小説ヲタクがおすすめするオールタイムベスト83冊

インドシナ戦争とは?原因や結末、その後の影響までわかりやすく解説

インドシナ戦争は、現在のベトナム、ラオス、カンボジアが位置するインドシナ半島で起きた戦争のことです。主にはベトナムが中心で、ベトナムの独立をめぐってフランスと8年に渡る戦争を繰り広げたのです。

インドシナと一括りで呼ばれるのは、当時のフランス植民地として統括されていた名残。「フランス領インドシナ」と言えばピンとくる人もいるでしょう。まさにその地域が主戦場となった戦いなのです。

全部で3回あったベトナム対外国の戦争

インドシナ戦争の舞台となったインドシナ半島。東南アジア大陸部とも呼ばれる。

インドシナ戦争は、広義では3回あったとする考え方があります。第1回目のベトナムVSフランスの第一次インドシナ戦争、俗に「ベトナム戦争」と呼ばれる南北統一をかけた第二次インドシナ戦争、そしてカンボジアとの国境問題が発展した第三次インドシナ戦争の3回です。

いずれも自国の独立と国の威信をかけたベトナム。独立を成し遂げるため、そして独立を守るために戦い続けていたのです。

30年以上続いた大戦争

ベトナム国旗。共産主義の象徴であえう赤地に黄色の星があしらわれている。

1946年に勃発した第一次インドシナ戦争から、カンボジアに新政府が誕生し終結した第三次インドシナ戦争までの期間はなんと34年。ベトナムは四半世紀以上を戦争に費やした国なのです。長きにわたる戦争はベトナムの国際社会進出を大幅に遅らせてしまいました。

現に、諸外国と正式に国交を樹立したのは1990年代がもっとも多く、この中には戦争で戦ったフランスやアメリカも含まれているのです。

厳密には最初の8年間を指す

ベトナム兵に武器の使い方を教える旧日本兵。軍事訓練は日本兵が行っていた。

34年間の超長期戦争だったインドシナ戦争ですが、一般にインドシナ戦争というとそれが意味するのは最初の8年間、つまり第一次インドシナ戦争だけになります。

第二次インドシナ戦争は別名ベトナム戦争と呼ばれ、国内の統一がメインという毛色の違う戦争。呼び名もそちらの方が一般化しています。また、第三次インドシナ戦争はカンボジアだけではなく、この時期中国とも戦争をしており、中越戦争と呼ばれるそれを併せて第三次とされています。厳密に1つの国と戦争していたのは第一次のみなので、インドシナ戦争は最初の8年だけを指すというのが一般的です。

インドシナ戦争の原因は?

インドシナ戦争勃発の原因は、端的に言うとフランスとベトナムが、ベトナムの独立を認めるか否かで始まったものです。では、どのようにして始まったのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

フランスが手放さなかった植民地

強行支配を提唱したシャルル・ド・ゴール。インドシナ戦争中に退陣した。

フランスは第二次世界大戦終結前から、終戦後も所有していた植民地を保護する名目でその制度を整えていました。その実態は植民地を放棄するつもりがなく、事実上の植民地支配継続を意味していました。

1945年、仏印進駐でインドシナ半島に駐留していた日本軍がインドシナ半島の政府解体を指示。ベトナムはベトナム帝国、ラオス・カンボジアはそれぞれ王国として独立を果たしたのです。これに対してフランスが激怒したのは言うまでもないでしょう。フランス国内の世論は植民地支配継続になびいていたからです。

ベトナムの独立宣言から全面戦争へ

ベトナム最後の皇帝バオ・ダイ。傀儡政権の盟主として再び祭り上げられる。

1945年、ベトナム独立同盟会(ベトミン)により、皇帝バオ・ダイが退位。ベトナムには臨時の政府が誕生します。その後、日本の無条件降伏が認められると正式にベトナム民主共和国として独立を果たしました。

1946年にはダラット会議でフランスとの協定が結ばれたものの、各種権益はフランスが持つという内容に不満を覚えたベトナムはこれに反発。さらにベトナム南部に成立させたコーチシナ共和国はベトナム国民の怒りを増幅させ、同年に交渉が決裂。全面戦争に突入したのでした。

インドシナ戦争の経過

インドシナ戦争前後のベトナムの状況。南北が統一されるのはさらにあとの話。

インドシナ戦争は8年に及ぶ長い戦い。第二次世界大戦が終結したのちの平和的な国際関係改善のためにはこの戦争を終わらせる必要がありました。そのためベトナムに力を貸す国、フランスに協力する国に分かれ、インドシナ戦争は徐々に泥沼化していきました。

インドシナ戦争の経過についてその終結までを解説します。

ベトナムの南北分裂

インドシナ戦争のターニングポイントとなったランソンの現在の様子。

ベトナムは、第二次世界大戦後すぐに南北に分裂していました。北緯16度を境界線として、北を中国をはじめとする連合軍が、南を支配権を譲らないフランスが領有していたのです。両者譲ることなくはじまったこの戦いは、最初はフランスが主要都市を制圧し有利に進んでいました。

