心理学の始祖!フロイトとユング、アドラーとは?人物像、関係性、学説の違いなどを紹介

3人の学説の違いは?

対立する心理学の三大巨匠たち

フロイト、ユング、アドラー共に、人間の心理を追求し、無意識を探求したことに共通点があります。しかし、三人の理論は個々に違っていて、独自の心理体系を築いていったのです。

ここでは、フロイト、ユング、アドラーの理論の違いを紹介していきます。

夢を重視したフロイトの「無意識論」

クラーク大学で友人と共にいるフロイト

フロイトは、人間の行動は無意識に起因しているものだと唱え、特に夢や性衝動に着目しました。

夢を分析することで無意識の正体を突き止めたり、すべての行動の原理となっているのは性衝動だと結論づけ、我々が認識している顕在意識は、氷山の一角でしかないと定義しました。それらのフロイトの主張は反発も多かったものの、心理学の世界の礎を築いたのも事実です。

フロイトが患者に施す治療法は「精神分析」と名付けられ、現代でも精神医療の現場でおこなわれることがあります。

人間の心理をいくつかの種類に分けたユングの「タイプ論」

精神科医として地位を築いた晩年のユング

ユングはフロイトと同様、無意識に着目しつつも、フロイトとは違う独自の理論を提唱するようになりました。

その中でもっとも有名なのが「タイプ論」です。タイプ論には外向と内向という二つの態度と、四つのタイプが存在します。

外向と内向

ユングは、人間の心理機能には大きく分けて二つの要素があると仮定し、外向型と内向型の人間がいると提唱しました。

外向型の人間は、周囲に同調したり反応するのが上手く、社会で上手くやっていけるタイプですが、他の影響も受けやすいと定義しました。一方、内向型の人間は、周囲に同調するのが苦手で大人しいタイプですが、代わりに周囲の影響も受けづらいタイプだと定義したのです。

4つのタイプ

次に、ユングは人間を思考・感情・感覚・直観の四つのタイプに分けました。

思考タイプは理論や理屈を重視し効率的に行動するタイプ、感情タイプは自分の好き嫌いを大事にして気分で行動するタイプ、感覚タイプは五感で事実を受け取るタイプ、直観タイプは物事の裏側を見抜き真実を見いだすタイプと定義したのです。

人間を全体性で捉えたアドラーの「個人心理学」

より独自性が高く実践的な心理学を提唱したアドラー

アドラーは、ユングのように人間をタイプごとに分けるのではなく、あらゆる要素を合わせて一人の人間の人格が形成されているという説を唱えました。

タイプ分けをすると、「あなたは○○な人間だ」という先入観をもつことになってしまうため、アドラーはそれを避けたかったのです。

アドラーは、思考も感情も、意識も無意識もすべてを合わせて一つの人格だと考え、どう生きていくべきかということに焦点を当てながら、より実践的な心理学を確立していきました。

3人の関係性とは

同じ時代を生き異なる思想をもった偉大な三人の心理学者

同時代に生き、後世の心理学にも大きな影響を与え続けている、フロイト、ユング、アドラーの三名。彼らは、どのような関係だったのでしょうか?

次からは、ユング、アドラー、フロイトの関係や、彼らが決別に至った理由を説明していきます。

ユングとアドラーはフロイトの影響を強く受けていた

晩年のフロイト、ユング、アドラーの姿

すでに述べましたが、ユングとアドラーはフロイトと出会ったことで、本格的に精神分析・心理学の世界へと身を投じることになりました。特に、フロイトとユングは密接な関係にあり、ユングは一時期、フロイトのことを父親のように尊敬していたと言われています。

そういった経緯もあり、ユングにしてもアドラーにしても、心理学の理論の根幹にはフロイトの影響を受けているのです。しかし、研究を進めていく内にお互いの考え方に相違が生じ、彼らは対立・離反するようになりました。

弟子たちはフロイトの提唱する「リビドー」に共感できなかった

自身の主張を曲げずに貫き通した晩年のフロイト

ユングやアドラーをはじめ、弟子たちがフロイトから離れていったのは、フロイトの提唱する「リビドー(性衝動)が人間の行動に起因する」という説が受け入れられなかったのが原因の一つだと言われています。

ユングとアドラーは、患者と関わったり研究を重ねていく内に、リビドーすなわち性衝動とは別の原因が人々を苦しめていると気づいたため、フロイトが提唱する論理に、どうしても共感できませんでした。

フロイトは、無意識の源泉となる心的エネルギーはリビドー(性欲)が本源的な力をもっていると頑なに主張しましたが、ユングとアドラーは、心的エネルギーの源泉は性衝動ばかりではないという見解に至り、独自に「タイプ論」や「個人心理学」を提唱する方向へと向かったのです。

ユング、フロイト、アドラーに関するまとめ

いかがでしたか? 心理学の三大巨匠である、フロイト、ユング、アドラーの人物像、学説、関係性について紹介しました。

この記事では、主に以下のことを伝えました。

  • フロイト、ユング、アドラーの人物像や提唱した論理について
  • ユングとアドラーはフロイトに師事していたが、考え方の違いから離反していった
  • フロイト、ユング、アドラーの三人は、決別してから独自の心理学の体系を突き詰めていった

三人とも同じ心理学を追求しながら、異なる理論を突き詰めていったことがわかりますね。

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