「日本史を受験科目にするなら、日本史用語集は買った方がいいのかな?」
「日本史用語集ってどう使っていいかわからない・・・」
書店で日本史の問題集が陳列してある棚にいくと、必ずあるのが日本史用語集です。中でも山川出版社の「日本史用語集」は、多くの人が一度は見たことがあるほど有名な参考書ですね。しかし最近では、山川出版社の用語集にはない良さをもった日本史用語集も出版されるようになりました。
とはいえ日本史用語集は、言ってみれば教科書の内容が時代別に並んでいるだけです。持ってはいてもほとんど使っていないという人も多いのではないでしょうか?この記事では、通信教育で大学受験生の日本史添削をしている筆者が、日本史用語集のおすすめの使い方や代表的な日本史用語集をご紹介します。
自分にぴったりの日本史用語集を見つけて、効果的に活用し、日本史を得点源にしましょう!
そもそも日本史用語集は必要?
日本史用語集とは、日本史の教科書に掲載されている用語をまとめた参考書です。英語の学習で、わからない単語を辞書で調べるように、日本史学習でもわからない用語は辞書をひいて理解する必要があります。日本史用語集とは、いわば日本史の辞書です。
もちろん、日本史用語集がなくても学習は可能です。基本的な用語は全て日本史の教科書に出ているからです。
しかし、あった方が確実に効率的な勉強ができます。なぜなら教科書では、わからない単語を調べても、その単語の意味そのものしか理解できないのに対し、用語集を使えば、その単語の重要度合いを知るだけではなく、関連語や違う表現などを一気に学ぶことができるからです。
日本史用語集の正しい使い方
教科書の副読本として使う
教科書を使って日本史の学習をする際には、いつも日本史用語集をそばに置き、少しでも引っかかる用語が出てきたら調べてみましょう。
その際、用語の説明を読むだけではなく、用語の重要度にも目を向けましょう。もしそれがあまり教科書で扱われない用語であれば、内容をざっと読む程度で構いません。
また、関連用語にも目を通しましょう。日本史用語集には、その用語にまつわる類義語や覚えておきたい関連語句も合わせて掲載されています。この情報は、今後の応用学習に必要になってきます。
問題集を解く時の辞書として使う
通史の学習が終わると、日本史の勉強も本格的に問題集を解いて内容を定着させる時期に入ります。その際にも大活躍するのが日本史用語集です。
問題や解答でわからない用語があれば、調べることももちろん大切です。それ以外にも、日本史用語集を使って復習でぜひやってもらいたい学習があります。これより、問題の種類に分けてその方法をご紹介します。
リード文がある問題を解く場合
問題集では、時代史やテーマ史など、あるテーマに基づいたリード文をベースにした問題がよく掲載されています。重要語句は空欄補充問題として聞かれ、解答を記述させるだけでなく、選択問題も多いです。
こうした選択問題は、多くの受験生が混乱させがちな語句を選択肢に入れていることがほとんどです。たとえ解答が正答だったとしても、残りの選択肢の用語もきちんと日本史用語集で調べて、意味や使い方を押さえましょう。
リード文内の内容に関する正誤問題もたびたび出題されます。重要語句の理解度を確認している場合が多いので、解答の正誤に関わらず、選択肢に出てくる用語は日本史用語集で確認しておくと良いですね。
また、テーマ史を扱う文章題は、リード文自体がそのテーマの解説文として、とてもよくまとまった文章になっています。リード文内の用語でわからないものは、日本史用語集で調べましょう。
論述問題を解く場合
近年大学入試で増加傾向にある日本史の論述問題を解く上でも、日本史用語集は欠かせません。
基本的に論述問題の解答は、出題者が必要と判断する項目が含まれているかどうかで点が加算されていきます。自分の解答を見て、必要な重要語句はきちんと把握していたのに、その用語の理解が足りていなかったのか、それとも重要語句自体を見落としてしまったのかを見極めましょう。
復習の際は日本史用語集でその重要語句を調べ、意味をもう一度理解することが大切です。
論述問題の設問文を見て、何を答えたら良いのか全くわからない場合は、まず設問文内の語句でわからないものや、重要語句と思われるものを日本史用語集で調べましょう。
それでも解答への道筋が見えない場合は、無理をせずに解説を読みましょう。解説内にある重要語句については、日本史用語集に詳しい説明を求めます。日本史用語集にはその語句に関連した用語も書かれていますので、論述問題の解答を作る際の助けになるはずです。
弱点の穴埋め用
受験直前期において、日本史用語集は受験生の救世主です。なぜなら、必要な内容だけを瞬時に的確に答えてくれる参考書だからです。
受験直前期には過去問に取り組んでいきますよね。過去問の解説というのは一般的な日本史の問題集の解説と違い、歴史用語に関して丁寧な説明はあまりありません。そんな時に活用して欲しいのが日本史用語集です。少しでも引っかかる歴史用語があれば、必ず日本史用語集で調べて内容を確認してください。
この時期になれば、受験生の皆さんはすでに十分な学習を積み重ねているはずです。自分の忘れかけていた記憶を思い起こさせてくれるツールとして、日本史用語集を使ってください。
日本史のおすすめ用語集5選
日本史用語集 改訂版A・B共用
この資料集の特徴
大学受験で日本史を選択する人には最初におすすめしたい一冊です。単語の説明も必要最小限の内容のみ書かれており、シンプルで使いやすいです。教科書によって表記の違う単語の紹介や、日本史Aと日本史Bそれぞれの教科書の掲載頻度も書かれているのも便利です。
