【24年1月最新】世阿弥をよく知れるおすすめ本ランキングTOP7

室町時代に活躍した能役者の世阿弥は、『風姿花伝』を書いたことで知られています。『風姿花伝』は能の理論書というだけではなく、日本の「美」について書かれた本ということで、外国語にも翻訳されました。

世阿弥の生き方や考え方、残した言葉は世阿弥が生きた室町時代だけではなく、現代の私たちにとっても非常に参考になります。その証拠に、ジャパネットたかたの創業者の高田明さんをはじめ著名な経営者も『風姿花伝』を愛読書として紹介しています。

今回は、社会科講師として室町時代の歴史を教えるために読み込んだ筆者が、おすすめの世阿弥や『風姿花伝』がわかる本を7冊、ランキングにしてご紹介します。

ぜひ、世阿弥や『風姿花伝』についての本を探すときの参考にしてみてください。

この記事を書いた人

一橋大卒 歴史学専攻

京藤 一葉

Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。

7位:世阿弥最後の花

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芥川賞作家・藤沢周が2021年に発表した小説です。世阿弥は72歳のとき、京都から佐渡国に流刑されました。こちらの小説では佐渡に流された後の世阿弥の姿が描き出されています。

佐渡に流された後の世阿弥に関する文献は数少なく、詳しいことはわかっていません。世阿弥について歴史的な事実を知りたい方には不向きな書籍かもしれませんが、「芸術とは何か」という問いや親子、老いの問題に関心がある方はぜひ読んでみてください。ちなみに、著者・藤沢周は佐渡島のある新潟県の出身です。

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6位:日本人のこころの言葉 世阿弥

読んでみて

世阿弥が残した著作から、世阿弥の「肉声」にこだわり、世阿弥の芸術論の中心である「花の理論を明らかにしようとした本です。

世阿弥の言葉でもっとも有名な「秘すれば花なり、秘せずは花なるべからず」が記された『風姿花伝』をはじめ、『花鏡』などの著作からも世阿弥の肉声を拾い上げます。

さらに、世阿弥が残した「高砂」「敦盛」「井筒」など代表的な能にも取材し、世阿弥が追い求め続けた「花」の正体に迫ろうとしています。芸術論に関心がある人におすすめです。

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一回読んでスッと入ってくるものではなく、何度も読み返す本だなとの印象。だが、世阿弥の言葉は現代にも通用すると感じた。千早茜の『男ともだち』で、花伝書が出てきたので興味が湧いて読んでみた。

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5位:世阿弥―花と幽玄の世界

読んでみて

型破りな人物として知られる白洲次郎の妻で、女性として初めて能舞台に立った白洲正子が世阿弥や能の神髄とされる「風姿花伝」について書きおろしたエッセーです。世阿弥の生涯について触れつつも、能とは何かを語った一冊です。

比較的難しい言い回しや、読みにくい感じは見受けられますが、能を知る人が書いた世阿弥や「風姿花伝」の解釈は読んでおいて損はありません。決して、入門書とはいいがたい本ですが、本格的に世阿弥や「風姿花伝」について知りたい人におすすめです。

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白洲正子の目を通した敬愛する世阿弥像であり、申楽、観阿弥、幽玄などについてより知ることができた。書店にて度々目にしていた著者名だが白洲次郎の奥方としか知識なく、著者への興味が増した。

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4位:風姿花伝 (岩波文庫)

読んでみて

原文にできるだけ忠実なものを読みたいのなら、岩波文庫の「風姿花伝」が一番のおすすめです。室町時代の言葉で書かれているため、多少難解ですが、読み手や訳者の解釈が少ないので、世阿弥が書いた原文をしっかり味わいたい人にはうってつけです。

能の世界で、一子相伝で伝えられた秘伝は、600年後の私たちにもとても参考になる内容でした。「初心忘るべからず」など、現代人にとっても耳が痛い言葉や「秘すればこそ花」という独特のワードセンスなどは600年前の著作と思えないほど新鮮です。

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1958年刊、秦元清すなわち世阿弥が書き記した能楽書。15世紀の室町幕府に仕え、晩年は配流に処せられたとか。父観阿弥から伝わった能の本質を説き、一族繁栄を願って子弟育成にも指針を示した。含蓄ある言葉は、芸能全般や普通人の人生にも通じる。「上手は下手の手本、下手は上手の手本なりと工夫すべし」は他人に対する謙虚な姿勢を説いた言葉。また「花」とは芸でありその魅力の意か。「秘すれば花、秘せざれば花なるべからず」言ったもの勝ちで自己顕示欲の強い現代人には耳が痛い?

