【24年1月最新】藤沢周平のおすすめ本・小説ランキングTOP20

「藤沢周平の作品にはどんな作品があるんだろう」
「時代小説をじっくり読んでみたい!」

時代小説の大家として有名な作家・藤沢周平。その作品はこれまでにもドラマ・映画化など様々なメディア展開もされており、日本アカデミー賞を獲得した「武士の一分」などがあります。また、地元である鶴岡市には「鶴岡市立藤沢周平記念館」が設立されております。

ですが、「時代小説ってちょっと難しいかも」「斬り合いとかちょっと怖そう」という理由で、なかなか手が出せないジャンルなのではないでしょうか。

そこで、今回は時代劇が好きで藤沢作品も何冊も読破してきた筆者が、藤沢周平の作品を20冊ご紹介いたします。おすすめ順のランキングにしてまとめました。シリーズ作品から読みやすい短編・長編、映画などのメディア化作品などさまざまな小説を選びましたので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事を書いた人

一橋大卒 歴史学専攻

京藤 一葉

Rekisiru編集部、京藤 一葉(きょうとういちよう)。一橋大学にて大学院含め6年間歴史学を研究。専攻は世界史の近代〜現代。卒業後は出版業界に就職。世界史・日本史含め多岐に渡る編集業務に従事。その後、結婚を境に地方移住し、現在はWebメディアで編集者に従事。

20位:暗殺の年輪

読んでみて

1973年に文藝春秋から発刊された初期の短編集。オール讀物新人賞受賞作の「溟い海」と第69回直木賞を受賞した短編「暗殺の年輪」などが収録された短編集で、いずれもシリアスな作品が多めの短編集となっております。

「暗殺の年輪」は下級武士の葛西馨ノ介が父の暗殺失敗を受け父は切腹し、その数年後、藩の上士から暗殺の依頼を受け…という物語。「溟い海」は葛飾北斎の物語と、様々な作品が収録されております。

みんなのレビュー

藤沢周平の短編集。初期の作品らしいがどれも秀逸。特にタイトルになっている暗殺の年輪は主人公の微妙の心の動きがよく描かれていて好きだった。より江戸の市民に近い登場人物たちが近く感じる。ただ、最後の北斎と版画師の話は何が言いたいのかわからなくて何度も値落ちしてしまった。総合的には楽しめたけど。

引用元:読書メーター

19位:半生の記

読んでみて

1994年に文藝春秋から発刊された自叙伝。突如、吃音になってしまい声が出せなくなってしまった幼少期から、最初の妻を亡くしてしまう記者時代までの半生について書いた作品となっております。

山形師範学校時代の同人誌『砕氷船』に参加した時の思い出や、肺結核との闘病、そして作家になるまでの激動の人生について書いており、初期の藤沢周平作品のルーツがよくわかる一冊となっています。

みんなのレビュー

藤沢周平は若い頃から、小説家を目指していたわけではなかった。鶴岡の農家に生まれ、農業に従事するのをなんとか逃れ、山形師範に進学する。地元の中学校教員として生活が軌道にのった頃、肺結核に冒され何年もの闘病生活を余儀なくされる。退院後、東京で求職するうち徐々に作家に転身した。若い頃の豊富な読者量、ふるさと公園山形への思い、同僚先輩先生ら周りに恵まれたこと、それらが国民的作家、藤沢周平を形作った。純粋でストイックな作風の出所が理解できた。

引用元:読書メーター

18位:時雨みち

読んでみて

1981年に青樹社から刊行された短編集。11篇に渡る短編が収録されており、公儀隠密を描いた「帰還せず」、追われる身となった主人公を描いた「飛べ、佐五郎」、などの作品が収録されております。

