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ローマ法王と教皇の違いとは?意味や使い分けを分かりやすく解説

カトリック系キリスト教の最高指導者を、みなさんはなんと呼んでいますか。おそらく「ローマ法王」と呼ぶ人と「ローマ教皇」と呼ぶ人に分かれると思います。この「法王」と「教皇」という2種類の表現、一体何が違うのでしょう。いざ訊かれてみると難しいと思います。

では、この「法王」と「教皇」、何が違うのかを調べて見たらどうなのでしょうか。この記事では両者のうち正しいのはどちらなのかのお話と、言葉の意味に違いがあるのか辞書で調べてみました。また、ローマ法王(教皇)とはどんな人なのかについても迫っていきます。

ローマ法王とローマ教皇、どちらが正しい?

現ローマカトリック教会の最高指導者、フランシスコ。

「ローマ法王」が正しいのか、それとも「ローマ教皇」が正しいのかの問題は今にはじまった話ではありません。実はかなり前からどちらが正しいのかについては議論されていたのです。そして、この両者のうち、正しい呼称も実は決まっているのです。

そこでこの章では、日本国的・カトリック的にはどちらが正しいのかに迫っていきます。

正しくはローマ教皇

ローマ法王庁大使館は東京都千代田区にある。

日本の法律的に、カトリック教会の最高指導者は「ローマ教皇」が正しいと明記されています。カトリック教会も「ローマ教皇」が正式な呼称であるとしているので、正しくは「ローマ教皇」となります。

「ローマ法王」という呼び方は、そもそも外務省が大使館設置時に「ローマ法王庁大使館」と名付けたことに起因します。しかもこの「法王」としたのは外務省が勝手に決めたわけではなく、相手国が申請するとき「ローマ法王庁」で申請してきたからだとされているのです。つまり、最初は「ローマ法王」という呼び名は相手方の申請によって生まれたということになります。

国交樹立当時は法王が正式名称だった

教皇フランシスコは2019年11月23日に来日し、その際法被を着るなどしてメディアの注目を集めた。

第二次世界大戦前に日本がローマカトリック教会の総本山であるバチカン市国と国交を樹立した当初、日本では「ローマ法王」が正式名称とされていました。理由は先の「ローマ法王庁」と同様です。

1942年から使われていたこの表記ですが、最終的には2019年まで使われていました。きっかけは教皇フランシスコが来日するに際し、表記をカトリック中央協議会の要請に応えて変更したものです。当然、「法王」で馴染みのある日本人が多数なので、放送業界では「法王」の呼称を用いる、ただし性格には「教皇」ですよ、としているのです。

国会でも議論される法王と教皇

両者の呼称については国会でも積極的に議論を重ねていました。教皇フランシスコ来日より1年前の2018年、国会では立憲民主党の山内康一氏と当時の外務大臣・河野太郎氏が次のようなやり取りをしています。

ローマ法王庁大使館、バチカンの大使館の名称が実はカトリックの人たちにとっては余り望ましくない。日本語名称をローマ教皇と呼んでほしいというのがカトリック教会の公式な見解のようです。バチカン市国の大使館の名称変更を相手の政府に対して相談、協議する、もし相手が望むのであれば変えていくことをお考えになる余地はありますでしょうか。

山内康一衆議院議員は国際協力団体にも多く参加した経歴を持つ国際派議員。

駐日ローマ法王庁の大使並びに大使館及びバチカンに問合せをいたしましたが、いずれからも名称変更を求めていないという御返答でございましたので、特にその後のアクションはとっておりませんが、いずれの大使館からも名称変更の要請がありましたときには、外務省としてしっかり対応をする。

通訳なしで外交をこなす河野太郎外務大臣も、言わずと知れた国際派である。

つまり、「相手国から申し出があればいつでも変えるが、今の時点ではないから変更しない」とのことです。なお、こののち指導者に関しては呼称変更の依頼があったものの、大使館の名称変更は申請がなかったため現在も「ローマ法王庁」のままとなっています。

カトリックは教皇と呼んでほしい

カトリック中央審議会の委員である司教は、写真のような会合を行っている。

気になるのは、ローマ教皇を頂点とするキリスト教の一派であるカトリック教会はどう考えているのか、という点です。

カトリック中央協議会では、自分たちの最高指導者について「ローマ教皇」の名称を使ってほしいという声明を発表しています。しかしその声明を発表したのは1981年と以外にも最近の話で、それ以前は両者の表記が協会内でも混在していました。

しかし、そこから教皇フランシスコの来日まで、政府・メディアの「法王」という呼び名と、協会側が正式名称とする「教皇」が使われていたのです。2019年の呼称変更の背景には、政府・メディアが協会の正式名称に合わせたという背景があるのです。

法王と教皇は意味が違うのか調べてみると…

そもそも「法王」と「教皇」という2つの言葉の意味の違いとは何なのでしょうか。意味の違いを知るには辞書を使うのが一番。ということで、本章では、国語辞典、英和辞典、そして放送関係者が採用している「ことばのハンドブック」でそれぞれ調べてみました。

