平清盛をよく知れるおすすめ本6~10選【伝記から解説書、小説や漫画まで】

「平清盛について詳しくわかる本はないのかな?」
「平清盛って、悪人のイメージがあるけれど、実際にはどんな人だったんだろう?」

平清盛は、平安時代に末期に活躍した武士で、平治の乱に勝利して太政大臣に任じられ日本初の武家政権を築いた人物です。孫を天皇に据えて一時は独裁的な権力を握りますが、源平合戦の最中に熱病によって死亡し、戦いに敗れた平家も滅亡しました。

「奢る平家は久しからず」のことわざもあるように、悪役や暴君のイメージを持たれることも多い清盛ですが、近年では、中国との貿易に力を入れて通貨経済の基礎を築いた先進的な政策を行ったことでも評価されています。

さらに、武士が政治を行うという先例を築いたことは、後の幕府政治の基礎を築いたといってもよく、日本史の転換点を作った重要な人物といえます。この記事では、そんな清盛を学ぶための本を、伝記や解説書、小説、漫画といった切り口から紹介していきます。

伝記

平清盛―「武家の世」を切り開いた政治家 (日本史リブレット)

読んでみて

日本史に関する事柄をワンテーマで解説する日本史リブレットシリーズの1冊で、清盛を扱ったものです。90ページほどの本で、清盛の生涯をコンパクトにまとめてあります。

否定的な評価を受けることも多い清盛ですが、実際にはどのような人物だったのか、良い点と悪い点を様々な説と一緒に解説してくれます。清盛を知ろうと思った初心者にオススメの1冊です。

みんなのレビュー

読了。歴史における平清盛は、天皇家を蔑ろにする「朝敵」のイメージや、延暦寺や南都に対する態度などから「仏敵」のイメージを付与されてきた。それは、平氏の政権後に成立した征夷大将軍を頂点とする幕府体制が長期間続いてきたからで、幕府体制を是とするための存在として平清盛はすこぶる使いやすかった。幕府の存在意義の説明のために、必要以上に貶められた扱いを受けた清盛だった。それでも最近の大河ドラマで清盛を演じた渡哲也や松山ケンイチは、新しい清盛像を見せてくれている。それは本書のような研究がもたらしたものなのだろう。

読書メーター

平清盛 (平凡社新書)

読んでみて

清盛の生涯をわかりやすく描いた伝記で、平安末期の貴族社会が揺らぎつつあった不安定な社会情勢から、清盛が頭角を現し権力を握る様子、清盛亡き後の平氏滅亡までを解説しています。独裁者や悪人といったイメージもある清盛が、決してそのような人物ではなかったこともきちんと説明されています。

当時の官職の説明や、源氏と平家の対比など、時代背景を分かりやすくする工夫が盛り込まれているところもおすすめです。清盛について基礎知識をつけたい初心者の方は、まず本書を手に取ってみてください。

みんなのレビュー

平清盛については教科書程度のことしか知らなかった。この本は大変わかりやすく、自然な形で知識が吸収できた。系図や官職の図示が丁寧だったのも理解を助けてくれた。鹿ヶ谷の陰謀について、その理由とする説に驚いた。本全体を通じて、複数の説があることを尊重していることも、作者の品格を感じさせてくれた。入門書のようでもあるがとても満足した。

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解説書・研究書

平清盛と後白河院

読んでみて

清盛と後白河法皇の関係を軸に、平家が初めての武家政権を築いていく権力闘争の様子を解説した本です。

平家の権力闘争というと源平合戦が有名ですが、武士として初めて政治を行った清盛にとって、天皇家・貴族は権力を奪取する相手で大きな障害でした。ですが、もともと清盛は後白河法皇の補佐役として重用されるようになった経緯があり、両者の関係は一筋縄ではいかない複雑なものでした。

本書は、2人の出会いから協力関係、対立に至るまで、清盛が権力を握る過程と社会が武士の世へと移り変わっていく様子を解説しています。朝廷と武士の関係という少し変わった視点から清盛を理解することのできる良書です。

みんなのレビュー

平清盛の嫡男重盛は、高倉天皇の母の姉時子の子宗盛の嫡男に破格の官位を与えられるなど、嫡流の座が怪しくなった。それで重盛が院近臣藤原成親と接近して、後白河の信任を得る。『政界には平清盛や時子の子息たちのように、高倉・建春門院の権威に依拠とする者と、藤原成親や平重盛をはじめとする、後白河の権威に直接結合するものとが並立するに至った。』(N1574)平氏といえば平家物語の「この一門にあらざらむ人は皆人非人なり」や壇ノ浦での一門全滅など一枚岩のような印象があるが、そのように平氏一門内でも立場の違いがあった。