その中でも、「山桜」という作品が2008年に田中麗奈さんと東山紀之さん主演で映画化されました。夫に先立たれた女性・野江とその縁談相手である手塚の恋物語です。

みんなのレビュー

茶の間から見える山茶花こんなに大きな木だったか 長く眺める花じゃない 出入りの市助が来て昔のおひさが 娼婦をしてると聞く 同じ問屋で働いた内深い仲に ニ年して機屋の婿養子の話が決まる 若い頃痛まなかったのが 今身を責めるのは何故かと 人違いかと顔を見た 助次郎さんお珍しいと部屋に入る あの時少し恨んだけどね 亭主は死んで子はいないよ 金?私と寝る?今頃なんだいと 女房は役者狂い娘はヤクザで手切れ金を 自分もおひさも もうやり直しがきかない!

引用元:読書メーター

17位:乳のごとき故郷

読んでみて

藤沢周平の没後、2010年に文藝春秋から発刊されたエッセイ集。この年に地元である山形県鶴岡市に「鶴岡市立藤沢周平記念館」が設立され、本作はそれを記念した作品となっています。

地元である山形県の思い出について48編ほどのエッセイなどが収録されており、恩師の話や、幼少期の思い出など、故郷である山形への愛に満ちた一面を垣間見ることが出来る1冊となっています。

みんなのレビュー

この本は、山形の地方紙や新聞、その他雑誌などに掲載された藤沢周平のエッセイを集めたものである。これまでのものより、尚ふるさとについて細かく言葉が尽くされており、彼の故郷である、黄金村や盾の下周辺の昔や現在のようすについて細密に描かれた一冊といってよいだろう。屋号で書かれた家々のことを、同じ村で生まれたうちの姉たちは知っており、電話で話すとすぐに本屋に行くといっていた。

引用元:読書メーター

16位:三屋清左衛門残日録

読んでみて

1985年から文芸雑誌「別冊文藝春秋」で連載されていた連作短編時代小説。側用人として藩に仕えていた主人公・清左衛門が藩主の交代に伴い、隠居生活をするのだが、友人の町奉行や知人や同僚が抱える事件に巻き込まれていく物語。

1993年には仲代達矢さん、2016年には北大路欣也さん主演で実写ドラマ化されており、どちらも哀愁漂う主人公・清左衛門の姿が印象的な作品です。

みんなのレビュー

藤沢作品の中でもお気に入りの作品となった。三屋清左衛門は息子に家督を譲り隠居生活に入った、その生活は思い描いていたものと違い、寂しさが押し寄せている様子。時代も性別も違うけれど、同年代の自分を重ねたりしながら読んだ。清左衛門は周りからの信頼もあつく様々な事件に関わっていくことになる。「早春の光」での締められ方がいい。私自身はどんな残日録を残せるだろうかと、武士でも役職についている訳でもないけれど(笑)いろいろと考えたりしました。

引用元:読書メーター

15位:橋ものがたり

読んでみて

1980年に実業之日本社から発刊された短編集。橋を舞台にした物語が10篇収録された作品で、これまでの作品とは異なり、男女の出会いと別れなどが多く収録された作品となっております。

収録作品の一つである「約束」という作品では、主人公と幼馴染の女性が5年前に引っ越してしまい、5年後にこの橋で会うことを約束し、そして…という現代のラブストーリーのような作品です。この他にも様々な橋にまつわる物語が収録されております。

みんなのレビュー

たくさんの人が行き交う江戸の橋を舞台にした短編集。一つ一つの短編の完成度が高く、どれも面白かった。江戸時代の橋は現代の駅のようなものなのかなって思う。たくさんの人とすれ違うが、自分の人生には一切関わってこない人がほとんどだ。だけど、稀に人生を変えるような出会いもある。短編の一つ一つに人生が凝縮されていた。「約束」「小ぬか雨」「思い違い」「殺すな」「川霧」が特に好きだった。

