太陽系外惑星の探査の歴史
太陽系外惑星は古くから存在自体は信じられていましたが、観測する技術がないため太陽系外惑星が存在するという証拠は認められてきていませんでした。
1992年に初めて電波天文学者の「アレクサンデル・ヴォルシュチャン」と「デール・フレール」によってPSR B1257+12に伴っている太陽系外惑星を観測しました。PSR B1257+12は超新星爆発によって出来上がった星の残骸のような天体で星ではなくパルサーと呼ばれています。
パルス状の電波やX線を発生する天体
このパルサーが放つ電磁波は規則的なのですが、惑星が周囲にあるとブレが生じます。このズレを観測することによって間接的に惑星の存在を証明しました。
そして1995年には、主系列星を公転する太陽系外惑星を検出することに初めて成功します。これによってドップラー分光法による、太陽系外惑星探査の技術が発展していきます。
2009年にはNASAが太陽系外惑星宇宙機ケプラーを打ち上げます。ケプラーはトランジット法を用いて2018年の運用終了までに2600以上の太陽系外惑星を見つけ、天文学に大きく貢献します。
その後2018年には、新たにTESSが打ち上げられ、2020年7月までトランジット法を用いて80個の惑星を発見しています。
トランジット系外惑星探索衛星、太陽系外惑星を探査するために打ち上げられた宇宙望遠鏡
2021年には新しく宇宙望遠鏡が打ち上げられる予定です。
太陽系外惑星とハビタブルゾーンとは
太陽系外惑星を語るうえで覚えておきたいのがハビタブルゾーンです。ハビタブルゾーンは地球と似たような生命が生存できる領域のことで、惑星の表面に水が存在出来る範囲とも言えます。
地球の生物は水が無いと生きていけないという事から、ハビタブルゾーンにあり水が存在している太陽系外惑星には生命の存在する可能性が高くなります。
ハビタブルゾーンという言葉は基本的には上記の「惑星系のハビタブルゾーン」を指します。
ただ、他にも銀河系内にて居住するのに適している領域の「銀河系のハビタブルゾーン」や、ブラックホールの周囲にて居住するのに適している領域を指す「ブラックホールのハビタブルゾーン」といったいくつかの形態が、近年では提唱されるようになってきました。
太陽系外惑星にはどんな星がある?
ここからは太陽系外惑星のなかでも、特に注目されている惑星を3つ紹介していきます。
どの星もドップラー分光法によって、間接的に観測されたものであるので、不確定な要素が多いです。ですが比較的近くの太陽系外惑星であるため、今後観測技術の発展によって更に情報が増えてくるかもしれません。
プロキシマ・ケンタウリb
プロキシマ・ケンタウリbは地球から最も近い惑星です。約4.2光年(40兆km)の位置にあり、プロキシマ・ケンタウリbの主星であるプロキシマ・ケンタウリも、地球から最も近い恒星だと言われています。
プロキシマ・ケンタウリはハビタブルゾーンと言われる、生命が存在する可能性のある領域、もしくは生命が生存できる領域があるため、生命の可能性があると注目されています。
少なくとも水は存在する可能性は高いと言われており、いつか望遠鏡や観測の技術が発展すれば、水を観測できる日が来るかもしれませんね。
ロス128b
ロス128bは、約11光年離れた位置にある地球サイズの太陽系外惑星です。主星はロス128です。
ロス128bも主星であるロス128のハビタブルゾーンに位置しております。表面温度は-60℃~20℃と言われていますが、惑星などの天体が地球にどれだけ似ているかを0~1で表す「地球類似指標」はロス128bの場合0.86と、今まで発見された太陽系外惑星の中でも4番目に高い数値となっています。
水や生命体の可能性も大いにあり、太陽系からの距離も比較的近いため、今後の地球外生物の探索に期待が持てる太陽系外惑星です。
TRAPPIST-1d
TRAPPIST-1dは地球から約40光年離れた位置にある太陽系外惑星です。主星はTRAPPIST-1です。
TRAPPIST-1dは主星から333万km離れた位置で公転しています。地球から太陽までの距離が1億4960万kmだということを考えると、非常に近い位置で公転しているということがわかります。
ですがTRAPPIST-1dの主星は木星ほどの大きさしかないので、この距離でも主星であるTRAPPIST-1のハビタブルゾーンに位置している可能性があるといわれています。
また、TRAPPIST-1dの表面温度は9℃で、水や大気が存在する可能性が非常に高いです。地球類似指標も0.90と現在観測されている太陽系外惑星の中でも最も高い数値になっています。
太陽系外惑星に生命体が存在する可能性は?
太陽系外惑星に生命体が存在するかどうか、という問いは非常に難しいです。というのも、宇宙の謎はまだまだ分からないことが多く、天文学は発展途上にあります。
ですが最近では、2019年に太陽系外惑星「K2-18b」の大気に水蒸気があるということが確認され、地球型の惑星は、天の川銀河の中ではありふれた存在であるということも分かってきています。
そのため今後も引き続き天文学者たちによって調べが進んでいけば、太陽系外惑星にて生命体を見つけることが出来るかもしれません。
また2021年には、新たに宇宙望遠鏡が打ち上げられる事も決まっていますので今後の天文学の発展に期待したいところですね。
まとめ
今回は太陽系外惑星について紹介していきました。意外と太陽系外惑星に関する本格的な歴史は始まったばかりで、今急速に発展していっています。
ただし、まだまだ宇宙の謎は非常に深く、天文学者にも分からないことが多数あり、学者同士でも意見が割れてしまうようなことが多々あるようです。
普段はあまり宇宙について考えることは少ないかと思いますが、たまにはこうして地球外に生命はいるのか、宇宙はどうなっているのかを考えてみるのも神秘的で面白いのでは無いでしょうか。
この記事がきっかけで宇宙の事に興味を持っていただけたのであれば幸いです。他にも様々な宇宙の記事が書かれていますので、そちらも是非ご覧いただければと思います。