インドシナ戦争とは?原因や結末、その後の影響までわかりやすく解説

インドシナ戦争の経過

インドシナ戦争前後のベトナムの状況。南北が統一されるのはさらにあとの話。

インドシナ戦争は8年に及ぶ長い戦い。第二次世界大戦が終結したのちの平和的な国際関係改善のためにはこの戦争を終わらせる必要がありました。そのためベトナムに力を貸す国、フランスに協力する国に分かれ、インドシナ戦争は徐々に泥沼化していきました。

インドシナ戦争の経過についてその終結までを解説します。

ベトナムの南北分裂

インドシナ戦争のターニングポイントとなったランソンの現在の様子。

ベトナムは、第二次世界大戦後すぐに南北に分裂していました。北緯16度を境界線として、北を中国をはじめとする連合軍が、南を支配権を譲らないフランスが領有していたのです。両者譲ることなくはじまったこの戦いは、最初はフランスが主要都市を制圧し有利に進んでいました。

しかし、ランソンの戦い以降攻守が逆転。それまでゲリラ戦を展開してきたベトミンによる反撃にフランスは徐々に敗戦色を濃くしていきました。

外国人部隊を投入したフランス

外国人部隊の1人。本国から派遣しにくい状況で周辺諸国から人員をかき集めた。

戦局が不利になるにつれて、フランス本国では「戦地には行かせない」という世論が多数派になりはじめ、兵力不足を言われるようになり始めました。結果フランスは、外国人部隊と呼ばれる部隊を投入します。主にはラオス・カンボジアの人員で構成されていましたが、もとは同じインドシナ半島の人間同士、あまり戦力にはならなかったようです。

アメリカの援助を受けたベトナム

ベトナムへの援助を決めたトルーマン大統領。次のアイゼンハワーまで引き継がれた。

国際社会もインドシナ戦争終結のため、双方に協力する体制が出来てきました。北ベトナムはソ連・中国と関係を築き、それまでの武装を近代化させることに成功。一方の南ベトナム側も正式にベトナム国の成立を認められ、傀儡政権ではあったもののフランスの援助を受けて戦争を継続しました。

この時アメリカも軍事援助を表明したのですが、供給元はなんと南北ベトナム両方。東西冷戦が本格化する前で、どちらにも恩を売っておきたかったのではないかと考えられています。

戦火拡大とディエンビエンフーの戦い

戦いに勝利し旗を振るべトミン兵。これにより戦争は集結した。

1952年、戦火はラオス近辺まで広がり戦争はより拡大しました。しかしこの時はすでにベトミン軍の優勢で、フランスはこの時に大きな判断ミスでラオカイという重要拠点の奪還をしないままであったため敗戦色はますます濃くなっていきました。その後ラオスにあったフランス軍の補給路をベトミン軍が遮断したのです。

1954年、インドシナ戦争最後の戦いであるディエンビエンフーの戦いが始まります。人海戦術で紀子ろうとしたフランスですが時すでに遅く、開戦からわずか2か月後に陥落。フランスの敗北が決定的となり、ジュネーブ協定が締結されました。ここにインドシナ戦争はベトミン軍の勝利で幕を下ろしたのです。

フランスの降伏とアメリカとの関係悪化

ベトナム共和国大統領ゴ・ディン・ジェム。傀儡政権の元首として政府を運営した。

フランスはインドシナ戦争に敗北。代わりにアメリカが統治を開始するのですが、あろうことかアメリカはフランスが作らせた南ベトナムのベトナム国を存続。1956年のフランス完全撤退後にはアメリカによる傀儡政権ベトナム共和国が成立します。アメリカは漁夫の利を得ようとしたのでした。

北ベトナムにあったベトミンはこれに反発。南ベトナム解放戦線を組織したベトミンはこれ以降、第二次インドシナ戦争、またはベトナム戦争とよばれる戦争に突入することとなりました。

インドシナ戦争を題材にした映画

この世の果て、数多の終焉

映画ポスター。DVD化はされていない。
出典:映画.com

インドシナ戦争をフランス人兵士の目線で描いた作品が『この世の果て、数多の終焉』です。グロテスクなシーンも多いこの作品は、兄弟をベトミンに殺された青年が復讐に燃える姿を描いています。

注目したいのはベトミンのゲリラ戦術。見えない敵と戦う恐怖や、遭遇した仲間が惨殺されてしまうなど、ベトミンの戦い方を垣間見ることができます。熱帯雨林の中で撮影されたにもかかわらずどこか寒さを感じずにはいられない作品となっています。

インドシナ

こちらは支配階級であり、インドシナを愛したフランス人女性の物語。『インドシナ』の始まりは1930年代とインドシナ戦争の時期よりもずれていますが、この戦争についても触れています。

インドシナの愛する支配階級のフランス人女性が、自身の身分と半島への愛のはざまで揺れるという内容で、養女に向かえた女性はベトナム独立運動に参加するなど、彼女を知らず知らずのうちに苦しめていきます。少し古い映画ですが当時の状況を知れる貴重な映画といっていいでしょう。

インドシナ激戦史1954~要塞ディエン・ビエン~

ベトナム側のインドシナ戦争を描いた作品が『インドシナ激戦史1954~要塞ディエン・ビエン~』です。

ストーリー展開は目新しいものはないものの、なぜベトナムはフランスに勝てたのかという核心部分に迫る内容は史実を知る上では欠かせない要素。この映画を見ればベトナムの強さの理由やフランスのインドシナ戦争への考え方がわかる1本です。

インドシナ戦争に関するまとめ

インドシナ戦争はインドシナ半島、特にベトナムにおいては重要な位置を占める戦争です。自分たちの完全独立をかけてフランスと戦った彼らの思いが勝利へと導いたのは言うまでもありません。

しかし、この戦争がその後四半世紀に及ぶ戦いのきっかけになってしまったのもまた事実。インドシナ戦争が持つ歴史的意味は私達が思っている以上に大きいのです。

それでは、長時間に渡りお付き合いいただきありがとうございました!

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