引用元:読書メーター

14位:風の果て

読んでみて

1983年から文芸雑誌「週刊朝日」にて連載が開始され、朝日新聞社から上下巻が発刊された長編時代小説。藩政の政敵に勝利し、藩の家老にまで上り詰めた主人公・桑山又座衛門へ果たし状が届き、その相手は若き日の道場仲間であった野瀬市之丞だった…という物語。

身分の違う5人の男たちの人生を色濃く描いた作品で、青春時代を過ごした男たちが、成長するにつれ、様々な経験を経ていく姿が描き出されております。

みんなのレビュー

異例の出世を遂げて主席家老にまでなった主人公のもとに旧友から果たし状が届く。そんな風にしてはじまる一人の男の回想録か。今とかつての若き日々とが交互に描かれている。同じ道場に通う友達5人。石高やら身分やら差はあれどまだそれを実感することもなく、自由闊達にお互いの胸の内をさらけ出せた日々。そんな時代が終わりを告げ否応なしに大人の世界に突入して行く。心に吹く風の果てには何があるのだろう。

引用元:読書メーター

13位:花のあと

読んでみて

1983年に文芸雑誌「オール讀物」に掲載され、1985年に青樹社から刊行された短編集。藤沢周平作品登場する架空の藩・海坂藩を舞台にした作品で、女剣士であった寺井以登が孫たちに若き日の話を語るという内容になっております。

以登と剣術道場の高弟であった江口孫四郎の恋物語が中心となって展開していく物語で、2010年には北川景子さん主演で実写映画化しています。

みんなのレビュー

表題作の「花のあと」は老女以登女の昔語りで描かれる異色の武家物語。以登や才助の個性が際立ているし、孫四郎に対する以登の恋ごころを絡めた筋立ても良かった。町人物や武家物や芸術家小説がが入った短編集だが、自然描写が巧みで美しく物語に花を添えている。藤沢周平の描く女にはそれぞれに個性があり魅力に溢れている。女を巧みに描く上手さを感じる作品だ。

引用元:読書メーター

12位:闇の傀儡師

読んでみて

1980年に文藝春秋から発刊された長編時代小説。駿河大納言忠長を始めとする徳川幕府将軍の座を狙っていたという謎の徒党・八嶽党が滅亡する様を描いた作品。八嶽党と公儀隠密との戦いやその裏で糸を引く老中・田沼意次など見所の多い作品です。

主人公である鶴見源次郎は、仕事の帰りに公儀隠密と八嶽党の戦いに巻き込まれ、時の老中・松平右近将監武元の依頼で八嶽党の調査をするのだが…という物語。こちらの作品は1982年に北大路欣也さん主演で実写ドラマ化もされております。

みんなのレビュー

kindle版で買って暫く放置していましたが、読み始めると面白くて一気に上巻を読み終えました。十代将軍家治の時代、以前から折あるごとに徳川将軍家の座を狙ってきた八嶽党と組んで陰謀を企てる老中田沼意次と公儀隠密との闘いに巻き込まれていく元御家人の鶴見源次郎。江戸の町を舞台に織りなす藤沢周平の世界にどっぷり浸かりました。先が気になるので下巻をさっそく読みます。

引用元:読書メーター

11位:雲奔る

読んでみて

1975年に文藝春秋から発刊した長編時代小説。幕末の志士である雲井龍雄を主人公にした作品。米沢藩の下級藩士・雲井龍雄が江戸へ上京し、安井息軒の三計塾へ入塾。そして、その塾での人脈を使いつつ、遠山翠という変名を使いながら藩のために各地の動向を探る…という物語。

雲井龍雄は実在した人物で、大政奉還後は集議院議員を務めますが、薩摩批判などをしてしまったがために、その任を解かれ、最終的には斬首されてしまうという悲劇的な人物です。

