「日本や世界の歴史がよく分かる本はないかな?」
「特定の時代のことが楽しく理解できる本を読みたい」
歴史を知りたい、と本をいざ選ぼうとしても、作品数や種類が膨大でどれを選んだらいいのか悩む人も多いのではないでしょうか。
また、歴史といっても「この時代のことを詳しく知りたい」と特定の時代に関心のある人もいるでしょう。そこでこの記事では日本史の歴史本を時代別に、世界史の歴史本を地域別に紹介します。
時代別だけでなく、日本史や世界史の通史もまとめました。そして、日本史ではその時代を舞台にした小説も紹介しています。
この記事を参考に、日本史は自分の興味のある時代の物から、世界史は興味のある地域から読み始めてみてください。きっと次から次へと読みたくなるはずです。
日本史【~奈良時代】
邪馬台国をとらえなおす
読んでみて
邪馬台国の所在地は古代史最大のミステリーのひとつとなってきました。本書は、そんな邪馬台国関連の内容と研究を網羅しています。邪馬台国に興味があるけど何が問題なのかわからない、いまいちど整理したいという人におすすめです。
邪馬台国については畿内説と九州説で今も激しい論争が繰り広げられていますが、著者は中立的な立場で検証。『魏志倭人伝』を丁寧に読み解き、出土物などの考古学的見地からもアプローチした著者自身の見解には説得力があります。
みんなのレビュー
謎の四世紀と倭の五王
読んでみて
邪馬台国以降、4世紀から5世紀初頭の日本は中国の史書などに登場しないため、その実態が不明で空白の時代と呼ばれてきました。その謎の四世紀を経て中国に使者を送った5人の倭王の時代、継体天皇の時代までの歴史をまとめた一冊です。
日本の正史である『日本書紀』のほか中国・宋の正史『宋書』も参考に、いまだに謎のベールに包まれた倭と呼ばれた日本の実態にせまっています。なぜ倭の五王が中国に使いを送ったのか、倭の五王はそれぞれどの天皇なのか、古代の謎を解き明かすような感覚で読み進むことができます。図と表が多く視覚的にも分かりやすいため入門編におすすめです。
飛鳥時代のことが面白いほどよくわかる本
読んでみて
聖徳太子の登場する前後から乙巳の変を経て、壬申の乱で勝利した天武天皇がの功績までをまとめています。この時代は、聖徳太子の存在や蘇我氏の栄光と没落、天武天皇の壬申の乱など歴史の大きなうねりの中にありました。
教科書などでは出来事の説明のみで全体像が見えにくいと思いますが、この本を読むと、当時のさまざまな出来事がじつは歴史の中でつながっていることが分かります。渡来人の蘇我氏がどのような栄光と没落の歴史をたどったのか、推古天皇の苦悩としたたかさなど教科書よりも深い内容が盛り込まれて読み応えのある本です。
奈良の都と天平文化
読んでみて
奈良時代は律令国家が施行され天平文化が花開いた華やかな時代に思えますが、一方で政争が激しい時代でもありました。本書では奈良時代の歴史を丁寧にたどりつつ、政治や経済、地方の実態、国際関係、そして国際文化として名高い天平文化など幅広く説明しています。
教科書で奈良時代を習ったけどもっと詳しく知りたい、奈良時代の地方や文化のことについて知りたいなど、奈良時代に興味をもった人にまず手に取ってほしい一冊です。
みんなのレビュー
歴史好きと言っても、好きな時代が限られててそれ以外はよく知らないし、その好きな時代も、よく読むのは中央の政争史(何とかの乱みたいなの)ばかりなので、こういう概説書はありがたいです。特に目新しい説が紹介されたりとかではなく、一般的な説が淡々と並んでる感じで。地方とか、税とか駅馬とか、学生時代名前だけ覚えたけど実際どんなものだかよくわからなかったのが、わかって、おもしろかった。たまに、日本語として?という、すごくわかりにくい文があって読みづらかったけれど、それ以外は満足です。
読書メーター
小説 『穢土荘厳』
読んでみて
長屋王一族の滅亡から大仏開眼に至る天平期の激動の歴史を描いた、1000頁近くの大作です。長屋王の妃吉備内親王は藤原氏の専制に危機感を抱き謀略を巡らせますが、それがとんでもない方向へと動き出し・・・。冒頭からミステリー仕立てで一気に物語に引き込まれます。