1937年当時の新聞では「ローマ法王」と記載されている。

まずは国語辞典です。いくつかの時点を1冊ずつ見ていきたい、と言いたいところですが、実はすべての辞書で「ローマ教皇はローマ法王」という堂々巡りの解説しかされていませんでした。結局、意味は同じということがわかったのですが、どちらの呼称が正しいかまでは言及されていないのです。

2019年の新聞各紙では「ローマ教皇」に表記が変更されている。

また和英辞典のほうも同様でした。カトリック教会の最高指導者を調べると、「ローマ法王」も「ローマ教皇」も別項目として存在しました。しかし、その英訳はどちらも「Pope」。そう、英語圏でも区別されていないのです。

正しくは「教皇」のはずだが、テレビでは「法皇」と表示されている。

ところが、明確に違いを記載しているものが1つだけありました。それが「ことばのハンドブック」です。

「ことばのハンドブック」とは、主に放送業界で使われているアナウンサーの教科書とも呼べる辞書の一種です。今回の「法王」「教皇」のように、相手に伝えるときにはどちらの表現が正しいかを調べる時などに使います。

気になる説明ですが、次のように書いてありました。

正式名称は教皇

正しくは「教皇」との答えが書いてありました。しかしながらその続きには次のような文言が書いてあります。

放送では一般に慣れ親しんだ『ローマ法王』を使う

つまり、ここまで3種類の辞書で比較をしましたが、意味は両者とも同じということがわかりました。呼び方が違うだけで同じ意味なので、究極どちらでも正解ということになるのでしょう。

そもそもローマ教皇とはどんな人なのか

前ローマ教皇、ベネディクト16世は数百年ぶりの生前退位をしたことで知られる。

ではそもそもローマ教皇とはどんな人物なのでしょうか。「宗教の一番えらい人」で間違ってはいないのですが、ローマ教皇にはそれ以外の性格もあります。そして気になるのはどうやったらローマ教皇になれるのか、です。

ここではローマ教皇が持つ性格となるための方法、そしてローマ教皇として名前の決め方を簡単にご紹介します。

カトリックの頂点に立つ司教

ローマカトリック教会のヒエラルキー。ローマ教皇は世界中のカトリック教徒の頂点に立っている。

ローマ教皇の第一の性格は、言わずもがなカトリック教会の最高指導者です。司教、枢機卿のさらに上に立つ身分であり、使徒座と呼ばれる最高位の後継者となります。

最初の教皇を創始者イエスの弟子ペトロとしており、その後継者としての地位が現在の教皇です。ローマ教皇は司教の1人でもありますが、このように特別な地位を授かる人間として特別扱いされています。なお、現在の教皇・フランシスコで第266代となります。

実は国家元首

天皇と談笑する教皇フランシスコ。外交もまたローマ教皇の大事な仕事のひとつ。

ローマ教皇のもうひとつの性格は国家元首です。各国の首相や大統領と同じ身分であるということです。

カトリック教会の総本山は、バチカン市国として独立国家の体裁をなしています。言い換えれば、カトリック教会の国ということです。この国の国家元首としての性格もローマ教皇にはあります。人口1,000人未満の小さな国ですが、国家である以上国家元首は絶対必要です。日本ではあまり知られていませんが、政治家としての側面もあることを覚えておいてください。

ローマ教皇になるには?

コンクラーベの終結は白い煙が上がることが合図とされている。それはつまり新教皇が決まったことを意味する。

ローマ教皇は、それに次ぐ地位である枢機卿の中から話し合いで、かつ満場一致にて選ばれます。これを「コンクラーベ」といいます。

「話し合い」と聞くと一見穏やかそうなイメージですが、実は決まるまでの10日間、一切会議の場から出ることができません。「コンクラーべ」の名前の由来どおり議場には鍵がかけられてしまうからです。もちろん、食事やトイレも例外ではないため、まさに「根比べ」で決まるのです。

ちなみに、前段階である枢機卿になるには熱心なカトリック教徒であることはもちろん、生涯で一度も性交渉を持ったことがない80歳未満の男性であることが条件です。

名前の決め方は自由

2005年に行われたコンクラーベの様子。ここで法皇が決まるまで枢機卿達は話し合いを続ける。

教皇の名前は自由に選ぶことができますが本名ではありません。多くは事前に用意された候補の中から名前を選ぶのが通例のようです。

過去の教皇と名前が同じ場合は、名前のうしろに「○世」とつけて区別します。実際の血のつながりはありませんが、ペトロから数えて何代目の教皇かをわかるようにするためです。もちろん、候補にない名前をつけることも可能です。

このように決まった教皇は、死去するか、自らの意志で退位するかまで教皇の地位を守ることになります。

ローマ法王と教皇の違いに関するまとめ

「ローマ法王」と「ローマ教皇」の使い分けは、つい最近まで違っていたことがわかり、そして公式には「ローマ教皇」であることもわかりました。しかし、意味が同じである以上、今後も混同されることが多いのではないでしょうか。どちらにしてもカトリック教会の最高指導者であることに変わりはないので、みなさんが生活の中で使うのはどちらでもいいです。

ローマ教皇は、宗教を通じて世界に平和の祈りとメッセージを与え続ける稀有な存在。世界の指導者の中でも特に力を持った、特別な存在なのです。ローマ教皇の祈りが世界を平和へと導いてくれるといいですね。

では、長い時間お付き合いいただきありがとうございました。

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