「I Love You」や「卒業」などのヒットソングを生み出した尾崎豊。そんな彼のことをどれくらい知っているでしょうか。
1983年にシングル「15の夜」とアルバム「十七歳の地図」で高校在学中にデビューを果たし、過激なパフォーマンスやストレートな歌詞で若者を中心に共感を集めました。「10代の教祖」などと呼ばれ、影響された学生らによる問題行動が頻発し社会現象になったほどです。
カリスマ的な人気を集めていた彼が1992年に26才の若さでこの世を去り、世間に大きな衝撃を与えました。
尾崎豊はミュージシャンとしてだけではなく、作家としても素晴らしい才能を発揮し多くの作品を残しました。また彼の死後、尾崎豊という人間について語られた作品が数多く出版されています。
この記事では尾崎豊という人間が表現されている書籍を、「小説編」「詩集編」「伝記編」に分けて6つ紹介します。
小説編
普通の愛
読んでみて
1991年に角川書店から発売された尾崎豊の短編小説集です。7つの話に分かれていて、そのひとつひとつが尾崎本人の心の内を表現したかのような内容になっています。真実を求めてもがき苦しむ心模様を繊細に描き出します。
拘置所での体験を綴っている「フェアリー・ウィスパー」や兄との思い出話の「雨の中の軌跡」、薬物中毒についてに書いた「LOVE WAY」。タイトルでもある「普通の愛」は壊れた夫婦関係を綴っています。
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黄昏ゆく街で
読んでみて
連載中に尾崎が亡くなったため、未完で終わってしまった長編恋愛小説。若い男女の出会いから別れまでを描きます。また1990年発売の9枚目のシングルに、同じ「黄昏ゆく街で」というタイトルを付けています。
主人公である裕行の彼女である美冬は、裕行の他に2人の男と付き合っています。美冬は美人ではあるものの、欲望に勝てず3人の男を利用するひどい女です。にもかかわらず裕行は美冬から離れられず、真実の愛を求めて苦悩します。
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詩集編
白紙の散乱
読んでみて
1990年の8月から91年の7月まで「月刊カドカワ」で掲載された65篇の散文詩をまとめた作品です。尾崎豊本人が撮影した写真に詩を添えるという手法をとっています。創刊されたのは尾崎が亡くなる2か月前の1992年の2月でした。
詩のテーマは恋愛や孤独など多岐にわたっていますが、哲学的なものが多いです。歌詞と比べると、もっと深い悲しみや寂しさを言葉で表現しています。読む時期によっても感じ方の変わる作品なので、2、3度読み返してみることをお勧めします。
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Say good‐by to the sky way
読んでみて
尾崎豊が残した創作ノートの最後のページに書かれていた詩をタイトルにした作品。兄・尾崎康、マネージャー・大楽光太郎、友人・吉岡秀隆らによって制作された追悼文集です。巻頭に載せられている詩は、まさに晩年の尾崎豊の心の内を表現しているようです。
それぞれの人物が尾崎豊とのエピソードや関りの中で感じたことを綴っていて、未発表の詞や散文、全曲71曲分の歌詞も掲載されています。ページの最後には、意味がないと嫌っていた尾崎豊のサインが書かれています。
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伝記編
弟尾崎豊の愛と死と
読んでみて
兄・尾崎康の目から見た弟・尾崎豊を書き下ろした作品。尾崎豊の亡くなった2年後の1994年4月に発売されました。相談相手だった兄だからこそわかる弟の知られざる一面を語るとともに、数々のメッセージを訴えます。
壮絶な人生を生きた尾崎豊には、大人の社会はどんなふうに映っていたのでしょうか。純粋さゆえの支配への反発や葛藤、孤独の中で問い続けた真実とは。家族の絆とは何かを問いかける感動の1冊です。
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尾崎豊 覚え書き
読んでみて
尾崎豊に最も影響を与えた音楽プロデューサー・須藤晃が、尾崎との出会いから別れまでを克明に綴った作品。「教えられたこともいっぱいあるんだよ」と語る須藤から見た尾崎豊の姿がこの作品の中にあります。
須藤自身が詩人を目指していたことがあり、尾崎と共通するところがあったと言います。最初の「十七歳の地図」の歌詞を何度も書き直させたことが、尾崎の成功につながったのでしょう。優れた才能と感性を持ち合わせた尾崎豊の軌跡を追います。
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まとめ
天才は短命といいますが、その言葉の通り26才でこの世を去った尾崎豊。そのストレートで赤裸々な歌詞は、同世代のみならず多くの人々を共感させ魅了しました。さらには音楽の才能だけにとどまらず、素晴らしい作家でもありました。最後に紹介した6冊をまとめます。
小説編
- 普通の愛
- 黄昏ゆく街で
詩集編
- 白紙の散乱
- Say good‐by to the sky way
伝記編
- 弟尾崎豊の愛と死と
- 尾崎豊 覚え書き
今となってはその繊細な心の内を知ることはできませんが、彼が残した言葉と彼を知る人々の言葉で少しは知ることが出来ます。ぜひ尾崎豊の心の内を覗いてみませんか?