蘇我系女帝と藤原氏一族の対立という作者ならではの視点で物語は動きます。反乱や災害に悩み大仏造立にすがる天皇や権力争いに明け暮れる貴族たち、権力者たちに翻弄される庶民や奴隷まで。重層的な視点と巧みなストーリーで、奈良時代を重厚に描き出した圧巻の小説です。
みんなのレビュー
日本史【平安~室町時代】
摂関政治
読んでみて
天皇の外戚となった摂政や関白が政治を補佐した摂関政治。平安時代はほぼ藤原氏がその職を独占し、藤原道長のときに最盛期を迎えました。本書ではその摂関政治の仕組みがどのように築かれていったのか、分かりやすく解説しています。
また貴族や庶民の生活の様子、国風文化の発展、国際関係、武士の台頭など幅広い視点で平安時代のことが書かれており、古代から中世へと移り変わるさまざまな萌芽を知ることができます。
みんなのレビュー
平家物語 マンガとあらすじでよくわかる
読んでみて
『平家物語』は、登場人物の多さと人間関係の複雑さで混乱して、読むのをあきらめたという人もいるでしょう。しかし本書は平家の勃興と栄華、天皇家との確執、源氏との攻防と滅亡まで『平家物語』の全貌をコンパクトにまとめた一冊です。
単にあらすじをまとめただけでなく、理解を助けるためその背景や理由など周辺の事情を史実も交えて解説。さらに横山光輝の漫画や図表もふんだんに盛り込まれているため理解しながら楽しく読み進められます。
あれだけ隆盛を誇った平家が後半、京の都を捨てて落ちていく盛者必衰の道理をつくづく感じさせられる作品です。
みんなのレビュー
日本中世史の核心 頼朝、尊氏、そして信長へ
読んでみて
源頼朝をはじめ、法然、九条道家、北条重時、足利尊氏、三宝院満済、細川政元、織田信長と中世を読み解くうえで欠かせない8人を紹介し、人物の視点から中世をたどる作品です。天皇と王権の統合を目指した足利尊氏、中央集権を目指した織田信長など各自の行動の意図を明確にすることで幕府や朝廷の政治史を浮かび上がらせています。
政治史といえばとっつきにくいと思うかもしれません。しかし人物を通して描いた本書は読み物としても楽しめます。この本を読むと、なぜ貴族から武士へと政治の主体が移り変わったのか、理解が深まるでしょう。
みんなのレビュー
顔の見えない民衆史はつまらないという著者の、歴史上の人物に対する評価が、紛れもなく民衆の側に立脚したものであるところに好感が持てました。中世の幕府や朝廷、国家観などがどのように成立していったかが、それぞれの核心にいる人物と共に解説されていきます。読み物としても面白かったので日本史に興味のある人におススメの一冊だと思います。
読書メーター
小説『この世をば』
読んでみて
娘3人を天皇の后にして「この世をば~」の歌をうたった藤原道長の生涯を、道長とその妻倫子の視点から描いた上下巻の小説です。
面白いのは道長を剛腕な政治家ではなく、人間味あふれる平凡児という視点で描いている点。末っ子の道長は、兄2人の死や天皇の母となった姉の強い後押しという幸運もあり、あれよあれよと政界の中心へと躍り出ます。小心者ならではの平衡感覚を発揮して政界を泳いでいくうちに風格も出て権力の頂点へ。おっとりしたお姫様だった倫子もたくましく成長していきます。
道長といえば権力の権化のように思われがちですが、妻に愚痴を言ったり悩んだりしている道長の姿は現代人にも通じるものがあり、親しみさえ感じられますよ。
みんなのレビュー
小説『時宗』
読んでみて
鎌倉時代の執権北条時頼と時宗父子らが国難に立ち向かった歴史巨編です。執権になった時頼の周りには権力争いが渦巻いていました。時頼は、時には冷酷に時には残虐に争いを制して北条家の基盤を確立します。
その父から政権を受け継いだ時宗の時代、蒙古襲来という日本存亡の国難が訪れます。ここで活躍したのは思わぬ人物でした。
かつて「命がけで守りたいと思う国を作らなれければならない」と語った時頼と、その思いを受け継いで蒙古襲来に立ち向かった時宗。小説ならではのストーリーも交えながら、国への愛、親子、兄弟への愛が胸をあつくさせる骨太な小説です。
みんなのレビュー