みんなのレビュー

図書館本。幕末の隠れた志士・雲井龍雄の物語。雲井は藤沢さんと同じ山形県出身。藤沢さんは同じく山形県出身の清河八郎の物語も書いている。同郷の志士たちに共感するものがあったのだろう。さて、雲井龍雄。米沢藩の極貧の士分に生まれた彼は学問だけはできた。望んで江戸詰になり学問をさらに磨き、憂国の志士となる。さらに上に嘆願して京都詰めになる。ときあたかも幕末の煮えたぎっている時期であり、龍雄が悲憤慷慨している間に薩長は官軍となり会津藩は賊軍となり会津は征伐を受ける。龍雄は討薩の表を掲げて会津を救おうとする…。

引用元:読書メーター

10位:獄医立花登手控え

読んでみて

1979年に月刊小説誌「小説現代」で連載が開始された時代小説シリーズ。東北の小藩出身の石である立花登が江戸へ上京し、酒に溺れた叔父の言いつけにより小伝馬町の獄医の仕事を請負い、その監獄の囚人たちにまつわる事件を得意の柔術と推理で解決していく物語。

2016年には溝端淳平さん主演でNHK BSプレミアムにて「立花青春手控え」というタイトルで実写ドラマ化。ちなみにこちらの作品は、東映と松竹の混合製作作品で、時代劇史上初の作品となりました。

みんなのレビュー

本のあらすじを読んだだけで、これを読まなくてどうする!と即効でポチりました。 読んでみても、ドンピシャでした。 シリーズもので、また楽しみが広がる。 あとがきの佐藤雅美さんによると、莫大な資料を読み込んだ上に書かれているものだと。

引用元:読書メーター

9位:竹光始末

読んでみて

1976年、立風書房から発刊された短編集作品。「竹光始末」を含む6編を収録しており、侍が主人公の武家ものと町人たちが主人公の市井ものに分かれております。

表題となっている「竹光始末」は架空の藩である海坂藩を舞台に、浪人である小黒丹十郎が新規の召し抱えを募集していた柘植八郎座衛門の元へやってきて…という物語。この他にも、「恐妻の剣」「遠方より来る」などの作品が収録されております。

みんなのレビュー

「竹光始末」をはじめとする6篇からなる短編集です。 時代小説に関しては、最近は池波正太郎さんの作品を読むことがとても多いのですが、藤沢周平さんの作品はそれはそれでとても味わい深い…どの作家さんにも、それぞれの「世界」があるんだなあと思います。作中に“海坂藩”の文字が出てくると「藤沢周平の世界だ」としみじみ思います。 本書では、「竹光始末」と「冬の終わりに」が印象的…物語自体は厳しい展開なのですが、どこかほっとさせる結末を見せてくれます。 また近いうちに、もう一冊読みたいものです。

引用元:読書メーター

8位:回天の門

読んでみて

1979年に文藝春秋から発刊された長編時代小説。幕末の志士であり、「新選組」の結成するきっかけを作った人物・清河八郎を主人公にした作品です。他の作品では狂言回しのような役回りで登場しますが、藤沢周平はあとがきで本来はそういう人物ではなかったと解説しております。

その一端として、早い時期に討幕を掲げたことなどを挙げており、時代を先取りしすぎたがために、そういった印象を後世に残してしまったと解説しております。本書を読むと、少し清河のイメージが変わるかもしれません。

みんなのレビュー

幕末の策士清河八郎の人生を描く歴史小説。清川は周りにどう思われようとあらゆる策を弄する山師と言われた。しかしその中には決して変わる事のない信念をもとに動いていた。個人的には坂本龍馬はこの人に大きな影響を受けていると思う。

引用元:読書メーター

7位:密謀

読んでみて

1982年に毎日新聞社から発刊された長編時代小説。上杉景勝の参謀とも呼ばれた義の武将・直江兼続を主人公にした作品。本作は関ケ原前後を舞台にした作品で、この後の時代である米沢藩の上杉鷹山を主人公にした「漆の実のみのる国」という作品も書いております。

