ホモサピエンスとは?人類の起源と進化の過程、特徴や歴史に迫る

ホモサピエンスの拡散

ホモサピエンスは世界中に拡散して発展していきますが、それには2つの理由がありました。

1つはホモサピエンスの能力です。ホモサピエンスはコミュニケーションを取って社会を作り、器用な手を使い道具や火を使うことで住まいを作りました。自分たちの能力で、どんな環境でも安全に生き延びることができたのです。

2つ目は自分たちの身体を変化させたことです。ホモサピエンスは自分の身体までも、環境に合わせて変えたと考えられています。例えば寒い地域では体温を保つために大きな身体となり、冷たい空気を温めて体内に入れるために鼻が高くなりました。その一方、汗をかくことで身体の熱を冷ますこともできるために、暑い地域で生活することもできました。

生活する場所によってホモサピエンスがその形態を変えたことが、現在さまざまな人種が存在している理由だと考えられます。

ホモサピエンスの功績

さまざまな方向に才能を開花させたホモサピエンス(復元画)

ホモサピエンスには他の人間にはできなかった功績があります。狩猟具を発達させたことで、狩猟が安全になっただけでなく、どのように狩りをするか考えることで、一層知能が発達したとも考えられています。

効率よく食べ物を得られるようになったホモサピエンスは人口を増やし、生活範囲を広げることになりました。そこで船をつかって航海する人々が出てきたのです。この結果、各地で芸術や建築に才能を発揮するホモサピエンスも出てきました。

ホモサピエンスは投射狩猟具を発達させた

こんなふうに使っていた?

原人や旧人も石器を使っていましたから、それを狩猟に生かしていたと考えられます。しかし、ホモサピエンスは狩猟の方法をさらに改善することに成功しました。それは石器を投射狩猟具へと発達させたことです。

イタリア南部の洞窟から出土した三日月形石器は、ホモサピエンスが投槍機か弓を使って投射していたとわかりました。投射、つまり離れた場所から石器を獲物めがけて投げて当てることで、一層安全に狩猟ができるようになったのです。

この結果、ホモサピエンスは飢餓を免れ、人口を増やし、世界中に拡散することができました。

ホモサピエンスは初めて舟を使って航海した人類

こちらは明治時代の丸木舟だが、これで海を渡るのは不安

世界中に拡散したホモサピエンスはやがて日本にもやって来ます。日本では原人や旧人の存在は確認されていません。いきなりホモサピエンスが存在するようになったということは、どこからかホモサピエンスが日本にやって来たと考えるのが妥当です。

日本に入るためには、3つの方法が考えられます。

  1. サハリンから北海道を通過して日本に上陸する
  2. 台湾から沖縄を通過して日本に上陸する
  3. 朝鮮半島から対馬を通過して日本に上陸する

当時、北海道は大陸と陸続きであったと考えられていますが、後の2つはどうしても海上を通る以外に方法がありません。そこで船を使ったのだと考えられています。そうでなくては、約4万年前に日本に人類が生活していたことの説明がつきません。

日本に残っている一番古い人類の痕跡は約3万8千年前のものです。当時はせいぜい丸木舟しか作れなかったはずです。もちろん、地図などもありませんから、それで海を渡ってこれたのか、はなはだ怪しいと思う人も多いでしょう。

そこで、人類進化学者が中心となり、当時の航海を再現しようとしていますが、まだ成功していないということです。当時のホモサピエンスには今の私たちが失ってしまった能力があったのかもしれません。

ホモサピエンスに関するまとめ

今回はホモサピエンスについて解説をしてきました。ホモサピエンスという言葉がなぜ使われるようになったのかがわかりました。また、人間の進化の歴史についてもわかったのではないでしょうか。

現在普通に暮らしている私たちは、数多くの危機を乗り越えて進化してきた結果生まれたのだと思うと、現在の生活に感動を覚えます。また、私たち人間は決して特別な存在ではなく、ホモ属の一種であり、他の生物と変わらないことも感じます。

知性や感情は単に私たちがこの世界での生活に適応しているから、身についただけで他の生物よりも偉くはないのです。人類学というのは、人間が思い上がらず、謙虚に生きるために必要な学問なのかもしれません。

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