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3位:髙田明と読む世阿弥 昨日の自分を超えていく

読んでみて

ジャパネットたかたの創業者で、2017年から2020年1月1日までV・ファーレン長崎の代表取締役社長を務めた高田明さんは、世阿弥の大ファンです。他人の評価に一喜一憂することなく、ひたすら自らの芸を極める世阿弥の姿と自分の生き方を重ねているように思えました。

世阿弥の研究書というより、世阿弥の考えを現代風にアレンジし、ビジネスに応用するという側面が強いように感じます。大勢の「聴衆」と向き合うという点で、高田明さんと世阿弥には共通点が多く、両者とも「花」を追い求めていると感じました。世阿弥だけではなく、高田明さんに興味がある方にもおすすめです。

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図書館本。前に高田氏の著書「伝えることから始めよう」を読み、すっかり氏のしゃべる内容や書く文章のファンになりました。その高田氏が、世阿弥の著書「風姿花伝」「花鏡」などについて本書では語るのですが、能について知らない一般読者でも興味深く読める内容になっていて、「日本一のセールスマン」だなと感心した次第です。本書の監修者である能の専門家・増田正造氏のコラムも数編本書には入っているのですが、プレゼンの内容がプロと素人くらい差があり、「どうやったら人に伝わるか」を真剣に考えている人は違うなと思ってしまいました。

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2位:NHK「100分de名著」ブックス 世阿弥 風姿花伝

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古典や歴史的な名著をわかりやすく紹介することで定評があるNHKの「100分de名著」シリーズで世阿弥や「風姿花伝」をとりあげた回をまとめた本です。この本の特徴は、世阿弥の考えや「風姿花伝」の言葉を現代ビジネスと比較して述べていることです。

世阿弥が芸の中心として述べている「花」をテーマに、面白さの演出や客観的に自分を見つめることの大切さ、観衆を驚かせる秘策の用意などを大学教授が語ります。現代的視点から「風姿花伝」を捉えることの面白さが伝わる一冊です。

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室町時代、能は世阿弥によって大成された。名著『風姿花伝』は、彼が父観阿弥から受け継いだ能の奥義を子孫に伝えるために著した能楽論。本書は、不安定な時代に芸術という市場をどう勝ち抜いていくべきかを記した戦略論という斬新な視点を持って、作品を分かりやすく読み解いた能の入門書でもある。人口に膾炙する数々の馴染みある言葉、「初心忘るべからず」「秘すれば花」等を、芸術論的な視点のみならず人生論・戦略論として位置づけ、現代を生きる私たちに有用な言葉として解説する。常に現状に安住せず創造を続ける姿勢こそが「花」と知る。

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1位:風姿花伝(いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ)

読んでみて

世阿弥が生きた時代である室町時代の言葉は、現代人の私たちからするとどうしても読みにくいものです。それだけに、簡単に読むということを大事にしたこの本は、世阿弥や『風姿花伝』の入門としてぴったりです。

91分で読むのはちょっと難しい人でも、120分もあれば十分読み終えることができるでしょう。ページ数は100ページくらいですが、世阿弥の語りたいことや芸に取り組む世阿弥の姿勢、自分の人生においても応用できる内容が書かれていて、とてもおすすめです。

みんなのレビュー

名は知れど書籍だった事に初めて気付かされた一冊。1つの道を突き進む上で、例え芸とは異なる道でも含蓄あり、いろいろなものを気づかされる名著だと感じました。時折読み返していきます。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?この記事では、世阿弥に関する本をわかりやすい入門書から専門的な芸術論まで7冊ご紹介させていただきました。世阿弥や世阿弥の代表作品の『風姿花伝』に関する書籍はたくさんあります。

どの作品を読んでも、世阿弥について新しい発見があること間違いなしです。この記事を参考に、自分だけの世阿弥や「風姿花伝」の解釈を、ぜひ見つけてみてください。

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