小説ヲタクがおすすめするオールタイムベスト83冊

鈴木大拙のおすすめ本6選【代表作品から人物像が分かる書籍まで】

「鈴木大拙の著作で、初心者向けの本はないのかな?」
「鈴木大拙の代表的な作品を読みたいけれど、どれが良いかな?」

仏教哲学者で、世界に向けて禅について英語で語った鈴木大拙の名前は、日本国内よりも、意外と海外の方が知れ渡っているかもしれません。筆者も初めて鈴木大拙の名前を意識したのは留学中のことでした。

同じ日本人なのに全く知らないと恥ずかしくなった筆者は、鈴木大拙のことを学ぼうと図書館へ行き、読めそうな本を探したのですが、どれも書いてある内容が形而上的で雲を掴むような印象しかなく、よくわかりません。何から手をつけて良いのか、まさに途方に暮れました。

それでも、どうしても鈴木大拙の思想を知りたいと多くの著作にチャレンジし、再読を重ねて親しんできた著者が、もっともおすすめする鈴木大拙の本を、今回は「鈴木大拙を知れる本編」「初心者におすすめの読みやすい本編」「代表作品編」の3つのカテゴリーに分けて6冊ご紹介します。

鈴木大拙を知れる本編

はじめての大拙ー鈴木大拙 自然のままに生きていく一〇八の言葉

読んでみて

鈴木大拙の著作は難しいと身構えてしまいがちですが、この本は鈴木大拙のわかりやすい言葉を選んで載せているので、とても読みやすいです。鈴木大拙の言葉を通じて、生きることについて改めて考えさせられるでしょう。

鈴木大拙自身の話や、思想を掘り下げた説明はないものの、だからこそ鈴木大拙を知らない人でもその言葉に耳を傾けやすいはずです。また、鈴木大拙を知っている人なら、言葉そのものに新鮮な気持ちで向き合うことができるでしょう。

みんなのレビュー

鈴木大拙の著作から200文字で理解しやすい文章を108紹介している。はじめて読むには5章をテーマ別に並べていて彼の考え方を理解しやすい。禅の教えは「不立文字」、言葉を重用しない。瞑想は禅ではない。身を持って体験することであり、仏陀のように個人体験である。
それでも大拙は言葉を尽くして伝えようとした。生命は「墨絵」である。ただ一度限りでためらいなく、知性を働かせることなく描かねばならぬ。「実際のところわれわれは皆、生きることの芸術家として生まれてきている。」禅とは何ぞや?禅の師匠は即座に答えた「汝の日々の心」

引用元:読書メーター

大拙

読んでみて

最初はあまりに潔い本の装丁に惹かれて手にとったのですが、内容は鈴木大拙という人物を鳥瞰して捉えた、興味深い本でした。禅のイメージが強い鈴木大拙ですが、もっと大きなスケールで彼の思想を考える作品です。これを読むと、大拙の発想の根底にあるものが垣間見え、他の著作の理解を助けてくれます。

哲学者西田幾多郎の唱える有名な「西田哲学」は、東洋思想と西洋哲学の融合であり、それはまさに鈴木大拙との関わりで生まれてきたのだろうと感じます。多くの人との出会いが大拙自身の思考を深めただけでなく、その相手にもたくさんの恩恵を与えたのでしょう。

みんなのレビュー

鈴木大拙の名を知ったのは、禅ではなく、ジョンケージから、という自分ではあるが、大拙の思想の変遷、影響がまとめられている。とはいえ、「華厳」の章は記憶が飛んでしまったのでいつか再チャレンジしたい。
西田、宗悦、ケージ、折口、井筒、、、という最近興味のある人物全てに関わるキーパーソンとして大拙がいる。大拙は禅のみにあらず。「それは無限の可能性に満たされたゼロであり、無尽蔵の内容をもった空虚である」

引用元:読書メーター

初心者におすすめの読みやすい本編

新編 東洋的な見方

読んでみて

鈴木大拙晩年のエッセイ集です。他の著書に比べて口調がくだけているせいか、比較的読みやすい作品です。二項対立を始めとし、とにかく分類して物事を理解する西洋的な思考に対して、東洋ではあるがままを、多様性を受け入れる考え方をするという話は、すんなり理解できます。

これは、海外での生活が長い、鈴木大拙ならではの発想だと言えるでしょう。国の垣根を越えてボーダレス社会になっている今、東洋と西洋の、歴史や地理的背景からくる違いを理解しておくことは大切だと思います。ぜひ多くの人に手にとってもらいたい本です。

みんなのレビュー

やはり鈴木大拙は面白い。西洋思想に対しての挑戦。「変化があるから生であり、永遠というものは死である。永遠がある楽園というものが存在するのだろうか。本当の意味での楽園は変化がある穢土である」という主張がとても興味深かった。禅というよりも大乗仏教特有の死生観だと思った。

