ルドルフ・ヘスにまつわる都市伝説・武勇伝
都市伝説・武勇伝1 「オカルトオタクだった」
ヘスは幼少期から大変なオカルトオタクでした。幼少期は瞑想の呼吸法を自分なりにアレンジして神秘主義に夢中になっていたといいます。そして、ナチの副総統に就任し、身体の不調が続き、ナチ党で冷遇され始めると、占星術やダウジング、夢占い、千里眼などに没頭していったといいます。
ヘスのもとにはそういった専門家がたくさん集まってきたそうです。第二次世界大戦を題材とした映画で、ナチスの描写にオカルト的な描写があるのは、ヘスのオカルト趣味のイメージが影響していると言われています。
都市伝説・武勇伝2 「ナチ党でも変人扱いだった」
ヘスはプライベートで酒は飲まない、たばこは吸わない、ダンスは踊らない、肉を食べずに菜食主義と、真面目な一面がありました。ドイツ人が好むビールもワインも飲まず、あの当時喫煙をしない男性は珍しいのもあり、ナチ党でも変人扱いをされていたといいます。
ある時ヒトラーとの食事会でヘスは出された料理には手を付けず、自宅から弁当箱に入った茹でブロッコリーとレタスを持ってきてそれを食べ始めたといいます。ヒットラーがどうして弁当を持参しているのかを聞くと「食事療法です。」と答えたという逸話も残っています。
都市伝説・武勇伝3 「実はイギリスに行ったヘスは替え玉だった!?」
イギリスの歴史作家ヒュー・トマスは1941年5月以降のヘスは替え玉だったという説を言っています。本物のヘスはイギリスに着く前に、ヘルマン・ゲーリングの陰謀で撃ち落されたというのです。
ただしイギリスに到着してすぐ逮捕され、ニュンヘンブルグ裁判のためにわざわざドイツに後で連れ戻されているので、そんなことをする必要はないと根拠は薄く、あくまで都市伝説のようです。
ルドルフ・ヘスの簡単年表
厳格なドイツ人家庭で育ったヘスは、神秘主義に引かれる内向的な少年だったといいます。14歳の時にドイツのギムナジウムに入学しますが、学友に「エジプト人」と馬鹿にされたそうです。その後、父の貿易商の家業を継ぐためハンブルグで年期奉公しました。
ヒットラーの演説を聞いたヘスは感銘を受け、ナチ党に入党しました。その後、ヒットラーの秘書としてスケジュール管理など裏方の仕事をサポートしました。ヒットラーも公式場面では、「あなた」と呼び合っていましたが、私的な間では「君」と親しい間柄で話す呼称で呼び合っていたといいます。ナチ党が政権獲得まで、広報部門も担当していました。
ヒットラーが首相に任命されたときに、ヘスも副総裁に任命されました。また、ナチスの親衛隊に入隊し、親衛隊大将の階級を与えられました。しかし実態は大した権限はなく、それに伴ってノイローゼ気味になっていったといいます。そして1940年、イギリスとの和平を望んでいたヘスは、和平協定を結ぶために単独でイギリスに飛び立ったのでした。
イギリスで逮捕されたヘスは、1945年にニュンヘンベルク裁判にかけるためにニュンヘンベルグ刑務所に入れられました。しかしヘスは記憶喪失を主張し、精神鑑定が行われました。裁判中も奇行が目立ったため、責任能力があるかが焦点でしたが最終的に責任能力ありと判断され、終身刑を言い渡されました。その後シュパンダウ刑務所で米英仏ソの4国で共同管理され、50年近い年月を刑務所で過ごし93歳の時に電気コードによって首つり自殺をしました。
ルドルフ・ヘスの関連作品
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贖罪 ナチス副総統ルドルフ・ヘスの戦争
戦中に突然英国に飛び、そのまま拘束され、戦後終身刑で93歳で自ら命を絶った、ナチスの副総統ルドルフ・ヘスと著者の人生を対比させながら人生の終わりに見えてくるものを重ねて語っています。ルドルフ・ヘスの人生を知るには最適な一冊です。
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ルドルフ・ヘス
ルドルフ・ヘスの人生を写真を見ながら見ることができる動画です。ナチ党全体ではなく、ヘスに重点をおいて説明されているので、短い時間でヘスを知ることができます。
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ドキュメント アドルフ・ヒトラー 狂気の野望
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関連外部リンク
ルドルフ・ヘスについてのまとめ
ナチスの副総統ルドルフ・ヘスの記事を書くにあたって、筆者は改めてドキュメンタリーを見直してみて、戦争の狂気と人の狂気に再度驚かされました。
恐ろしいのは、ルドルフ・ヘス個人が地味で目立たない人物だったということです。厳格な両親によってドイツの愛国心が叩きこまれて、ヒットラーに出会ってしまい最終的にナチ党の副総統まで登り詰めました。
本人は死亡するまで自分が悪いことをしたと思っていなかったといいます。普段は地味で目立たない人物ほど、狂気にとりつかれると恐ろしいものだと感じてしまいます。
ドイツ人への優人思想と、ユダヤ人への差別で凝り固まった戦犯たちの末路は哀れなものでした。人は強い生き物ではない、ルドルフ・ヘスの生涯を見ても感じることです。
自分の中の狂気に気付き、正しい方向に導かなければならないと感じるのではないでしょうか。誰しもが持っているかもしれない人間の負の部分を、二度と同じ歴史を繰り返さないように振り返るのも必要と感じました。
この記事を読んで、少しでも戦争というものを反省してもらえると幸いです。最後まで読んで下さりありがとうございました。