レオニダス1世(レオニダス王)とはどんな人?生涯・年表まとめ

レオニダス1世にまつわる都市伝説・武勇伝

都市伝説・武勇伝1「ギリシャ神話の大英雄・ヘラクレスの子孫だった?」

ギリシャ神話を代表する英雄・ヘラクレスは、レオニダス1世の祖先であるとも噂されている。

古代ギリシャ世界において重要視されたギリシャ神話。その中でもとりわけ有名なのは、ディズニーの物語のモチーフにもされたヘラクレスという大英雄でしょう。様々な試練を乗り越えた彼の冒険譚は、現在も多くの作品のモチーフとなっています。

ヘロドトスが残した記録によれば、なんとレオニダス1世はヘラクレスの血を引く人物だったのだとか。神話が権威付けに利用されていた時代ですので、信ぴょう性はあまり高くない情報ですが、不屈の精神でギリシャ世界を守ったレオニダス1世のこと。大英雄ヘラクレスの血を引いていても、何ら不思議はないような気がします。

都市伝説・武勇伝2「ギリシャを侵略から解放した英雄とも伝わる」

テルモピュライの戦いで壮絶な戦死を遂げたレオニダス1世だが、彼の奮戦がペルシア戦争の明暗を分けることになる。

レオニダス1世がテルモピュライの戦いにおいて戦死し、その親衛隊も彼と運命を共にしたのは先述した通りです。僅か300人の手勢で、万単位のペルシア軍を相手に奮戦したことは特筆すべきですが、結局のところ全滅を喫してしまったことも事実ではあります。

しかし、この時のレオニダス1世たちの奮戦こそが、ペルシア戦争の明暗を分けるターニングポイントでした。

レオニダスたちがテルモピュライでペルシャ軍を足止めしている間、後方に控えていたギリシャ連合軍は軍備を拡張して防衛線を展開。最終的にペルシア軍を撤退まで追い込むことに成功したのです。

レオニダス1世たちの奮戦は、決して無駄死になどではなく、文字通りにギリシャ世界を守る結果につながることになりました。その功績は現在も讃えられており、テルモピュライにあるレオニダスのブロンズ像の台座には、彼らの奮戦を讃える詩文が刻まれています。

レオニダス1世の簡単年表

紀元前540年 – 0歳
都市国家・スパルタの王家に生を受ける
戦士の国に生まれたレオニダス1世は、7歳ごろから戦士として過酷な訓練を受けていたとか。

レオニダス1世は、古代ギリシャの都市国家の一つ、スパルタ王家の三男として生を受けました。

当時のスパルタ王家の人間は、一般市民に課される兵役を免除されていましたが、三男であるレオニダス1世は王位を継ぐ可能性が低いことから、例外的に兵役を課されていたことが記録されています。

そのため、レオニダス1世は多くのスパルタ市民たちと同様に、7歳ごろから戦士としての教育を受けて育っていったようです。

紀元前520年 – 20歳
父の死と家督争乱

この年、レオニダス1世の父であるスパルタ王・アナクサンドリデスが死去。これによってレオニダス1世の兄にあたるクレオメネス1世がスパルタの王位を継ぐことになりました。

そしてその一方、レオニダス1世にとってはもう一人の兄であるドリエウスは、クレオメネス1世が王位を継いだことに不満を覚えてスパルタを出奔。彼はアフリカを経てシチリアに渡り、そこで一財を成しますが、そこで原因不明の死を迎えることになってしまったと記録されています。

そんな家督争乱の最中にあたるのがこの時期でしたが、王位継承の順位が低いレオニダス1世は良くも悪くも争乱には無縁であり、彼に関する当時の記録はほとんど残っていません。

紀元前489年 – 51歳
兄の死により王位を継承する

この年、兄であるクレオメネス1世が急逝したことで、本来であれば王位とは無縁であるはずだったレオニダス1世は、51歳にして王位を継ぐことになりました。

この時にレオニダス1世は、兄の娘であるゴルゴーという女性を妻に迎えていたと記録されています。このゴルゴーという妻は、非常に賢く気の強い女性だったと伝えられており、レオニダス1世と並んで、スパルタの気風を象徴するような女性だったそうです。

紀元前481年 – 59歳
ペルシア軍の侵攻―「王が死ぬか、国が滅びるか」―
レオニダス1世が神託を受けたデルポイの地は、アポローンを祀る神殿として知られている。

かねてより散発的に続いていたペルシア軍によるギリシャ侵攻が本格化。ギリシャではタイミング悪く祝祭やオリュンピアの準備が重なっており、当時の宗教観における「祭り>戦」という考えも相まって、ギリシャ世界はかつてない危機に直面することになってしまいました。

