ガレス卿
アーサー王の甥でガウェイン卿の末弟の円卓の騎士です。兄であるガウェイン卿やランスロット卿に非常に愛された騎士で、彼の死によってガウェイン卿とランスロット卿の関係は修復不可能となり、円卓の騎士の崩壊に繋がることとなりました。
ガレス卿はランスロット卿に騎士に任命され、武勲を上げることにより円卓の騎士のメンバーに入ります。ガレス卿は自身を騎士と任命してくれたランスロット卿を非常に尊敬しており、ランスロット卿と冒険を共にする様子が多く描かれています。日々の権勢を増していくランスロット卿に嫉妬した騎士たちがランスロット卿の不倫を暴きますが、ランスロット卿を尊敬したガレス卿は、敵対することなく攻撃を仕掛けることはありませんでした。
しかし王妃グィネヴィアが火刑に処されそうになる時に、救出に来たランスロット卿により刑場にいたガレス卿は殺害されてしまいました。この時ガレス卿は尊敬するランスロット卿に剣を向けたくなかったために、武装すらしておらず防御できなかったためでした。このことによりガウェイン卿は怒り、反ランスロット派になり、アーサー王に和平を反対するようなってしまいました。ランスロット卿も後に事実を知り、ガレス卿を殺害したことを非常に悔いたといわれています。
ベディヴィア卿
アーサー王のエクスカリバーを湖に返した騎士として知られています。アーサー王の儀仗官として仕え、ガウェイン卿らと並ぶ古株の円卓の騎士です。「ベドウェル・ベドリバンド(恐るべき膂力のペディヴィア)」と呼ばれ、隻腕の屈強の剣士でした。
物語では彼の槍の一突きは他の者の九突きに匹敵するといわれ、「隻腕にも関わらず、同じ戦場でも他の騎士より敵の血を流させた」と称されています。べディヴィア卿はカムランの戦いの数少ない生き残りの騎士の一人であり、致命傷を負ったアーサー王の命を受けてエクスカリバーを湖に返しに行った後は、修道院に入り隠者として余生を送ったといわれています。
ラモラック卿
円卓の騎士の中でも強い力を持ち、第一の騎士ランスロット卿・第二の騎士トリスタン卿・第三の騎士にラモラック卿と言わしめています。トリスタン卿と仲が悪く、きっかけは何十人も相手にして疲れているラモラック卿との決闘を、疲れた後の相手と戦うのは騎士道に反するとトリスタン卿が拒否したからでした。自身の侮辱と取ったラムラック卿でしたが、お互いの武勇を知るうちに以後は友人となっています。
またラモラック卿はモルゴースというアーサー王の異父姉と恋愛関係にありました。二人の関係をモルゴースの息子のガヘリス卿は快く思わず、ガヘリス卿は二人が同衾していた時に乱入してモルゴースを殺害し、ラモラック卿は武装していない騎士を殺すのは騎士道に反すると殺されずに済みましたが、仲たがいが決定的となり、円卓の騎士を離れています。
その後サールスで行われた槍試合に出場し、優勝して去っていくラモラック卿をガウェイン卿、アグラヴェイン卿、ガヘリス卿、モルドレッド卿の4人に襲撃され、槍試合の後だったことと4対1だったこともあり3時間の攻防の末ガウェイン卿の一撃を背中に受けて死去しました。
ボールス卿
ランスロット卿の従弟の円卓の騎士です。聖杯探求を成し遂げた3人の騎士の中の一人でもあります。放浪癖があるランスロット卿を探す役回りで度々登場し、ランスロット卿に何かあると王妃グィネヴィアから相談を受けたり、ランスロットの代わりに王妃から依頼を受けて試合に出場したりかなり信頼されていました。
ガラハッド卿・パーシヴァル卿と共に聖杯を探し到達しましたが、この後ガラハッド卿とパーシヴァル卿は死亡しボールス卿だけが生き残ってアーサー王のもとに帰還しています。帰還できた理由は聖杯は童貞しか到達できないといわれていたからといわれています。ずっと童貞を守っていたので聖杯を手に入れる偉業を成し遂げました。
ランスロット卿とアーサー王の対立の時はランスロット卿に味方し、アーサー王を馬から落としもう少しで打ち取るところまでいっています。しかしランスロット卿に阻まれしぶしぶアーサー王を解放しています。アーサー王死後は、ランスロット卿と共に出家し、聖地に向かう途中異教徒のトルコ人と戦い、聖金曜日に命を落としています。
ケイ卿
アーサー王の義兄であり、万聖節の時に円卓の騎士に加わりました。登場は、ある日の馬上槍試合で剣が折れてしまい、弟のアーサーに家に剣を取りに行かせています。アーサーが家で剣を探すが見つからなかったために、大聖堂前の聖剣カリバーンを抜いて持ってきたことで、アーサーはブリタニアの王になるというなんとも脇役な役どころで登場しました。