基本的に時系列でテーマごとに紹介されています。そのため、一つの用語を調べた際に、その前後にある関連語を読むことで、そのテーマに対する理解も深まります。使い方次第で大きな学習効果を期待できる参考書です。
みんなのレビュー
復習的再読。なるべく細かく読んでみました。そこで改めて気づいたのは、本書の詳しさ。凄い。凄い。実況中継や一問一答などでも知らない用語が結構あったけど、さすが山川 用語集という感じ、ハンベンゴロウ事件、三条西実隆、知らない用語がゴロゴロ存在していたからです。
読書メーター
世界史と比べると、コチラの方が用語集としての機能は強い。 受験参考書としても活用できること請け合い。おすすめであります。。
授業から入試まで使える!日本史用語集
この資料集の特徴
地図や系図なども掲載されていることが特徴的です。単語の説明だけではなく、こうした二次的な解説もあることで、知識の理解に深みが出ます。山川出版社の「日本史用語集」を使って日本史図録などを併用すれば本書と同様の学習もできますが、一冊で完結させたい人にはこちらがおすすめです。
また、山川出版社の「日本史用語集」と大きく異なる点は、教科書の掲載頻度によって分けている山川出版社のものと違い、本書は入試問題25年分を分析し、出題されやすい用語を中心に掲載しているところです。基本的に日本史Bの教科書レベルの用語は全て網羅されていますが、入試問題を軸としているため、より実践的になっています。
みんなのレビュー
山川のとどちらにするか迷ったが、こちらのほうが実践的でわかりやすそう。
楽天ブックス
歴史の流れが一気にわかる日本史単語帳
この資料集の特徴
正直言って、本書は一般教養向けの本です。大学受験対策にしては掲載語数が少なく、受験日本史の用語をマスターするには物足りません。しかし、ざっくりとした日本史の流れを押さえながら、基礎的な用語を丁寧に確認していくという意味ではとても良い参考書です。
図解も豊富ですし、セットで覚えるべき単語の説明も書かれています。レベルごとに押さえるべき用語も一目瞭然で、わかりやすいです。日本史が苦手な受験生は、まずこの参考書で基礎的な用語を頭に入れることをおすすめします。そして次に掲載語数の多い受験生用の用語集にランクアップしてください。
みんなのレビュー
図書館で借りた一冊。日本史に関する知識を時系列で知らなきゃヤバい、一般常識、教養レベルの3つに分けているものの、一般常識の記載がなかなかレベル高い気がする。
読書メーター
とはいえ、時系列で分かりやすいので何度も見返して覚える為には良いかな。こういうのは買っておかないとダメなやつだな。
時代と流れで覚える – 日本史B用語 –
この資料集の特徴
とても薄い参考書なのに、これだけの情報量がコンパクトにまとめてあるというだけでも素晴らしい参考書です。日本史は頭に入れるべき情報量が多く、分厚い参考書を前にげんなりしてしまう受験生も多いですが、この参考書なら取り組めそう!と感じるはずです。
左ページの年表と、右ページの解説がセットになっていることで、歴史がより立体的に見えてきます。右端に重要用語だけピックアップして掲載してあるので、最後のまとめにはそこを見て自分の理解度チェックもできます。用語集と問題集がセットになったような本書は、受験生に絶大な人気がある参考書です。
みんなのレビュー
私は丸暗記は得意なほうです。ですが、流れを把握するのが苦手で、日本史の点数が思うようになかなか伸びませんでした。そこで買ったのがこの参考書です。
高校生新聞オンライン
左ページには時代別のまとめや系図などがあり、右ページで重要用語を流れで確認できるようになっているので、いつの時代かを確認しつつ、暗記していくことができます。自力で、「これは〇〇時代で、〇〇天皇の時で…」とまとめるのは大変だと思うので、とても便利です。
日本史辞典
この資料集の特徴
最難関レベルの大学を受験する人にはぜひ使ってほしい辞典です。筆者は高校生の時に購入して受験勉強の副読本として使っていましたが、大学に進むと日本史を専門にしている教授がおすすめしたい辞典として本書を挙げていて、驚いた記憶があります。
もちろん、用語の説明も詳しいのですが、付録が大変充実しています。明治初期の官制変遷表や、まとまった政党系統図など、最難関レベルの大学入試問題対策の補助教材として使える知識が満載です。日本史用語集では物足りない人には特におすすめします。
みんなのレビュー
日本史辞典の中では一番使いやすいと思います。年表は下手な日本史年表より詳しいですし、巻末付録は干支の様な基本的なことから、主要家系図、歴代国司や大名といった詳しいことまで書かれています。日本史の基礎的な事柄であれば、この一冊で足がかりが作れます。
楽天ブックス
但しこの辞典、毎年春に改訂版が出ます。あまり古いのを購入すると、既に定説から外れたもの(例:上高森遺跡、等)が載ってしまっていることがあるのでご注意を。なるべく新しい年度のものを購入しましょう。
まとめ
「日本史用語集を丸々覚えたら受験に合格する」といった話も聞きます。確かに日本史用語集を全て頭に入れたら、知識量として最難関大学レベルのものが得られるでしょう。しかし知識量だけで勝負できる時代はもう終わりを迎えています。今は、その知識を使って日本史をどう捉えるか、考えるかが問われています。
日本史用語集は、日本史を多角的な視点から捉えるのに相応しい参考書です。教科書では歴史用語を真正面から扱うのに対し、日本史用語集ではその用語を他の視点から見るための情報を掲載しています。そういう意味で、今の日本史学習に必要な参考書なのです。
日本史用語集を副読本として大いに活用し、大学受験攻略を目指しましょう。そして、こういった物事を様々な視点から捉える思考は、その後訪れる社会人生活でも大いに役立つはずです。