引用元:読書メーター

無心ということ

読んでみて

鈴木大拙の講演内容を記録したものです。鈴木大拙の著作の中では理解しやすい分類に入るとは思いますが、それでも難しいです。筆者も初読の時には文字だけを追うのに必死で、内容が頭に入ってきませんでした。

「無我夢中になる」と言いますが、実際に何の邪念もなく熱中するのは難しく、実行している人は少ないと思います。鈴木大拙の言葉に耳を傾けると、無我夢中になることが無心に繋がっていると感じます。本当の意味で無我夢中になって、無心になる境地はどんなものか、知りたい人にはぜひこの本を何度も読んでもらいたいです。

みんなのレビュー

「禅と日本文化」の著者、鈴木大拙。何よりもその博識ぶりに驚きます。インド、中国の仏教、儒教、キリスト教、日本の仏教の各宗派にいたるまで、書物からの知識だけでなく、経験から語っていて説得力があります。
「受動性こそあらゆる宗教の本質」だと説く著者。「神はあるから信じるのではなくして、信ずるからある」自分ではなく、他のものに一切を任せてしまう。これは、著者自身も言っていますが、悪用されると危険な思想ですね。私は「無心ということ」が感覚的に分かります。きっと、禅が向いているのでしょうね。

引用元:読書メーター

代表作品編

対訳 禅と日本文化

読んでみて

禅も日本文化も、言語化するのが難しい部分を含み、それがまた魅力でもあるのですが、それを踏まえた上で言葉にしようと挑戦した鈴木大拙の尽力には頭が下がります。武士と禅との関わりなど、多くの外国の方々が興味を持つ話が書かれているので、留学前の学生には特に一読を進めたいです。

「禅と日本文化」という題名で日本語だけの本も出版されていますが、個人的には英語でぜひ読んでほしいです。元々英語での講演だったので、英語が原文であることと、日本語だと曖昧になってしまう表現も、英語で明記されるとすっきり理解できることもあるからです。

みんなのレビュー

対訳版。本稿は、鈴木大拙博士によるアメリカ及びイギリスでの講演をもとに、加筆して英文で執筆された。1938年に刊行されたが、今も色褪せない魅力を感じた。
美文だからか、あるいは博士が禅について平易な言葉で語ろうとしたからか、同じ日本人であることを差し引いても読みやすい英文。仏教の真髄を成すふたつの概念について「般若(智慧)」と「大悲」とを挙げるが、その説明が美しい。

引用元:読書メーター

日本的霊性 完全版

読んでみて

鈴木大拙の代表作として欠かせない本書ですが、かなり難解です。しかし、この本は大拙が太平洋戦争末期に書いていたものだということを念頭におくと、彼の必死な思いが伝わってきます。日本の独自性をその文化に見出し訴えることが、敗戦を確信していた大拙にとって、戦後日本の新しい道を切り開くと信じていたのではないでしょうか。

また、世界的に見て日本は宗教に対する感覚が特殊であることは常々言われていることですが、その理由を本書で見つけたような気がしました。海外では宗教についてディスカッションする場面が意外に多く、その際、本書の内容は意見を述べるための一助になります。

みんなのレビュー

大拙が昭和19年に、軍部が宣揚する日本精神に対抗して唱えた「日本的霊性」を書いて出版した本。本書は初版・再版と同じく第5篇「金剛経の禅」がある。だから完全版だ。昭和24年に「鈴木大拙著作集」第1巻として「日本的霊性」は再び出版されたが、その時より第5編は削除され、岩波文庫版も第5篇はない。第5篇は非常に難しい。
霊性は宗教意識と言ってよい。霊性に目覚めることにより初めて宗教が判る。民族がある程度文化段階に進まぬと霊性は覚醒しない。神道は日本民族の原始的習俗を固定化したものに過ぎず、霊性には触れていないと。

引用元:読書メーター

まとめ

読みたいと思った本に出会えましたか?

「禅と日本文化」は英語学習のために読むのもいいでしょう。鈴木大拙はベアトリスというアメリカ人女性を妻に迎えていますし、猫に英語で話しかけるほど英語が堪能でした。美術史家として知られる北川桃雄の翻訳した日本語も美しく、勉強になります。

どれを読むか迷ったら「大拙」をおすすめします。西田幾多郎以外にも、前衛音楽家として知られるジョン・ケージなど著名人の名前が多く出てくるので、そこから関心を持って読み進められるかもしれません。

情報が溢れ過ぎている今、情報に流され、思考することが減ってきているように思います。今回紹介した鈴木大拙の著作を通し、考えることの素晴らしさ、面白さを感じてもらえたら、この上なく嬉しいです。

コメントを残す