性格的には道化的な愉快な性格に描かれ、王妃グィネヴィアに口の悪さを叱咤されたりする場面があったりします。最後はカムランの戦いで戦死しました。
ガヘリス卿
アーサー王の甥でガウェイン卿の弟です。円卓の騎士になる前は、ガウェイン卿の従者を勤めていました。その為にガウェイン卿と共に登場することが多く、武勇に秀でていたといわれています。勇猛果敢で美丈夫であったけれども、寡黙な性格であったとされています。性格的にはかなり影のある人物でラモラック卿と不倫していた母のモルゴースを殺害しています。最後は王妃グィネヴィアを救出に来たランスロット卿によって殺害されてしまいました。
モルドレッド卿
アーサー王物語の主要人物の一人の円卓の騎士であり、アーサー王と決闘をして瀕死の重傷を負わせた人物です。アーサー王と異父姉モルゴースとの間に出来た近親相姦の不義の子であり、後に円卓の騎士に入りますが、アーサー王がランスロット卿を征伐にフランスに遠征している際に、モルドレッド卿が王座を奪い、王妃グィネヴィアを妻としてしまいました。
モルドレッドは反アーサー勢力を集めてアーサー王を迎え撃ちますが、最終的にアーサー王が優勢になり、王妃グィネヴィアはモルドレッド卿を見限って尼僧になってしまいました。最終的にはアーサー王とモルドレッド卿の一騎打ちになり、モルドレッド卿は死亡、アーサー王も致命傷を受けてしまいます。
疲れ果て剣を杖代わりに休んでいたモルドレッド卿に、復讐を誓ったアーサー王が突撃し決闘となりました。モルドレッド卿は槍で一撃で体を貫かれて、死を覚悟したモルドレッド卿は渾身の力をふり絞って串刺しのまま槍のつばのところまで王に近づき、諸手の剣で兜ごとアーサー王の側頭部を割り絶命するという壮絶な最後を遂げています。
円卓の騎士で最強の人物は誰?
やはりこれだけの騎士がいると誰が一番強いのかな?と気になってしまいますが、「湖の騎士」の異名を持つフランスの騎士ランスロット卿が最強といわれています。最強といわれるランスロット卿の評価は、「槍や剣を取れば負けることを知らず、優秀な騎士が集まった円卓の中でも最高と謳われた騎士。並大抵の騎士であれば複数人を剣の一振りで倒し、彼以外の円卓の騎士メンバーを打倒した騎士を死闘の末に倒す、まさに最強の戦士」です。この上美男子だったといいます。
馬上槍試合で、槍・乗馬・剣術において彼を超えるものはいなかったそうです。最後は王妃グィネヴィアと不倫をし、アーサー王と決別をしますが円卓の騎士の中で人望があった為に、アーサー王派とランスロット派に最終的に分裂してしまう事態となりました。不倫ということは穏やかではないですが、当時は主君の妻に仕える騎士と恋心を抱く女性が現実に多かったのも事実です。そのようなことも踏まえて、ランスロット卿は騎士の中の騎士と語り継がれてきたのでした。
そして「騎士」ではないですが、ある意味最強なのは王妃のグィネヴィアではないでしょうか。アーサー王の一目ぼれで魔術師マーリンが止めるのも聞かず結婚し、混乱が起こると予言されていましたが、やはりランスロット卿と不倫関係に陥り、円卓の騎士は崩壊してしまう原因を作りました。
それだけでなく、アーサー王の息子のモルドレッドと結婚し、モルドレッド卿が劣勢になると見切りを付けて尼僧になって去ってしまうというしたたかさもあります。多くの男性を翻弄した王妃グィネヴィアは、尼僧として過ごし死去します。その後ランスロット卿が、グィネヴィアの死を聞いて絶食をして後追って死亡してしまいました。多くの男性を虜にした魔性の女性として描かれた人でした。
円卓の騎士に関するまとめ
いかがでしたでしょうか?アーサー王物語は、主人公のアーサー王よりも「円卓の騎士」の記述に時間をかけている面もあり、主人公よりも人気がある騎士たちがたくさんいます。個人的に面白いのが、理想と騎士として描かれている円卓の騎士たちですが、内情は不倫やロマンスなど中々ドロドロしているなという印象なところです。
昔からロマンスはやはり皆好きなんだろうなという感想です。登場している騎士たちもほとんどがプリンスであり、同時に卓越した騎士であるという憧れの集大成が集まったものが「円卓の騎士」なのだと感じています。だからこそ、今でも憧れてやまない人が多いのではないかと感じました。この記事を読んで、少しでも「アーサー王物語」に興味を持っていただけたら嬉しく思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。
アニメでのケイ卿として表示されている画像はケイ卿ではなくFateという作品で女性のIFバージョンのアーサー王(アルトリアペンドラゴン)でありケイ卿を元としたキャラクターではありません。