しかし、ランソンの戦い以降攻守が逆転。それまでゲリラ戦を展開してきたベトミンによる反撃にフランスは徐々に敗戦色を濃くしていきました。

外国人部隊を投入したフランス

外国人部隊の1人。本国から派遣しにくい状況で周辺諸国から人員をかき集めた。

戦局が不利になるにつれて、フランス本国では「戦地には行かせない」という世論が多数派になりはじめ、兵力不足を言われるようになり始めました。結果フランスは、外国人部隊と呼ばれる部隊を投入します。主にはラオス・カンボジアの人員で構成されていましたが、もとは同じインドシナ半島の人間同士、あまり戦力にはならなかったようです。

アメリカの援助を受けたベトナム

ベトナムへの援助を決めたトルーマン大統領。次のアイゼンハワーまで引き継がれた。

国際社会もインドシナ戦争終結のため、双方に協力する体制が出来てきました。北ベトナムはソ連・中国と関係を築き、それまでの武装を近代化させることに成功。一方の南ベトナム側も正式にベトナム国の成立を認められ、傀儡政権ではあったもののフランスの援助を受けて戦争を継続しました。

この時アメリカも軍事援助を表明したのですが、供給元はなんと南北ベトナム両方。東西冷戦が本格化する前で、どちらにも恩を売っておきたかったのではないかと考えられています。

戦火拡大とディエンビエンフーの戦い

戦いに勝利し旗を振るべトミン兵。これにより戦争は集結した。

1952年、戦火はラオス近辺まで広がり戦争はより拡大しました。しかしこの時はすでにベトミン軍の優勢で、フランスはこの時に大きな判断ミスでラオカイという重要拠点の奪還をしないままであったため敗戦色はますます濃くなっていきました。その後ラオスにあったフランス軍の補給路をベトミン軍が遮断したのです。

1954年、インドシナ戦争最後の戦いであるディエンビエンフーの戦いが始まります。人海戦術で紀子ろうとしたフランスですが時すでに遅く、開戦からわずか2か月後に陥落。フランスの敗北が決定的となり、ジュネーブ協定が締結されました。ここにインドシナ戦争はベトミン軍の勝利で幕を下ろしたのです。

フランスの降伏とアメリカとの関係悪化

ベトナム共和国大統領ゴ・ディン・ジェム。傀儡政権の元首として政府を運営した。

フランスはインドシナ戦争に敗北。代わりにアメリカが統治を開始するのですが、あろうことかアメリカはフランスが作らせた南ベトナムのベトナム国を存続。1956年のフランス完全撤退後にはアメリカによる傀儡政権ベトナム共和国が成立します。アメリカは漁夫の利を得ようとしたのでした。

北ベトナムにあったベトミンはこれに反発。南ベトナム解放戦線を組織したベトミンはこれ以降、第二次インドシナ戦争、またはベトナム戦争とよばれる戦争に突入することとなりました。

インドシナ戦争を題材にした映画

この世の果て、数多の終焉

映画ポスター。DVD化はされていない。

インドシナ戦争をフランス人兵士の目線で描いた作品が『この世の果て、数多の終焉』です。グロテスクなシーンも多いこの作品は、兄弟をベトミンに殺された青年が復讐に燃える姿を描いています。

注目したいのはベトミンのゲリラ戦術。見えない敵と戦う恐怖や、遭遇した仲間が惨殺されてしまうなど、ベトミンの戦い方を垣間見ることができます。熱帯雨林の中で撮影されたにもかかわらずどこか寒さを感じずにはいられない作品となっています。

インドシナ

こちらは支配階級であり、インドシナを愛したフランス人女性の物語。『インドシナ』の始まりは1930年代とインドシナ戦争の時期よりもずれていますが、この戦争についても触れています。

インドシナの愛する支配階級のフランス人女性が、自身の身分と半島への愛のはざまで揺れるという内容で、養女に向かえた女性はベトナム独立運動に参加するなど、彼女を知らず知らずのうちに苦しめていきます。少し古い映画ですが当時の状況を知れる貴重な映画といっていいでしょう。

インドシナ激戦史1954~要塞ディエン・ビエン~

ベトナム側のインドシナ戦争を描いた作品が『インドシナ激戦史1954~要塞ディエン・ビエン~』です。

ストーリー展開は目新しいものはないものの、なぜベトナムはフランスに勝てたのかという核心部分に迫る内容は史実を知る上では欠かせない要素。この映画を見ればベトナムの強さの理由やフランスのインドシナ戦争への考え方がわかる1本です。

インドシナ戦争に関するまとめ

インドシナ戦争はインドシナ半島、特にベトナムにおいては重要な位置を占める戦争です。自分たちの完全独立をかけてフランスと戦った彼らの思いが勝利へと導いたのは言うまでもありません。

しかし、この戦争がその後四半世紀に及ぶ戦いのきっかけになってしまったのもまた事実。インドシナ戦争が持つ歴史的意味は私達が思っている以上に大きいのです。

それでは、長時間に渡りお付き合いいただきありがとうございました!

コメントを残す