手塚治虫のおすすめ作品・漫画10選【少年から青年まで楽しめる代表作】

「手塚治虫作品にはどんなジャンルがあるんだろう」
「簡単に読める作品から読んでみたい!」

手塚治虫は漫画家のみならず、アニメーションや様々な文化へと多大な影響を与えた人物で、現在もAIで手塚作品の新作を生み出そうというプロジェクトが進行しております。

ですが、最近の漫画好きな人の中には、手塚治虫作品に触れたことのない人もいると思います。

そこで今回は、小学生のころから手塚作品に慣れ親しんできた筆者が少年向けの冒険ファンタジー作品と青年向けの社会派・SF作品という2つの切り口で手塚作品をご紹介いたします。

少年向けの冒険ファンタジー作品

鉄腕アトム

読んでみて

1952年4月から1968年にかけて光文社から発刊されていた雑誌「少年」に連載されていた作品。21世紀の未来を舞台に、原子力エネルギーを持ち、人と同党の感情を持ったロボットの少年・アトムが様々な活躍をする物語。

手塚治虫の代表作であり、日本初の30分テレビアニメとして放映された作品。作中には、ロボットが人間社会において守るべき法律である「ロボット法」が登場し、ロボットと人間はどのように付き合っていくべきか、というテーマで描かれています。これは現在におけるAIとの付き合い方にも通ずるものがあります。

みんなのレビュー

読み終わって、最後のページの初出を見て驚いた。ここに収められている作品はほとんどが昭和20年代に描かれているのだ。私が生まれるずっと前の作品だ。そんな昔の作品なのに、驚くほど斬新で瑞々しい。アトムが人間たちとロボットの板挟みになって悩むところが、胸に迫る。ロボットの側にも人間の側にも付くことのできないアトムは、鬼っ子的な存在だ。将来ロボットが実用化されたら、アトムのように悩むロボットも出てくるかもしれないと思うと、手塚治虫の想像力に圧倒される。

引用元:読書メーター

マグマ大使

読んでみて

1965年から1967年まで雑誌「少年画報」で連載されていた少年漫画。地球の創造主・アースが、宇宙の帝王・ゴアに対抗するために作られたロケット人間・マグマ大使とその協力者であるマモル達と共にゴアの刺客達の戦いを描いた作品。

1966年には日本初の全話カラー特撮ドラマが放送され、こちらの初回はウルトラマンの初回より13日早い放送となりました。ドラマ版とは違い、怪獣と戦うシーンは少ないですが、ゴアの活躍などバラエティにとんだ内容になっております。

みんなのレビュー

テレビ放映時はとにかく人間モドキが不気味でしかたなかった。 ここ最近は,きちんと読んでいない手塚作品を読んでおこう,と。 ──で,『マグマ大使』。 ドラマ版とは違って,マグマ対怪獣というエピソードはほとんどない。 実はゴアがかなりの子ども好きだったとか,手塚先生らしさがいろいろ感じられた。

引用元:読書メーター

リボンの騎士

読んでみて

初出は1953年から1956年に「少女クラブ」で連載され、以降「なかよし」や「少女フレンド」などでも連載されていた少女漫画。男性と女性、二つの心をもって生まれたシルバーランドの王女・サファイアが、リボンの騎士となり悪党を退治する物語。

手塚治虫が好きだった宝塚歌劇の要素を取り入れた作品で、サファイアのモデルになったのは、当時娘役スターとして活躍されていた淡島千景さんです。いわゆる変身少女の先駆けで、コスプレやツンデレなど、現在の少女漫画にも通ずる設定などが登場しております。

みんなのレビュー

絵の感じが『リボンの騎士』とは違う感じでしたが内容は良かった(笑)冒険活劇として本当に楽しめますね~(笑)そしてやっぱり脇役のキャラクター達がいいですね~(笑)細かい部分が楽しめた(笑)