そんな中でレオニダス1世は、デルポイにて「王が死ぬか、国が滅びるか」という神託を受けることになり、その神託を受けたことが彼の運命を決定づけることになりました。

紀元前480年8月 – 60歳
テルモピュライにて奮戦し、壮絶な戦死を遂げる

神託を受けたレオニダス1世は、僅か300人の親衛隊だけを引き連れて最前線へと出陣。妻に「良き夫と結婚し、良き子供を産むように」と言い残し、スパルタの地を跡にしました。

そしてギリシャ連合軍7000人と共にテルモピュライに陣取ったレオニダス1世は、20万人とも言われるペルシア軍を相手に一歩も退かない防衛線を展開。スパルタの掟「決して撤退しない」を貫き通した彼は、最期までその掟を貫き通し、戦場で命を散らすことになりました。

そしてレオニダス1世を失ったスパルタの親衛隊たちも、彼同様にスパルタの掟を胸に奮戦。僅か300人で2万人のペルシア軍を下し、彼らもまた王と共に戦場に屍を晒すことになったのでした。

紀元前480年9月 – ――歳
サラミスの海戦にて、ギリシャ連合軍の勝利
レオニダス1世たちが命と引き換えに稼いだ時間は、ギリシャ世界を守る盾として結実した。

テルモピュライで壮絶な戦死を遂げたレオニダスですが、彼らの奮戦はけっして無駄死にではありませんでした。

テルモピュライでレオニダス1世たちが奮戦する中、連合軍の本隊は軍備を整えて防衛線を展開。テルモピュライの戦いで決して小さくない傷を負ったペルシア軍を迎撃し、最終的にはサラミスの海戦でペルシア軍を撤退させることに成功。戦争はギリシャ連合軍の勝利で幕を閉じました。

テルモピュライで散っていったスパルタの兵士たちは、文字通りにギリシャ世界の盾として、世界の趨勢に大きく影響を与える活躍を残したのです。


レオニダス1世の関連作品

おすすめ書籍・本・漫画

ゼロからわかる英雄・伝説 古代ギリシャ・ローマ編

かなり簡単な形で、古代ギリシャやローマの偉人たちが紹介されている一冊です。情報自体はあまり多くありませんが、そもそも古代ギリシャ史は難しい部分が多いため、まずはこのタイプの本から触れ始めてみることをお勧めします。

ヘロドトス 歴史

レオニダス1世に関する、ほとんど唯一と言ってもいい記録です。古代ギリシャにおける多くの事件が纏められ、トロイア戦争などの神話上の出来事についても記載されているため、古代ギリシャに興味がある方にはうってつけの一冊でしょう。

ただし、基本的に難しい本であるため、背伸びをして読み始めることはオススメできません。

教えてFGO! 偉人と神話のぐらんどおーだー

ゲーム『Fate/Grand Order』を下敷きにした、学習漫画のような一冊です。作品自体のファンはもちろんですが、レオニダス1世のような「一般的に名が知られていない偉人」についてかなり詳しく解説されているため、歴史好きの方にもオススメできる一冊になっています。

おすすめの映画

300〈スリーハンドレッド〉

レオニダス1世のイメージ像を決定的にした、紛れもない名作歴史映画の一つです。

若干誇張が多い部分があり、全てを史実だと解釈できる作品ではありませんが、映像でレオニダス1世という人物のイメージを掴むことができる、非常に稀有なタイプの映画作品であると思います。

おすすめアニメ

Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-

大人気ゲームのアニメ化であり、レオニダス1世をモチーフにしたキャラクターが登場する作品です。設定が複雑でわかりにくい部分も多々ありますが、ハマる人にはとことんハマる作品だと言えるでしょう。

レオニダス1世をモチーフにしたキャラクターは、出番こそさほど多くないものの重要なポジションを担い、そのキャラクター性は記憶に残ること間違いなし。歴史系エンタメに興味のある方にこそ、オススメしたい作品となっています。

関連外部リンク

北へ南へ東へ西へ!みっしりギリシャ旅行記【17】レオニダス王に会いにスパルタへ。

レオニダス1世についてのまとめ

たった300人の親衛隊と共に、背後にあるギリシャ世界を守るために奮戦して散っていったレオニダス1世。功績そのものの記録はさほど多くない人物ですが、やはりエピソードの格好良さで言えば、世界史上でも随一の人物であるような気がします。

筆者自身は、『Fate/Grand Order』でレオニダス1世の名前を知った、いわゆる”にわか”のようなものだったのですが、事実は小説より奇なりというべきか、調べれば調べるほどゲーム内のような英雄的な側面が出てきて、正直言って面食らいました。

僅かな仲間と共に戦って、奇策で勝利を掴んだ偉人は多く記録されていますが、敗北しながらも僅かな仲間と共に勝利の礎になった、そんな偉人は少ないもの。「自分の命を投げ打つ」という難しさがある以上、筆者はレオニダスのそういった格好良さに強く憧れを持ちました。

それでは、この記事におつきあいくださいまして誠にありがとうございました。この記事が皆様の心に少しでも残っていただければ光栄です。

1 2

1 COMMENT

コメントを残す