「日本の性風俗についてどういう風に発展してきたんだろう?」
「性風俗の歴史について知りたいけれど、いい本はないかな」
風俗の世界とはどのようなものなのか、ほとんどの人にとっては馴染みがないものだと思います。関わることがあったとしても、客という立場なので、そこで働いている人がどういう生活を送っているのかを知る機会はほとんどありません。
しかし、売春婦は人類最古の職業ともいわれるように、風俗は古くから人類社会のなかに根付いてきました。風俗について知ることは、日本の社会について知ることにつながります。
この記事では、風俗の歴史について学べる本や、日本の風俗の実態に迫るエッセイを紹介していきます。
風俗の歴史
売春島 「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ
読んでみて
かつて伝説の売春島と呼ばれた知られざる離島の歴史と現在について取材したルポです。三重県志摩市にある渡鹿野島は江戸時代に売春産業で栄えた島で、かつては人口200人の島に80人の売春婦がいたといわれます。
渡鹿野島が売春の島として栄えた理由を調査し、繁栄していた頃の島の様子など、当時を知る元売春婦の方々へのインタビューを通じて、かつては人身売買も行われていたといわれる島の衝撃の真実を解き明かす本です。
みんなのレビュー
1990年代後半から2000年代初めに愛読していた実話系雑誌の色街特集には、その名がよく登場していた。ぎらついた男たちの欲望を満たすためのツアーを組まれるほどの賑わいを見せた場所も、今は衰え、色褪せ、見る影もない。人口200人ほどにまで落ち込んだこの島で、いかに国内有数の売春産業が構築されてきたか。本書は島内外の関係者取材を通し、江戸時代の「風待ち港」としてのルーツや、四国、九州出身の4人の女が礎を築いた経緯を、真面目にひもといていく。迫真の風俗ルポとはかなり趣が異なるので、期待をしていると裏切られます。
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日本風俗業大全―欲望の半世紀
読んでみて
日本の風俗の歴史を年代順、105項目で解説する本です。本書は、世界でも珍しいほど性風俗産業のバラエティに富んでいる国である日本。この本では日本の風俗文化の歴史を紐解き、日本人がどのような形態の風俗を生み出してきたのかを、戦後から現代にかけて幅広く説明しています。
貴重な写真も掲載されており、日本の風俗の歴史を学びたいという人に薦めたい1冊です。
みんなのレビュー
日本の性風俗の歴史が、戦後から現代にいたるまで網羅的に並べられており、便利(何に?)。写真もそれなりに多く、それぞれのサービスの輪郭くらいはわかる。
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新宿 「性なる街」の歴史地理 (朝日選書)
読んでみて
日本でも有数の性風俗産業が集う歓楽街である新宿の歴史をあつかった本です。もともとは場末だった新宿二丁目は、戦後都電の停車場ができて、売春の街として栄え出し、やがてたくさんのゲイバーができゲイタウンへと発展していきます。
本書は、古地図や写真、街の片隅に残された遺構などをもとに、新宿の歴史を丁寧に読み解いていきます。新宿の歴史だけでなく、戦後日本の性風俗の歴史も理解することができるおすすめの1冊です。
みんなのレビュー
江戸時代からの新宿の色街としての歴史をひもとく。女性研究者がこの分野を論じると同性として女性への同情心、又は蔑視等で偏った見方になるものもあるように思うが、著者は新宿の女装バーで働いた経験もあり、当事者として遊里・新宿を語る視点は新鮮だ。赤線時代は職業人として案外守られ、高給を稼げる数少ない仕事という割り切りもあったようだ。昭和20~30年代の新宿の住居地図と写真、実録小説や様々な証言から過去の街の様子を少しずつ再現していく手法は苦労もあったと思うが、かつての街が段々確かな形に蘇っていく様は面白かった。
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ノンフィクション・エッセイ