「国は北条のためにあるのではござらぬ。北条が国のためにあるのだと皆に思わせたいので」……鎌倉時代と言えば、公暁暗殺や有力御家人の粛清から蒙古襲来までの間が不明だった。本作はまさにそこから書き出してくれているので助かる。なるほど宮騒動とか宝治合戦とか、鎌倉中期もずっと権力闘争してたのね。本作での執権・北条時頼(時宗の父)は、いつもの高橋流主人公像通りで「天下国家のため」「武者の生き様重視」のキャラだけど、実際は北条家だけが栄えるような政権運営していたに違いない。だから常に反乱の気運が絶えなかったんだろうな。
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日本史【戦国~江戸時代】
史上最強カラー図解 戦国時代のすべてがわかる本
読んでみて
豊富なイラスト付きのオールカラーなので、とにかく楽しい一冊です。有名武将のことから戦国時代の歴史と戦国大名の成り立ち、さらには戦いの基本、風俗文化まで戦国時代の情報をほぼカバーしています。
とくに圧巻はCGイラストで再現された合戦場面。関ヶ原合戦など戦いの雰囲気が臨場感たっぷりに描かれ、リアルタイムで眺めているかのような気分を味わえます。
武将や姫の秘話など読み物もあり、本書を読むと戦国時代がきっと身近に感じられるはずです。
みんなのレビュー
戦国時代の すべてがわかりやすく書いてあって 読みやすい。 最後の方に 武将一人一人の「逸話 人物伝」があって これが面白い。
読書メーター
関ヶ原大乱、本当の勝者
読んでみて
関ヶ原合戦とそれにまつわる一連の戦いを14人の武将を通して明らかにした意欲作です。信頼性の高い史料をもとにできるだけ真実に迫ろうとしており、これを読むと次々と関ヶ原合戦の定説が覆されます。関ヶ原合戦の勝敗を決定づけた小早川秀秋の裏切りも事実は・・・など謎解きをしていくような面白さのある本です。
また、徳川家康や石田三成といった主役級以外の武将の視点も描いているため、関ヶ原合戦を多角的にみることができます。関ヶ原についてある程度知っている人も、知識がほとんどない人も気軽に読める1冊です。
みんなのレビュー
知れば知るほど面白い徳川将軍十五代
読んでみて
徳川十五代将軍が一人ずつ紹介されており、「こんな将軍様だったんだ」と新たな発見に出会えるはずです。将軍代替わりの政争、大奥との関係などその背景、政治についても読みやすくまとめられており、泰平ならではの江戸時代の姿が見えてきます。
とくに江戸幕府中興の祖ともいわれる8代将軍吉宗の、将軍になるまでの策士っぷりはまるで小説を読んでいるかのようです。
将軍ごとにまとめられた妻妾や側近、相関図、家系図なども盛り込まれ理解を助けてくれます。
みんなのレビュー
徳川将軍家について扱った本。そして同時に大奥と幕府そのものについて扱った本でもある。 将軍の代替わりごとに人間関係のチャートが載っており、とてもわかりやすかった。 本来軍事政権である幕府が、官僚組織へと変化し、戦士階級が平和な時代をもたらした。 その奇妙な繁栄の陰には、これでもかというくらい人間くさいエピソードがたくさんあって、非常に興味を惹かれた。 また別の徳川の本も読んでみよう。 そう思った。
読書メーター
幕末入門
読んでみて
幕末は尊王、佐幕、攘夷、開国などさまざまな考えをもつ勢力が複雑に絡んだ激動した時代でした。本書はそんな幕末を会津藩、新撰組、長州藩、薩摩藩、土佐藩の多面的な視点から解き明かした入門書です。わかりにくいとされる幕末も、客観的にそれぞれの立場から見るとその行動が納得できます。
討幕密勅の真偽、坂本龍馬の暗殺者など幕末の謎にも迫っており、暗殺者についてはなかなか興味深い説となっています。
みんなのレビュー
竜馬がゆく
読んでみて
坂本龍馬の魅力を決定づけたといってもよい全8巻のベストセラーで、何度もドラマ化されました。とにかく闊達で自然体の龍馬が魅力的です。つねに一歩先を見据えた先進性と、それらをなしとげる実行力。長い小説ですが、その龍馬の姿にひかれて一気に読めるでしょう。
龍馬は志半ばで暗殺されてしまいましたが、明治時代にも生き延びていたら彼は何を成し遂げていたのか、ついつい考えさせられてしまう小説です。