中国は共産主義と社会主義のどっち?両者の違いや定義も簡単に解説

「中国は社会主義、共産主義と聞くけど結局どっちなんだろう?」
「社会主義だけど最近企業が発展していっているよね…?」

日本は日々働き働いた分の報酬を得る「資本主義経済」を取っていますが、世界には中国やロシアなど社会主義を原則とした国家も存在しています。「社会主義」や「共産主義」といった言葉は良く聞くけれども、実際にどういった思想なのかなど詳しくは知らない人も多いようです。

中国・上海の街並み、近年は世界中に中国企業が進出している

近年は社会主義といわれる中国も世界への企業進出が目覚ましくもあり、国の在り方も柔軟性が出てきているといえるでしょう。そこでこの記事では、中国は結局社会主義なのかそれとも共産主義なのかといった話や、共産主義と社会主義の考え方についても解説していきます。

この記事を書いた人

フリーランスライター

高田 里美

フリーランスライター、高田里美(たかださとみ)。大学は日本語・日本文学科を専攻。同時にドイツ史に興味を持ち、語学学校に通いながら研究に励む。ドイツ史研究歴は約20年で、過去に読んだヨーロッパ史の専門書は100冊以上。日本語教師、会社員を経て結婚し、現在は歴史研究を続けながらWebライターとして活躍中。

中国は社会主義と共産主義のどっち?

中国は社会主義と共産党どちらなのだろう?
出典:Wikipedia

中華人民共和国は1949年10月1日に、社会主義国家として建国された国です。「中華ソビエト共和国」として中国共産党がソビエト連邦の支援を受けながら、日中戦争などを経た後に中華民国政府を台湾へと追いやり建国しました。

毛沢東が北京市天安門広場で建国宣言した中国は、一党独裁で中国共産党主席が国を指導する立場にあります。中国は「社会主義」の国といわれますが、国を動かすのは「中国共産党」であり、結局どっち?となってしまいます。そこでここでは結局どちらなのかを解説しました。

中国は社会主義国家

中国は社会主義国家だ

中華人民共和国は社会主義国家です。ただし基本的な姿勢は社会主義ではありますが、年月を経て同じ社会主義でもスタンスが変わっていきました。近年は社会主義でありながら、資本主義国家と並ぶまたはそれ以上の発展を遂げています。

1949年中国では、毛沢東とその政府が中国に「共産主義政府」を打ち立てました。この時の共産主義は「毛沢東主義」と呼ばれますが、問題点も多く抱えていたのです。「大躍進制度」などではあまりに現実離れした政策だったために、不十分な農業政策や反対者の排除・飢饉などが重なり5000万人が犠牲になっています。

毛沢東思想は、世界の新左翼に大きな影響を与えた
出典:Wikipedia

そして1966〜1976まで続いた「文化大革命」では、「中国にはびこる資本主義を排除すること」を目的として、共産党内部の勢力争いに勝利した毛沢東は農業が資本という「農本思想」を打ち出しました。しかしこれもかなりの経済混乱を招き、数百万人という犠牲者が出たといいます。

70年代に資本主義も取り入れた

鄧小平
出典:Wikipedia

現在の中国の体制は「社会主義市場経済」といわれています。1970年代に鄧小平(とうしょうへい)代表指導の元で、「市場原理経済」が取り入れられました。「市場経済」とは、市場で需要と供給のバランスを調整する概念です。最初に「経済特別区」を80年代に作り、経済改革していきました。

1978年に改革開放政策が打ち出されたことにより、「人民公社制度(共同農業生産・平等分配)」が廃止され、新たに導入された「生産請負制度」で一定の産物を政府に収めれば余剰は自由に売買できるようになっています。

経済特区に指定された場所
出典:Wikipedia

工業も以前は国が「生産計画」していましたが、改革開放以降は企業の自主権が尊重され、市場での生産バランスを踏まえて生産量を決定できるようになったのです。

当初は「社会主義の思想に反する」といった批判もありましたが、実際に「経済特別区」を視察した鄧小平がこの路線で行くことを決定しています。1992年に市場経済化を進める方向を宣言し、以降諸外国からの投資が急増する結果となりました。

現在も公営の会社が多い

中国の電力会社「国家電網」も国有会社だ
出典:Wikipedia

中国では現在「国有企業」が主流となり、工業生産の質や量が向上しています。以前は所有・経営共に国が管理する「国営企業」でしたが、現在は所有が国で経営は民営という「国有企業」へとシフトしています。

しかし現在も経済の大部分を国が管理しており、産業によっては政府の独裁体制が続けられているのです。例えばフォーチュングローバル500に含まれるトップ15の企業は全て国家所有の会社であり、エネルギー・銀行・鉄道・通信などが当てはまります。

中国でフェイスブックは禁止されている

結局総合的な評価は「資本主義の仮面を被った社会主義」とも揶揄されており、政府は民間企業を通じて間接的に市場経済に大きな影響を与えているといえるのです。それぞれの体制の矛盾を上手く取り込みながら発展を続けており、ほぼ資本主義的と変わらない国へと変貌していきました。ただし「情報の統制」などには、社会主義の側面が今も垣間見えもするのです。

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