引用元:読書メーター

ジャングル大帝

読んでみて

1950年から1954年にかけて雑誌「漫画少年」で連載されていた少年漫画。アフリカのジャングルを舞台に、白いライオン・レオの一族と月光石を狙う密猟者ハム・エッグなどの人間たちの攻防を描いた物語。

この作品について、手塚治虫はディズニー映画の「バンビ」を百回以上見たと語っていて、その影響で生きるための苦しさをテーマにした作品を描こうと、本作が誕生しました。また、裏テーマとして、人種差別などが含まれているのではないかという考察なども存在します。

みんなのレビュー

かなり昔、アニメ?映画?を観たことがあって、懐かしくて購入した。ストーリーは覚えていなかったので、初めて読んだ感覚になっている。人種差別的な表現もあり、時代を感じる。ストーリーはサクサク進む。今後レオがどのように成長していくのか楽しみ。

引用元:読書メーター

火の鳥

読んでみて

1954年、漫画雑誌「漫画少年」に「黎明編」が連載開始され、その後「少女クラブ」「COM」「マンガ少年」「野生時代」等、様々な雑誌にわたって連載された作品。その血を飲めば永遠の命を手にすることが出来る伝説の不死鳥・火の鳥を巡り、様々な時代の主人公たちが火の鳥とその運命に翻弄される物語。

手塚治虫のライフワークともいえる作品で「○○編」と短編が集まっている構成となっていて、読み方を変えると未来だと思っていたものが過去になり、過去になっていたものが未来になるという仕掛けが施されている作品です。

みんなのレビュー

火の鳥は様々なバージョンが出てる上にものによっては未収録エピソードがあるということも多い。 個人的にはこの型が一番収録が充実しており、レトロな雰囲気も合わさり読む感触も良い。 難点としては値段か。 内容は今更語るまでもないが読むたびに虚無感や憂鬱に見舞われるので落ち込んでいる時には読まないほうが良い。 個人的なベストエピソードは未来編。このエピソードを読んでつまらないのなら火の鳥そのものが合ってないと思う。

引用元:読書メーター

青年向けの社会派・SF作品

メトロポリス

読んでみて

1949年に発表され「ロストワールド」「来るべき世界」と共に「初期SF三部作」の一つになっている作品。太陽の黒点が現れ、それを原動力とする人造人間が開発されるも、あることをきっかけに人造人間たちが人間たちに逆襲を起こるようになってしまう、という物語。

発達しすぎた人間たちと行き過ぎた科学の逆襲がテーマになっている作品で、AI技術の発達や科学によって巻き起こる戦争など、現在と重なる部分が多く見受けられる作品となっております。また、2001年にはアニメ映画にもなっていて、そちらは海外での評価も高い作品となっています。

みんなのレビュー

太陽の黒点を操り、世界をロボットで支配しようとする秘密結社と、密かにその計画から逃れさせられた究極のロボット、ミッチ。普通の少年として育てられたのに、なんやかんやとあって自分が人間でないとしるミッチは、人間を恨み….。’49年発表作品。60年以上前にこの発想はやっぱりスゴイわね。携帯はおろか、PC、FAXすらなかった時代だもんな。

引用元:読書メーター

ロストワールド

読んでみて

1948年に不二書房から発刊されたSF漫画。「メトロポリス」「来るべき世界」と並び、「初期SF三部作」の一つになっている作品。地球編・宇宙編の2部作となっていて、太古の地球の姿をしたママンゴ星を舞台に少年博士の健一らが冒険する物語。

SFガジェットや悲劇的な終幕など、それまでの漫画にはなかった要素を取り入れた作品。手塚治虫が中学時代から書き溜めていた習作で、手塚は冒頭に「これは漫畫に非ず 小説にも非ず」という一文を残しております。

みんなのレビュー

「ロストワールド」、すでに「神」の片鱗があります。なかなか探検に行かないなぁと思っていると、宇宙に行くなんて。ただし、コナン・ドイルのとは別物。「メトロポリス」も、映画のイメージをもとにした別の作品なんだとか。以前みた映画「メトロポリス」は、モノクロでしたが群衆の恐ろしさが記憶にあります。あれとは別種ですが、漫画もモブがすごいっす。それぞれに人生があって、笑いもあって、面白かったっす。

