「刑務所の生活はどんな様子?」
「刑務所にいじめはあるの?」
刑務所とは何らかの法令に反する行動におよび、裁判判決の決定により身体拘束するために服役する施設です。「悪いことをしたら入るところ」として認識している施設ですが、収監された受刑者たちはどういった生活を送るのか気になる人も多いことでしょう。そこでこの記事では、刑務所の生活について、具体的な1日のスケジュールからいじめ問題、性事情、女性刑務所の実態などについて調査しました。
この記事を書いた人
フリーランスライター
フリーランスライター、高田里美(たかださとみ)。大学は日本語・日本文学科を専攻。同時にドイツ史に興味を持ち、語学学校に通いながら研究に励む。ドイツ史研究歴は約20年で、過去に読んだヨーロッパ史の専門書は100冊以上。日本語教師、会社員を経て結婚し、現在は歴史研究を続けながらWebライターとして活躍中。
刑務所の生活はどんな様子?
刑務所に収監されたらどんな生活をするのか?一日・一年のスケジュールや休日の過ごし方、差し入れ方法や面会の規則などを解説します。
1日のスケジュール
刑務所での1日のスケジュール(平日)を紹介します。こちらはあくまで一例で施設により異なるために、ご了承頂けると幸いです。
早寝早起きの生活を過ごし、日中は刑務作業に従事することとなります。禁固刑の人も何もしない方が苦痛なのでほとんどの人が希望して刑務作業に従事しており、これを「請願作業」といいます。入浴は1週間に夏季は3回・冬季は2回と決まっており、1回の入浴は15分です。
夏は3回お風呂に入れるものの、刑務所には冷房が無いために汗をかき、部屋は悪臭を放つようになります。また6〜9月を夏季とされていますが、5月や10月の暑い日が続いても融通が利かず2回の入浴なのでとても困るそうです。入浴も悪臭予防のために入浴剤が入っているといいます。
休日の場合は刑務作業が無いために、一日自由時間を過ごします。それぞれ部屋で自由に過ごせますがが、365日24時間男性5,6人が一緒にいる環境であり、受刑者たちは我慢して生活するしかありません。ただしずっと一緒にいるので、嫌いな人でも家族のような変な連帯感も生まれるそうです。
1年のスケジュール
1年のスケジュールですが、年明けは大晦日0時までテレビ視聴が可能で年越しに「年越しそば」、正月には雑煮とおせちが配給されるそうです。そして春には桜の時期に観桜会、秋には野球・サッカー大会、運動会があります。ただし運動会は春に行う施設もあるようです。
冬にはクリスマス会が開かれて、ケーキを食べてクリスマス気分が味わえます。また年に一度、著名人らの慰問を受けるようです。内容は観劇や講演・コンサート、演奏など多岐に渡ります。
普段の食事は?
刑務所の食事は、質素ですが栄養バランスがしっかり考えられた食事が出されます。献立の一例は以下の通りです。、
- 朝食:麦飯・味噌汁・サバの缶詰・ふりかけ
- 昼食:麦飯・野菜炒め・かき玉汁・漬物
- 夕食:麦飯・白滝ソテー・筑前煮・ウグイス煮
食事の予算は1日420円程度といわれています。しかし豪華ではないものの、品数もあるといいます。ただし全体的に味が薄く、あまり美味しくなかったと話す元受刑者も多いようです。食事は冷めているといいます。
ご飯は麦飯で、麦が30%・米が70%の割合で作られており、血糖値の上昇を押さえるように考えられた配合にされているそうです。なお主食には麦飯以外にパンがあり、受刑者には人気です。パンの日に「アマシャリ」と呼ばれるぜんざいなどの甘味が出るデザートが出ることがあり、受刑者もとても楽しみにしています。
休みの日は何をして過ごす?
刑務所での休日は「免業日」と呼ばれ、土・日・祝日が該当します。休日は基本的に居室で過ごしており、同室の人と囲碁や将棋をしたり、雑談して過ごしているようです。そして大体の部屋は、土日のどちらかに部屋を大掃除しています。
ただし他の部屋に行ったり、散歩なども禁止なので時間が長く感じるという人もいます。同室の人と仲が悪い場合は、一日を一緒に過ごして苦痛に感じる人もいるそうです。
差し入れや面会は?
