オスカーワイルドは、19世紀末のイギリスで活躍した作家です。文学的な才能に恵まれ社交界で華々しく活躍するも、最期には全てを失ってしまったオスカー・ワイルド。生前の彼は現代人の心に響く名言を数多く残しました。
とはいえ、肝心の名言が何かと聞かれるとピンとこない方も多いのではないでしょうか。また、オスカー・ワイルドの名言を聞いたことはあっても発言の意図や背景までは知らない方もいるはず。
そこで今回は、オスカー・ワイルドの名言20選を原文と共にご紹介。名言一つひとつに込められた意図や背景はもちろん、おすすめの名言集や関連書籍も紹介します。
この記事を読めば、オスカー・ワイルドの人柄に一層魅了されるでしょう。
オスカー・ワイルドとはどんな人?生涯まとめ【代表作品や名言も紹介】
オスカー・ワイルドの名言20選【発言の意図・背景も紹介】
楽観主義者はドーナツを見て、悲観主義者はその穴をみる。
楽観主義者はドーナツを見て、悲観主義者はその穴をみる。
The optimist sees the doughnut, the pessimist sees the hole.
楽観主義者と悲観主義者の違いをよく言い表した言葉です。焼き菓子をドーナツそのものと捉えるか「穴の空いた」焼き菓子と捉えるかで楽観的か悲観的かが分かりますね。
オスカー・ワイルドが生きた時代には幸福論で有名な哲学者アランもおり、ワイルド自身も楽観主義と悲観主義について独自の視点で考えていたのでしょう。
大衆とはすばらしく寛容だ。
大衆とはすばらしく寛容だ。天才以外のすべてを許す。
The public is wonderfully tolerant. It forgives everything except genius.
大衆を褒めると見せかけて皮肉っている言葉です。人々は凡人に寛容的である一方、天才には僅かなミスも許さない不寛容さを持っているという意味になります。
学問において優秀な成績をおさめ、周囲に天才だともてはやされていたオスカー・ワイルドの心の声を表しているようですね。
恋はいつだって自分を欺くことから始まり、他人を欺くことで終わる。
恋はいつだって自分を欺くことから始まり、他人を欺くことで終わる。これが世間で言うロマンスというものである。
When one is in love, one always begins by deceiving one’s self, and one always ends by deceiving others. That is what the world calls a romance.
オスカー・ワイルドの長編小説『ドリアン・グレイの肖像』にある言葉です。最近では映画『コンフィデンスマン JP』でこの名言が使われ、人々に強い印象を与えました。
恋をした時は相手に気に入られようと自分を偽り、相手を騙し馬鹿にし始めると恋心は冷めていきます。ワイルドはロマンスなど空想にすぎないと思っていたのでしょうね。
男は女の最初の恋人になりたがるが、女は男の最後の恋人になりたがる。
男は女の最初の恋人になりたがるが、女は男の最後の恋人になりたがる。
Men always want to be a woman’s first love. Women like to be a man’s last romance.
男女の恋愛観の違いを示した深い言葉です。男性は女性に対して若さや純潔さを求めますが、女性は男性に対して誠実さを求めます。
ワイルドは夫の不倫を疑う夫人が主人公の喜劇『ウィンダミア卿夫人の扇』を書いており、男女間による思考の違いを分かりやすく世に示したのです。
私たちは、不必要なものだけが必需品である時代に生きている。
私たちは、不必要なものだけが必需品である時代に生きている。
We live in an age when unnecessary things are our only necessities.
オスカー・ワイルドは世界が急速に変容し始めた19世紀に生きた作家でした。19世紀のイギリスは鉄道や電話など画期的な発明がなされる一方で、人間らしい生き方を見失っていた時代でもあります。
これは現代の私たちも同様です。火や水など「生きるためだけに必要なもの」を蔑ろにして生きているのでしょうね。
俺たちはみんなドブの中にいる。
俺たちはみんなドブの中にいる。でもそこから星を眺めている奴らだっているんだ。
We are all in the gutter, but some of us are looking at the stars.
貧富の差が激しい19世紀末に生きたワイルドだからこそ言える言葉です。華々しい半生を送りつつも晩年には全てを失ってしまったワイルド。
ドブの中にいるかのような生活でも、そこから見える星は他の人々が見ている星と一緒です。生活の質が違っても変わらないものはあると教えてくれる言葉ですね。
善人はこの世で多くの害をなす。
善人はこの世で多くの害をなす。彼らがなす最大の害は、人びとを善人と悪人に分けてしまうことだ。
The good eggplant a lot of harm in this world. The maximum of the harm that they make is that it would divide the people into the good and the bad guys.
善人と聞くと純粋に「良い人」と思いがちです。しかし、そもそも彼ら自身が世の中の人々を「善人」と「悪人」に差別化してしまいます。
一見して良い人に見えても無意識のうちに悪いことをしているとワイルドは伝えたかったのでしょう。
生きるとは、この世でいちばん稀なことだ。
生きるとは、この世でいちばん稀なことだ。たいていの人は、ただ存在しているだけである。
To live is the rarest thing in the world. Most people exist, that is all.
人間の在り方を考える深い言葉です。呼吸をして存在している人ならば世の中にたくさんいるでしょう。
しかし、自分の人生において「生きている!」と実感している人は稀なのではないでしょうか。私たちは今一度生きるという原点に立ち返る必要があるのかもしれません。
若いときの自分は、金こそ人生でもっとも大切なものだと思っていた。
若いときの自分は、金こそ人生でもっとも大切なものだと思っていた。今、歳をとってみると、まったくその通りだと知った。
When I was young I thought money was the most important thing in life; now that I am old I know that it is.
生活していくうえでお金とは切ってもきれない仲ですよね。これは、41歳で投獄・破産宣告を受けたワイルドらしい言葉でもあります。
釈放後はヨーロッパ各地を放浪したワイルドにとって、お金は人生にとって欠かせないものだと身にしみて感じていたのでしょう。
人生は複雑じゃない。
人生は複雑じゃない。私たちの方が複雑だ。人生はシンプルで、シンプルなことが正しいことなんだ。
Life is not complex. We are complex. Life is simple, and the simple thing is the right thing.
人は考えすぎてシンプルな答えをより複雑にしてしまう傾向があります。ワイルドは人間のそんな思考回路について異議を唱えました。
人生とは私たち自身が複雑に思っているだけであり、実際はシンプルなもので難しく考える必要はないのです。