引用元:読書メーター

来るべき世界

読んでみて

1951年に不二書房から上下巻で発刊された書き下ろし作品。「メトロポリス」「ロストワールド」と共に「初期SF3部作」の一つになっている作品。核実験の影響で誕生した新人類「フウムーン」が誕生し、これがきっかけで2大国が戦争を始め、さらには地球最後の日が押し迫る…という物語。

当時の東西冷戦を背景にした作品で、20人超のキャラが登場し様々なドラマを織りなすというグランドホテル方式の群像劇が描かれているのが大きな特徴です。また、元々は1000ページほどあったのですが、長すぎるというクレームから300ページにしたというエピソードが残っております。

みんなのレビュー

宇宙人とか出てくるSFなんだけれど人間側のドラマが面白い。権力に溺れる大人とそれに巻き込まれた少年少女の話。大人たちの勝手な都合のせいで歪みに歪んで元に戻れなくなってしまった子供の描写がえぐい。しかも元凶の大人たちは勝手に改心して一緒に平和を目指そうとか言いだす始末。こんなことがあっていいのか、とやりきれない後味の悪さが残る良作

引用元:読書メーター

ミッドナイト

読んでみて

1986年から1987年にかけて漫画雑誌「週刊少年チャンピオン」で連載されていた青年漫画。モグリの深夜タクシー運転手三戸真也、通称・ミッドナイトが深夜タクシーを舞台に、奇妙なっ客たちとの物語を描いた作品。

1話短編の物語で、海外ドラマのようなアウトロー的な雰囲気が魅力の一つとなっている作品です。また、セミレギュラーキャラとして同じく無免許の医師であるブラック・ジャックが登場し、主人公・ミッドナイトの物語に深くかかわっていきます。

みんなのレビュー

最近になって(も)手塚治虫先生熱が冷めず,むしろ加速している。 この『ミッドナイト』も読んだことがなく,『ヤングブラック・ジャック』にキャラが載っていたので読んでみた。 大脳医学の権威・リーゼンバーグ教授がその人。 読んだことがなかったので,読んでみた。 流しのタクシー運転手を主役に据えた物語で,舞台は真夜中。 彼が出会う人たちとの関わりが描かれている。 そしてなんと——BJも登場しているんだなあ。

引用元:読書メーター

ブラックジャック

読んでみて

雑誌「週刊少年チャンピオン」にて1973年から1978年に連載され、1979年から1983年までは不定期で連載されていた青年漫画。無免許の天才外科医・ブラックジャックが法外な値段を取りながらも、患者の命などを救っていく物語。

患者の延命治療をすることが医師としての最善の治療なのか、という医師のジレンマを描いた作品。作中に「人間が生きものの生き死にを自由にしようなんておこがましいとは思わんかね…」という象徴的なセリフが登場するのが印象的です。

みんなのレビュー

一気に全巻を再読。一生手元に置いておきたいと思う本。手塚さんの作品はどれもぐっと来るものがある。小学生時代から読んでいたのだが、そんな幼少期でもほかの漫画と全く違う香りが手塚作品にはあるのが分かるくらいの偉大さだ、としか私には表現できない。

引用元:読書メーター

まとめ

上記で紹介した作品以外にも、「三つ目が通る」、「海のトリトン」、「どろろ」など数えきれないほどの名作があり、アニメ化、舞台化、リメイク版など様々なメディアミックスもされています。

古い漫画という事で、最近の漫画に比べて面白くないと思われがちなところがあります。しかし、手塚治虫の漫画には現在にも通ずる未来的ガジェットや、深いテーマなど、非常にためになる部分が数多く存在し、現在の漫画にも継承されている部分が多く存在します。

この記事をきっかけに、手塚治虫作品について少しでも触れて貰えれば幸いです。

コメントを残す