刑務所に差し入れできる物は、衣類・雑誌・写真(一回10枚まで)・手紙・ちり紙・筆記用具・洗面具・制汗剤などです。しかし、食べ物は不可となっています。そして、下着・タオル・日用品などは刑務所で購入したもののみ差し入れ可能です。
また受刑者との面会は、親族(元妻や内縁の妻も可能)・仕事に関する人・社会復帰に必要な人などです。人数は上限3名までで、原則平日となります。制限時間は「30分を下回らないように」と決められていますが、実際は職員や面会室の都合で短くなることもあるそうです。面会回数は1か月に2回の面会が保証されており、優遇区分で更に面会回数が区切られています。優遇区分は、
- 日常生活の態度
- 賞罰の状況
- 作業の取り組み状況
- 各種指導への取り組み状況
- 資格の取得状況
で変わります。優遇区分は他に、手紙の発信回数上限にもかかわっています。
刑務所における受刑者の待遇
刑務作業について
受刑者にとって刑務作業は法務省によると、
「刑務作業は、懲役刑の内容であるとともに、受刑者に規則正しい勤労生活を行わせることにより、その心身の健康を維持し、勤労意欲を養成し、規律ある生活態度及び共同生活における自己の役割・責任を自覚させるとともに、職業的知識及び技能を付与することにより、その社会復帰を促進することを目的としたもの」
ということです。仕事を通して作業を真剣に取り組み、挨拶などの基本も見直すことで更生を目指すことを目的とします。そんな刑務作業で働く場所はどこか?お給料はどれくらいかを見ていきましょう。
どんな仕事がある?
刑務作業で担当する仕事は主なもので以下の通りです。
- 特洗作業:受刑者の汚物に汚れた服や布団を洗う仕事
- 炊飯工場:受刑者の食事を作る仕事
- 内装工場:刑務所を掃除する仕事
- 洗濯工場:受刑者の衣服を洗濯する仕事
- 図書工場:図書館の本を管理する仕事
- 木工工場:家具や民芸品を作る仕事
- 紙折工場:紙風船や薬袋を作る仕事
- 金属工場:金属の加工・組み立てをする仕事
- 印刷工場:依頼のあった印刷物を刷っていく仕事
- 経理工場:作業報奨金や商品売り上げなどを計算する仕事
入ってすぐは、特洗作業をします。内容は、高齢の受刑者などが汚した服や布団を洗う仕事です。次の新人受刑者が来るまで続けるといい、受刑者としてちゃんと自覚を持つようにという意味があるといいます。
他にはきつい作業であるものの、炊飯工場勤務は入浴回数が多かったり、作業報奨金が高く仮出所も早まったりと魅力的な仕事です。また経理工場は銀行員だった受刑者などがなる、エリート部署と呼ばれている仕事といいます。
逆に紙折工場は知能検査が低い受刑者や、作業が遅い人がつく仕事のために「モタ工」と通称呼ばれているそうです。単独房に入っている人も、この仕事に従事します。
給料はいくら?
受刑者が貰える作業報奨金は、1時間に数銭~数円単位で支給されています。一般社会の「時給」の数百分の一以下の金額です。そのため入ったばかりの受刑者は月額100円にも満たないことも多いですが、真面目に勤め上げれば3年後には月額5000円程度になるといいます。
受刑者が稼いだ作業報奨金で、刑務所内の備品を買うことが可能です。支給される日用品は質が悪いために、報奨金で質の良いものを購入しているのが現実だといいます。
改善更生の指導とは?
1か月に2回、一般改善指導というものが行われています。一般改善指導は全受刑者が受ける義務があり、犯罪の責任を自覚させ、社会生活に適応させる知識や生活態度を見直すことを目的とした指導です。実施日は施設によって異なります。
その他にも薬物依存性離脱法・暴力団離脱指導・性犯罪再犯防止指導などもあります。これらは受刑者の犯罪傾向に合わせて行うとのことです。