間者である喜六からの報告により、秀吉が次なる天下人であることを察知した兼続は、家康よりも先に景勝を上洛させ、秀吉の軍門に下りました。それから数年後、秀吉が世を去った後、家康が動き出し…という物語。

みんなのレビュー

関ヶ原前後については多くの作家が書いているが、本作は、藤沢周平版戦国物。直江兼続を主人公に据え、上杉景勝の上杉家の視点でその歴史を描いている。司馬遼太郎、池波正太郎、新田次郎などいろいろな作家の作品で、ある程度史実が分かった上で、また違った視点で楽しめる作品。忍者ー草の者を登場人物に加えることで、小説的興味を高めている。

引用元:読書メーター

6位:用心棒日月抄

読んでみて

1970年代後半から月刊小説誌「小説新潮」で連載されていた時代小説シリーズ。東北の小藩にて馬廻り役を務めていた武士・青江又八郎が藩内の政争をきっかけに脱藩し、江戸へ上京。そして、用心棒をしながら浪人暮らしをすることになる物語。

本作と「孤剣」「刺客」「凶刃」と4作品発刊され、いずれも連作の短編集となっている作品です。1作目では忠臣蔵を外部視点から描くという趣向を凝らした作品になっております。

みんなのレビュー

とても面白い。藤沢作品としては娯楽色が強く読みやすいが、それでいて濃密なドラマ、しっかりとした人物描写。円熟した筆致が素晴らしい。突然襲ってくる刺客にドキドキ。殺陣の場面の緊張感溢れる描写が秀逸。設定も登場人物も魅力的で最後まで飽きさせない。藤沢さんの「事実も大事だけれど、もっと大事なものがあるのでは」という想いが反映した作品、とあとがきで考察しているけれど、まさに!

引用元:読書メーター

5位:彫師伊之助捕物覚え

読んでみて

1979年に新潮文庫から初版が発刊された時代小説シリーズ。元凄腕の岡っ引きである版木彫り職人である伊之助が、江戸の町を舞台に起こる謎の事件とその裏でうごめく怪しい影を突き止め、次々と悪人どもをひっ捕らえていく物語。

江戸の町人たちの暮らしを描きつつ、その影の部分も描いている作品となっています。主人公の伊之助はハードボイルドな仕事人でとてもかっこよく、捕物作品として読みやすい一冊かと思います。

みんなのレビュー

藤沢先生の本が我が家にまだあったので読んでみた。先生の基本は江戸人情ものだと思うけど本作はハードボイルドミステリと言って良い内容。私はこの手の作品はほとんど読んだことが無かったので江戸という時代設定だけでも十分楽しめた。先生のきりっとしまった簡潔な文章はミステリに向いてるような気もした。主人公が強くてちょっとかっこ良すぎる感もあるけどそれはそれ、面白く読ませていただきました

引用元:読書メーター

4位:蝉しぐれ

読んでみて

1986年から山形新聞の夕刊にて連載が開始された時代小説。架空の藩である海坂藩を舞台にした作品。藩の世継ぎを巡る政変に巻き込まれ、父を失った主人公・牧文四郎と牧家の隣にある小柳甚兵衛という武家の元で育った娘・小柳ふくの物語。

本作について藤沢は「蝉しぐれ執筆時、書いても全く面白くならず苦痛であった」と回想し、本になってから読み応えある物になったと述べております。この作品は、ドラマ、映画、演劇と様々な媒体で見ることが出来ます。

みんなのレビュー

とても日本的な小説だった。(上手く言えない)主人公である文四郎の成長を側で見守っている感覚になった。とても丁寧に描かれていて、心情の描写だけでなく、色や匂い、空気までも感じられ、余韻が凄すぎる。ふくと結ばれないところが、よりこの世の切なさや苦悩として引き立てられているようで、ふくの一言一言、文四郎の言葉が染み込んでくる感じがした。文四郎も素敵だが、逸平や与之助などがいてこその文四郎の良さが引き立つ。文四郎のような良い男が現代にいるのであろうか。