吉原で生きる
読んでみて
日本の風俗街の代表的な存在である東京の吉原で働く人々を取材したノンフィクション作品。高級店のソープ嬢はもちろん、風俗店の店長、従業員、風俗カメラマン、風俗専門の流しタクシー運転手、自治会の幹部と風俗だけでなく、吉原に関わる様々な人たちへのインタビューを吉原の実像に多角的に迫ります。
筆者の取材は綿密で、普通はなかなか聞くことのできない人々の話を通じて、風俗街の抱える問題や葛藤や闇なども見えてきます。風俗街のリアルな姿が知りたいという方におすすめの1冊です。
みんなのレビュー
最初は引退した吉原の太夫クラスの女の子の頑張り具合が紹介されたが、徐々に吉原が廃れていく姿を嘆き、なぜかを考えているのが地元の素人さんやマスコミという外の人というのが面白い。私にしてみれば嘘を嘘として楽しむ人々たちがいなくなったことだと思う。そもそも吉原は嘘を楽しむところではないか?何でも本音で相対してたら「たるいからやめる」→教育する意味もないからどんどん嬢の質が下がる。は当たり前。客も写真に「騙された」って…。ソープは技術を学ぶところだろう!日本人の吉原に対する敬意ってどこに行った?
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新橋アンダーグラウンド
読んでみて
サラリーマンの街というイメージの強い新橋の知られざる裏の顔を描き出す本。新橋は、銀座にも近い東側は電通やパナソニックといった大企業の本社ビルが立ち並ぶ日本有数のビジネス街ですが、一方西口のほうは、昭和の色合いの残るガード下や飲食店、飲み屋、風俗店や出会い喫茶といった店舗が混沌と並んでいます。
この本は、新橋で生きる様々な人々に取材し、貴重な証言から知られざる本当の新橋の姿に迫っています。普段はなかなか知ることのできないディープな世界を覗いてみたいという人におすすめです。
みんなのレビュー
新橋と言えばサラリーマンの町というイメージですが、その歴史は戦後すぐの闇市から始まっています。駅のそばで人が集まる場所だから、飲食店や商店がたくさんあります。銀座のとなり町なのに庶民派で、いかがわしさも残しているこの町の秘密を、それはそれはたくさん知ることができました。 「徳間書店とスタジオジブリ」「マイケルジャクソンと朝堂院大覚」「新橋にはラブホがない」「靴磨き46年」「新橋のハッテン場」などなど、実に興味深いお話ばかりでした。
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デリヘルドライバー
読んでみて
デリバリーヘルスで働く女性たちを客の元へと送り届けるドライバーに取材したノンフィンクション。客と接する機会もなく、存在すら意識されることの少ない彼らは、どのような仕事を行い、なにを考えているのかを緻密な取材によって明らかにします。
一口にデリヘルドライバーといっても、この仕事に就くまでの経歴は本当に様々でたくさんのドラマにあふれています。少し変わった視点から風俗のリアルな姿を知りたいという方におすすめです。
みんなのレビュー
デリへルドライバーについてのエピソード、とういうよりはデリへルドライバーの人生歴を概観するような内容。 風俗業界に従事する人に対して多少の偏見のようなものがあったけれど、それが薄まったような気がした。 第8章の風見隼人の「病むくらい考え抜かないと、心と心はつながらないんですよ。でも、どうせ体を売るのなら、心がつながったほうがいい。そう思いませんか。僕はそう思うな」というセリフ。そういう考えを持った男性が、ましてや風俗業界に、存在することが嬉しく思った。
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まとめ
性風俗というと、タブー視される面がありますが、人間の生活とは切っても切れない関係にあります。風俗は社会や文化と密接に結びついており、風俗を学ぶことは、現代日本について学ぶことにもなります。
普段はなかなか接点のない世界ですが、ぜひここで紹介した本を参考に、日本のディープな世界にも目を向けてみてください。以上、風俗に関する本のまとめでした。