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平清盛の闘い 幻の中世国家

読んでみて

これまであまり語られてこなかった清盛の政治を扱った本で、初めての武家政権とはどのようなものであったかに加え、清盛が築こうとした理想の国家像を解説しています。源氏と平家の争いはほとんど出てこない、清盛を扱ったもののなかでは珍しい本です。

本書では、院政を否定や政敵への攻撃、強引な遷都を計画した清盛の狙いが、従来いわれてきたように独裁権力を築くことではなく、貴族と武士を一体化させた新しい国家を築くという壮大な目的のためであったことが述べられています。

著者独自の見解も含まれていますが、これまでの清盛悪人説を覆す衝撃の内容です。歴史の面白さを知り、知的好奇心を刺激してくれるおすすめの1冊。

みんなのレビュー

平氏の台頭した院政期の在り方と、清盛が目指した事業を解説する。特に遷都の意義などが興味深い。時流に乗って躍り出たスケールのある才能、でも後継者は育てられず、既存体制の破壊者に終わる。新しい国家事業は一人では出来ないのだとも思う。

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小説

平 清盛

読んでみて

2012年にNHK大河ドラマで放送され人気を博した「平清盛」の脚本をもとにしたノベライズで、清盛を主人公にした小説は数少ない小説です。保元・平時の乱から清盛の死後、平家が壇ノ浦で滅亡するまでが全4巻で描かれます。

かなりのボリュームにみえますが、もとが全50話の大河ドラマですので、これでも結構な部分を削っています。そのため、本当に必要なエッセンスの部分が詰まった本で、ストーリーのテンポもはやいので、源平合戦はよく知らないという人でも飽きずに読み進めることができるでしょう。

清盛に興味はあるけれど、伝記や学術書は難しそうという方に読んでもらいたい本です。

みんなのレビュー

近年の大河ドラマの中では、とりわけ評判が高かった「平清盛」。そのノベライズ版となる本書は、心から「出会えて良かった!」と思える本でした。平清盛というと、「頭は切れるが脂ぎった権力坊主」のイメージでしたが(失礼)、そんな思い込みを持っていた自分が恥ずかしくなりました。生い立ちの葛藤から平家の棟梁として自立する成長物語を底流に、朝廷の権力闘争、朝廷と武士との綱引き、一門内の紛争、源平の戦いなどが重層的に展開され、ページをめくる手が止まらないほど面白いストーリーでした。

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漫画

源平武将伝 平清盛 (コミック版日本の歴史)

読んでみて

源平合戦で活躍した武将を漫画で紹介するシリーズの中の清盛を取り上げた1冊。貴族と武士の関係や寺社勢力の台頭など当時の社会情勢を説明したあと、清盛が権力を握るきっかけになった保元・平時の乱、平氏の栄華から滅亡までが全5章に分けてバランスよく描かれています。

小学生でも読める分かりやすい内容で、清盛の生涯を理解することができます。清盛やこの時代のことをあまり知らないという初心者の方が勉強をはじめるのにぴったりの本です。

みんなのレビュー

自分の中で清盛像がかわるような本でした。なぜなら、晩年の権力を一手にしたことから連想されるイメージとは違う姿がそこにあったからであります。また、マンガのよさを上手く駆使して人間模様を描いていたので、これぞ醍醐味と感じられとても楽しめました。とりわけ、西光や後白河法皇には大笑い(笑) 字面ではあまり実感出来ないけど、絵にして初めて感じる保元・平治の乱の重さ。作画もうまく、読んで良かった一冊です(^-^)

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まとめ

平清盛というと、権力を握って好き放題に振る舞った独裁者というイメージが強く、後に平家が滅亡するのも身勝手な行いに対する因果応報だと思われる傾向すらあります。

ですが、清盛は武士として初めての政治を行うため、これまでの体制を破壊して武家政権の基礎を築いていかなくてはならなかった面もあります。鎌倉幕府から数百年続く武家の世の先駆けとなった清盛は、日本史における重要人物といえるのです。

この記事で紹介した伝記や解説書、小説、漫画を、清盛のことを深く知る参考にしてみてください。以上、平清盛に関する本のまとめでした。

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