引用元:読書メーター

3位:隠し剣

読んでみて

1976年から1980年にかけて文芸雑誌「オール讀物」と「別冊文藝春秋」にて掲載された短編小説をまとめた時代小説シリーズ。「隠し剣」と呼ばれる秘技を修得した武芸者たちが、様々な事件に巻き込まれ、「隠し剣」を抜くところまでを描いた作品。

中でも、「隠し剣鬼ノ爪」を元にした山田洋二監督の映画「隠し剣 鬼の爪」はアメリカのアカデミー外国語映画賞にもノミネートされるほどの評価の高い作品となりました。

みんなのレビュー

最初の2作が、最後に秘剣で相手を倒す内容だったので、たそがれ清兵衛みたいな感じかしらなどと浅はかな思いで読み進めたら違っていた。 どれも良かったが、鳥刺しは切なく、鬼ノ爪はラストに心が和み、女人剣は健気な邦江が報われて良かった、、、。 そして、皆、本当に潔い。 現代社会ではあまり見られない美しさだから、こんなにも惹かれるのでしょうか。

引用元:読書メーター

2位:隠し剣秋風抄

読んでみて

1978年から文芸雑誌「オール讀物」にて掲載された短編を収録した「隠し剣シリーズ」の2作目。時代ミステリー調の「暗黒剣千鳥」、筋違いの果し合いを受けることになる「孤立剣斬月」ほか短編が9編収録されています。

その中で、「盲目剣谺返し」という作品を基にしたのが2006年に木村拓哉さん主演で公開された映画「武士の一分」です。こちらの作品も日本アカデミー賞で優秀作品賞などを受賞しております。

みんなのレビュー

感想を書こうと、最初のページからパラパラと本を捲る。一癖ふた癖ある武士たちが印象深く心に残っている。 妻から呆れられていたり、仕事仲間から軽んじられていたりと様々な武士たちが秘剣を用いて戦うのだが、必ずしも勝利するわけでもなく。 命を失っても、武士として立った事で矜持は保たれたという事なのでしょう。 最後の盲目剣のラストは涙が出てしまった。 武士という生き方を支える妻の姿も、とても心に響くものです。

引用元:読書メーター

1位:たそがれ清兵衛

読んでみて

1983年から文芸雑誌「小説新潮」に掲載され、1988年に新潮社から発刊された連作短編集。あまり評判の良くないあだ名や身なりをした下級武士たちが主人公の作品で、その外見とは裏腹に素晴らしい剣技を披露することになる物語。

2002年に本作他の短編を原作とする山田洋二監督の映画「たそがれ清兵衛」が真田広之さん主演で公開されました。この作品は日本アカデミー賞全部門優秀賞を受賞するなど記録的な作品となっています。

みんなのレビュー

藤沢周平さんの本はいつもするめとか昆布みたいな良い味がするんだけど。この本はなんだか化学調味料っぽい味がした。すぐれた技を持っている人は誰でも、日々技を磨くことと無縁でいることはあり得ない。昔取った杵柄みたいなことは起こり得ない。こうだったらいいなという平凡な願望に応えるだけで、人知れず技と向かい合う苦しみや孤独が全く描かれていない作品達にはあまり魅力を感じない。

引用元:読書メーター

まとめ

時代小説と一口に纏めても、武士が主人公であったり、江戸時代の町人などが主人公の恋物語など様々な人間模様を描いた作品が多く存在します。藤沢周平作品はいずれも人間味あふれる登場人物たちが特徴的で、どの作品も魅力的な物語となっております。

上述で紹介した作品以外にも、歴史上の人物を主人公にした作品や、ドラマ・映画化などした作品が多数存在しております。司馬遼太郎や山岡荘八など違う角度から時代小説を楽しんでみてはいかがでしょうか。

本記事をきっかけに、藤沢周平作品に興味を持っていただければ幸いです。

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