「村上春樹の本ってどれから読むのがいいんだろう…?」
「村上春樹の本で初心者でも読めるのってどれだろう?」
世界中にファンを持つ、日本の現代文学を代表する作家の1人、村上春樹。新作が発売されれば開店前から本屋に並ぶような、「ハルキスト」と呼ばれる多くの熱狂的なファンを生み出してきたその作風は、もはや社会現象のひとつといっても過言ではないでしょう。
そんな人気の高さから村上春樹の本を読んでみたい、と思っても、1979年のデビュー作「風の歌を聞け」から幅広く作品を発表してきた村上春樹の作品は20作を優に超え、初めて読むのにもどれから読んだらいいかわからない、という方は多いのではないでしょうか。
この記事を読めば、初めての人でも読みやすい村上春樹の本がわかります。
村上春樹の本の代表作を網羅し、「ハルキスト」に勝るとも劣らない村上春樹ファンの私が、「初めて読む人におすすめの本」「王道とも言える代表作品」「喪失感がクセになる本」
「世界観にどっぷりハマる本」の4つの切り口でご紹介します。
初めて読む人におすすめの本
パン屋再襲撃
読んでみて
まずは読んでみたい、という方におすすめの本作は、表題作「パン屋再襲撃」や、長編「ねじまき鳥クロニクル」につながるエピソードを含む短編集です。短編集なのでさくっと読めるのが魅力ですが、村上春樹の作風の中でもコミカルな印象の作品が多いです。
特に表題作の「パン屋再襲撃」は、深夜に耐えきれない空腹を覚えた主人公夫婦が、パン屋を襲おうと街に繰り出すストーリー。シュールな展開に思わずクスっと笑ってしまいます。他の村上春樹の本を読んでイマイチ世界観に馴染めなかった、という方にも一度は読んでいただきたい本です。
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カンガルー日和
読んでみて
村上春樹の作風を堪能できる、18のショートストーリーが収められた短編集です。中でも人気のある「4月のある晴れた朝に100パ ーセントの女の子に出会うことについて」は、世界には必ず運命の相手がいる、という価値観を村上春樹独自の感性で描ききっていて、心に残る一作です。
村上春樹作品の挿絵を多く担当している佐々木マキさんの不思議な表紙も魅力ですし、本作には佐々木マキさんのイラストが印象に残る村上春樹作品の主要キャラクター「羊男」が活躍する短編も収められています。入り口の作品としてぴったりといえるでしょう。
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王道とも言える代表作品
風の歌を聴け
読んでみて
村上春樹のデビュー作となる本作は、軽快なジャズのようなまさに「聴く」小説です。本格的な村上春樹の本を読みたい、という方におすすめの一冊。「風の歌を聴け」は後に刊行された「羊をめぐる冒険」「ダンス・ダンス・ダンス」と合わせて三部作となっています。
村上春樹自身の人生を反映しているともされているストーリーと人物設定も、本人が29歳のころに書いたということもあって、30歳になる直前の大人になりきれない子供のような、それでいて社会に染まってしまったような、誰もが見に覚えのある不思議な感覚を体感できます。
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1Q84
読んでみて
村上春樹ワールドがつまった長編小説です。主人公の男女、青豆と天吾の2人のそれぞれの視点で語られる、壮大な愛の物語。2人は現代と平行線にある不思議な世界に迷い込み、大きな悪に対峙します。果たして2人は巡り合うことができるのでしょうか。
謎を呼ぶミステリー展開と眉を潜めたくなるような絶対悪の描写も特徴的ですが、最もハラハラさせられるのは主人公2人のすれ違いです。特に互いに想いあっている2人が公園でタッチの差で入れ違った瞬間のシーンは、月のイメージが重なって印象に残ります。
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喪失感がクセになる本
ノルウェイの森
読んでみて
村上春樹作品のうち、純愛小説を代表するものが本作です。主人公の「僕」と直子という女性との関係を主軸においた長編小説で、1969年という時代の危うさや、人の不安定さがストーリー全体に散りばめられ、ノスタルジックな印象をかもし出しています。
「僕」の父親の弱々しい描写や、施設の女性レイコさんの価値観、そして精神を病んだ直子の儚さが美しく、読み終えた後には一抹の寂しさが残ります。タイトルとなっているビートルズの「Norwegian Wood」を聞きながら読めば、より世界観を堪能できますよ。
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スプートニクの恋人
読んでみて
「旅の連れ」の名を冠した人工衛星、スプートニクのような、どこか孤独な恋愛を描いた長編小説です。冒頭のすみれが恋に落ちたレトリックの効いた描写はとても印象的で、抗いようのない恋に落ちる瞬間の激しさを絶妙に表現しています。
主人公の「僕」が好きな女性のすみれが、同じ女性のミュウに恋をしている、という関係が切なくも愛おしい一作。きっと誰でも身近に感じるような想いのすれ違い、そしてすみれが好きになったミュウの描写が美しく、心に余韻を残してくれます。
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世界観にどっぷりハマる本
ねじまき鳥クロニクル
読んでみて
村上春樹の本の中でも傑作と謳われる本作は、「泥棒かささぎ編」「予言する鳥編」「鳥刺し男編」から成る三部作の年代記です。主人公の僕とクミコの家から猫が消えたことから、壮大な冒険の物語が幕を明けます。
泥棒かささぎ、綿谷ノボル、加納クレタ、といった不思議に印象に残るワードや強烈なキャラクターも多く登場する本作。最も多くの読者の度肝を抜いたのは、暴力的描写の数々でしょう。主人公が暴力に頼るシーンもさることながら、中盤のノモンハンのリアリティのある描写は、本作を傑作と言わしめる要因のひとつといえます。
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世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド
読んでみて
村上春樹ファンの間でも人気の高い本作。「世界の終わり」と「ハードボイルド・ワンダーランド」という2つの世界での物語が同時で進行していきます。「僕」と「私」それぞれの主人公が向かう先はどうなるのか、ミステリアスな展開に引き込まれてしまいます。
「ハードボイルド・ワンダーランド」は現実世界を舞台に「やみくろ」と呼ばれる奇妙な存在が不気味な存在感を放ち、「世界の終わり」では図書館で「夢を読む」という幻想的な仕事が登場したりと、多種多様な舞台設定が読者の心を掴んで離しません。村上春樹の独特の世界観をたっぷりと味わえる作品といえるでしょう。
みんなのレビュー
まとめ
村上春樹の本を、初心者におすすめの本から王道作品、喪失感が癖になる作風、世界観に引き込まれる本までご紹介しました。
初めて読むときにはどれから読んでも楽しめます。自分が村上春樹作品のどんな魅力を知りたいのか、どんな世界観だったら入り込めそうか、という観点で選んでみてもいいでしょう。
この記事を読んで、少しでも村上春樹作品の魅力に触れるきっかけになれば幸いです。