔で分かりやすい語り口を展開できることも三島の特徴の一つと言えるでしょう。

女性はそもそも、いろんな点でお月さまに似てをり、お月さまの影響を受けてゐるが、男に比して、すぐ肥つたりすぐやせたりしやすいところもお月さまそつくりである。

『反貞女大学』

この言葉は上で紹介した二つと異なり、女性に主眼が向けられています。この言葉、現代において公の場で発言しようものなら、少なからず批判の声があがるでしょう。しかし、そんな彼だからこそ感じ言えた事というのを知ることは、現代に生きる我々にとっても意義深いでしょう。

②死生観に関する名言

自殺しようとする人間は往々死を不真面目に考へてゐるやうにみられる。否、彼は死を自分の理解しうる幅で割切つてしまふことに熟練するのだ。かかる浅墓さは不真面目とは紙一重の差であらう。しかし紙一重であれ、混同してはならない差別だ。

『盗賊』

自殺に関しての三島の意見・名言です。現代でも自殺をする人は後を絶ちませんが、自殺をする人とは死をどのように考えているのか、また自殺をするまで追い込まれてしまったからこそ、三島の言うように死を捉えてしまうのではないか、そんなことを思い起こさせる言葉です。

何のために生きてゐるかわからないから生きてゐられるんだわ。

『盗賊』

こちらも上で紹介した「盗賊」からの抜粋です。先ほど紹介した言葉と、どこか根本においてつながっているようにも思えます。なにも考えていないで生きている人に対して、ある種軽蔑の念を抱きつつも、羨望の念も抱いている。三島のそのようなメッセージとも言えるかもしれません。

もし、われわれが生の尊厳をそれほど重んじるならば、どうして死の尊厳をも重んじないわけにいくだらうか。いかなる死も、それを犬死と呼ぶことはできないのである。

『葉隠入門』

死の尊厳という日常スポットライトを向けられることのないテーマに関する名言です。我々は生の尊さを普段訴えることはありますが、確かに死も表裏一体のものとして重んじられるべきなのではないか。死というテーマに関して三島が論理的に説いたものと言えるでしょう。

③政治に関する名言

どんな政治体制でも歴史的な基盤があって、徐々に形成されたものであるので、その点では日本の天皇制もまったく同じだと思います。ですから民主主義が悪いとか、天皇制がいいとか悪いとかいう問題じゃなくて、その国その国の歴史的基盤に立った政治体制ができていくということは当然だと思います。

「国家革新の原理~学生とのティーチ・イン」

政治体制に関する三島の名言です。過去現在問わず、ひとたび政治の話になると自己の主張の正しさを証明しようとするあまり、相手のバックグラウンドを軽視した発言をする人もいます。しかし三島は相手の立場を尊重する姿勢をしばしば見せています。彼の経験や教養に裏打ちされた、彼の特徴の一つと言えるでしょう。

国家がなくなって世界政府ができるなんという夢は、非常に情けない、哀れな夢なんです。 …資本主義国家も国家が管理している部分が非常に大きくなっておりますから、実際の国家の時代という点では、国家の管理機能はむしろ史上最高ぐらいまで達しているのではないか。

「国家革新の原理~学生とのティーチ・イン」

こちらも先ほど紹介したものからの抜粋となります。戦後において、戦時中の経済政策や国家体制のあり方から、EC(現EU)などの国家間を超えた枠組みの勃興、福祉主義的な国家への志向が叫ばれた時代の中での言葉です。三島の独自の考えが端的に示されています。

天皇の本質というものが誤られてしまった。だから石原さんみたいな、つまり非常に無垢ではあるけれども、天皇制廃止論者をつくっちゃった。

石原慎太郎との対談「守るべきものの価値」

戦後、天皇制が否定されたことで多くの国民が当惑し、また今後どのように天皇というものを考えていくべきかは、一般国民、知識人を問わず直面した問題でした。そのような中、石原慎太郎との対談で出た三島の素朴な言葉と言えるでしょう。

三島由紀夫の名言集や関連書籍

盗賊

記事の中でも引用元として取り上げた「盗賊」ですが、三島の死に対する考え、憧憬とも思えるものが比較的読みやすく書かれています。彼の死生観とその遺した名言を知りたいという方にはオススメです。

第一の性

世の中の男性のあり方について、半ば冗談なども含めながら書かれている作品です。「男とはこういうものだ」、という内容に笑ってしまうものもあれば、「確かになるほど」というものもあり、とても読みやすくオススメです。

金閣寺

言わずと知れた三島由紀夫の代表作品です。三島由紀夫自身の名言が直接書かれているわけではありませんが、物語を通じて彼の根本にある美学を感じることができます。

三島由紀夫の名言についてのまとめ

いかがでしたでしょうか。三島由紀夫の名言は、彼の思想や美学を反映しており、考えさせられるもの、やや過激とさえ思えるもの、イメージと異なり分かりやすくかみ砕いたフランクな言葉など様々だったと思います。

この記事を通して一人でも多くの方が三島由紀夫に興味を持ち、あるいはその魅力を再発見していただければ幸いです。

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